地域パートナーHOT 情報 〔岡山県〕 魅力再発見!倉敷の商店街 森分 幸雄(流通・サービス産業課長) [email protected] TEL 082-224-5655 新年あけましておめでとうございます。本年も“もんげー!岡山県”をよくリサーチして、 HOT な情報をお届けしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申しあげます。 「楽園のカンヴァス」という小説(ミステリー)、ご存知ですか? 富豪が持つ巨匠ルソーの絵の権利譲渡をかけて、一冊の古 書を読み解きながら、絵の真贋競争が展開されるという物語で すが、主人公は若くして美術史の博士号を取得し、世界の美術 史学界から注目されていた研究者で、訳あって今は学界から 離れ、大原美術館の監視員を勤めているシングルマザーという 設定です。倉敷市出身の筆者としては、開巻冒頭に出てくる大 原美術館の絵画や倉敷弁の会話に懐かしさを感じました。本に ① 触発され、久しぶりに大原美術館(写真①)を訪れましたが、倉 敷駅から美観地区まで、アーケードのある商店街や昔の面影を残した小路を巡りながら歩く と、様々な発見がありました。 ■商店街まるごと美術館 倉敷駅からアーケードのある商店街に入ると、店の前に小さな絵がいくつも飾られていま した。よく見ると、作者は幼稚園・保育園児や小中学生。 大原美術館の名画5作品をモチーフにしたアート・コンテスト の作品だということです。子供たちの作品は、メルヘンチック なものから、前衛作品風、漫画風など、子供ならではの自由 な発想で名画が表現されており、目を楽しませてくれまし た。 この「商店街まるごと美術館」という取組は倉敷商店街振 興連盟が主催するもので、今回が2回目とのこと。 展示されている作品は約 100 点もあるとのことでした。 展示期間は昨年の 12 月 31 日までと残念ながら終わりまし ②店先に飾られた作品。オシャレです。 たが、第 3 回目の開催を期待したいと思います。 旬レポ中国地域 2015 年 1 月号 1 ■外国人旅行者向け消費税免税店を発見! 「倉敷えびす通商店街」を歩いていくと、このマークに 目を奪われました。このマークは、「外国人旅行者向 け消費税免税店」である証。昨年 10 月 1 日から、対象 品目に消耗品も追加されたことで、今や観光地などで ③外国人旅行者によく見える ように張られた注意書き もよく見かけるようになったマークです。倉敷美観地区 と言えば、岡山県 No.1 の観光地。その近くにある商店 街にも外国人旅行者が立ち寄るそうです。 このお店は、ブランド子供服専門店の『プチバンビーナ』(写真④)。120 坪の広い店内には、 子供服や関連グッズがところ狭しと陳列されています。豊富なサイズと 50 以上のブランドを扱 う充実した品揃えがお店の自慢。メディアマネージャーの岡野正裕さん(写真⑤)に外国人旅 行者についてお話を伺いました。外国人旅行者は、「メイドインジャパン」にこだわるそうです。 また、甚平や浴衣など日本的な衣服や描かれる文字や絵のデザインも含め、和のテイストを 求める方が多いようです。岡野さんはこの免税制度を商店街に広める活動をされています。 「外国人旅行者に対する免税制度は商店街の魅力につながるし、各店舗にもメリットがある ので、ぜひ多くのお店で取り組むべきと思う。しかし、免税手続きがとにかく煩雑で難しいので なかなか浸透しない。商店街でまとめて第三者に委託できるようにするなど、手続きの簡素 化について検討して欲しい」というご意見をいただきました。 ◆プチバンビーナのHP http://www.putiban.com/ ◆海外向けHP(英語版) http://www.putiban.com/global/ ④ 旬レポ中国地域 ⑤ 2015 年 1 月号 2 ■美観地区周辺の新しい商業スポットを訪ねる 「倉敷えびす通商店街」から「倉敷えびす商店街」を通 って、「倉敷本通り商店街」をぶらぶら散策すると倉敷美観 地区エリアにつながります。細い路地がいくつもあるので、 試しに入ってみると、人の姿のない静かな空間に出会いま す。白いなまこ壁の土蔵に囲まれ、空の高さを感じるひとと きは、倉敷の魅力のひとつではないでしょうか。 倉敷美観地区周辺では、江戸・明治・大正時代の屋敷や町屋、社屋などを物販・飲食など の商業施設にリノベーションする取組が多くみられます。「中心市街地活性化法」の認定基本 計画に基づき整備された事業(「林源十郎商店」や「奈良萬の小路」)に触発され、民間投資も 活発化されており、町屋を再生する事業が相次いでいます(「クラシキ庭苑」など)。これら、新 しい倉敷美観地区の魅力スポットを訪ねてみましょう。 □林源十郎商店(写真⑥) 1657 年創業、薬種業を営んでいた林薬品株式会社の旧社屋(本館)、社長宅(母屋、蔵)を 現代風にリノベーションした複合施設。衣食住の生活デザインマーケットがコンセプト。とにか くおしゃれ!ここでしか味わえない体験型カフェ、おもてなしごはん、地元食材の石釜料理、 世界初のデニムスーツなど、魅力満載。 □奈良萬の小路(写真⑦) 江戸時代の老舗旅館「奈良萬」と、筋向かいの「白井邸」跡を、路地で結ばれた「食の広場」 として再生整備。飲食店を中心に9店舗あります。白壁に囲まれた風情を残しつつ、町に魅 力的な奥行きを生み、同時に防災問題の解消も考慮されています。地元の方にも愛される食 の広場となっています。 □クラシキ庭苑(写真⑧) 築百年以上の民家を改修し、昨年6月にオープンしました。カフェやバーなど、掘割筋にあ る新しいスポットです。倉敷アイビースクエアから近いこともあり、多くの観光客が立ち寄って いました。 □倉敷デニムストリート(写真⑨) 美観地区の掘割筋、ちょうどクラシキ庭苑と倉敷川をはさんで向かい合う位置に昨年 11 月 にオープンした新しいスポットです。地元または岡山県で製造されたデニム製品の品揃えが 豊富。このストリートの突き当たりには、星野仙一記念館がありました。 旬レポ中国地域 2015 年 1 月号 3 ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ■おわりに 美観地区は電線類が地中化されており、高層建築もなく、 車輛の進入も規制され、町屋等の再生が景観にマッチしてい るため、どこを歩いても非常に趣があります。 また、公衆トイレや案内図が多く、観光客にやさしい街づくりで す。さらに、商店街もアーケード改修や街路灯のLED化、防犯 カメラの設置等、「安心安全なまちづくり」のために積極的な投 資をされていることを伺いました。 商店街をゆっくり歩きながら、この街ならではの逸品を探して みるのも楽しいひとときではないでしょうか。 ◆倉敷観光WEB http://www.kurashiki-tabi.jp/ ■取材協力 ■参考文献 ■写真 倉敷市建設局まちづくり部新市・まちづくり推進課、(有)プチバンビーナ 楽園のカンヴァス(原田マハ著、新潮文庫)、同書解説(高階秀爾著) 全て筆者撮影(写真の無断使用はご遠慮ください。) 経済産業省 中国経済産業局 広報誌 旬レポ中国地域 2015 年 1 月号 Copyright 2015 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry. 4
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