第14講義日

ホルモンと産生臓器
松果体ホルモン
視床下部ホルモン
下垂体前葉ホルモン
松果体,間脳(視床,視床下部,
脳下垂体)
下垂体後葉ホルモン
甲状腺ホルモン
副甲状腺ホルモン
副腎皮質ホルモン
副腎髄質ホルモン
性腺ホルモン
頚部
左右腎臓の上
精巣,卵巣,胎盤
膵臓ホルモン
腎臓ホルモン
消化管ホルモン
胃,小腸
心臓
松果体ホルモ メラトニン(Circadian rhythm)
ン(A)
トリプトファン⇒セロトニン(朝の目覚め)⇒メラト
ニン(夜の入眠)
下垂体前葉ホルモンの分泌を促進(放出ホルモ
視床下部ホル
ン)する。抑制ホルモン(ソマトスタチン→GH分
モン(P)
泌抑制:ドーパミン→PRP分泌抑制)もある。
成長ホルモン(GH):入眠(1~3 h)期↑
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
副腎刺激ホルモン(ACTH):早朝↑,ストレス↑
下垂体前葉ホ
ゴナドトロピン{卵胞刺激ホルモ(FSH)と黄体形
ルモン(P)
成ホルモン(Luteinizing hormone,LH)}を分泌
する 。性腺ホルモンの分泌を刺激する(男女)
プロラクチン(PRL:乳汁分泌↑)を分泌する
下垂体中葉 別名,メラニン細胞刺激ホルモン(MSH:
ホルモン(P) Melanotropin)
バソプレシン(ADH):別名,アルギニンバ
下垂体後葉 ソプレシン(AVP),血圧上昇ホルモン
ホルモン(P)
オキシトシン:子宮筋収縮作用
サイロキシン(T4)(A)
甲状腺ホルモ トリヨードサイロニン(T3)(A)
ン
カルシトニン(P)
副甲状腺
ホルモン(P)
パラトルモン(PTH)
副腎皮質ホルモン
(コルチコステロイ
ド) (S)
鉱質(ミネラル)コルチコイド=アルドステ
ロン
糖質(グルコ)コルチコイド=コルチゾー
ル(早朝に高い:ストレス↑)
アドレナリン(別名,エピネフリン):主に
副腎で分泌される。(働き:グリコーゲン
分解,脂肪分解,脈拍↑,血圧↑,ストレ
ス↑)
副腎髄質ホルモン
(カテコールアミン)
(A)
ノルアドレナリン(別名,ノルエピネフリ
ン):交感神経終末で分泌される。(働き:
グリコーゲン分解,脂肪分解,脈拍↑,
血圧↑,ストレス↑:神経伝達物質として
の働きもある)
ドーパミン(神経伝達物質としての働きが
大きい)
1
インスリン(β)
性腺ホルモン(S)
膵臓ホルモン(P)
Women
Men
エストロゲン(卵胞ホルモン)
プロゲステロン(黄体ホルモン)
卵巣
副腎皮質
胎盤
ソマトスタチン(δ):膵(インスリンとグルカゴン)・
消化管ホルモンの分泌抑制
エリスロポエチン(P):⇒骨髄(赤血球造血)
女性ホルモンと男性ホルモンの分泌
アンジオテンシンⅡ(P):昇圧作用(⇒ALD)
腎臓ホルモン
ビタミンD(S)
絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
(糖蛋白)
レニン(酵素):アンジオテンシンⅡ産生に働く
セクレチン(重炭酸,水の分泌)
アンドロゲン,
hCG(糖蛋白)
精巣
グルカゴン(α)
• 女性ホルモン(Estrogen):E1(エストロン),E2(エストラジ
オール),E3(エストリオール)
• 男性ホルモン(Androgen):テストステロン,アンドロステロン
コレシストキニン(アミラーゼ分泌)
消化管ホルモン
(P)
ガストリン(塩酸とペプシノーゲンの分泌)
ガストリノーマ(膵臓あるいは十二指腸にできるガ
ストリン産生腫瘍)
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
心臓(P)
ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)
脂肪細胞
アディポネクチン(蛋白質):糖利用・脂肪の燃焼
膜7回貫通型受容体
7-transmembrane helix receptor
• G蛋白質(G protein)・GTP(アデニル酸シクラーゼを活性化)
↓
cAMP(cAMP + Pyrophosphate←ATP)
↓
cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化
↓
プロテインキナーゼA ⇒ Functional proteinをリン酸化
G蛋白質・ホスホリパーゼ ⇒ activate a Ca channel
↓
イノシトール3燐酸(小胞体からCa分泌)
↓
Ca
↓
Ca・カルモジュリン複合体(Ca・カルモジュリン依存性キナーゼ
を活性化)
H
inactive
Active form
Receptor
G protein
Receptor
G protein
GDP
GTP
Receptor
G protein
GTP
replace
dissociate?
