重金属汚染対策材 マジカルフィックス

重金属汚染対策材
マ ジ カルフィッ クス
Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd.
住友大阪セメント株式会社
重金属イオンの難溶化による化学的吸着と、細孔構造への物理的吸着で、
長期安定化を実現した重金属等対策のための材料
マジカルフィックス(MFX)
®
「マジカルフィックス
(MFX)」は、天然鉱物焼成物を主成分とした不溶化材で、物理
的・化学的吸着の「W効果」
を持ちます。
特に砒素、鉛、
フッ素などシアン以外の重金属等に良好な吸着性能を示し、自然由来
土壌や、高濃度汚染土壌、産業廃棄物などにも有効です。
また、処理土壌pHを中∼弱アルカリ性に保持し、処理後土壌強度の改善や、不溶化材
と汚染土の混合精度確認なども可能です。
《走査型電子顕微鏡-エネルギ分散法(SEM-EDS法)による重金属等固定状況の観察》
対象物質
鉛、砒素、フッ素、ホウ素、水銀、
セレン、六価クロム、カドミウムなど
pH
弱アルカリ性(pH9∼10未満)
形状
粉末
(かさ比重 約0.8∼0.9)
組成材料
荷形態
粒子表面
中心部
カルシウム/マグネシウム複合材料
フレコン
フッ素の存在状況(着色部分)
試料断面のSEM観察写真
従来の不溶化材との比較
従来の不溶化材
組成材料
マジカルフィックス
(MFX)
無機系、セメント系材料など
カルシウム/マグネシウム系複合材料
長期安定性
酸、
アルカリ条件下において再溶出する場合がある。
土壌のpHを低く維持し、
また高いpH緩衝能力を
有するため安定した不溶化が可能。処理後土壌の
pHを任意調整することも可能。
処理後のpH
>10 強アルカリとなる場合がある
<9∼10 弱アルカリ性で長期安定・維持
使用用途
建設工事
高濃度対応品
工場関係
吸着層工法
雨水
道路面
重金属含有土
覆土
重金属吸着層
●自然由来の土壌
●トンネル掘削ズリなど ●地盤改良
土壌汚染
●高濃度フッ素などの
重金属等が含有した土壌
●石炭灰(発電所)
●焼却灰(焼却場)
●重金属類吸着層を形成
⇒重金属を溶出防止
■ マジカルフィックスの特徴
1. 優れた物理的吸着能力
天然鉱物を最適条件で焼成し生成することで作られる細孔構
造により重金属等の物理吸着を実現します。
3. 長期安定性維持
物理的吸着と化学的な難溶化のW効果により、材齢が進んでも
その溶出量は少なく且つ安定しており、環境基準値以下を維持
し続けます。
2. 優れた化学的吸着能力
重金属イオンの難溶化による優れた化学的な吸着能力を有す
るとともに、従来品と比較しても大きな吸着容量を有します。
4. 優れたpH緩衝能
長期安定性にすぐれるマジカルフィックスは酸やアルカリによ
る影響も少なく、優れた緩衝能力も有しています。
(酸添加、
アルカリ添加試験もクリア)
5. 優れた改質性能
マジカルフィックスは改質性能にも優れており、処理土は硬すぎない、柔らかすぎない土となります。
また、材齢を重ねてもその強度は一定に
保つため、処理後も安心して土地利用計画を立て、その後の建築・土木工事へと移行することができます。
マジカルフィックス(MFX)のメカニズム
®
マジカルフィックスは、地下水や土壌中の汚染物質と接触
し、化学的吸着と物理的吸着のW効果により、溶出低減効
果を発揮します。
対象汚染物質
メカニズム
砒素
■ 優れた物理的吸着能力(物理的作用)
フッ素
細孔内への取り込み
物理的作用
化学的作用
鉛
水酸化物による共沈
難溶性化合物の生成
マジカルフィックスは、組成・粒度を調整した天然鉱
物を、吸着性能が最大となるような細孔構造を有す
るように独自の焼成技術により製造された材料で
す。マジカルフィックスの表面のTEM画像を示しま
す。焼成後の天然鉱物はヒダ状の突起が多数確認さ
れ、表面に細孔が形成されていることが確認されま
す。比表面積が大きく細孔を有するマジカルフィック
最適細孔構造により、
重金属の吸着・
封じ込めを実現!
