特定非営利活動法人 醸造の町摂田屋町おこしの会(新潟県長岡市) 活動のテーマ:豪商の館「機那サフラン酒本舗」の保全の為の地域活性化活動 団体設立経緯 長岡市南部に位置する摂田屋地区は江戸時代から、酒・味噌・醤油などの醸造業が集積した醸造の町 である。長岡市の市街地は太平洋戦争でほとんど焼失 したが、摂田屋地区は危うく難を逃れ、明治・大正時 代の建物が残り、独自の文化・景観を持つに至った。 ここに生活する者にとっては当たり前の空間であるが、 外来者にとっては魅力的に映っている。JR長岡駅駅 長(当時)の助言もあり、これを有効活用し、まちお こしをしようという機運が盛り上ってきた。 ところが平成16(2004)年、新潟県中越地震が起き、 この地域にも大きな被害をもたらし、中でも蔵造りの 建物は存亡の危機を迎えた。そこで、この景観や歴史 的建造物を守り、地域を活性化させようとNPO法人 の設立に至った。 活動地域の概要 摂田屋の魅力が発信されたのは最近のことである。市内でも余り知られていなかったのが実態で、本 格的に摂田屋を紹介する活動は、始まったばかりである。中越地震を契機として町の独自性が認識され 始めたものの、この町に根付く産業・景観・文化については調査も不十分で、その魅力や現状も伝えき れてはいない。摂田屋の景観や文化を残して伝える、町として輝くためには更なる情報発信が必要であ る。 近年、摂田屋は長岡において最も注目される地域のひとつとなりつつあり、この地を訪れる人は年々 増加している。しかし、もともと摂田屋は醸造業と住宅地の混在する工住近接地域であるため、観光的 インフラが整備されていない。本NPОが中心となって案内板などを設置したものの、まだまだ町の魅 力を伝えるにはほど遠い状態である。現在、摂田屋を訪れる人にとっては不自由な所と言わざるを得な い。 一方、摂田屋地区では7件の建造物が有形登録文化財とされ、歴史的建造物として評価の高い機那サ フラン酒本舗の「鏝絵の蔵」は修復も行われた。ところでこの町は未だ、気軽に立ち寄ることのできる 便所や休憩施設が整備されてはいない。町おこしを行う場合、中核と目される機那サフラン酒本舗を構 成する主屋・離れ座敷・庭園は、建設から100年以上が経過し荒廃したままで、詳細な調査も実施さ れてはいなかった。これらの施設を後世に残し、町おこしに活用するためには修複・修景が急務である。 そこで昨年、貴財団の助成を戴いて灯篭を一部再建し、清掃ボランティア活動によって公開のできる環 境を整えてきた。そして保存運動拡大のため新たなネットワーク「機那サフラン酒本舗保存を願う市民 の会」を立ち上げた。 秋には初めて離れ座敷を一般公開し、大きな反響も 戴いた。公開アンケートの結果でも多くの方々が保存 を望み、この活動に期待され寄付をお寄せいただいて いる。また、摂田屋地域の街並み整備事業も少しずつ ではあるが、目に見える形で進行してきている。 9月にはJR東日本の「トランヴェール」で紹介さ れこともあり、県外からの摂田屋散策は一段と人数を 増している。地元での関心も高まりを見せ、市議団、 会議所、ライオンズクラブ、建築士協会などの団体見 学が頻繁に行われるようになってきた。 活動の進捗状況 ①会議(保存市民の会例会) 4月23日、6月4日、8月8日、 (11月6日予定) 毎回 20 人から 30 人が集ま り、 意見交換が行われて います。 ②ボランティアによる草取りや邸内整備清掃他活動 4月12日 草取り・離れ清掃・主屋片付け 5月 4日 主屋片付け 6月14日 離れ清掃・イベント準備 6月21日 抜いたる隊Ⅹ・離れ片付け 恒例作業前のミーティング、参 加者の自己紹介が一巡してか 6月28日 離れ障子貼り窓拭き ら、その日のスケジュール案内 9月14日 看板展示蔵通路片付け 9月20日 抜いたる隊ⅩⅠ・離れ清掃・主屋片付け 9月23日 主屋、看板展示蔵通路壁作成 「抜いたる隊」という名で 5年目を迎えたこの草取り は私たちの活動の原点 離れ清掃作業、皆さんに見 初めて手をつける場所は 記念撮影 作業が一段落 ていただくために心をこ 大変。主に男性が埃と格闘 すると必ず皆さん集まっ めてきれいにします。 しながらの重労働です。 て写真を撮ることにして います。 ③イベント 4月20日 摂田屋蔵開放に合わせた「機那サフラン酒本舗一般開放」 摂田屋各蔵元の蔵開放に併せ、サフ ラン酒も庭園と離れ座敷を開放。 多くの方が見学した。 交流会 実は作業内容は かなりハードです。お昼に なったら味噌汁とおにぎ りとお酒、夢も語ります。 7月 4日 松本薫狂言ワークショップ (長岡舞台芸術愛好会主催) 本舗離れ座敷での初の文化的イベント。 松本薫氏を招いての狂言ワークショップ。 本舗の活用法として良い実績がつくれた。 