GDP
activate a Ca channel
H
Ca
Phospholipase C
activation
Inositol
+
triphosphate
Phosphatidiyl
inositol
Diacyl
glycerol
Adenylate cyclase
ATP → cAMP + Pyrophosphate
GDP: guanine diphosphate
GTP: guanine triphosphate
cAMP: cyclic adenosine
monophosphate
Ca
activation
cAMP dependent protein kinase
(Protien kinase A)
phosphorylation
Functional protein
endoplasmic
reticulum
Calmodulin
Ca・Calmodulin
Functional
protein
phosphorylation
Protein kinase C
2
膜1回貫通型受容体
Second messenger
single-helix membrane receptor
Hormone(受容体)
ACTH,TSH,ADH, FSH, LH
カルシトニン,PTH
グルカゴン,ソマトスタ
cAMP
チン
セクレチン
(アドレナリン)
アンジオテンシンII
Inositol
triphosphate/Diacylgle ガストリン
cerol
(アドレナリン)
• 受容体が酵素活性(チロシンキナーゼ⇒リン酸化)
をもつホルモン受容体(受容体型チロシンキナー
ゼ ): インスリン受容体
• 受容体が酵素活性をもたないホルモン受容体(ホル
モンが受容体と結合すると,チロシンキナーゼを結
合する): GH受容体,プロラクチン受容体,エリス
ロポエチン受容体
リガンド
リガンド
核内受容体:Nuclear receptor
• 脂溶性リガンド(脂溶性ビタミン,ステロイドホ
ルモン,甲状腺ホルモン)の受容体で,細胞
核内でのDNA転写を調節する。
• 核内受容体スーパーファミリー(遺伝子スー
パーファミリー :遺伝子配列に高い相同性)を
形成しており,ヒトでは48種類存在すると考え
られている。
細胞質内
受容体
ホルモン
応答配列
標的遺伝子
mRNA
Protein
(生理機能)
コリプレッサー
コアクチベーター
第54,56回臨床検査技師国家試験問題
Orphan
3
第54,58回臨床検査技師国家試験問題
第55,56回臨床検査技師国家試験問題
• 下垂体前葉からは6種のホルモン(成長ホルモン,副腎皮質刺激ホルモン,
プロラクチン,卵胞刺激ホルモン,黄体形成ホルモン,甲状腺刺激ホルモ
ン)が分泌される。
• 後3者は同一のαサブユニット(糖蛋白質ホルモン)とβのサブユニットから
なる。
• βサブユニットは異なっており,βサブユニットで細胞膜受容体に結合しG蛋
白を介してcAMPを増加させる。
• hCGのαサブユニットも同一にある。
視床下部ホルモン(生理的意義:下垂体前
葉ホルモンの分泌を促進)
•
•
•
•
•
•
GRF(≈GHRF:成長ホルモン放出ホルモン)
TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)
CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)
GnRH(LH-RH:黄体形成ホルモン放出ホルモン)
PRF(プロラクチン放出ホルモン)
測定法
○RIA(放射免疫測定法)
○CLEIA(化学発光酵素免疫測定法)
○CLIA(化学発光免疫測定法)
