第 17 回日本在宅医学会もりおか大会 一般・指定演題 (研究報告)抄録用紙 演題名 フェンタニル貼付剤をモルヒネ塩酸塩注射剤に置き換えた場合の薬剤 費の検討 (全角 80 字以内) ○佐々木徹 1) 演者名 吉町昌子 2) 株式会社 所属 長井貴之 1) 池永祐介 1) 野村和彦 2) 後藤輝明 2) ツルハ 1)調剤薬局ツルハドラッグ津志田店 2)調剤運営本部 研究方法 (右から番号を選 び NO.欄に番号を ご記入ください) 1.症例報告 2.症例シリーズ報告 4.症例対照研究 5.調査研究 8.質的研究 3.コホート研究 6.介入研究 7.二次研究 9.その他研究 NO. 5 【目的】 フェンタニル貼付剤は、内服が困難になった患者に簡単な手技で導入することができるた め、在宅医療においても有用な剤形である。しかし、高用量になった患者を担当する度、そ の薬剤費と患者自己負担金が高額になることに不安を感じることがある。そこで、フェンタ ニル貼付剤が高用量になった場合の、もうひとつの選択肢と考えるモルヒネ塩酸塩注射液 (以下、モルヒネ注)と比べ、どの程度経済的な差が生じるか調査した。 【方法】 患者 A・〈女性・51歳・胸部食道がん・腸瘻〉 フェンタニル貼付剤18.4mg/日+モルヒネ塩酸塩水和坐剤(以下、モルヒネ坐剤)2 0mg3個/日を、一般的な換算表を用いて、モルヒネ注にオピオイドローテーションをシ ュミレーションし、使用した医療用麻薬の薬剤費の比較を行った。 【結果】 《フェンタニル貼付剤18.4mg/日+モルヒネ坐剤60mg/日》薬剤費:12,22 1円/日、342,196円/月。《モルヒネ注200mg:219mg/日+60mg/ 日》:薬剤費:6,939円/日、198,920円/月。1ヶ月での薬剤費の差は、14 3,276円であった。注入ポンプ加算を加算しても、その差は130,776円であった。 また、初回より18ヶ月間のフェンタニル貼付剤の処方総額は5,454,614円であり、 モルヒネ注に換算した場合は、2,521,311円であった。 【考察】 フェンタニル貼付剤に代えてモルヒネ注を使用した場合、半額程度に抑えることができるこ とがわかった。末期がん患者の薬剤費の節約を考慮する必要がないかもしれないが、医療費 が増加している現況を考えると、経済的な緩和薬物療法も考慮すべきなのかもしれない。薬 剤師が、薬剤費の軽減という経済的な提案も行うことで、患者の選択肢を増やし、経済的な 不安を取り除くこともできるだろう。また、医療費・薬剤費の抑制という意味においても、 貢献できると考える。
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