PowerPoint プレゼンテーション

日本薬学会 第134年会
医療経済評価へのレセプトデータの活用:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における傷
病名と治療薬の集計
明治薬科大学 公衆衛生・疫学教室
茂木 まどか
背景
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の医療経済評価:マルコフモデル
効果
海外の文献からメタア
ナリシスにて入手可能
費用
保険等の関与がある
ため日本におけるデー
タが必要
レセプトデータには検査値等の臨床データが含まれていないため、スパイロメト
リーを用いた肺機能検査に基づいている重症度を評価することができない。
目的
Wuらの研究では診断名や治療薬などの医療行為から分かる12の変数と用いてスコア
化することで重症度を推定している。
重症度の推定に利用する12の変数
慢性気管支炎の急性増悪による入院
抗コリン薬の処方
酸素療法
経口ステロイド薬の処方
肺気腫
吸入ステロイド薬の処方
急性増悪
肺機能検査
呼吸器科の受診
短期作用性β-2刺激薬の処方
データ期間の平均年齢
長期作用性気管支拡張薬の処方
出典:EQ Wu et al. 2006.
レセプトデータをCOPDの医療費の推定に用いるために傷病名と治療薬に着目し、
その経時的な推移を記述的に集計した。
方法
レセプトデータ:7,211名
レセプトデータ:3,379名
国際疾病分類(ICD10) J40~J44
国際疾病分類第10版(ICD10)
J41~J44
薬価基準収載医薬品コード 225または229を2回以上処方
薬価基準収載医薬品コードの頭3文字が225または229の医薬品を2回以上処方
40歳以上
225:気管支拡張剤 229:その他の呼吸器官用剤
40歳以上
レセプトは契約健康保険組合より
傷病名
治療薬
225:気管支拡張剤
J41
◆短期作用性抗コリン薬(SAMA)
慢性気管支炎
◆長期作用性抗コリン薬(LAMA)
J42
J43
◆短期作用性β-2刺激薬(SABA)
◆長期作用性β-2刺激薬(LABA)
◆メチルキサンチン
肺気腫
229:その他の呼吸器官剤
◆吸入ステロイド薬(ICS)
J42
慢性閉塞性肺疾患
◆ 長 期 作 用 性 β-2刺 激 薬 / 吸 入 ス テロ イ ド 薬
(LABA/ICS)
対象とする治療薬
出典:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版
今回は重症度の観点から安定期の管理に主に使用される治療薬である長期作用性抗コ
リン薬(LAMA)、長期作用性β2刺激薬(LABA)、吸入ステロイド薬(ICS)、合剤である
LABA/ICS配合薬を対象とした。
結果
傷病名の集計
診断数
(人)
2000
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
診断割合
(%)
平成23年患者調査における有病率
0.29
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
J44
J43
J41+J42
J41+J42:69.8%
J43:22.1%
J44:8.1%
J41+J42:60.2%
J43:18.6%
J44:21.2%
0.50 100%
0.45 90%
0.40 80%
0.35 70%
0.30 60%
0.25 50%
0.20 40%
0.15 30%
0.10 20%
0.05 10%
0.00
0%
2005
2006
有病率
2007
J44
2008
J43
2009
J41+42
使用したデータベースの母集団数
2005年~2007年:約32万人 2008年:約60万人 2009年:約75万人 2010年~2012年:約100万人
有病率に差はないが、その診断内容は変化している
2010
2011
2012
結果
治療薬の集計
処方割合
100%
2007年6月 アドエア発売
90%
ICS↓
ICS
80%
70%
LABA/ICS↑
LABA/ICS
60%
3.3%→40.9%
50%
40%
LABA↓
LABA
30%
20%
11.2%→30.9%
10%
LAMA↑
LAMA
0%
2005
2006
2004年12月 スピリーバ発売
2007
LAMA
2008
LABA
2009
LABA/ICS
2010
ICS
使用したデータベースの母集団数
2005年~2007年:約32万人 2008年:約60万人 2009年:約75万人 2010年~2012年:約100万人
2011
2012
2011年9月 オンブレス発売
考察・結論
◆
慢性気管支炎
肺気腫
慢性閉塞性肺疾患として診断
◆ 治療薬の処方実態が変化
◆ 健康保険組合
新薬の導入が影響
レセプトデータの母集団において高齢者
の割合が少ない
今後はこれらの変化を加味しつつ、傷病名や治療薬の情報か
ら重症度を分類することができるかどうかを検討し、より正確に
経済評価に必要な費用を推定していく予定である。
参考文献
◆“厚生労働省 「疾病、傷害及び死因の統計分類」”
<http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/> 2013年12月20日アクセス
◆坂巻弘之 (2003) 「やさしく学ぶ薬剤経済学」 じほう.
◆日本医療データセンター (2011) 「JMDC Claims Data Base マスタ定義とデー
タ概要 vol.5」 日本医療データセンター.
◆日本呼吸器学会(2013) 「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガ
イドライン第4版」 メディカルレビュー社.
◆Wu EQ, Birnbaum HG, Cifaldi M et al. Development of a COPD severity score.
Current Medical Research & Opinion. 2006 Sep;22(9):1679-87.
ご静聴ありがとうございました