○ECLIA(電気化学発光免疫測定法)
機能検査(視床下部⇒下垂体前葉)
検査名
注射するホルモン
測定項目
TRHテスト
TRH(甲状腺刺激ホルモ 甲状腺刺激ホルモン
(TSH)
ン放出ホルモン)
LH-RHテスト
卵胞刺激ホルモ(
LH-RH(黄体形成ホルモ
FSH)と黄体形成ホ
ン放出ホルモン)
ルモン(LH)
GH-RLテスト
GRF(≈GHRF:成長ホル
モン放出ホルモン)
CRHテスト
CRH(副腎皮質刺激ホル 副腎刺激ホルモン(
ACTH)
モン放出ホルモン)
成長ホルモン(GH)
下垂体前葉ホルモン
• 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
• 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
○低下: 下垂体性小人症
• 成長ホルモン(GH)
○増加: 巨人症,末端肥大症
○低下: 小人症
• 黄体形成ホルモン(LH)→プロゲステロン
• 卵胞刺激ホルモ(FSH)→エストロゲン
• 測定法
○ RIA(放射性免疫測定法)
○ CLEIA(化学発光酵素免疫測定法)
○ CLIA(化学発光免疫測定法)
○ ECLIA(電気化学発光免疫測定法)
メルクマニュアル医学百科より
• 末端肥大症(先端巨大症)では,GHの過剰分泌が20代か
ら40代の間に始まる。骨端閉鎖後にGHの過剰分泌が始
まったときは,初期臨床症状に顔貌粗造および手足の軟
部組織の腫大がある。外見は変化し,以前よりも大きな
指輪,手袋,靴が必要になる。疾患の経過を追跡する上
で患者の写真は重要である。
• 成長ホルモンが過剰につくられると、発育しすぎてしま
います。小児では巨人症、成人では先端巨大症(末端肥
大症)を発症します。成長が止まってしまう前(つまり
小児期)に成長ホルモンが過剰につくられはじめると、
巨人症になります。長骨がどんどん伸びて、身長が異常
に伸びて手足も長くなります。さらに思春期の遅れや生
殖器の発育不良がみられることがあります。
4
第58回臨床検査技師国家試験問題
下垂体後葉ホルモン
(オキシトシンとバソプレシン)
• オキシトシン:子宮筋収縮作用
• アルギニンバソプレシン(AVP),抗利尿ホルモ
(ADH)
バソプレシン: Antidiuretic hormone, ADH
• 別名,アルギニンバソプレシン(AVP),血圧上昇ホルモン,抗
利尿ホルモン
• 多くの動物ではアルギニンバソプレッシンであるが,豚ではリ
ジンバソプレッシン,鳥類ではアルギニンバゾトシンである。
• 腎臓の細胞膜 → G蛋白質 → アデニル酸シクラーゼ →
cAMP → cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化: プロ
テインキナーゼ Aは小胞にあるアクアポリン2を管腔側に移
行させて,管腔内の水を細胞内に再吸収する。それにより抗
利尿作用が促進される(正確には,AQP3,AQP4に水を渡す)
• 血漿浸透圧の上昇や循環血液量の減少で分泌が促進される。
血漿浸透圧の低下や循環血液量の増加,飲水・アルコール
で分泌が抑制される。
• 分泌過剰: SIADH(シアダー)
分泌~ : 腎性尿崩症
• 分泌低下: 中枢性尿崩症
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
(SIADH:Syndrome of Inappropriate Secretion
of Antidiuretic Hormone)
• ADHの過剰分泌によって腎臓における水の再吸収
が亢進し,循環血液量が増加する。血液が希釈
