第873号 BRIDAL ブライダル産業新聞 (昭和63年7月7日第三種郵便物認可) 2014.2.21(毎月3回1日/11日/21日発行) ( 27 ) 投資総額8億円 目標組数230組 代 表 取 締 役 社 氏 長 髙 宮 孝 一 郎 ▲2Fのバンケット 「植栽」や「滝」を取り入れて自然との融合目指す ▲2Fバンケットハーフテラス 杉 山 敦 彦 代 表 取 締 氏 役 「2階のバンケットは、壁面 植栽を用いてリゾート感を演 出し、奥のルーフテラスとの 一体感を出しました。テラス にはテントを常設し、そこに 新郎新婦が座れ る場所を用意し ています。入場 パ タ ー ン は3種 類選べるよう工 夫を凝らしまし た。バンケット 内の階段からの 入 場 が1つ。 新 郎新婦控室からバンケットの 裏通路を通ってルーフテラス の席にスタンバイし、窓のカ ーテンオープンと同時に入場 するパターン。そして正面の 扉からの入場です。多彩な入 場演出を用意することで、プ ランナーが提案をしやすく、 顧客満足度の高いものを提供 できると考えています。100 名までの収容が可能です。 」 「1階のバンケットはオープ ンキッチンを用意し、ガーデ ンが広く使える開放感のある デザインです。木の質感を活 かした、タイル張りの普遍性 のある会場です。女性、男性 ともに受け入れられやすいバ ン ケ ッ ト に な っ て い ま す。 144名 ま で の 収 容 が 可 能 で す。」 「チャペル正面は滝が流れ ており、両サイドの金属板が 水を映すようになっていま す。映像や照明を使わずに、 空間に動きを与えられるとこ とがポイントです。天井高は 10mあり、その高さを感じら れるよう、複数の柱を配置し ました。」 ザ ランぺデゥーサ の力を発揮する場を設け る。そこから獲得強化へと 繋げたい考えだ。プランナ ーの新しい働き方を提案す る。 一方で、ナシ婚層掘り起 こしも狙う。 「ナシ婚層は業界で深刻 な問題。その中でも、結婚 式に興味を持たないカップ ルが多数いることが残念で なりません。多くのブライ ダル企業が同じようなスタ イルの結婚式を販売してき たことに原因があると捉え ています。価格面でナシ婚 層を取り込む動きが強くな っていますが、結婚式に魅 力を感じてもらう新たな軸 で獲得に力を入れたい。そ れが業界内でもっと広がれ ば」。 スタッフの人材教育はト ラディションデザインの関 連会社であるニューバリュ ーフロンティア(名古屋市 東区)が請け負う。プラン ナーの獲得力と提案力の強 化が必須となる。新たな挑戦に 人員強化を図っている。 結 婚 山梨県甲斐市、竜王駅近 式 くに新たなゲストハウス を 「THE LAMPEDUSA(ザ ﹁ ・ランぺドゥーザ) 」が今 売 年末にオープンする。運営 る はトラディションデザイン ( 名 古屋 市 東 区 ) が 行 う。 ﹂ か 投資総額はおよそ8億円。1 チ ャ ペ ル2バ ン ケ ッ ト で、 ら ﹁ 年間230組の獲得を目標と 作 している。 る 「結婚式を売るのではな く、作ることをコンセプト ﹂ へ としています。パッケージ プランの用意をしません。 カップルとのカウンセリン 新 グから二人にぴったりのス た タイルを提案します。フリ な ースタイルウエディングを 会 ゲストハウスで行うという 場 新たな試みになります( 」代 表取締役社長髙宮孝一郎 を 氏)。 提 髙宮氏は様々な会場の運 案 営受託などを行う中で、新 規接客を行うプランナーがモチ ベーションを高く保って活躍で きる場を設けたいと感 施設形態:ゲストハウス じていた。成約率や獲 運営会社:トラディションデザイン 得数を追い掛けるので デザイン:ホールデザイン はなく、結婚式の形を 目 標:年間230組 提案するというウエデ 投資総額:8億円 ィングプランナー本来 エリアの特徴 「ザ・ランぺドゥーサ」は クラシック甲府」 「KONAYA 甲府駅となり竜王駅前の好立 HOTEL」「甲府富士屋ホテ 地。駅周辺に競合施設は少な ル」などの人気会場が軒を連 いものの、甲斐市内にはゲス ねる。