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ﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞｱﾄﾞﾚｽ
http://www3.boj.or.jp/miyazaki/
2015 年 1 月 13 日
日本銀行宮崎事務所
日本銀行鹿児島支店
2015 年宮崎県経済の展望
2015 年の宮崎県経済を展望すると、海外経済と日本経済が緩やかに回復して
いく中で、消費税率引き上げに伴う反動減の影響が収束に向かうとともに観光
面でも改善の動きが持続することが予想されることから、持ち直しの動きが続
くと見込まれる。
１．2014 年の当地経済の回顧
2014 年の宮崎県経済を顧みると、４月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需
要とその反動減、夏場から秋にかけての台風等による天候不順の影響がみられ
たものの、個人消費の底堅さや観光需要の緩やかな改善に支えられて、緩やか
に持ち直しの動きが続いた 1 年であった。
この間、短期経済観測調査（鹿児島・宮崎両県）の業況判断Ｄ.Ｉ.も、駆け
込み需要により 2014 年 3 月に「＋22」まで上昇し、その反動減から同 6 月は「＋
7」まで低下したが、その後 9 月「＋8」、12 月「＋7」と横ばい圏内で推移し、
企業マインドは相応の水準を維持した（図表１）。
（図表１）業況判断Ｄ.Ｉ.
（％ポイント）
60
40
「良い」超
鹿児島・宮崎
20
2015/3月までの予測
全国
0
▲ 20
▲ 40
「悪い」超
▲ 60
88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
（注） シャドーは景気後退期（内閣府調べ、以下同じ）
。
（出所）日本銀行鹿児島支店
1
（年）
（１）消費税引き上げ後、耐久消費財や住宅投資に弱さは残るが総じて底堅く
推移した個人消費
個人消費は、昨年３月末にかけて消費税率引き上げ前の駆け込み需要がみら
れ、４月以降、駆け込み需要の反動減の影響が続いた後、夏場から秋にかけて
台風等天候不順の影響がみられた。もっとも、時間を経過するにつれてこうし
た影響も自動車を除いて徐々に和らいできているほか、催事効果も相応にみら
れるなど、総じて底堅い動きが続いた（図表２、３）。
（図表３）大型小売店販売額
（前年比・％）
（前年比・％）
40
16
12
8
4
0
▲4
▲8
▲12
20
10
0
▲10
14/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
13/Q1
Q2
Q3
Q4
14/Q1
Q2
Q3
▲20
既存店
13/Q1
Q2
Q3
Q4
14/Q1
Q2
Q3
30
全店
14/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
（図表２）乗用車新車登録台数（含む軽）
（出所）宮崎運輸支局、全国軽自動車協会連合会宮崎事務所（出所）経済産業省
住宅投資は、春先以降、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動減がみら
れた（図表４）。
（図表４）新設住宅着工戸数
（前年比・％）
40
20
0
▲20
14/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
13/Q1
Q2
Q3
Q4
14/Q1
Q2
Q3
▲40
（出所）国土交通省
2
（２）緩やかに改善の方向にあった観光
観光では、コンベンションの減少や夏場から秋にかけて台風等による天候不
順の影響がみられたため、国内客を中心に前年を下回って推移した。もっとも、
その水準は、口蹄疫（10/4 月）、新燃岳噴火・鳥インフルエンザ（11/1 月）、東
日本大震災（11/3 月）など相次いだ自然災害等の発生前を上回っているほか、
外国人観光客も宮崎─台北線の増便や為替相場の円安進行などから堅調に推移
しており、総じてみれば緩やかな改善方向を辿っている。（図表５、６）。
（図表５）主要ホテル旅館宿泊客数の推移
（図表６）外国人延べ宿泊客数の推移
（基準時点＝100）
（千人）
110.0
14/11月
（101.8）
105.0
160
140
120
33
10-12月
36
1-9月
100.0
100
80
95.0
60
90.0
40
7
10
4
14/1
7
10
4
13/1
7
10
4
12/1
7
10
4
11/1
7
10