され低ナトリウム血症(希釈性低ナトリウム血
症)となる。
• 低血圧
• 血漿浸透圧低下
• 浮腫となることは,通常はない。
• 高カルシウム血症,高カリウム血症
• 尿中ナトリウム排泄量増加(尿浸透圧高値:高
張尿)
AQP2
AQP3
AQP4
尿崩症(Diabetes insipidus)
• 腎性尿崩症(AVPR2,AQP2遺伝子変異?:X連鎖性)
バソプレッシンの作用する腎臓(受容体)が傷害を受け、バソプ
レッシンは正常に分泌されるもののその作用が低下するために起
こる。
血漿浸透圧:正常ないし軽度上昇
尿浸透圧:低下(低張尿)
高ナトリウム血症
血清カリウム:低カリウム血症
血清カルシウム値:高カルシウム血症
• 中枢性尿崩症
下垂体が障害を受け、バソプレッシン分泌が低下するために起こ
る。
血漿浸透圧:高値
尿浸透圧:低下(低張尿)
高ナトリウム血症
血清カリウム:正常ないし軽度増加
血清カルシウム値:正常
5
水制限試験
• 12時間にわたって定期的に尿の量や血液中の電解
質濃度、体重を測定:その間の水分摂取は禁止
• 検査の間、患者の状態を注意深く観察
• 12時間経過後(あるいは血圧降下、心拍数増加、
体重の5%以上が減少した場合)、検査を中止して
抗利尿ホルモンを注射
• 抗利尿ホルモンに反応して過剰な排尿が止まり、尿
が濃くなりはじめ、血圧が上昇し、心拍数が正常に
近くなった場合は、中枢性尿崩症
• 注射後も大量の排尿が続き、尿は薄いままで、血圧
や心拍数も変化しない場合は、腎性尿崩症
第54,58回臨床検査技師国家試験問題
↑
↑
抗利尿ホルモンの分泌過剰により,
排尿量が減り血液中の水分量が増
加する→低Na(低浸透圧)
→Na利尿も亢進
↑
1,3,4 ↑
2,3
⑤
甲状腺ホルモン
• 甲状腺で生成され,T3(トリヨードサイロニン), T4(サイ
ロキシン),rT3として血中に分泌される(T4が最も多い)
T4は代謝(肝)されT3,rT3となる。 rT3は生理活性をもたない。
これらは分泌時にサイロキシン結合グロブリン(肝で生成)さ
らにトランスサイレチンと結合し血中を輸送される
蛋白から遊離した遊離型が核内受容体に結合する(FT3は
FT4の4~5倍の生理活性にある)
• カルシトニンは副甲状腺ホルモンに拮抗し,血清Ca濃度を
下げ,骨吸収を抑制する。またカルシトニンは甲状腺髄様癌
(C細胞の癌)で上昇する
6
測定法
バセドウ病(代謝亢進:コレステロー
ル・中性脂肪低値,BMR↑,TRAb↑
(TSAb↑):骨吸収(ALP↑)
甲状腺機能亢進症
(TSH ↓,T3↑,
T4↑)
甲状腺機能低下症
(TSH↑,T3 ↓ ,T4
↓,CK 高値,コレス
テロール高値)
橋本病(抗Tg抗体↑,TPO抗体↑)
粘液水腫(BMR↓)
クレチン病(小人症:cretin of dwarf)
• TSH,T3,T4
○ CLEIA(化学発光酵素免疫測定法)
○ CLIA(化学発光免疫測定法)
• カルシトニン
○ RIA(放射性免疫測定法)
柑皮症:皮膚乾燥
Ⅱ型(病態)
• 自己抗体
• 自己免疫性溶血性貧血(温式・冷式)
• 特発性血小板減少性紫斑病(ITP):自己抗体により脾
臓で血小板が破壊される⇒出血傾向(点・斑状出血)
• 重症筋無力症(アセチルコリン受容体抗体)
• 橋本病(甲状腺機能低下症)
• パセドウ病
• グッドパスチャー症候群(糸球体基底膜抗体:肺出血・
進行性腎炎)
• 異型輸血
細胞損傷型(Ⅱ型)
• 自分の細胞(血球)・組織表面が抗原として認識さ
れ,自分の細胞に対する抗体(IgM, IgG)が自分の
細胞を攻撃する(⇒自己抗体)
メルクマニュアル医学百科より
自己抗体
• バセドウ病