スは、吸着容量が高く物理吸着に優れます。
■ 優れた化学的吸着能力(化学的作用)
マジカルフィックスは、従来の不溶化材と比較しても高い難溶化によ
る化学的吸着性能を示します(右表参照)。
これは、マジカルフィック
スの組成と重金属イオンが反応し、吸着する化学的作用を有するた
めです。
重金属等吸着量の比較 (固液比1:100)
(mg/g)
砒素
鉛
フッ素
当社品(マジカルフィックス)
◎9.3
◎9.5
◎9.1
従来品(A)
△5.9
○7.7
○8.9
従来品(B)
◎9.7
◎9.5
△5.8
鉛及び砒素の吸着状況
ヒ素は内部
入
侵
重金属
下記は鉛、砒素をそれぞれ吸着させたマジカルフィック
まで侵入
↓
スをスライスし、反射電子像にした写真です(写真1、
5)。
ここに電子ビーム分析によるカラーマッピングを施
マジカルフィックス
すと形状周辺に緑色の部分が表れました。
これが鉛、砒
マジカルフィックス
の断面
素です(写真2、
6)。次にマジカルフィックスの主成分で
あるカルシウム分布を確認します。すると、カルシウムの
スライスした
重金属等が表面に
高濃度領域の輪郭位置(写真3、
7)
と、対象元素分布領
断面を観察
マジカルフィックスをスライス
吸着している
域(写真2、
6)がそれぞれ一致していることが分かりま
す。
また、砒素においては、
カルシウムの高濃度領域とマグネシウムの高濃度領域が一致しており、マジカルフィックスの内部まで侵
入していることが確認できました。
このことから、対象元素がマジカルフィックスに吸着されていることが分かります。
入
侵
《鉛の吸着状況》
写真1
(反射電子像)
粒子表面に鉛が分布
写真2
(鉛分布)
カルシウムの高濃度領域
写真3
(Ca分布)
写真4
(Mg分布)
《砒素の吸着状況》
ヒ素高濃度領域
写真5
(反射電子像)
写真6
(砒素分布)
写真7
(Ca分布)
写真8
(Mg分布)
フッ素の吸着状況
写真11
(Ca分布)
入
写真10
(フッ素分布)
侵
写真9
(反射電子像)
重金属
侵入
↓
マジカルフィックス
の断面
マジカルフィックス
スライスした
断面を観察
マジカルフィックスをスライス
写真12
(Mg分布)
写真13
(反射電子像)
入
侵
鉛、砒素と同じ実験の結果により、
フッ素についてもそれ
ぞれの領域が一致していることが分かります。
また、マジ
カルフィックスの内部深くまでフッ素が侵入していること
が分かりました。
さらに、処理後の反応生成物を、土壌環
境センターの酸添加・アルカリ添加試験に相当する酸・ア
ルカリ濃度で再振とうしました。写真14、
15から酸およ
びアルカリで再振とうを行ってもマジカルフィックス表面
にフッ素が吸着していることが分かります。
このことから、
pH変化に対しても高い安定性をもつと考えられます。
入
侵
重金属等が内部に
取り込まれている
写真14
(酸処理後)
Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd.
