資料1-2 肝付WF15号レセフ゜タ脱落事故概要版(PDF形式:340KB)

2014 年 8 月 26 日
㈱ユーラスエナジージャパン
ユーラス肝付ウインドファーム 15 号風車ブレードレセプタ脱落事故について(概要)
資料1-2
1. ユーラス肝付ウインドファーム(肝付WF)と事故の概要
(1) サイトの概要
・所 在 地:鹿児島県肝属郡肝付町日平国有林内
・定格出力:30,000kW(2,000kW×15 基)
・運転開始:2011 年 3 月 18 日
(2) 風力発電設備の概要
・風
車:JSW 製 J82
・定格出力:2,000kW
・回 転 数:7.5~19 min-1
・ロ ー タ:直径 83.3m、取付位置 地上 65m
(3) 事故の概要
・日 時:2014 年 7 月 4 日
・状 況:7 月 3 日にWF近傍に落雷が発生。
翌日、15 号風車のブレード(2 軸)にて、レセプタ脱落を確認。
15 号-2 軸
(レセプタ脱落)
図1
肝付WF風車位置
2. 事故発生経緯
時間
-
13:06
13:15
13:35
17:48
18:30
2014.7.4
11:00
図 3 ブレードレセプタ脱落状況
5. 事故原因
肝付WF15 号の事故発生経緯は、表 1 の通り。
日付
2014.1.27
2014.7.3
図 2 風車外形図
15 号-1 軸
(正常)
表 1 事故発生の経緯
状況・経緯
ブレードベアリングのクラックが確認され、15 号を停止措置。
九州電力の雷警戒運転発令
肝付WF近傍に落雷発生したので、全風車を保安停止。
(ブレードベアリングクラックのため 7 基(15 号含む)は停止中。運転中の 8 基を保安停止。
)
15 号風車に落雷(後日、落雷観測会社より入手した「落雷解析データ」を参照)
九州電力の雷警戒運転解除
保安停止した 8 基は、風車に異常が無いことを確認し運転再開。
長期停止中の 7 基は、翌日確認することにした。
長期停止中の 7 基を確認したところ、15 号風車の 2 軸ブレードにてレセプタの脱落を確認。
脱落したレセプタは見つかっていない。
3. 事故状況
当該ブレードを詳細調査した結果、以下の様相が確認された。
①ブレード表面(図 4 参照)
・Suction Side の先端より約 970mm の部位に落雷痕あり。
・落雷痕の周りは黒変しており、内部へ貫通。
②Trailing Edge
・長さ約 1,230mm の開口あり。
③Leading Edge
・長さ約 400mm の剥離あり。
④ブレード内部
・スティフナ端部に約 150mm の接着剥離あり。
図 4 ブレード表面状況
図 5 ダウンコンダクタの断線
・スティフナ端部にダウンコンダクタの断線あり。
(赤丸は落雷痕)
(赤丸は断線箇所)
(図 5 参照)
。
(2014.5.8 にダウンコンダクタの導通無しを確認。
)
⑤レセプタ
・脱落したレセプタは見つかっていない。
(風車は停止していたので、数百m先まで飛散したことは考えられず、風車周りの林斜面に落下したものと思われる。
)
4. 落雷状況
落雷観測会社より入手した「落雷解析データ」によると、15 号風車の近傍(風車中心から半径 0.2km)に落雷履歴があり、
雷電流は-18kA であった。
レセプタ脱落事故の原因は「落雷」に起因すると考えられ、以下のフローで事故に至ったと推定される。
①7 月 3 日 13:35、運転停止中の 15 号風車にて、2 軸ブレードの先端から 970mm に落雷。
↓
②ダウンコンダクタが断線していたため、雷電流は地面には流れず、ブレードを貫通。
↓
③貫通した際ブレード内を雷電流が流れ、そのとき発生したジュール熱で空気が膨張し、ブレード接合部が裂傷。
↓
④保持力を失ったレセプタは、膨張による圧力で脱落。
6. 再発防止対策
事故原因を踏まえ、肝付WFでは全号機を対象に、表 2 に示す再発防止対策を行う。
表 2 再発防止対策
項目
区分
内容
新規
① レセプタの改良
風車メーカーが推奨する「改良レセプタ」を適用し、
脱落防止強化を図る。
*1)
(1)接着強度の向上
(レセプタ内部に開口部を設けて接着剤を充填し、
接着強度を向上)
(2)保持力の向上
(くさびの材質を金属から FRP に変更し、くさび
形状効果と FRP 積層による接着力を併用)
② ダウンコンダクタ 新規
風車メーカーが推奨する「ダウンコンダクタ改良」を適用し、断線防止強化を図る。
の改良
(1)ダウンコンダクタの振動抑制(固定間隔 600mm ⇒ 300mm に短縮)
*1)
(2)ダウンコンダクタの断面積増加(断面積 70mm2 ⇒ 断面積 100mm2 )
(3)レセプタ接続端子の強化(厚さ 2mm、断面積 70mm2 ⇒ 厚さ 5mm、断面積 100mm2 )
③ 雷撃検出装置の
新規
雷撃検出装置を設置し、受雷時はブレード損傷拡大防止のため風車を自動停止する機能を設
設置
*2)
ける。受雷で自動停止した風車は、雷通過後に巡視を行い、異常無いことを確認後に運転再
開する。
④ 雷接近時の監視
継続
落雷観測情報等により、風車サイトへの雷通過が予想される場合は、風車を保安停止する。
強化
*3)
継続
⑤ 立入禁止措置
風車サイトへの入口を施錠し、一般者の立入を禁止して、公衆災害防止を図る。
*1)①②は、ブレードベアリング交換工事と調整のうえ、2014 年 9 月末より着手予定。
*2)③は、2014 年 11 月~12 月に設置予定。
*3)④は、上記①②③が実施されるまでの暫定対策として実施する。
以 上