第1章 中小企業・小規模事業者支援の現状と今後の在り方 事 例 4-1-5. 沖縄県商工会連合会 経営指導員の育成を通じて、会員数増加及び組織率向上に 成功した商工会連合会 沖縄県商工会連合会は、県内 34 の商工会を管轄しており、県内の経営指導員数は 67 名、同連合会には 16 名在 籍している。 沖縄県の各商工会では、急速に経営指導員の世代交代が進行し、ベテランの経営指導員のノウハウが充分に移転 しないまま経験の浅い若手の経営指導員の割合が増加してしまった。 そのような中、同連合会では、2010 年度から経営指導員の支援機能強化への取組として、 「経営力向上支援事業」 を行うこととした。 経営力向上支援事業とは、県内の経営指導員の中から選ばれた専門経営指導員(スーパーバイザー)が、OJT 13 を通じて各商工会の経営指導員を育成する事業である。スーパーバイザーには、小規模事業者への経営支援に関す る高い知識と経験を有するなどの一定の条件を満たした経験豊富な現役中堅の経営指導員から選抜し任命してい る。また、任期は最大でも 5 年間とし、在任中に後任となる人材の育成を促し、人材が固定化しないような工夫 も行っている。 スーパーバイザーの業務は会員企業への直接支援ではなく、必要に応じ外部専門家の協力を得て、商工会の経営 指導員による主体的な取組をサポートする役割を担っている。具体的には、若手の経営指導員には 1 年以内に経 営革新計画の承認を目標とする「計画型 OJT」を行い、ベテラン経営指導員には個別案件に応じてスーパーバイザー がサポートする「課題型 OJT」を行っている。 事業の構想段階では、スーパーバイザーが会員企業へ直接支援を行わないのは効率的ではないとの議論もあった が、実際に事業が稼働してからは、経験年数 1 年未満の経営指導員が単独で 2 件の経営革新計画の作成支援を行 うなどの成果が現れている。また、各商工会が、難易度の高い案件や非会員からの創業の相談にも積極的に応じる ようになり、会員非会員を問わず、商工会へ相談しやすい雰囲気づくりにもつながった。こうした取組が地域の事 業者に広く受け入れられ、2013 年 11 月現在、沖縄県内全商工会の会員数が、1999 年以来 14 年ぶりに 2 万人を 突破し、組織率も 62.9%(対前年比 2.3%増)に達するなど、県内の小規模事業者数が減少する中で、会員数の増加、 組織率の向上を果たしている。 平成 25 年度沖縄県商工会連合会「経営力向上支援事業」実施体制 中小・小規模事業者 職種 相談 職種 支援 SV 名 創業 AD 藤岡 敬一 平良 雄史 中部地域 経営強化 竹内 成人 指導員 (中小企業診断士) 嘱託専門 指導員 〃 荻堂 盛臣 南部地域 矢尾 直稔 (税理士) 商工会 経営指導員 桃原 礼子 (IT 担当) 専門的な支援 配置先 西浜 尚登 北部地域 (中小企業診断士) 外部 専門家 連携支援(OJT) 連携 中小企業・小規模事業者 ビジネス創造等支援事業 (地域プラットフォームによ る専門家派遣) 北部 中部 八重山地域 連合会 高江洲 勤 連合会 ・創業 AD による セミナーの開催 ・外部専門家との 連携支援(OJT) 本永 学 金城 学 南部 スーパーバイザー (分室 SV) 専門家派遣 税理士派遣 連携 先島 商工会連合会 SV・創業 AD・経営強化指導員 エキスパート・嘱託専門指導員 ※消費税相談窓口 ・連携して巡回指導の実施 ・連携会議等による情報交換 (注 1)SV=スーバーバイザー (注 2)創業 AD=創業アドバイザー 13 478 SV・創業 AD との連携支援 外部専門家との連携支援 SV と指導員との連携 ※消費税転嫁対策窓口相談等事業 講習会の開催、相談窓口の設置 専門家の派遣 「OJT」とは、 「On-the-Job Training」の略で、職場内で管理監督者の下、具体的な業務を通じて、業務に必要な知識・技術・技能・態度などを計 画的、継続的に身に付ける活動のことをいう。 中小企業白書 2014
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