ESR ラジカルイムノアッセイ法によ るCryj lの超高感度

ア レル ギ ー 53(10),
1088-1090,2004(平
16)
速 報〕
〔
E S R ラ ジカル イムノアッセ イ法 による C r y j l の超高感度測定法 の 開発
1)生物 ラジカル研 究所 , 2)山形県衛生研 究所
青 山正 明D
高橋裕 一の
アセ タミドフェノール とヒド回キシルア ミン体 を併用 したスギ花粉抗原 Cttj lの測定系 を開発 し
″‐
た日本測定系 による最低検 出感度 は 3.5 pg/1111で
あ リー個以下 の花粉数でも Cttj lの 検 出が可能 で
あ つた日測定系の高感度化 により患者 の発症前 に飛散 している微量 の Cttjェ の検 出ならび に情報発信
が可能 となった日
Keywords i Cryj l― 一一 ESR― 一一 radicalilnmunoassay
目 的
方 法
サ ン ドイ ッチ ELISA法 に よる空 中 Cryj l淑
j定で
はスギ花粉飛散 開始 日前の超微量濃度の Cryj lを捉
える ことがで きなか った。榎本 らが 開発 した高感度
Cryj l測定法Dに お い て も大気 中の Cryj lはスギ花
粉数 にして 13個以上ない と測定 で きなかった。
馬場 は
スギ花粉症の発症や症状 の経過 と花粉飛散 との関係 を
検討 し,ス ギ花粉 の初観測 日か らの累積花粉数 の平方
根 と累積発症率が よ く相関す ることを見出 してお り,
ご く微量 の花粉抗原 によ り感受性が元進するとしてい
るの.こ のことか らもス ギ花粉飛散開始 日前 の大気 中
に存在す る ご く微量 の Cryj lが重要で,そ の微量 の
Cryj lを測定す る価値がある と考えられ る。最近,著
―
AP)と
者 の一人,青 山らにより開発 された酵素基 質 (″
ヒ ドロキシル アミン体 (HT10)を併用 した高感度 HRP
検出系め (ラジカルイムノアッセイ法)で HBs抗 原等
を超 高 感 度 に検 出 で きる との 報 告 が な され て い
る。9 . 我 々 は 大 気 中 の ス ギ 花 粉 ア レ ル ゲ ン
( C r y j l ) にこの方法 を応用で きないかを検討 した.
1.測 定方法
Nunc社 の 8穴 マ イク ロプ レー トに抗 Cryjl MAb
(林原,013)を 定法 によ り固定 し (lμ
g/well),Stabil―
Guard 300ぃ
1を加 え 4℃ にて一 晩ブ ロ ッキ ングを行 っ
た.測 定時 に必要枚数のプレー トを取 り出 し,超 純水
で洗浄後 に使用 した。MOPS緩 衝液 (0。
l M,pH7.0,
10%の ウシ胎児血清 を含 む)で 希釈 された試料抽出波
1 0 0lμ
に同 緩 衝 波 で 1 0 0 0 倍
に希 釈 した H R P 標識
Cryjl MAb(林 原,053)50μlを加 え室温下で 40分 問
反応 させ た。エ ルジア ・F用 洗浄液 にて洗 浄後, ″―
AP(4mM),HTIO(0.34mM)と
過酸化水素 (0,01%)
を含 む基 質緩衝液 150μ
lを加 え 37℃ で 30分 間反応 さ
せた。酵素反応 の結果生成 した安定 ニ トロキシ ドラジ
カルの 量 は E S R ( F R 3 0 ,E 」
O L ) で測 定 した. E S R
の 淑J定 は,Center Field i 336.100±
5mT,Power:4
mW, Mlodulation Width:0.lnlT, Time Constant i
O.3sec, Sweep Tilne:4 rnin, AInplitude: 400∼
× ×
一
10にて行 った.測 定 の 例 を Fig.1に示す。安定 ニ ト
ロキシ ドラジカルは等価 な 3本 線 よ り構成 されるため
最 も低続場側 のシグナルの高 さを滅l定し,比 較 した。
Received:」 uly 8,2004
Accepted i Septelnber 7,2004
Abbに 胡L品ぃぃ :II「10 1‐hydroxy‐2,2,5,5-tetramethyl‐
1■
lidazoline 3-oxide;jp‐
3‐
AP″ ―
acetattlidophenol
青 山正明 : 生 物 ラジカル研 究所 ラジカル応用分 析研究
室 〔
山形県 山形市松栄 二 丁 目 2 番 1 号 〕
E"mall:[email protected]― techno.or.jp
2.大 気試料か らの Cryj l抽出法
c l o n e
大 気 中 の C r y j C ly は
s a m p l e r ( B u
90M)を 用 いて採集 した.試 料 は 24時 間間隔で採集 し
た。試料 の交換 は午前 6時 に行 った。試料 の吸引容量
ま16.6″
ヤ
/ minな ので,1時 間で約 lm3サ ンプリングさ
れることになる。したがって,24時 間では 24m3採 集 さ
青山正 明他
1089
バ ー グラスの全 面 を計数 し l c m 2 当た りの数 に換算 し
た.
