2014 年 12 月 26 日 クスリのアオキ(3398) 担当 レーティング: NEUTRAL(2014/10/8) → 近藤 浩之 NEUTRAL 業績好調、成長期待も、株価には織り込み済みか。 売上高 伸び率 営業利益 伸び率 経常利益 伸び率 当期利益 伸び率 EPS 1 株配 (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (円) (円) 連 11/5 64,690 19.8 2,164 29.9 2,242 30.3 1,048 12.4 135.08 22.00 連 12/5 76,135 17.7 3,521 62.7 3,591 60.2 2,062 96.8 265.73 30.00 単 13/5 93,174 4,386 4,511 2,894 372.08 32.00 単 14/5 114,411 22.8 5,899 6,085 3,825 244.99 38.00 単 15/5(予) 133,000 16.2 6,830 15.8 7,000 15.0 4,550 19.0 290.50 22.00 第 2 四半期累計期間 単 13/6-11 55,775 2,949 3,060 1,841 118.11 19.00 単 14/6-11 64,890 16.3 3,695 25.3 3,790 23.9 2,468 34.1 157.70 11.00 株価(2014/12/26) 6,290 円 発行済み株式数(14/11/20) 15,670 千株 自己株式数(14/11/20) 0 千株 時価総額 98,567 百万円 企業価値(EV) 101,077 百万円 ROE(14/5 実績) 25.0 % 予想配当利回り 0.3 % 予想 PER 21.7 倍 BPS(14/5 実績) 1,105.30 円 PBR 5.7 倍 CFPS(14/5 実績) 403.9 円 PCFR 15.6 倍 EV/EBITDA(14/5 実績) 8.0 倍 株価チャート(週足) (注) 13/5 期以降、非連結会社となり単独決算。 平成 26 年 5 月 21 日を効力発生日として普通株式 1 株につき 2 株の株式分割を実施。14/5 期の EPS・BPS・CFPS 及び 13/6-11 期の EPS は当期首に分割が行われたと仮定して算定。 15/5 期第 1 四半期より、商品の評価方法を変更。14/5 期及び 13/6-11 期は当該変更を反映した遡及処理後の数値。 出所:クスリのアオキ、ブルームバーグ、今村証券 北陸最大手のドラッグストア。 北陸 3 県以外にも、2005 年の新潟 県を皮切りに、2008 年に長野県、 2012 年に群馬県、2013 年に岐阜県、 1位 今年には滋賀県、愛知県、埼玉県 2位 に進出した。2014 年 12 月 26 日現 3位 在、ドラッグストア 244 店舗(内、 4位 調剤薬局併設 131 店舗)、調剤専 5位 6位 門薬局 6 店舗を展開している。 7位 主軸がドラッグストアの上場企 8位 業のなかで売上高は 11 位ながら、 9位 増収率はトップ。売上高営業利益 10位 率、ROE(自己資本当期純利益率) 11位 も相対的に高い水準にある(資料 12位 13位 1、出所:各社決算短信)。 2 14位 15位 業績は好調だ。2015 年 5 月期第 16位 四半期は大幅な増収増益となり、 (注) (資料1) ドラッグストア上場企業の売上高ランキング 売上高 前期比 営業利益 前期比 利益率 ROE (百万円) (%) (百万円) (%) (%) (%) マツモトキヨシホールディングス (3088:東1) 連14/3 495,385 8.6 22,438 14.0 4.5 9.4 サンドラッグ (9989:東1) 連14/3 447,819 9.9 28,057 13.5 6.3 14.7 ツルハホールディングス (3391:東1) 連14/5 388,465 13.2 24,101 9.5 6.2 13.2 コスモス薬品 (3349:東1) 連14/5 371,825 12.9 16,707 7.6 4.5 21.3 スギホールディングス (7649:東1) 連14/2 365,200 6.3 20,103 9.1 5.5 11.7 ウエルシアホールディングス (3141:東1) 連14/8 360,797 7.9 14,207 12.7 3.9 13.4 ココカラファイン (3098:東1) 連14/3 349,337 4.0 7,438 -25.9 2.1 4.8 カワチ薬品 (2664:東1) 連14/3 242,684 4.8 7,180 -12.6 3.0 2.2 クリエイトSDホールディングス (3148:東1) 連14/5 197,483 8.5 9,006 -10.3 4.6 13.5 CFSコーポレーション (8229:東1) 単14/2 117,544 - 2,326 - 2.0 2.1 クスリのアオキ (3398:東1) 単14/5 114,411 22.8 5,899 - 5.2 25.0 キリン堂 (2660:東1) 連14/2 103,055 1.3 1,820 -5.4 1.8 8.4 ゲンキー (2772:東1) 連14/6 57,949 6.0 1,901 112.1 3.3 13.4 レデイ薬局 (3027:JQ) 単14/2 52,544 3.6 1,251 19.5 2.4 14.9 薬王堂 (3385:東1) 単14/2 52,011 8.7 1,772 -5.4 3.4 13.5 サッポロドラッグストアー (2786:東1) 連14/2 49,573 5.8 1,015 -13.4 2.0 12.5 CFSコーポレーション…13/2期に決算日を変更しており、伸び率は比較できず。 