7月 5日 Secret Garden Concert 庭園・離れ座敷開放とコンサートとライトアップ複合イベント 素敵なコンサートになりました。残念なのはシークレットで行われたこと。 お呼びしたのは近隣と一部のネット発信でご案内した人たち。 庭園と離れ座敷を活用したこの試みは今後も是非つづけたい。 10月 4日 「おっここ摂田屋市」機那サフラン酒本舗公開 本舗の活用法として良い実績がつくれた。 この日、本舗を訪れたの 入口付近では、地元小学 今回は新たに玄関から大 大看板は 2 年ぶりの公開 は 1,613 人。市内外から 生が作った風鈴の音が訪 看板展示の蔵までの通路 だ。 大勢の人が集まった。 れた人たちを迎えた。 を整備し、展示を行った。 離れ座敷入口ではアンケ 離れ座敷 1 階のヒノキ板 大学生の指導で地元小学 2階のお座敷も多くの人 の廊下。 生が作ったミニ鏝絵も展 に驚きを感じさせたよう 示された。 だ。 ートが行われ、313人 が回答した。 ④存続のための応急工事と庭園整備 6月 庭園樹木下枝伐採工事 庭園灯篭積み直し工事 離れ屋根雨漏り防止工事・雨戸取り外し工事 ⑤保存を促進する調査と記録 11月初旬 建築精密調査 ⑥保存を促進する情報発信 4月 「機那サフラン酒本舗保存を願う市民の会」 ⑦募金活動 4月~10月末までの募金金額 3,384,588円 累計募金総額 5,434,954円 今後の予定 着実に進展しているという手ごたえを感じている一方で、計画はしたものの未達に終っているものも 多い。目標達成のためには時間がかかり、活動を持続するパワーが必要と感じている。募金についても 目標額には大きく届かないところで足踏みをしている状態です。資金が枯渇すれば思うような活動もで きないことを考えれば、集め方や発信の方法について検討し新たな策を講じる必要があります。 10月に実施したアンケートでは保存を支持する熱いメッセージを沢山得られました。その中には行 政の積極的なかかわりを求めるご意見も複数ありました。同月市議団の見学もありましたが、そろそろ 行政を巻き込んだ形で活動を展開してゆく時期に来ているかも知れません。 11月以降は建築調査とその報告会、主屋他の雨漏り防止工事が行われるため、今はその準備に追わ れているところです。11月16日の「機那サフラン酒本舗建築調査報告会Ⅱ」では本舗のどこが凄い のかを調査にあったった大学教授に解説いただきます。本舗の魅力の埋蔵量はかなりな量と思われます。 これを着実に発掘し、発信していくことが必要です。 この後は今期積み残しの事業を進めると共に、屋敷内に残された荒れ放題の場所を少しずつでも整備 してゆきたいと思います。これから冬に向かうので大勢での作業は困難ですが、来春から新たな公開を 目指して準備してゆきます。 ボランティアの方々の力が欠かせません。地方のあり方が問われている今、新たな責務も感じつつ、 貴重な歴史的資源を活かし、地域と市民のネットワーク拡大しながら活動を展開し、摂田屋が活性化す るよう努めてゆきたい。 □添付資料 ホームページ http://kina-saffron.com/ Facebook https://www.facebook.com/nnn.settaya Youtube 2014 サフラン保存活動記録1 http://www.youtube.com/watch?v=uxjX3WAgp94 Secret Garden Concert in an abridged version http://www.youtube.com/watch?v=-aBnwCFWY54 保存する会 豊口協挨拶 http://www.youtube.com/watch?v=xaowA9l3Fvw 建造物について渡辺教授の解説 http://www.youtube.com/watch?v=K0XYRloizhI 新聞記事 ↓20140315 日報 離れ利用団体募集 ↓20140416 日経. 摂田屋建物を後世に ↓20140420 日報 10 段 Re;摂田屋 ↓20140427 産経 レトロな建物並ぶ ↓20140617 日経 ライトアップ計画 ↓2014618 日報 初ライトアップイベント ↓20140706 日報 鏝絵闇に鮮やか ↓20140711 日報 本舗初の一般利用 ↓20140820 気になる相似(下 ) ↓20141003 大看板2年ぶりに ポスター・チラシ等 Secret Garden Concert ポスター アンケート集計 おっここ摂田屋市 ポスター、チラシ ↓20140820 気になる相似(上) おっここ摂田屋市 チラシ裏 建築調査報告会 ポスター 掲載紙 トランヴェール 狂言ワークショップ チラシ
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