グレーヴス病(バセドウ病)は,抗体が
甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを過剰につくり,分泌
させることで起こる自己免疫疾患。しばしば遺伝し,特
に女性では患者のほとんどは甲状腺が肥大する
• 橋本病
甲状腺の慢性自己免疫性炎症(慢性甲状腺
炎)で,リンパ球の浸潤を伴う。無痛性の甲状腺腫大お
よび甲状腺機能低下症状がある
• 粘液水腫
甲状腺機能低下症(粘液水腫)は甲状腺ホ
ルモンの欠乏である。典型的な顔貌,嗄声および言語緩
徐,皮膚乾燥といった臨床特徴ならびに甲状腺ホルモン
低値によって診断がつく。処置には基礎にある原因の治
療およびサイロキシン投与が含まれる
• クレチン病
ヨード欠乏は小児の風土病性クレチン病
を引き起こしうる。ヨード欠乏地域における先天性甲状
腺機能低下症の最も一般的な原因であり,世界中の精神
遅滞の主要原因である(先天性をクレチン症として分ける
場合もある)
• TRAb :抗TSH受容体抗体(thyroid stimulating
hormone receptor antibody): 甲状腺のTSH受容
体に対する自己抗体である
○ TRAbにはTSAbと甲状腺刺激遮断抗体(thyroid
blocking antibody:TSBAb)の2つがある
• TSAb :甲状腺刺激性抗体(thyroid-stimulating
antibody): TSH受容体に結合(TSHと拮抗)して
無制限にT3,T4分泌を刺激する。
• 抗Tg抗体: 抗サイログロブリン抗体(antithyroglobulin antibody)
• TPO抗体: 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(antithyroid peroxidase antibody)
7
第54,58回臨床検査技師国家試験問題
第54回臨床検査技師国家試験問題
副甲状腺ホルモン(パラトルモン)
3
• 生理的意義
○ パラトルモン(PTH )は血漿イオン化Ca濃度の低
下を感知して副甲状腺から分泌される。
○ 血漿イオン化Ca濃度が低下する前に,25ヒドロキ
シビタミンD濃度の低下で分泌される。
• 測定法(Intact-PTH ≑ 1.7×Whole-PTH:高感度PTH≈
高濃度PTH)
○ RIA(放射性免疫測定法)
○ ECLIA(電気化学発光免疫測定法)
○ IRMA(免疫放射測定法)
PTH
小腸
活性化ビタミンD
カルシトンン
Ca吸収
骨
破骨
破骨
破骨を抑制
腎
Caの再吸収
ビタミンDの活性化
Caの再吸収
Ca再吸収を
抑制
破骨(=骨吸収):骨からCaの溶出
骨化(=骨新生):骨にCaが蓄積
8
PTH fragments(測定に用いる抗体のエピトープ)
1-6
7-84
Intact PTH
=Whole PTH+6 fragments
活性型フラグメント
(N-PTH)
Whole PTH
1-84
(M-PTH)
High sensitive PTH
=M-PTH+C-PTH
非活性型フラグメント
(C-PTH)
原発性亢進症
(副甲状腺に病因)
副甲状腺機能亢
進症(高PTH血症) 二次性亢進症
(ビタミンD不足,カルシ
ウム・リンの摂取不足,
腎疾患による尿排泄の
増加)
高カルシウム血症
低リン血症・ALP上
昇
骨密度低下・骨粗鬆
症・尿路結石
第55回臨床検査技師国家試験問題
低カルシウム血症
高リン血症が病因
骨密度低下・骨粗鬆
症・尿路結石
↓
特発性低下症
低カルシウム血症
副甲状腺機能低 続発性低下症
高リン血症
下症(低PTH血症) 偽牲低下症(PTH受容
骨折?
