副作用_薬害(臨床薬理学)

症例 1
• 62歳の女性、8年前から気管支ぜんそくに対
し副腎皮質ステロイドを服用していた。発作
がないため5日前から同薬を中止していたが
、昨夜から強い無力感と吐き気とを訴えて来
院した。
• この患者の血清で低下しているものは何か
?
アスピリンの過量投与でみられる
初期症状はどれか
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低体温
めまい
耳鳴り
過呼吸
頻尿
薬剤と副作用の組み合わせで誤
っているのはどれか
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アトロピン ーーー頻脈
吸入麻酔薬ーーー高熱
甲状腺ホルモンーーーるいそう
副腎皮質ステロイドーーー脱水
非ステロイド性抗炎症薬ーーー浮腫
薬剤と副作用の組み合わせで正
しいのは?
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シスプラチンーーー低マグネシウム血症
ゲンタマイシンーーー急性尿細管壊死
アセタゾラミドーーーアルカローシス
サイアザイドーーー低カルシウム血症
インドメタシンーーー乏尿
副作用、有害作用、薬害
横浜市立大学
分子薬理神経生物学
教授 五嶋良郎
1.薬物有害反応と副作用
• 有害反応:治療、診断または予防の目的でヒ
トに使用した投与量によって生ずる有害かつ
意図しない薬物による反応
• 副作用:その薬物によって生ずる主作用以外
の薬理作用。治療目的と合致しないことが多
い
• 催奇形性、発癌作用は有害反応に含まれる
薬物の有害反応
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副作用
主作用の過剰発現
過剰投与
蓄積
特異体質、過敏症
薬物相互作用
その他(異物の混入)
2.有害反応の分類と発生機序
• 薬理作用あるいは投与量に関連した有害反
応
• 特異体質による薬物有害反応
• 免疫が関与した薬物有害反応
有害反応の重篤度
• グレード1,2,3
• 肝障害、腎障害、血液障害、過敏症状・・・
3.薬物アレルギーと免疫
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I型アレルギー
II型アレルギー
III型アレルギー
IV型アレルギー
4.薬物有害反応と有害事象
• 薬物有害反応:薬物の使用によって起こった
有害な反応・事象。薬物との因果関係が認め
られる
• 有害事象:薬物との因果関係が明らかでない
5.薬物有害反応のモニタリング
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副作用モニター制度
薬局モニター制度
企業報告制度
WHO国際医薬品モニタリング制度
ファルマコゲノミクス
• ゲノム多型と薬物感受性との相関
• →個別化
6.ゲノム多型と薬物代謝
N-アセチルトランスフェラーゼ
• イソニアジド、サルファ剤、プロカインアミド等
の代謝
• cSNP: G191A, C282T, T341Cのホモ接合
体→アセチル化反応遅い
• cSNP:A803G→アセチル化反応速い
薬害
• 医薬品の使用による医学的に有害な影響の
うち社会問題となるまで規模が拡大したもの
• 不適切な医療行政の関与が疑われる
7.薬害事件ー過去の事例にまなぶ
• キノホルムとスモン
• サリドマイドとアザラシ肢症
• ソリブジンとフルオロウラシル系薬物との併
用による死亡
薬害事例
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サリドマイド(1960年代)
キノホルム(1960年代)
クロロキン(1970年代)
非加熱血液凝固因子製剤(1990年代)
ソリブジン(1990年代)
ヒト乾燥硬膜(2000年代)
フィブリノゲン(200年代)
小柴胡湯(2000年代)
サプリメント、健康食品(2010年代)
副腎皮質ステロイドホルモン
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1926年、アメリカの化学者エドワード・カルビン・ケンダル(Edward Calvin Kendall)とポーランドの化学者
タデウス・ライヒシュタイン(Tadeus Reichstein)がコルチゾン (cortisone) の抽出・精製および化学構造の
決定に成功。
1948年、メイヨクリニックに所属するケンダルの同僚フィリップ・ショウォルター・ヘンチ(Philip Showalter
Hench)がリウマチ患者にコルチゾンを投与。翌日、患者はベッドの横で踊れるようになるほど回復し、奇
跡の薬としてニューヨークタイムズの一面を飾った。