10/4
85.0
20
120
101
107
2013
2014
15
27
0
（注）基準時点は口蹄疫非常事態宣言の前月（10/4月）
2011
（出所） 宮崎県公表の「主要ホテル旅館宿泊客数」の
2012
（出所）観光庁
後方 12 か月移動平均値を算出の上、基準時点を
100 として指数化。
（３）減少傾向を辿った公共投資
公共工事請負金額は、高めの水準ながらも減少傾向を辿った（図表７）。
（図表７）公共工事請負金額（後方 12 か月移動平均）
（百万円）
15,000
14,000
13,000
12,000
11,000
13/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
14/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
10,000
（出所）西日本建設業保証宮崎支店
3
（４）夏場に増加から横ばいに転じた生産活動
生産面では、食料品関係が概ね横ばい圏内で推移した中、電子部品・デバイ
ス関係などの業種で生産水準を引き上げる動きがみられ、夏場までは増加傾向
にあった。もっとも、夏場以降は、輸送用機械でやや弱めの動きがみられ、横
ばい圏内の動きに転じた（図表８）。
（図表８）鉱工業生産指数（季節調整済）
（2010年=100）
104
102
100
9
10
8
7
6
5
4
3
2
14/1
Q3
Q2
14/Q1
98
（出所）宮崎県
（５）持ち直しの動きがみられた雇用・所得環境
この間、雇用・所得環境をみると、有効求人倍率は夏場に一服感がみられ
たが年間を通じて上昇した（図表９）。また、現金給与総額も年間を通じて概
ね前年を上回って推移するなど、持ち直しの動きがみられた（図表１０）。
（図表９）有効求人倍率
（図表１０）現金給与総額
（季調済・倍）
（前年比・％）
14/11月
（0.97倍）
（出所）宮崎労働局
（出所）宮崎県
4
10
9
8
7
6
5
4
3
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
14/1
Q3
Q2
14/Q1
0.80
2
0.85
14/1
0.90
Q3
0.95
Q2
10
8
6
4
2
0
▲2
▲4
▲6
▲8
14/Q1
1.00
２．2015 年の当地経済の展望
2015 年を展望すると、わが国経済は、内需が堅調さを維持する中で、外需も
海外経済の回復に伴い緩やかながら増加し、所得から支出への好循環が持続す
ると見込まれる。こうした中で当地経済も緩やかながらも持ち直しの動きが続
くと見込まれる。
すなわち、個人消費の一部や住宅投資で残存する消費税率引き上げ後の反動
減については徐々に収束に向かうとみられる。また、観光面では、宮崎─大分
間が高速道路で結ばれ、大分に加え四国方面からの観光客誘致が期待されるほ
か、円安に加え宮崎─香港線の就航も予定されており、外国人観光客の増加も
期待できるなど、引き続き緩やかに改善することが見込まれる。この間、円安
による輸入コストの増加については引き続き注視する必要があるが、原油など
国際商品市況の下落のプラス効果が期待できる。
本年は、前述のとおり交通アクセスの改善により、人・モノの交流がさらに
活発になることが期待される。こうした中、新たにプロ野球チーム 1 チームが
宮崎で春季キャンプを行う予定となり、これでプロ野球チームの半分が宮崎で
キャンプを実施することとなったことから、県外を含め多くのファンやマスコ
ミ等の集客が見込まれる。また、宮崎県では、国際博覧会として初めて「食」
をテーマにした「2015 ミラノ国際博覧会」の日本館内に設置されるイベント広
場1への参加を予定しているなど、食や食文化など宮崎の魅力を県外・海外に知
ってもらう機会が拡大する。
この間、スポーツキャンプや外国人観光客の誘致ともに他地域との競合が激
化している。宮崎県の観光のイメージやセールスポイントを分かりやすく発信
すること、空港や宮崎市街地と周辺地域へのアクセス向上とそのＰＲ、外国人
観光客の増加に向けて外国語等のインフラ整備や人材育成などが求められる。
以
1
上
食関連産業や食による町おこしに取り組んでいる自治体等の地域関係者、様々な食に関する取り組みを行
っている団体等が日本館内に設置されるステージを活用してそれぞれ独自のイベントを実施するもの。九
州の中で単独で参加を予定しているのは現段階で佐賀県と宮崎県の２県のみであり、宮崎県は、9/2～5
日の 4 日間「伝統と先端技術の融合により新しい食を創造するＭＩＹＡＺＡＫＩ（仮称）
」と称してイベ
ントを行う予定。
5