体異常)
高ミネラルコルチ
コイド(アルドステ
ロン)血症
アルドステロン症(高血圧,高Na
血症{腎でのNaの再吸収を促
進},低K血症(尿排泄量増大),
代謝性アルカローシス(重炭酸
高値)
高グルココルチコ
イド(コルチゾー
ル)血症
○クッシング症候群(副腎性:高
血糖,高血圧,高Na血症,低K血
症,低Ca血症,ACTH 低値 ):高
コレステロール血症
○クッシング病(下垂体線腫:
高血糖,高血圧,高Na血症,低K
血症,低Ca血症,ACTH 高値)
副腎皮質機能
亢進症
副腎皮質機能
低下症
低ミネラルコルチ
コイド(アルドステ
ロン)血症
低グルココルチコ
イド(コルチゾー
ル)血症
アジソン病(低血糖,低血圧,低
Na血症,高K血症{尿K排泄量減
少},高Ca血症,重炭酸低値,
ACTH高値,コレステロール・中
性脂肪低値
↓
↓
副腎皮質機能検査
(クッシング症候群とクッシング病の鑑別試験)
• デキサメサゾン抑制試験(経口投与)
合成グルココルチコイド
⇒ACTH/コルチゾール分泌を測定する
• メチラポン試験(経口投与)
ステロイド合成酵素阻害剤
⇒ACTH/コルチゾール/尿中17-OHCS(コルチゾー
ルの代謝物)/17-KS(コルチゾールまたテストステロ
ン由来)を測定する
9
第55,56回臨床検査技師国家試験問題
第57,58回臨床検査技師国家試験問題
○
○
○
↓
∵
第55,57回臨床検査技師国家試験問題
↓
メルクマニュアル医学百科より
• シモンズ病
下垂体全体の機能が著しく低下するために起こる病気
です。下垂体前葉の機能が低下するのは,下垂体前葉に行く小血管に
異常があり,前葉が貧血から壊死(細胞、組織の局部的な死)を起こ
した場合が多く,妊娠末期や出産時に多くみられます。これはシーハ
ン症候群とも呼ばれます。そのほか結核,梅毒,出血,腫瘍なども原
因になります。
この病気にかかると,発育が著しく悪くなり,体重が減少し,無力,
筋肉の緊張低下,体温下降,知能低下が起こるようになります。また
汗をかかなくなるので,皮膚が乾燥します。
• Gauche病
ゴーシェ病は,グルコセレブロシダーゼの欠損によるス
フィンゴ脂質症であり,グルコセレブロシドおよび関連化合物の沈着
を引き起こす。症状および徴候は病型によって異なるが,最も多いの
は肝脾腫または中枢神経系変化である。診断は白血球の酵素分析によ
る(遺伝子疾患の検査として診療点数が認められている)。
• Niemann-Pick病
ニーマン-ピック病は,スフィンゴミエリナーゼ
の活性欠損に起因するスフィンゴ脂質症であり,網内細胞におけるス
フィンゴミエリン(セラミドホスホリルコリン)の蓄積を引き起こす。
下垂体機能低下症
メルクマニュアル医学百科より
• クッシング症候群
クッシング症候群は,血中のコルチゾルの慢
性高値によって引き起こされた一群の臨床異常である。クッシング
病は下垂体のACTH過剰産生に起因するクッシング症候群で,通常は
下垂体腺腫に続発する。典型的な症状には,満月様顔貌および痩せ
た四肢を伴う体幹肥満がある。
• アルドステロン症
原発性アルドステロン症は,(過形成,腺腫
または癌による)副腎皮質の自律的なアルドステロン産生が引き起
こすアルドステロン症である。症状および徴候には,発作性脱力,
血圧上昇および低カリウム血症がある。
• アジソン病
アジソン病は副腎機能の低下によって、すべての副
腎ホルモンが不足する病気です。 アジソン病はあらゆる年齢層の人
に,また男女いずれにも同じように発症します。アジソン病の70%
は正確な原因は不明ですが,体の免疫系が副腎皮質を攻撃し破壊す
