米国債市場の動向

2015/01/23
大和証券・債券部
米国 マーケット・コメント (15/1/09~15/01/22)
◇ これまでのポイント
○
弱い米賃金・小売、各国中銀の緩和ラッシュ・・・金利低下材料ばかりが並んだ
2.30
米国国債10年金利(2014/12/22~2015/1/22)
%
1 月 9 日に発表された米 12 月雇用統計は、非農業部門雇用者数変化こそ予想の 24.0 万人
増を上回り 25.2 万人増となったものの、平均時給
(前月比)が予想の+0.2%に対し▲0.2%
となっただけでなく、11 月分も+0.4%から+0.2%に下方修正され、期待された賃金上昇
2.20
2.10
の兆候は否定された。さらに 1 月 14 日に発表された米 12 月小売売上高(前月比)も予
2.00
想の▲0.1%を大きく下回る▲0.9%となり、今年の規定路線と考えられていた米国の利
1.90
上げも、その時期に対する市場の織込は 2015 年 12 月まで後退した。
1.80
その後も、スイス国立銀行による 50bps の利下げやスイスフランの対ユーロでの為替水
ISMの失望、
世界的なSearch For
Yieldで大幅に金利低下
各国中銀の
緩和ラッシュ
雇用統計や小売
売上高も失望を
誘う内容
1.70
12/22
準の上限撤廃、カナダ中央銀行による 25bps の利下げ、そして ECB による量的緩和決定
12/31
01/09
01/20
出所:大和証券債券部作成
と各国中銀の緩和策が相次ぎ、金利低下材料ばかりが並んだ。
◇ 今後の注目点
2.4
%
米独国債10年金利 (2014/11/17~2015/1/22)
米国債10年利回り(左軸)
原油安から始まった緩和催促相場に、中銀が続々と応えたことに対する反応は?
0.9
独国債10年利回り(右軸)
2.3
0.8
これまでは原油安に端を発したインフレ期待低下・株安といったリスクオフ局面での長期
金利低下によってさらなる金融緩和を催促する相場となっていたが、先週からの各国中銀
%
2.2
による緩和ラッシュはこれに対するレスポンスであり、その中でも ECB による量的緩和決
2.1
0.7
定は総仕上げといえるだろう。1 月 22 日に開催された ECB 理事会後の市場反応は株高・イ
2.0
0.6
ンフレ期待上昇となったが、原油安の流れに変化はなく米国長期金利も売られずに引けた。
既に欧州債は利回りが大幅に低下しており、ECB による量的緩和によって流動性の低下も
1.9
余儀なくされる。そのため、欧州マネーが米国を中心とした他国にシフトするとの指摘も
1.8
根強い。筆者は緩和ラッシュからのインフレ期待上昇による金利上昇を期待したいものの、
1.7
11/17
それを見込みづらい環境が整っていることも確かだ。
独10年0.5%、米10年2%のライ
ンは定着、ECB による量的緩和
決定で独金利はさらに低下
0.5
0.4
11/27
12/7
12/17
12/27
1/6
1/16
出所:大和証券債券部作成
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