「ザ・ランぺドゥーサ」 トハウス「誓いの丘イストア が郊外型のリゾート施設とし ール」「マリエ・フローラル」、 て定着するかが鍵。 レストラン「ヒルサイドハウ 山梨県全体で2400組、甲府 ス」などがある。 ・竜王周辺で1000組のマーケ 甲府駅周辺になると「ベル ットが見込まれる。 各施設の動き ▲1Fのバンケット ▲チャペル ・甲府富士屋ホテル 2013年5月バンケットリニューアル 2013年11月ドレスショップ「FOUR SIS & CO.」オープン ・KONAYA HOTEL 2012年10月バンケット「バンヤンツリー」リニューアル ( 20 ) 2014.2.21(毎月3回1日/11日/21日発行) BRIDAL ブライダル産業新聞 (昭和63年7月7日第三種郵便物認可) 第873号 「短期間」で「どんなプランナー」も成約率10%は上げられる 会場コンサルティング開始後半年で業績回復率200%、 来館数400%など、確実に実績を上げているニューバリュ ーフロンティア(愛知県名古屋市) 。同社の強みは短期と 中長期での業績アップを図っていることだ。多額な費用を かけなくても集客力・成約率を上げられるのも同社ならで は。代表の髙宮孝一郎氏に話を聞いた。 ニューバリューフロンティア 代表取締役 髙宮孝一郎氏 プロフィール 2003年プラン・ドゥ・シー入社 THE HOUSE OF PACIFICのブライ ダルマネージャーに最年少で着任。 2008年に本社経営管理部に配属。店 舗の事業計画、予算策定に関わる。 2009年に業績回復を図るコンサル ティング企業ニューバリューフロン ティア設立。 ――新規接客方法をレクチャー し、プランナー一人の平均成約 率を30%から80%まで上げた 実績をお持ちです。 「成約率が伸びないことに式 場マネージャーは頭を悩ませて いますが、多くはプランナーの 性格や性質を問題視しがちで す。しかし、会社が構築するべ き接客の仕組み次第で、どんな プランナーも数カ月という短い 期間で10%前後を確実に上げる ことができます。つまりは即決 率の強化、重要な接客でのポイ ントは2つです。 」 「1つは会場の魅力を徹底的に 訴求することです。例えば新郎 新婦のこだわりが大聖堂で挙式 をする事であれば、このエリア で唯一の大聖堂型チャペルであ ること、口コミの評判が高く、 新郎新婦のこだわりも料理なの であれば料理やサービスに関す 1987年に建設された「ザ コンチネンタルヨコハマ」 を1997年に同社が会場運営を開始し、契約前はわずか 52組だった年間の婚礼組数が2年目で450組、2012年 には638組の稼ぎ頭へと成長した。大事にしているの は、会社の理念を戦略へと移行し、それを実際に現場で 活かす実行力とする。会社のブレーンとなる経営者層か ら、現場をまとめるマネージャー、そしてプランナーが 統制をとれる仕組みを構築しなければならない。同社が 行っているノウハウを、コンサルティング室のマネージ ャーである岩城隆範氏に聞いた。 ――経営者のビジョンや戦略が 現場に活かされず、ちぐはぐな 印象になっている会場を見かけ ることがあります。 「会場運営が上手くいってい ない施設は、大きく分けて2つ のタイプがあると考えていま す。1つは戦略そのものが欠け ているパターン。例えば、派手 な照明や映像演出機材などが、 唐突に設置されている会場で す。戦略が欠けているために、 ソフトやコンテンツ力が弱く、 宝の持ち腐れになっているケー スがあります。もう1つは理念 や戦略を立てているにも関わ らず、それが実践できていな いタイプです。コンセプト作 りやチームの結束力が弱く、 社員の評価制度ができていな いため、人気が獲得できる持 続的な施設運営ができないの です。 」 ――戦略が欠けている前者に しても、多くの場合はそれを 実践できない後者の例へと陥 るわけです。 「これだけ競争が激化して いる時代、会社の理念と戦略 を立てることは必須項目で る好意的な書き込みが多いこと などを他の施設と比べ、具体的 な数字やエピソードを交えなが ら、どのプランナーも語れるよ うにしてください。主観的なも のではなく、客観的であればあ るほど効果的です。」 