る自己免疫反応の影響を受けています。
アジソン病になるとすぐに,脱力感、疲労感が生じ,座ったり横
になった姿勢から立ち上がるとめまいを感じます。これらの症状は,
徐々に,知らぬ間に進行することがあります。アジソン病では皮膚
に黒ずんだ斑点が現れ,日焼けのようにみえますが,日光にさらさ
れていない部分にも現れます。
副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)
○測定法:HPLC
高値
低値
アドレナリン(別名,エピネフリン):主
に副腎で分泌される。(働き:グリコー
ゲン分解,脂肪分解,脈拍↑,血圧
↑,ストレス↑)
褐色細胞腫
(血圧↑:ア
ドレナリン↑
=副腎性,ノ
ノルアドレナリン(別名,ノルエピネフ ルアドレナリ Addison
リン):交感神経終末で分泌される。 ン↑=副腎 病
(働き:グリコーゲン分解,脂肪分解, 外)
下垂体機
脈拍↑,血圧↑,ストレス↑:神経伝
能低下症
神経芽細胞
達物質としての働きもある)
腫瘍(ノルア
ドーパミン(神経伝達物質としての働 ドレナリン↑,
アドレナリン
きが大きい)
~or↑)
10
メルクマニュアル医学百科より
• 褐色細胞腫
褐色細胞腫は,典型的には副腎に
局在する,クロム親和性細胞からなるカテコール
アミン産生腫瘍である。持続性または発作性の高
血圧を引き起こす。診断は,血中または尿中のカ
テコールアミン産物の測定によって行う。
• 神経芽細胞腫
神経芽細胞腫とは,よくみられ
る小児癌で,神経系の一部に発生します。
この病気は,体のいろいろな部位にある特定の
種類の神経組織に発症します。腹部や胸にある神
経、特に副腎(左右の腎臓の上にある)に発症す
ることがよくあります。非常にまれですが,脳に
できることもあります。
症状は,神経芽細胞腫が最初にどこにできたか,
転移が起きるかどうかによって異なります。
膵ホルモン
• インスリン(IRI:immunoreactive insulin)
プロインスリン→ インスリン + C-ペプチド
空腹時↑(インスリン抵抗性,2型糖尿病,インスリ
ノーマ→低血糖)
空腹時(基礎分泌能)↓(1型糖尿病)
糖負荷後(追加分泌不全,分泌遅延・過剰分泌)
溶血で低値(インスリン分解酵素)
基準値:3~15μU/mL(15μU/mL以上ではインスリ
ン抵抗性を考える)
• C-ペプチド(CPR:C-peptide immunoreactivity)
内因性インスリン分泌能を知ることができる(インスリ
ン抵抗性か,インスリン分泌不全か):生理活性はな
い。
• クルカゴン
高値(グルカゴノーマ→高血糖)
インスリン{anabolic hormone:insulin target organs (liver,
muscle and adipose tissue)}インスリンは,栄養素の同化を促進し
て筋肉,脂肪組織,肝臓に取り込む
• グルコースの細胞内への取り込みの促進(HK・GKの活性化)
• グリコーゲン合成の促進
• 糖新生の抑制(ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ
発現の抑制)
• 蛋白質合成の促進(BCAAの細胞内への取り込みを増加)
• 脂肪分解の抑制(脂肪細胞での脂肪の合成を促進)
リポ蛋白リパーゼ(LPL)の活性化
{TG(血中)→FA(脂肪蓄積)+Glycerol}
ホルモン感受性リパーゼ(adipose tissue lipoprotein lipase or
hormone-sensitive llipase)の活性を抑制
{TG(脂肪細胞)-(抑制)→FA+Glycerol}
