発生バラストを活用した既設線路盤改良工法

背景と目的
軟弱路盤上バラスト軌道
バラスト軌道
発生バラストを活用した既設線
路盤改良工法
軌道沈下の増大
噴泥の発生
道床状態の悪化
軟弱路盤箇所は,通常のつき固め補修効果が持続せず,保
守費の増大を招いている。
軌道技術研究部
軌道技術研究部(軌道・路盤)
研究部(軌道・路盤)
⇒道床交換・路盤改良が抜本的な対策
課題
中村 貴久
施工延長の延伸化:施工性の向上・施工単価の低減
線路内工事:使用重機・作業時間の制限
Railway Technical Research Institute
環境負荷:路盤改良工事による大量の産廃処理土の発生
路盤改良体の材料試験
発生バラストを活用した路盤改良工法の概要
路盤改良層
路盤改良効果
• 軌道沈下・噴泥の抑制
• 健全な道床状態の保持
一軸圧縮試験
載荷方向
荷重計
グラウト充填工法
発生バラスト(砂混じり)
バラスト(骨材)+低強度グラウト
特徴
2液式の瞬結性で型枠不要
普通作業員で対応可能
) 500
( 400
力300
応200
kPa
供試体
H600mm×φ300mm
B液(硬化剤)
泥水ポンプ
600
変位計
発生
バラスト
新バラスト:施工速度の向上
ハンドミキサー
一軸圧縮試験
発生バラスト
(粘性土混じり)
発生バラスト
No.
路盤種類
0
0.0
ケース1
未対策(粘性土)
ケース2
未対策(砂質土)
ケース3
グラウト充填路盤(粘性土)
ケース4
グラウト充填路盤(砂質土)
まくらぎ
実物大模型の概要
PCまくらぎ3号
× 1本
バラスト道床
路盤
7日養生
0.5
軸ひずみ (%)
1.0
1.5
2.0
バ ラスト
軌 道模 型
200mm
グラウト改良層
砂質土路盤:K 値90MN/m
粘性土路盤 :K 値50MN/m
30
30
3
3
実物大模型を用いた繰返し載荷試験により,2種類の路盤(砂
質土・粘性土)に対して,本工法の路盤改良効果を検討した。
路盤変位振幅の推移
散水
2.0
路盤変位振幅(mm)
繰返し載荷
軸重160kN相当
発生バラスト(砂混じり)
グラウト充填工法の実物大模型試験
試験ケース
グラウト充填路盤の構築状況
載荷試験状況
新バラスト 発生バラスト
(粘性土混じり)
100
使用機材の入手が容易
グラウト充填工法の実物大模型試験
繰返し載荷試験
100
応力とひずみの関係
グラウト
注入
A液(セメント)
発生バラスト:環境負荷低減
バラストの粒度分布
)%(10080
発生バラスト
(粘性土混じり)
率分60 発生バラスト
(砂混じり)
百量40
質過20
新バラスト
通0
0.1
1
ふるい目の寸法(10mm)
未対策(粘性土)
1.5
未対策(砂質土)
グラウト充填路盤(粘性土)
1.0
0.5
0.0
0
グラウト充填路盤(砂質土)
20
40
60
80
100
載荷回数(万回)
粘性土路盤は路盤改良効果により路盤変位振幅が半減した。
路盤剛性が比較的高い砂質土路盤では,路盤変位振幅の低
減効果はわずかであった。
1
グラウト充填工法の実物大模型試験
解析による評価
まくらぎ沈下量の推移
多層弾性解析による逆解析
(路盤変位分布)
散水
0
0.0
沈下
収束
10
未対策(砂質土)
15
沈下
継続
20
未対策(粘性土)
25
0
20
40
60
載荷回数(万回)
80
500
K30値
70MN/m3
1500
軟弱な一様地盤に剛性の高い路盤改良層を設けることで,新設
線の路盤剛性と同程度まで増大できることを確認した。
従来工法との比較(工事費)
①道床・
道床・路盤の掘削・
路盤の掘削・発生バラスト仮置き
1.0
発生
バラスト
0.96
発生
グラウト充填 バラスト
発生
バラスト
B
本工法は,従来工法に対して材料の運搬時間の短縮,および産
廃処理費の削減が可能となる。
従来工法との比較(施工延長)
5.5
5.0
h)( 4.5
産廃費
機械等経費 間
時
4.0
人件費
業
作
材料費
工事費
※コスト削減:産廃処理費,運搬時間
コスト削減:産廃処理費,運搬時間
0.99
※同じ施工延長
置換工法
グラウト
安定処理 置換工法
グラウト 安定処理工法
置換工法
充填工法 工法 (クラッシャラン)
充填工法
3.0
35cm厚
30cm厚
30cm厚
2割増加
3.5
②発生バラスト投入・
発生バラスト投入・グラウト充填
A
1000
K30値
50MN/m3
従来工法とのコスト比較
路盤土
路盤材
0
粒度調整砕石
E=180MPa
まくらぎ直角方向水平位置 ( mm )
グラウト充填工法
発生バラスト 路盤土
②路盤材の搬入・
路盤材の搬入・締固め
1.5
路盤改良層
E=1,000MPa
解析
設計標準
新設線路盤
解析
一様地盤
50MN/m3
グラウト充填工法(実験)
従来工法との作業手順の比較
①道床・
道床・路盤の掘削・
路盤の掘削・搬出
1.0
未対策(実験)
100
設計標準
新設線路盤
0.5
2.0
-1500 -1000 -500
粘性土路盤では,路盤改良効果により沈下量が半減した。
排水条件の悪い砂質土路盤でも,路盤改良効果を発揮した。
従来工法(置換工法)
軟弱一様地盤
路盤改良
載荷点
まくらぎ
グラウト充填路盤(砂質土)
路盤変位( mm )
まくらぎ沈下量(mm)
グラウト充填路盤(粘性土)
5
25cm厚
グラウト充填工法
5
6
施工延長(m)
7
同じ施工延長の場合,工事費は概ね同程度となる。
本工法は,施工延長を最大で2割程度延伸でき,施工コストを
最大15%程度削減することが期待できる。
成果のまとめ
発生バラストにグラウト材を注入して再利用する路盤改良
工法を開発した。
本工法は,発生バラストを再利用して剛性の高い路盤を構築す
ることができ,施工延長を最大で2割程度延伸することにより,
コストを最大15%程度削減することが期待できる。
繰返し載荷試験および現地試験施工により、路盤改良の
効果を実証した。
実物大軌道模型により沈下抑制効果を確認し,営業線の現地
試験施工により軌道の状態を大きく改善できることを実証した。
Railway Technical Research Institute
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