1950年、ライヒシュタイン、ヘンチ、ケンダルがノーベル生理学・医学賞を受賞。
1952年、ゴールドマンが酢酸ヒドロコルチゾンを皮膚湿疹に使い始める。1953年、日本の厚生省(現・
厚生労働省)がステロイド外用剤の販売を許可。
1962年、ステロイド剤の大量生産開始。1962年、日本の厚生省(現・厚生労働省)が使用基準を定め
全国の医師に通知。
1972年、日本の皮膚科外来患者の48%がステロイド外用剤を経験(幸田弘也「西日皮膚」40巻2号1
978年)。
1972年、最強ランクのステロイドが開発・市販される。
サリドマイド
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1957年 精神安定剤、および、特に妊婦のつわり(morning sickness)へ
の適用を指示した鎮痛剤
副作用により多くの奇形児が誕生し、一時的に販売中止となった。現在
はアメリカ合衆国等でハンセン病治療薬として使用。
作用点の解明:プロテアーゼの一つユビキチンリガーゼを構成するセレ
ブロン(Cereblon)を阻害(FGF8、血管形成因子の阻害)。
フランシス・ケルシー
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1942年、マラリヤ治療のための合成物質を探求。薬物の中には血液胎盤関
門を通過できるものがあることを学んだ。
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FDAの審査官として、Richardson Merrell社から申請のあった、サリドマイド(商品名
ケバドン(Kevadon))を審査
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既にヨーロッパとアフリカの20カ国で認可されていたにもかかわらず、ケル
シーは、この薬物の認可を保留し、さらなる治験を要求した。
サリドマイド製造業者からの圧力にもかかわらず、ケルシーは神経系への
副作用を記述したイギリスにおける研究について説明する追加情報を要求
し続けた。
ヨーロッパにおける奇形のある子供の出産が、母親が妊娠中に服用したサ
リドマイドと関係付けられるに及んで、劇的な形でその正当性が立証される
ことになった。
サリドマイドが胎盤血液関門を通過して、胎児に深刻な奇形を引き起こすこ
とが判明した。
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Frances Kelsey
(1914~)
シカゴ大学 医学部 薬理学教室
アメリカ食品医薬品局 (FDA)
1962年 顕著な連邦文民功労への大統領賞
ジョン・F・ケネディ大統領から
薬物併用のリスクの増大
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ソリブジン(抗ウイルス薬)は
5-FU (5-fluorouracil) の代謝を阻害する
フェーズIIIでは5-Fu併用が除外
これらの副作用は?
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クロニジン
ジモルフォラミン
テオフィリン
チアジド
アトロピン
ビンクリスチン
ストレプトマイシン
ワルファリン
アスピリン
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トルブタミド
イミプラミン
レボドパ
オメプラゾール
プラゾシン
フェニトイン
モルヒネ
インスリン
プレドニゾロン
副作用、薬害、有害作用のまとめ
• 個々の薬物の作用点、作用機序は何か?(
→主作用の過剰発現)
• 過量投与、蓄積
• 特異体質、過敏症、薬物アレルギー
• 薬物相互作用(薬物動態[吸収、分布、代謝
、排泄、作用部位)
• 最新情報の獲得(文献、薬剤部、インターネッ
ト)
医薬品副作用情報
• 医薬品医療機器総合機構:
http://www.info.pmda.go.jp/
臨床でこそ薬理学の原則で臨め
• 時々刻々変化する患者さんの病態変化か
ら目をそらすな
• 自分の目で見たものを基本に考えろ
• 診断や治療の内容がベストかを常に疑え
• 治療の効果の有無と評価を自ら行え
• 患者や家族の幸福を念頭に良き導き手と
なれ
• 確固たる自分のスタイルを確立せよ
• 薬理学B627(オフィスアワー、夕方5時以
降, 2593,
email:[email protected])
• http://pharmac.med.yokohama-cu.ac.jp/
• 副作用情報:医薬品医療機器総合機構
(PMDA, pharmaceuticals and medical
devices agency),
http://www.pmda.go.jp/