銘柄 クスリのアオキ(3398) 1 前期 実績 2014 年 12 月 26 日 期初計画からは営業益、経常益は 33-34%、最終益は 24%上振れた。通期の利益見通しも上方修 正し、修正後の見通しは今村証券が 10 月に予想した水準(営業益 65 億円(会社計画比+18.4%、 前期比+10.2%))も上回る内容となった(資料2・3、出所:同社決算短信)。 上振れの主因は、①調剤事業の粗利益率の改善(後発医薬品調剤体制加算を中心とした技術料 の確保、薬価改定に際した医薬品の仕入価格交渉妥結に伴う薬価差益の計上)、②新規エリア(群 馬県・岐阜県・滋賀県・愛知県・埼玉県)での低価格化、販売促進策が計画以下にとどまったこ と、③光熱費の減少―である。また、前年同期比で利益率が向上したのは、①売上規模拡大を受 けたメーカーとの仕入価格交渉力の向上、②人件費の抑制(物流体制整備・自動釣銭機導入等に よる店舗作業の効率化、標準作業時間の設定)―などが要因である。 尚、既存店売上高は前年同期比+4.4%と、会社計画(+3.7%)を上回った(資料4、出所:同 社月次営業速報)。消費増税前の駆け込み需要の反動減、冷夏によるビールや清涼飲料の売上低 調があったものの、「食品」(日配品、冷凍食品等の導入)と「調剤」が伸びカバーした。対し て、新規エリアでの売上高は会社計画の 9 割にとどまった。これを改善すべく、下期は低価格化、 販売促進を強化する。そのため、上期よりも利益率が悪化する見通しとした。 (資料2) 業績の推移(半期) 0 (資料3) 業績の推移(通期) (資料4) 月次売上高の推移(前年同月比) クスリのアオキ(3398) 2 2014 年 12 月 26 日 ドラッグストア業界では再編が進んでいる。ウエルシアホールディングス(3141 東証1部)と CFSコーポレーション(8229 東証1部)は来年9月に経営統合し、業界首位となる見通しだ。北陸 では、2012年にドラッグフジイがウエルシアホールディングスの完全子会社に、昨年には示野薬 局がマツモトキヨシホールディングス(3088 東証1部)の完全子会社になった。 こうしたなか、同社はM&A(企業の合併・買収)に頼らず、「単独」での生き残りを目指す。 生き残るには「売上高3000億円」が必要とし、2022年5月期での達成を目標に掲げる。具体的に は、出店を加速し、かつ、調剤薬局の併設を増やす。 1. 出店加速 「食品」と「調剤」を強化した店舗を住宅地や商業集積地に出店する(資料5、出所:同社決 算短信)。ただ、北陸3県や信越地方だけでは出店余地が限られるとして、エリアへの拡大を進 める。来年2月には11県目となる三重県にも進出し、今期の新規出店40店舗のうち28店舗(7割) が新規エリアとなる見込みだ。2022年5月期までに350店の純増を目指しており、来期以降も今期 と同じ水準かそれ以上の出店を継続する。 2. 調剤 ドラッグストアの来店客から信頼を得るのが「調剤」だ。同社の調剤薬局は大半がドラッグス トアに併設している。「かかりつけ薬局」として、不特定多数の医療機関の処方箋を受け付け、 患者の薬の重複、相互作用などをチェックし健康被害を防いだり、地域住民の予防医療、自己治 療に貢献したりする役割を果たす。こうした併設型は、スギホールディングス(7649 東証1部) が全店舗の約8割で、ウエルシアホールディングスが約7割の店舗で手掛けているが、その他の企 業は一部にとどまる。同社の併設率は現時点で53.7%まで高まり、今後も併設率を上げていく(資 料6、出所:同社決算短信)。 (資料5) 新規出店数の推移 (資料6) 調剤売上高・調剤薬局併設率の推移 当面は、出店の加速で販売促進費や投資負担が重荷となる。コンビニエンスストアなど異業 種を含めた競争の激化で、出店場所や人材の確保が思うように進まない可能性も念頭に置いてお くべきだろう。ただ、これまで「2011 年 5 月期 (資料7) 調剤医療費の推移 に信越エリア(新潟県・長野県)での売上高 100 億円」「2014 年 5 月期に調剤事業売上高 100 億円」といった中期的目標や、新規出店数は計 画に沿って達成している。今回の目標も達成に 向けた取り組み強化が期待でき、ドミナント化 が進めば、配送コスト、販売促進費の低減に繋 がり、利益に大きく寄与するだろう。また、調 剤市場が高齢化の進展、医薬分業の推進に伴っ て拡大しているなかで、同社の調剤併設は差別 化の武器となろう(資料7、出所:厚生労働省)。 