「もう1つのポイントは会場の 希少性を前面に出すことです。 新規接客で最初のカウンセリン グをする際、ほとんどのカップ ルが1年前から下見をしており、 現状、先々の予約がいっぱいに なっていることを新郎新婦に説 2014年 業界注目の 企業 TOP INTERVIEW 斬 新 な 商 材 を 導 入 す る だ け で 売 上 に 結 び つ か な い す。コンサルタントなどを 招いてその部分を強化する 経営者は多くなりました が、短期的に売上を伸ばす ことができても、次第に現 場に無理が出て失速してし まうケースが多数見受けら れます。経営者は一度上手 くいったのだからと、マネ ージャーに数字を追わせま すが、そうなるとプランナ ーが疲弊し、労働環境が悪 化するだけの悪循環へと陥 ります。戦略を実践へと移 すには会社がしっかりとし た仕組みを作らなければな らないのです」。 ――「ザ クラシカベイリ ゾート」にその仕組みの一 例が表れています。 「オープン当初は景観を セールスポイントとして集 客できていましたが、競合 店が増えて成約率は30%台 まで落ち込みました。リブ 明します。ここで重要なのは、 予約するアクション率を高めれ どうして日程が空いていないの ば良いのです。多くの会場は、 かを論理的に話すことです。会 フェアの打ち出し時に『無料試 場側の1か月で受けれる枠数、 食フェア』『挙式体験フェア』 逆に1か月で申込みされる新郎 といったようにどれも同じタイ 新婦の組数などを、具体的根拠 トルになりがちです。しかし『三 をもってしっかり話します。そ つ星レストランシェフが作る世 うする事で、半年前に下見にき 界に1つの料理フェア』や『400 たカップルがいたとすれば、自 年の歴史的大聖堂で叶える!感 分たちの来館時期が遅すぎたこ 動の入場体験フェア』とすると とで、予約がとれないかもしれ どうでしょうか。他の打ち出し ないとテンションが下がりま が同じようなものだけに、行っ す。下がった状態で会場を見学 てみたいと思うはずです。費用 し、会場の魅力を伝えてどうし はまったくかかりません。担当 てもやりたいという意識が高ま 者がちょっと工夫するだけで来 れば、心理的な針の振れが大き 館数は変わるのです。」 かった分、即決へと繋 がりやすくなるという 訳です。 」 ――費用をかけずに集 客する方法も得意とし ています。 「ホームページやス マートフォンサイトに 一工夫を加えるだけで 来館数は劇的に変化し ます。ユーザーが来館 ▲写真の撮り方も工夫を ランディングの大幅なテコ入れ を図ったのです。コンセプトは 『型にはまらない新郎新婦とゲ ストが心から楽しめるウエディ ング』としました。そこから導 き出したアイデアとして、フォ トステーション(プリクラ感覚 でゲスト同士が写真を撮れるセ ルフフォト)、ライブデザート、 リンクツリーなどがありまし た。これらをトータルで提案す れば、顧客満足度は上がり、単 価も上げやすくなります。プラ ンナーの行動も見直しを図りま した。例えば、資料請求の対応 一つをとっても、メールの文章 ブライダルプロデュース BPコンサルティング室 マネージャー 岩城隆範氏 プロフィール 2006年ブライダルプロデュース入 社 新店舗開発に関わり、全国各所へ市 場調査・マーケティング活動を実施。 2009年ザ クラシカベイリゾートの 責任者に着任。 コンサルティング業務を実践的に提 供している。 を丁寧に書くプランナーもいれ ば、簡潔に済ませるプランナー もいます。丁寧に書いたからと いって、実際の来館に繋がるか と言えば、実はそうでもなかっ たりするものです。必要最低限 の行動で済ませ、別の部分に力 を入れるよう指導しました。他 にも、結果が伴った社員へは表 彰を行うなど、モチベーション アップにも努めています。コン セプト作りからそれに合わせた 商品開発、社員教育と評価制度、 それらを会社が仕組みとして与 えることで、初めて持続的な人 気会場となるのです。」
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