homeostasis model assessment
• インスリン分泌能
HOMA-β=360 ×空腹時IRI (μU/mL) / ( FBS
(mg/dL)-63)
基準値:40~60(この値が低いとインスリン分泌の
低下を考える。増加ではインスリン分泌の増加・抵
抗性を考える)
• インスリン抵抗性
HOMA-IR(HOMA-R)= FBS (mg/dL)×空腹時
IRI (μU/mL) / 405
基準値:1.6以下(2.5以上をインスリン抵抗性)
11
第58回臨床検査技師国家試験問題
ヒト絨毛性ゴナドトロピン:HCG
(Human Chorionic Gonadotropin)
• 胎盤から分泌される性腺刺激ホルモンである
• α鎖とβ鎖(特異的)からなる
• 妊娠3~4週から検出され,出産まで尿中に排泄され
る(検出感度:50 mIU/mL)
• 腫瘍マーカー(卵巣癌)としても用いられる( ⇒βHCG産生腫瘍:血清・尿を試料とする)
• 尿を試料とする。イムノクロマト法で測定される(OTC
試薬)
• 排卵≈受精(この頃が妊娠2週に相当)
• 1週間かかり着床(HCG50U/L産生):この頃
が妊娠3週となる(早期検査25U/Lでは,2日く
らい前から陽性となる)
12
心臓ホルモン(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
(BNP:brain natriuretic peptide)
• BNPとNT-proBNP(amino terminal proBNP)がある。
• 心筋ストレスにより心臓(心室筋細胞)でpre-proBNP
として合成され,蛋白分解酵素により BNPとNTproBNPに分解され血中に放出される。
• 心不全により合成量(血中放出量・血中濃度)が増加
する。
• 腎臓に働いて利尿作用を促進する。ナトリウムの尿
中排泄の増加(水,ナトリウムの再吸収の抑制)
• 末梢血管で血圧を低下させる(血管拡張作用)。
• (参考)心房で合成されるANP(心房性ナトリウム利
尿ペプチド)もある。臨床的意義は,BNPに同じ。
心筋トロポニン(Cardiac Troponin:cTn)
• 心筋(筋原線維)の構成蛋白質である。
• CTnI(22.5 kDa:心筋特異度が高い, inhibits
prevents the contraction of muscle in the
absence of calcium and Troponin C),cTnT(37
kDa,binds the Troponin complex to
tropomyosin),cTnC(18 kDa,binds with Ca2+)
がある。
• 心筋に損傷(心筋梗塞)で血中に逸脱する。
• 心筋障害後2~4時間で上昇する(≈ CK-MB)。
• POC platforms
BNP
NT-proBNP
生理作用
あり
なし
血中半減期
20分
2時間
尿中排泄
腎機能障害の影
響
測定試料
採血後の安定性
腎で異化される。
尿中に排泄される。
尿中に排泄される。
大きい(高値とな
少ない
る)
血清・血漿(ヘパリ
EDTA血漿
ン,EDTA)も可
冷蔵で24時間(不 室温/冷蔵で24時
間 (安定)
安定)
H-FABP(ヒト心臓型遊離脂肪酸結合蛋白)
Heart-type fatty acid binding protein
• 心筋内の遊離脂肪酸の細胞内輸送に関与す
る蛋白質(15 kD )。
• 心筋障害(心筋梗塞)で血中に逸脱する。
• 心筋障害後0.5~2時間で上昇する(≈ ミオグ
ロビン)。
13