れ る。サ ンプ リ ング後 の試料 は 0,125Mの NH4HC03
(0,1%BSA含 む)溶 波 100μ
lで 2時 間槍拌 しなが ら室
温で抽出 した.2時 間抽 出 した後 に 3000rpmで 10分
間遠心 し上清 を分取 し測走 に用 いた。ダー ラム補集器
は同一地点 に設置 し,Cyc10ne samplerの試料 と同様
午前 6時 にスライ ドグラスを交換 し,18× 18cm2の カ
結果及 び考察
同一 条件 で行 ったサ ン ドイ ッチ ELISA法 で は 400
pg/mlが Cryj lの測定限界であったが,ラ ジカルイム
ノアッセイ法 では 3.5pg/mlまで検出で き,患者 が発症
す る前 か ら情報 を提 供 す る こ とが で きた.Fig。2は
2004年 のスギ花粉 シーズ ンのご く初期 の時期 (スギ花
100pg/ml
粉 の初観測 日 (2月 29日 )前 か ら飛散開始 日 (3月 11
日)の 後 に,山 形市 にてダー ラム捕集器 で 日ごとに測
定 したスギ花粉数 とラジカルイムノアッセイ法 で測定
した Cryj lの値 を示 したものである。図のようにラジ
カルイムノアッセイ法 ではダー ラム捕集器 で花粉が校
出される 5日 前か らの Cryj l測定が可能であった。
榎本 らDは 回相化抗体 にモ ノ ク ロー ナ ル抗 体 を用
い,第 二 標 識抗 体 にポ リク ロ ー ナ ル抗 体 を用 い た
ELISA法 で,空 中の Cryj lを高感度 に測定 で きる方
法 を開発 した。
彼 らの方法 ではスギ花粉 13個 に相当す
る花粉濃度 まで測定す ることが可能であった。しか し,
ス ギ花粉飛散開始 日前の微量 の Cryj lは 測定 で きな
かった.今回我 々が 開発 した方法 では Cryj lめ検出感
度 は 3.5pg/mlであ った。スギ花粉 1個 の Cryj l量 は
Fig.1.Cry,l detecuon hm比(3.5pg/ml)was esti
約 6pgと 見積 もられてい るD。 したがって,ラ ジカル
mated to a signal equalto the l.5-fold of blank signal.
イムノアッセイ法 ではスギ花粉が 1個 以下で も充分 に
Beginning day of apο
O′βiCa po‖
en dispersion
10
命 E Q のE馬 Lθ
9
8
7
5
4
3
Da︶ r一ム﹂0
介E ヽ
6
E空 石 a 弱oミ OL nヽ 6
2
1
0
23242526272829 1 2 3 4 5 6 7 8 91011 1213141516
February
Fig.2.
Amounts
March
of
Cry
j
l(line
%″
θ
C″pollen season.
graph)at the beginning Of c.!叩
g r a p″
h″θ
)″
a' nC dp″o nl ul le nn b( eb ra sr
of
C.ブ
1090
ジカルイムノア ッセイ法 による Cryj lの 超高感度測定法 の 開発
ESRラ
検出す ることが可能である。 同一地区に居住す る患者
ア レル ギ ー の 臨床 2 3 0 ( 1 8 ) , 1 7 0 1 7 4 , 1 9 9 8 .
の発症状況のデータと対比することにより数pym3
Aoyama,MI.,Shiga,A/1.,Ohya,H,and Kamada,
の Cryj lで症状 ので る息 者 が い ることもわか った (別
H.:A novel ESR method for horseradish peroxl‐
―
dase actvity using a combination of ″
aceta‐
途報告予定)。また花粉量 と抗原量 は定性 的 には相 関す
るものの大 きく食い違う日の存在 も明らかになった。
今回開発 した方法 を用いればその時期のアレルゲン量
を情報化することができるようになる.
■1ldophenol and hydroxylattline,and its applica‐
tion to enzyme immunoassays.Aれ
″″
,Scケ, 14,1107,
1998.
MIatsuo,T.,Shinzawa,H.,Togashi,H.,Aokl,MI.,
Sugahara,K。 ,et al.:]五ighly sensitive hepatitis B
surface antgen detection by lneasuring stable ni‐
文
troxide radical forlnatlon、
vith ESR spectroscopy.
献
F/2夕R協冴,c.B″
θ】
.ハイ
タ
冴25,92開
1)榎 本雅夫,大 西成雄,安 枝 浩 ,嶽 良 博 ,硲 田
猛真 ,斎 藤優子,十 河英世,藤 村 聡 ,藤 木嘉明,
瀬野悟 史,井 出 武 :高 感度 Cryj l測定 法 につい
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2)馬 場康太郎 :ス ギ花粉症修飾 因子 としての花粉飛
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DEVELOPMENT OF SUPER―
35,1998.
Aoki,M【.,Saito,T.,Watanabe,H.,MIatsuo,T。 ,Saito,
K.,et al.i Clinical signiicance Of a highiy sensitive
enzyme immunoassay of hepatitis B surface anti―
gen using a novel electron spin resonance tech‐
/″
nique.ェMタグ.ル
γ
.66,166-170,2002.
θア
SENSITIVE RADICAL Iい 江MUNOASSAY FOR CRYJl
MIasaaki Aoyamal)and Yuichi Takahashi2)
D,杯 サ
ガ
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2/07L控 5″″″θ
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2o/P力 J″
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7物
g″サ
We have been developed super― sensitive method of Cry j l lneasurement by ESR radicalilnmunoassay
using″―
acetamidophenol and hydroxylamine system.The detecton limit for Cry j l was 3.5 pg/ml.It is reported that
the average content of Cry j l in each
C町
初¢
γ
″'C″
筋ル″θ
pollen is about 6 pg,therefore,we can detect one grain or
?サθ
even less one grain ofthe pollen by our method.It was possible to inform the usefulinformation for″
sensitive
C.″
θ
れC″
rneasurement.
pollinosis patients before development their symptoms due sensitive
to the super―