こうしたことから、これからも業績好調、持続的成長が見込まれる。 期待を映して、株価は上昇が続いている。株式分割を考慮すると、昨年末から 2 倍強となり、 クスリのアオキ(3398) 3 2014 年 12 月 26 日 上場来高値圏である。投資指標の同業他社との比較では、コスモス薬品と並んで割高な水準にあ り、既に成長期待を織り込んでいると考える(資料8、出所:各社決算短信・今村証券)。投資 判断はNEUTRALを継続する。 (資料8) 同業他社との業績・投資指標の比較 予想 売上高 伸び率 営業利益 伸び率 利益率 経常利益 伸び率 利益率 最終利益 伸び率 利益率 EPS PER (百万円) (%) (百万円) (%) (%) (百万円) (%) (%) (百万円) (%) (%) (円) (倍) 単13/5 93,174 - 4,386 - 4.7 4,511 - 4.8 2,894 - 3.1 372.08 単14/5 114,411 22.8 5,899 - 5.2 6,085 - 5.3 3,825 - 3.3 244.99 クスリのアオキ 133,000 16.2 6,830 15.8 5.1 7,000 15.0 5.3 4,550 19.0 3.4 290.50 21.7 6,290 単15/5(予) 北 (3398:東1) 単15/5(今村修正予) 134,000 17.1 6,950 17.8 5.2 7,100 16.7 5.3 4,600 20.3 3.4 293.70 21.4 陸 地 単16/5(今村予) 154,000 15.8 7,700 12.7 5.0 7,870 12.4 5.1 5,200 14.3 3.4 332.00 18.9 盤 連13/6 54,656 -3.6 896 -53.4 1.6 1,040 -50.0 1.9 623 -45.5 1.1 180.84 ゲンキー 7,740 連14/6 57,949 6.0 1,901 112.1 3.3 2,007 93.0 3.5 1,171 88.0 2.0 339.05 (2772:東1) 連15/6(予) 65,500 13.0 2,400 26.2 3.7 2,500 24.5 3.8 1,460 24.7 2.2 421.10 18.4 連13/3 456,311 5.0 19,687 8.7 4.3 21,666 10.3 4.7 11,270 13.2 2.5 237.71 マツモトキヨシ ホールディングス 3,420 連14/3 495,385 8.6 22,438 14.0 4.5 24,514 13.1 4.9 13,355 18.5 2.7 246.76 (3088:東1) 連15/3(予) 490,000 -1.1 19,000 -15.3 3.9 21,000 -14.3 4.3 11,250 -15.8 2.3 207.80 16.5 連13/3 407,401 5.3 24,720 11.0 6.1 25,288 10.9 6.2 14,955 18.9 3.7 237.30 サンドラッグ 447,819 9.9 28,057 13.5 6.3 28,781 13.8 6.4 15,754 5.3 3.5 249.97 4,940 連14/3 (9989:東1) 連15/3(予) 464,700 3.8 28,900 3.0 6.2 29,570 2.7 6.4 18,380 16.7 4.0 291.64 16.9 業 連13/5 343,019 6.9 22,001 15.4 6.4 23,821 19.4 6.9 13,461 27.1 3.9 568.43 ツルハ 界 388,465 13.2 24,101 9.5 6.2 25,321 6.3 6.5 14,563 8.2 3.7 305.25 6,910 連14/5 ホールディングス 大 (3391:東1) 連15/5(予) 441,000 13.5 28,000 16.2 6.3 28,900 14.1 6.6 16,570 13.8 3.8 346.66 19.9 手 連13/5 329,313 18.0 15,529 16.5 4.7 16,787 15.6 5.1 9,396 21.4 2.9 474.58 コスモス薬品 16,660 連14/5 371,825 12.9 16,707 7.6 4.5 18,193 8.4 4.9 10,600 12.8 2.9 535.41 (3349:東1) 連15/5(予) 31.1 419,000 12.7 16,800 0.6 4.0 18,300 0.6 4.4 10,600 0.0 2.5 535.41 連13/2 343,613 5.0 18,421 7.0 5.4 22,696 18.5 6.6 12,630 10.5 3.7 199.47 スギ 365,200 6.3 20,103 9.1 5.5 21,865 -3.7 6.0 12,820 1.5 3.5 202.48 4,865 連14/2 ホールディングス (7649:東1) 連15/2(予) 389,000 6.5 20,000 -0.5 5.1 21,000 -4.0 5.4 12,000 -6.4 3.1 189.53 25.7 (注) クスリのアオキ…平成26年5月21日を効力発生日として普通株式1株につき2株の株式分割を実施。