写真15
(反射電子像) 写真16
(アルカリ処理後)
住友大阪セメント株式会社
マジカルフィックス(MFX)の性能と適用事例
®
■ 長期安定性維持
物理的吸着と化学的吸着のW効果により、材齢初期(1d)
よりその溶出量は少なくかつ安定しており、処理された土壌は、酸添加、
アルカリ添加試験においても良好な溶出低減効果を維持します。
10.8
0.04
0.02
10.7
9.9
0.03
pH9.1
0.05
11.4
9.0
1.0
[鉛]
(原土溶出濃度:0.26mg/l)
11.2
0.04
9.7
0.03
0.02
pH8.3
9.7
フッ素溶出濃度(mg/L)
[砒素]
(原土溶出濃度:0.085mg/l)
鉛溶出濃度(mg/L)
砒素溶出濃度(mg/L)
0.05
9.6
8.3
0.8
0.6
pH9.3
10.6
9.2
アルカリ
号
46
マジカルフィックス
溶出液のpH
酸
環告
アルカリ
酸
号
46
セメント系材料
鉛溶出濃度
10.6
9.8
環告
アルカリ
酸
46
号
マジカルフィックス
環告
アルカリ
溶出液のpH
酸
セメント系材料
砒素溶出濃度
46
号
マジカルフィックス
環告
酸
号
号
アルカリ
0.0
環告
0
アルカリ
0
酸
0.2
環告
0.01
46
11.6
0.4
0.01
46
[フッ素]
(原土溶出濃度:1.2mg/l)
セメント系材料
フッ素溶出濃度
溶出液のpH
また、不溶化させ保管した処理土に対し、2年間に渡る安定性試験の結果が下記です。
溶出低減効果が持続しかつ土壌のpHもさらに低下しており、長期にわたり安定していることが分かります。
《溶出量の推移》
《pHの推移》
0kg/㎥
11
20kg/㎥
0.025
0kg/㎥
20kg/㎥
0.015
40kg/㎥
0.010
60kg/㎥
0.005
8
7
0 200 400 600 800
材齢(日)
汚染土壌のpHを中∼弱アルカリ性に保つ事ができ、様々な環境
下の土壌に対し優れた緩衝能力を有しています。
また、不溶化処
理された土壌は、酸添加、
アルカリ添加試験もクリアしています。
0 200 400 600 800
材齢(日)
pH緩衝能試験(硫酸・消石灰添加による)
酸Ⅰ(0.769) 酸Ⅱ(3.85)
12
13
アルカリⅠ(3.85) アルカリⅡ(38.5)
12
10
11
8
pH
マジカルフィックスは、優れたpH緩衝能を有するため処理した
60kg/㎥
9
0.000
■ 優れたpH緩衝能
40kg/㎥
10
10
pH
0.020
ろ液pH
砒素溶出量(mg/L)
0.030
6
9
4
8
2
0
0.01 0.1 1 7
0.001 0.01 0.1 1 10 100
10 100
酸添加量(mmol/L)
不溶化材(100g/L)
マジカルフィックスにより不溶化処理された土壌は優れた改質
性能により、汎用性の高い強度を有し、保持し続けます。そのた
め、処理後の土地利用計画における建築・土木工事へスムーズに
移行することができます
また、処理後の土壌強度をさらに改善することも可能です。
600
500
400
処理前
300
1day
200
7day
100
0
※上記データは全て
(マジカルフィックスⅠ型)での試験データとなります。
純水
添加量及び、材齢別の一軸圧縮強度例
一軸圧縮強度(kN/㎡)
■ 優れた改質性能
アルカリ添加量(mmol/L)
不溶化材(100g/L)
純水
20kg/㎥
40kg/㎥
不溶化材添加量
60kg/㎥
■ マジカルフィックスを利用した土壌汚染(重金属)対策
原位置不溶化・吸着層対策
原位置不溶化
不溶化埋め戻し
吸着層工法
不溶化薬剤
雨水
道路面
不溶化薬剤
重金属含有土
溶出量値Ⅱ以下の重金属等による汚染土壌
混合
覆土
混合
観測
井戸
覆い(コンクリートまたはアスファルト)
地下水質
観測井戸
地下水の流向
溶出量値基準適合土壌
重金属等を吸着する資材を敷設し
た地盤(吸着層)の上に汚染土壌を
盛ることで降雨、土壌浸透水により
浸出する重金属等を吸着する工法
です。
掘削した汚染土壌を、敷地内もしく
は近傍の土地に仮置きし、その場所
で不溶化材と汚染土壌を攪拌・反応
させ不溶化し、土壌溶出量基準以下
となった処理土壌を埋め戻します。
原位置で不溶化材と汚染土壌をバッ
