伊藤 直弥

第 17 回日本在宅医学会大会
抄録集・ホームページ掲載用原稿
生活リハビリテーションに役立つ技術革新
講演テーマ
開催日
講演
~足こぎ車椅子、ブレース、シーティング、視線入力装置等の新たな技術~
2015 年 4 月 25 日(土)
ふりがな
講師情報
姓
ご芳名
ご所属
部署
時間
15:20-16:50
いとう
伊藤
収容人数
名
300 名
なおや
直弥
株式会社 クレアクト
営業企画部
役職
部長
演題名(80 字以内)
トビー視線入力装置の有効活用
ご略歴(300 字以内)
2008 年トビー・テクノロジー・ジャパン(株)入社。
2012 年よりトビー・アシスティブ部門の独立に伴い、(株)クレアクトに転籍し現在に至る。
主な活動として、2009 年視線入力装置マイトビーの販売開始と共に日本での視線入力装置普及に勤しむ。
病院、学校等で視線入力装置の講演、講師(指定難病看護師研修会等)を行う。障害の重い子どもの為の平仮
名を学ぶコンテンツを京都大学と共同開発し、国際学会(EECERA)での発表に採択される。執筆(こどもケア、
特別支援教育と AT の一部)を発刊予定。視線入力装置の非課税登録や補装具費の適応など国の公的補助の登
録と適応実績に携わる。幼児から年配者まで幅広い疾患において視線入力装置の有効活用を提案している。
講演概要(1000 字以内)
発語が無いもしくは不明瞭かつ手や足などを随意的に動かすことが出来ない障害児(者)はどの様な手段を用
いて今まで意思疎通を図っていたのだろうか。
文字盤を指でさして言葉を綴ったり、瞬きや眼の動きで、はい・いいえを見極めたりと、第三者が言葉や
意思を読みとる方法や、携帯用会話補助装置や意思伝達装置とした、伝の心、レッツチャット、ペチャラ、
トーキングエイドなどの機器で若干でも随意的に動かせる部位を使って入力をする方法が用いられてきた。
随意的に動かせる部位がなくなってしまうと、意思伝達装置等の支援機器を使用することができなく、コ
ミュニケーションを諦めてしまう患者さんがいた。
そのような患者さんも眼球だけは動くケースが多く、視線入力装置の期待はされていたが設定に数時間かか
ったり、体になにかを装着したり、あご台にあごを固定したりと日常生活に実用的な製品はなかった。
2009 年より日本で販売開始した、スウェーデンのトビー・テクノロジー社製品「マイトビー」は頭部を動か
せる動作範囲がとても広い等の特長から、入院や在宅など患者さんの生活環境に合わせて使うことの出来る
実用的な製品として ALS をはじめとした神経難病の患者さんの意思伝達装置として普及していった。現在で
は日本においても幼児から高齢者まで幅広い疾患で使われ、スイッチ等を操作することが出来ない障害児(者)
も、コミュニケーションやパソコン操作を視線だけで行うことが可能。
マイトビーでは、文章入力・読み上げ、メール、インターネット、音楽再生、動画再生や市販のソフトウエ
アにも簡単にアクセスでき、殆どのアプリケーションソフトが視線のみで操作が可能。遠く離れた家族とチ
ャットを楽しむことも、同じ家の中であれば呼出しアラームで家族を呼ぶことも可能。また、隣に誰かが居
なくても文字を書くことが出来るので、日記をつけたり、詩を書いたりと、自叙伝を出版されている方もい
る。マイトビーに環境制御を組込めば、TV、室内灯などの電源 ON/OFF、チャンネルの切替えなどのリモコ
ン操作を今まで誰かに頼らなければならなかったことが、ユーザー本人で出来るようになることで、本人の
力を引出し、自立に繋がる。視線入力装置を使う事により障害児(者)の QOL の向上に繋がり、将来は無限の
可能性に広がっていくと思われる。