14/5期のEPS・BPSは当期首に分割が行われたと仮定して算定。 ツルハホールディングス…平成26年5月16日を効力発生日として普通株式1株につき2株の株式分割を実施。14/5期のEPS・BPSは当期首に分割が行われたと仮定して算定。 銘柄 株価 (14/12/26) BPS (円) 1,754.08 1,105.30 2,386.47 2,669.26 2,579.04 2,744.50 1,598.80 1,795.89 4,351.24 2,435.58 2,270.24 2,747.50 1,641.72 1,813.29 - PBR (倍) 5.7 2.9 1.2 2.8 2.8 6.1 2.7 予想配当 配当金 利回り (円) (%) 32.00 38.00 22.00 0.3 50.00 50.00 50.00 0.6 50.00 60.00 60.00 1.8 48.00 56.00 60.00 1.2 130.00 141.00 70.50 1.0 50.00 55.00 55.00 0.3 27.00 40.00 40.00 0.8 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明 本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解 を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬 も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義 O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。 N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 クスリのアオキ(3398) 4 2014 年 12 月 26 日 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場 合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様 への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お 客様に対して投資の助言を提供するものでもありません。また、本資料に記載されている情報もしくは分析がお客様に とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま すようお願い申し上げます。 本資料に記載された内容は、信頼できると思われる情報、または信頼できる情報源から得た情報を基に今村証券が作成 しておりますが、機械作業上データに誤りが発生する可能性があります。当社はその内容の正確性や妥当性、適時性ま たは完全性を保証するものではありませんし、本資料における過誤又は遺漏に対して何らの責任を負うものでもありま せん。本資料でインターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている 場合を除き、アドレス等の内容について当社は一切責任を負いません。本資料は、当然にお客様の投資結果を保証する ものではございませんので、今村証券は、本資料の内容について第三者のいかなる損害賠償の責任を負うものでもあり ませんし、お客様が本資料に依拠した結果としてお客様が被った損害または損失については一切責任を負いません。ま た、今村証券は本資料に関するお客様からのご質問やご意見に対して、何ら対応する責任を負うものではありません。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社 および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い または売りのポジションを有している場合があり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係 会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘 を行う場合があります。 日本および外国の株式・債券への投資は、株価の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評 価の変化、金利・為替の変動などにより、投資元本を割り込むリスクがあります。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承認なく、また電子的・機械的な方 法を問わず、本資料の全部もしくは一部引用または複製、転送等により使用することを禁じます。 クスリのアオキ(3398) 5
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