第 17 回日本在宅医学会大会 講演テーマ 開催日 講演 抄録集・ホームページ掲載用原稿 「在宅医療と ICF(国際生活機能分類) 」 2015 年 4 月 25 日(土) ふりがな 講師情報 ご芳名 姓 時間 おおかわ 大川 10:30-12:00 収容人数 名 ご所属 国立研究開発法人産業技術総合研究所 部署 ロボットイノベーション研究センター 1,500 名 やよい 弥生 役職 招聘研究員 演題名(80 字以内) 在宅医療を支える枠組みとしてのICF - その理念と実践のために - ご略歴(300 字以内) 久留米大学医学部大学院修了。東京大学附属病院リハビリテーション部助手、帝京大学リハビリテーション 科助教授、(独)国立長寿医療研究センター生活機能賦活研究部部長等を経て、現職。医師・医学博士。現在 厚生労働省医道審議会委員(理学療法士作業療法士分科会)等、各種委員会委員を歴任。著書に、「動か ない」と人は病む~生活不活発病とは何か~(講談社現代新書) 、新しいリハビリテーション~人間「復権」 への挑戦~(講談社現代新書) 、生活機能とは何か(東京大学出版会)、 「よくする介護」を実践するためのI CFの理解と活用、介護保険サービスとリハビリテーション(ともに中央法規出版)など。 講演概要(1000 字以内) 本大会 のテーマであ る、「生き かた=逝きか た」を 理 論的・実践的 に支える ためには「生 活機能」 (functioning、WHO・ICF:国際生活機能分類の中心概念)の観点に立って、その理念を在宅医療の中に明確 に位置づけることが重要と考えられる。 そもそも在宅医療自体において、生活機能の重視が重要であるが、その背景(理由)としては以下の3点 が考えられる。1)在宅医療の対象は病気だけではなく、何らかの生活機能低下をもっている「人」である、 2)在宅医療においては医療・介護・福祉等の多くの職種・サービスのチームワークが不可欠である、3) 専門家中心でなく、生活機能低下がある当事者の意志・権利を尊重し、真の当事者中心の医療が必要である。 このように専門性を真に当事者のために生かす協力・連携のシステム・プログラムが必要となってきてい る。そのためには、 “人が「生きることの全体像」についての「共通言語」 (共通のものの考え方・とらえ方)” であるICFがきわめて効果的なツールとなる。また、ICFの活用によって、旧来の「医学モデル」から の脱却、 「統合モデル」への移行など、医療のあり方自体について一層拡大・深化させるべき論点が明らかに なると期待される。 さらにいえば、在宅医療は、 「生活」の場で「逝きかた」まで含めて、人の「生活」 「人生」 、そしてその環 境(物的・人的・社会的な)を統合的にみることができるという稀有な利点を有している。それはICF活 用における大きなメリットであり、ICFを実践的に活用し深めることのできる有意義な現場である。そし てそれを通じて、 「病気だけでなく病人をより良い状態にする」という医療の原点に立ち戻って、医療界全般 にICFの統合的な観点・思想を拡げる大きな力となることが期待される。 本講ではICFの基本を中心に述べ、活用の具体例として東日本大震災後の生活機能低下としての大きな 課題でもある生活不活発病についても触れる。
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