クホウ等で混合させて、不溶化させ
る方法です。
掘削溝内で作業ができるのが大きな
特徴です。
サイト外での対策
各工法との比較
技術名
浄化
コスト
工期
リスク管理
不溶化
(オンサイト)
×
低∼中
中
中
掘削除去
○
高
短
低
洗浄
(オンサイト)
○
中
中
低
封じ込め
×
中
中
高
掘削除去後、施設にて処理
敷地外に搬出
汚染土壌
を掘削
観測
井戸
重金属吸着層
処理施設
汚染土壌
汚染土壌を掘削した後、処理施設にて不溶化する方法です。処理された土壌
は、セメント原材料としての再利用や埋め立て処分されます。
【不溶化材の混合管理技術と混合精度技術】
汚染土壌と不溶化材が適正且つ的確に混合されているかが不溶化材を利用する上で最も重要です。
住友大阪セメントでは、
メーカーとして適正な混合を実現すべく、混合管理技術や特殊マーカーを利用した精度管理(マーカープレ
ミックス品)の研究を進めています。
■ 複合汚染土壌への適用
ヒ素・フッ素に汚染された複合汚染土壌の不溶化処理土について、環告46号試験による溶出試験結果を示します。
マジカルフィッ
クスは複合汚染土壌においても高い不溶化効果があり、
また硫酸添加・消石灰添加溶出試験においても再溶出せず、環境変化に対
して安定した性状を持つ材料です。
材 料 : マジカルフィックスⅠ型
複合汚染土壌溶出量 : ヒ素溶出量0.021mg/L、
フッ素溶出量:1.58 mg/L 試験材齢 :1日
環境基準値
0.01mg/L
0.015
0.01
0.005
0
0
5
マジカルフィックス添加量(%)
10
〈フッ素〉
2
ヒ素溶出濃度
(mg/L)
0.02
フッ素溶出濃度
(mg/L)
ヒ素溶出濃度
(mg/L)
〈ヒ素〉
0.025
環境基準値
0.8mg/L
1.5
1
0.5
0
0
5
マジカルフィックス添加量(%)
10
〈ヒ素〉
0.025
0.02
環境基準値
0.01mg/L
0.015
0.01
0.005
0
0
5
マジカルフィックス添加量(%)
10
フッ素溶出濃度
(mg/L)
【硫酸添加・消石灰添加溶出試験】
【環告46号試験】
硫酸添加
消石灰添加
〈フッ素〉
2
環境基準値
0.8mg/L
1.5
1
0.5
0
0
5
マジカルフィックス添加量(%)
10
商品一覧
種 類
用 途
対象物
マジカルフィックスⅠ型(MFX-Ⅰ)
汚染土壌対応品
人為:自然由来(As、F、Pb、Hg、B、Se、Cr6+、Cd)
マジカルフィックスⅡ型(MFX-Ⅱ)
高濃度対応品
高濃度フッ素含有土壌など(F)
マジカルフィックスⅢ型(MFX-Ⅲ)
産業廃棄物対応品
石炭灰など(B、Se)
マジカルフィックスⅣ型(MFX-Ⅳ)
固化材との組合せ対応品
改良を有する土など(Cr6+、F、As抑制)
マジカルフィックスⅤ型(MFX-Ⅴ)
吸着層対応品
盛り土などの吸着層形成用(As、F)
汚染物質の吸着等温線例
◎試験方法:砒素
(三価)、鉛、
フッ素の汚染物質濃度を変化させた模擬汚染水100mlに対し、
マジカルフィックスⅠ型を1.0g添加、
4時間振とう後ろ過したろ液濃度を測定。
また、下式より材料1gあたりの吸着量を算出。
◎算出式:重金属吸着量(mg/kg)=(初期濃度−平衡濃度)
/初期濃度×100
図. 平衡濃度と吸着量(砒素(三価))
図. 平衡濃度と吸着量(鉛)
図. 平衡濃度と吸着量(フッ素)
住友大阪セメント株式会社
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4752
セメント・コンクリート研究所 TEL.03(5211)4805 事業化推進グループ TEL.06(6556)
2260
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[ホームページ : 重金属・不溶化.com] http://heavymetals-fuyouka.com/
◎本製品に関するお問い合せ・ご用命は
○使用および取扱い前に、該当製品の安全データシート
(SDS)
をお読みください。
○本カタログの記載内容については、
予告無しに変更する場合がありますので、
予めご了承願います。
Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd.
住友大阪セメント株式会社