11月分全国消費者物価指数について ―エネルギー価格等の上昇率縮小でコア前年同月比+2.7%と前月から鈍化― ―12月分東京都区部・コア前年同月比+2.3%で11月分から0.1ポイント鈍化― 客員エコノミスト 宅森昭吉 コメント 物 価 の 推 移 (%) 国 企 業 物 価 指 数 輸 内 出 契約通貨 ベース 輸 入 契約通貨 ベース 日銀国際商品指数 (月末値) 日経商品指数42種 日経商品指数17種 全 消 費 者 物 価 指 数 国 生鮮食品を 除く総合 食料(酒類を除く)及び エネルギーを除く総合 東京都区部 生鮮食品を 除く総合 食料(酒類を除く)及び エネルギーを除く総合 大阪市 生鮮食品を 除く総合 25年 26年 12月 1月 0.3 0.2 2.5 2.5 2.2 0.3 12.7 8.1 0.0 0.1 ▲1.6 ▲1.8 3.3 0.9 17.8 12.7 0.6 0.6 0.4 0.6 2月 ▲0.2 1.8 ▲1.4 3.1 ▲0.3 ▲2.6 ▲1.8 6.2 ▲0.5 ▲0.8 3月 0.0 1.7 ▲0.1 2.3 ▲0.3 ▲2.7 ▲0.2 4.4 ▲0.4 ▲1.4 4月 2.8 4.1 0.1 1.6 ▲0.1 ▲1.7 ▲0.4 2.5 ▲0.6 ▲1.1 5月 0.3 4.3 ▲0.6 ▲0.5 ▲0.2 ▲1.3 ▲0.8 0.6 ▲0.3 ▲0.1 6月 0.2 4.5 ▲0.2 2.1 ▲0.2 ▲1.1 0.2 4.2 0.1 0.5 7月 0.4 4.4 ▲0.1 0.7 0.1 ▲0.9 ▲0.2 2.6 0.0 0.9 8月 ▲0.2 3.9 0.7 2.7 0.1 ▲0.7 0.6 4.5 ▲0.2 0.5 9月 0.0 3.6 2.0 3.7 ▲0.2 ▲0.9 2.1 4.4 ▲0.7 ▲1.2 10月 ▲0.8 2.9 ▲0.2 4.0 ▲0.6 ▲1.7 ▲1.2 4.1 ▲1.6 ▲2.9 11月 ▲0.2 2.7 4.5 7.4 ▲0.3 ▲1.9 2.6 5.1 ▲2.8 ▲5.7 0.8 ▲5.0 ▲4.6 ▲11.7 1.7 ▲7.1 ▲0.4 ▲5.9 ▲0.4 ▲2.1 ▲0.4 ▲0.5 1.4 2.6 ▲3.3 ▲2.1 ▲2.9 ▲9.1 ▲6.3 ▲11.8 ▲6.1 ▲19.0 ▲12.2 ▲28.9 2.3 11.0 3.5 11.7 ▲0.2 8.4 ▲2.2 5.3 0.5 8.0 1.0 5.2 ▲0.7 6.7 ▲0.3 5.3 ▲0.2 6.4 ▲0.2 5.2 ▲0.6 4.8 ▲0.8 3.4 0.5 6.6 0.9 7.9 0.5 6.3 0.6 7.7 ▲0.1 4.3 ▲0.4 4.3 ▲0.6 3.4 ▲1.5 3.1 ▲0.5 2.3 ▲0.3 1.4 0.6 1.5 1.7 1.8 0.1 1.6 0.0 1.3 0.0 0.7 0.0 1.0 ▲0.1 0.7 0.0 0.3 ▲0.2 1.3 ▲0.2 1.4 ▲0.3 1.3 ▲0.5 0.7 ▲0.4 0.7 ▲0.6 0.7 ▲0.7 0.3 ▲0.3 1.4 0.0 1.5 0.1 1.3 0.1 0.8 0.1 1.1 0.1 0.9 0.1 0.5 0.1 1.5 0.3 1.6 0.3 1.3 0.3 0.7 0.4 1.3 0.5 1.0 0.5 0.4 0.4 1.6 2.1 3.4 2.2 3.2 2.0 2.3 2.0 2.9 2.0 2.7 1.9 2.0 1.9 3.1 0.4 3.7 0.4 3.4 0.0 2.2 0.3 3.1 0.3 2.8 0.0 1.9 0.4 2.9 ▲0.1 3.6 0.0 3.3 ▲0.1 2.3 ▲0.2 3.0 0.0 2.8 ▲0.1 2.0 ▲0.1 2.8 0.0 3.4 0.1 3.3 0.0 2.3 0.0 2.8 0.0 2.7 0.0 2.1 0.1 2.8 0.2 3.3 0.0 3.1 0.1 2.3 0.3 2.8 0.2 2.7 0.2 2.1 0.0 2.6 0.2 3.2 0.0 3.0 0.0 2.3 0.2 2.8 ▲0.1 2.6 ▲0.2 2.0 0.1 2.6 ▲0.3 2.9 0.1 2.9 0.3 2.2 ▲0.2 2.5 0.2 2.6 0.3 2.1 0.1 2.3 ▲0.4 2.4 ▲0.2 2.7 ▲0.2 2.1 ▲0.4 2.1 ▲0.2 2.4 ▲0.2 1.8 ▲0.1 2.3 0.0 0.3 ▲0.4 0.4 0.3 0.4 0.6 0.5 2.4 3.3 0.2 3.5 0.1 3.5 0.0 3.4 ▲0.2 3.5 0.1 3.5 0.1 3.6 0.4 3.6 企業向けサービス 価 格 指 数 12月 0.0 2.1 ▲0.2 2.3 ▲0.1 1.8 ▲0.3 2.2 (注) 上段:前月比、下段:前年同月比、% (出所)日本銀行、総務省、大阪府、日本経済新聞社 ●11月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.2となり、 前月比は▲0.4%の下落、また前年同月比は+2.4%の上昇だが、前月より0.5ポイント低下 した。なお、96年10月から98年6月にかけて21カ月連続で上昇して以来、16年5カ月ぶり の18カ月連続上昇となった。 ●生鮮食品の前年同月比は▲3.1%となった。10月分は+2.4%の上昇だったので、総合指数 の前年同月比に対する寄与度差は▲0.22%と上昇率鈍化の半分を説明できる。また、エネルギー 全体の前年同月比は+3.9%となった。10月分の上昇率+4.9%より伸び率が低下したので、 総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.09%の押下げ要因になった。原油価格の下落が引 き続き影響している。電気代の前年同月比は+6.0%となった。10月分の上昇率+5.2%より 伸び率が上昇したので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%と押し上げ要因だっ た。北海道電力の値上げが影響したようだ。また、ガソリンの前月比は▲3.4%の下落、前年同月 比は+0.7%と18カ月連続の上昇だが10月分の+4.1%から上昇率が低下した。総合指数の 前年同月比に対する寄与度差は▲0.09%だった。 (次頁へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は11月分では前年同月比+3.9%と1 0月分の+7.3%から鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。そ のうちテレビは10月分の前年同月比+10.8%から11月分は+5.7%と上昇率が鈍化した。 総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同 月比+2.2%で、10月分の前年同月比+4.1%から鈍化した。総合指数の前年同月比に対する 寄与度差は▲0.02%だった。11月分の宿泊料は前年同月比+6.0%で、10月分の前年同月 比+10.0%から伸び率が低下した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%の押 し下げ要因になった。10月分は前年同月比+2.6%の上昇だった外国パック旅行は、11月分で は同+1.2%へ伸び率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。 ●11月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は103.4で、前月比▲0. 2%の下落、前年同月比は+2.7%の上昇だが10月分の+2.9%から0.2ポイントの鈍化と なった。なお前年同月比は18カ月連続で上昇した。18カ月連続でのプラスは96年4月から98 年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来16年7カ月ぶりのことである。増税分を除いたベース の前年同月比は+0.7%で、2カ月連続して+1.0%を割り込んだ。 ●11月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は100.8となり、前月比▲0.2% の下落、また前年同月比は+2.1%と10月分の+2.2%から0.1ポイントの鈍化となった。 前年同月比は14カ月連続上昇した。14カ月連続前年同月比がプラスなのは98年8月まで長期に わたって連続で上昇していた時以来で、16年3カ月ぶりである。 ●日銀の3月の金融経済月報の最後に掲載された試算結果を使って、4月分~11月分の全国消費者 物価指数の実績値「除く増税分ベース」を計算してみると、総合が+1.5%から+1.6%に上昇 した後+1.5%、+1.4%、+1.2%、+1.1%、+0.8%、+0.3%に鈍化。生鮮食 品を除く総合は+1.5%、+1.4%、+1.3%と鈍化したあといったん+1.3%と同じ上昇 率になり、再び鈍化し+1.1%、+1.0%、+0.9%、+0.7%になった。食料(酒類を除 く)およびエネルギーを除く総合は+0.8%から+0.5%に鈍化した後+0.6%となり、7月 分・8月分・9月分がともに+0.6%の上昇率だったが、10月分で+0.5%、11月分で+0. 4%まで鈍化した。 ●総合指数の季節調整済み指数は11月分が103.3で前月比▲0.1%の下落。生鮮食品を除く 総合指数の季節調整済み指数は11月分が103.4で前月比0.0%の横這いだった。総合指数の 下落は生鮮食品によることがわかる。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済 み指数11月分は100.8で前月比上昇となった。足元コアコアの部分の物価は上昇基調と言えそ うだ。 ●ESPフォーキャスト調査・12月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前 年同期比の予測平均値は、14年10~12月期が+2.87%で、14年4~6月期の+3.3% をピークにして上昇率が鈍化する見込み。15年1~3月期は+2.83%となっている。14年度 は+3.05%という予測平均値となっている。15年度の上昇率は+1.09%だ。消費増税の影 響を除いたベースでは、14年10~12月期+0.89%、15年1~3月期+0.81%と1% 割れの伸び率が続くという見通しとなっている。消費増税の影響を除いたベースの14年度の上昇率 は+1.05%という予測平均値となっている。 (次頁へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で14年7~9月期は ▲2.8%と、4~6月期の▲2.2%からマイナス幅が拡大した。但し、しっかりしたプラスの成 長率が見込まれる10~12月期以降は再び需給ギャップは改善基調に戻り、生鮮食品を除く総合指 数の前年同月比プラス基調継続を下支えする要因になると思われる。 (12月分の暫定的予測) ●12月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.3%程度と生鮮野菜などの下落を主因 に11月分の+2.4%より0.1ポイント程度低い上昇率になるが、19カ月連続の前年同月比上 昇となるとみた。19カ月連続は96年10月から98年6月にかけて21カ月連続で上昇して以来、 16年6カ月ぶりだ。前月比は0.0%程度とみる。 ●12月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.6%程度と11月分の +2.7%から上昇率が鈍化すると予測する。なお、96年4月から98年4月にかけて25カ月連 続で上昇して以来16年8カ月ぶりに、19カ月連続で前年同月比プラスになろう。前月比は▲0. 2%程度になろう。全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は当面プラスが継続する とみられる。しかし、12月分が予測通りだと消費増税分を除くと前年同月比は+0.6%程度であ り、3カ月連続して+1.0%を下回ることになる。 ●また、12月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+2.0%程度と1 1月分の+2.1%から上昇率がやや鈍化すると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇 以来、16年4カ月ぶりの15カ月連続プラスになりそうだ。前月比は▲0.1%程度になろう。 ●関連データである12月分の東京都区部消費者物価指数では、総合の前年同月比は+2.1%と1 1月分と同じ伸び率で、18カ月連続の上昇になった。生鮮食品の前年同月比は▲2.1%と11月 分の同▲4.7%の下落からマイナス幅が縮小した。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与 度差は+0.09%になり前年同月比の押し上げの主因になった。エネルギー全体の前年同月比は+ 4.3%となり11月分の+4.1%から若干上昇し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+ 0.01%になった。電気代の前年同月比は+6.0%で11月分の同+5.6%から上昇し、総合 指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%になった。一方、ガソリンは12月分では前年同 月比▲2.9%で11月分の同+1.5%の上昇から下落に転じ、総合指数の前年同月比に対する寄 与度差は▲0.04%になった。また、12月分ではテレビの前年同月比が▲2.7%と11月分同 +4.9%の上昇から下落に転じ、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%になった。 一方12月分の宿泊料は前年同月比+7.6%で、11月分の前年同月比+6.0%から伸び率が上 昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%の押し上げ要因になった。12月分 の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は0.0%だった。一方、大阪市の総合12 月分前年同月比は+1.7%と11月分の同+2.0%から0.3ポイント鈍化したが、19カ月連 続の上昇になった。12月分の前月比は▲0.2%だった。 ●12月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+2.3%で11月分の+ 2.4%から鈍化したが、20カ月連続の上昇になった。12月分の前月比は▲0.2%で2カ月連 続の下落だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の12月分前年同月比は+2.2%で11月分の+2. 3%から鈍化したが、20カ月連続の上昇になった。12月分の前月比は▲0.3%だった。 (次頁へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の12月分前年同月比は+1. 8%で11月分と同じ伸び率で、14カ月連続で上昇した。12月分の前月比は▲0.1%で2カ月 連続の下落だった。一方、大阪市では12月分の前年同月比は+1.8%と11月分と同じ伸び率で、 15カ月連続の上昇になった。12月分の前月比は▲0.2%だった。 (12月26日現在) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
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