報道関係資料 (配布先)農政記者クラブ/東商記者クラブ/厚生労働記者会 2015 年 2 月 4 日 日清オイリオグループ株式会社 日清オイリオグループ 第 3 回食物アレルギーに関する実態調査 ~学校・保育所で給食づくりに従事している栄養士へのアンケート結果~ 約 6 割が誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)を経験 給食における代替食品の利用は広く浸透。食物アレルギーの原因食材を使わない献立づくりの工夫も進む 日清オイリオグループ株式会社(社長:今村隆郎)は、2012 年度より食育活動の一環として、食物アレ ルギーに関する実態調査を実施しています。今年度もアレルギー週間(2 月 17 日~23 日)にさきがけ、 学校・保育所等の給食に従事し、食物アレルギー対応を行っている栄養士・管理栄養士 103 名を対象に 調査を行いました。 ≪調査結果のポイント≫ ■約 5 割が食物アレルギーに対応した給食を提供 食物アレルギーを持つ方に対して、約 5 割が食物アレルギーに対応した除去食※1 や、除去により不足 する栄養素を別の食品で補う代替食を提供していることが分かりました。【図 1】 ■約 6 割が誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)を経験 誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)の発生は約 6 割があると回答しました。発生箇所は多岐にわたり、 調理する側、食べる側双方に注意が必要であることが伺えます。【図 2】【図 3】 ■給食における食物アレルギー対応はハード面の充実が課題か 献立表や食札※2 の工夫、複数人による多重チェックなどソフト面での対応は進められているものの、 専用の調理器具や食器、調理スペースの確保などハード面の対応が遅れていることが伺える結果と なりました。【図 4】 ■アレルギー対応食品などの代替食品利用は約 7 割 よく使われているのは卵の代替食品 約 7 割が給食で代替食品を使用していると回答しました。また、使用している代替食品について聞いた ところ、卵を使っていない食品が上位を占めました。【図 5】【図 6】 ■食物アレルギーの原因となる食材を使用しない献立づくりへの取り組み進む 食物アレルギーの原因となる食材をなるべく使わず、全員共通のメニューを食べられるような取り組み について「既に取り組んでいる」・「今後取り組む予定である」と回答した人は 6 割以上になりました。【図 7】 ※1:食物アレルギーの原因となる食材を除いた食事 ※2:食事に名前と献立やアレルギー対応情報が記載されているもの ≪調査概要≫ 調 査 実 施 日:2014 年 12 月 26 日~2015 年 1 月 4 日 調 査 方 法:インターネット調査 調 査 対 象 者:保育所・認可外保育施設・小学校・特別支援学校の給食に従事する栄養士、管理栄養士 103 名 ≪お話を伺った先生≫ 堀端 薫(ほりばた かおり)先生 女子栄養大学 給食システム研究室 准教授 〈リリースに関するお問合せ〉 日清オイリオグループ 食物アレルギー調査事務局 (トータル・コミュニケーションズ株式会社内 担当:佐藤、寺田) TEL:03-3291-0099 〒101-0065 東京都千代田区西神田 1-3-6 ウエタケビル 4 階 ≪総括≫ 調査の結果、約 6 割の栄養士が誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)の発生を経験していることが明ら かになりました。発生箇所は多岐にわたっており、さまざまな面で注意を払う必要があることが伺えます。 食物アレルギーに対応した食事づくりに活用できる代替食品の給食における利用は約 7 割と広く浸透 していることが分かりました。食物アレルギーの原因となる食材をなるべく使わず、全員が同じメニューを 食べられるような取り組みが進んでいることも伺える結果となりました。 ≪専門家のコメント≫ 堀端 薫(ほりばた かおり) 女子栄養大学 給食システム研究室 准教授 昭和 63 年 女 子 栄 養 大 学 栄 養 学 部 卒 業 後 、 東 京 都 学 校 栄 養 職 員 と し て 入 都 。その後 、母 校 に戻 り、実 験 実 習 助 手 、助 手 、専 任 講 師 を経 て、平 成 25 年 4 月 から准 教 授 となり現 在 に至 る。 給 食 における衛 生 管 理 、品 質 管 理 をテーマとした研 究 に携 わるほか、地 方 自 治 体 において給 食 アドバイザーや給 食 検 討 委 員 も務 める。 食物アレルギー疾患の子ども達の増加により、近年、学校・保育所等の給食における食物アレルギー 対応が重要となってきていることを実感しています。 調査結果から、アレルギー対応食品などの代替食品を活用している実態が浮かび上がってきました。 これらの食品の利用は誤食の発生を未然に防ぐだけでなく、調理上の作業負担を軽減する手段としても 有効だと思います。しかし、給食費との関係でコスト面から使用することが難しい場合もあると考えられ ます。 食物アレルギーの原因食材をなるべく使わないメニューづくりも含め、今後はますます安心・安全な 給食の実現に向けた取り組みを進めていくことが必要となるでしょう。 ≪調査結果の詳細≫ ■施設における食物アレルギー対応の基本方針 n=103 【図 1】 基本方針は無く、 個別に対応している 4.9% 代替食対応 16.5% 食物アレルギー対応の基本方針について聞いたとこ ろ、「代替食対応」(16.5%)、「除去食対応」(33.0%)と いう結果になりました。 約半数が食物アレルギーに対応した給食を提供してい ることが分かりました。 詳細な献立対応 33.0% 除去食対応 33.0% 完全もしくは、 一部弁当対応 12.6% ※代替食対応:申請のあった原因食品を給食から除き、除かれることによって失わ れる栄養価を、別の食品を用いて補って給食を提供する。 ※除去食対応:申請のあった原因食品を除いて給食を提供する。 ※完全もしくは、一部弁当対応:普段除去食や代替食対応をしている中で、除去が 困難で、どうしても対応が困難な料理において弁当を持参させる。 ※詳細な献立対応:原材料を詳細に記入した献立表を家庭に事前に配布し、それ を基に保護者や担任などの指示もしくは自身の判断で、原因食品を除外しなが ら食べる対策。 ■誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)の発生 n=103 【図 2】 現在従事している施設において、誤食につながる問題 (ヒヤリ・ハット)の発生があったか聞いたところ、61.2% が「ある」と回答しました。 ない 38.8% ある 61.2% ■誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)の内容 n=63:誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)の発生があった回答者(複数回答) 【図 3】 誤配 41.3% 原材料での混入 39.7% 調理過程における混入 調理過程での混入 30.2% 食べる側による誤食 喫食者による誤食 その他 23.8% 1.6% 誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)があったと回答した人のみに、どのようなことがあったか聞いたと ころ、「誤配」(41.3%)、「原材料での混入」(39.7%)、「調理過程での混入」、(30.2%)、「食べる側による 誤食」(23.8%)と続き、調理過程だけでなく、さまざまな面で誤食の発生を防ぐ注意をはらう必要がある ことが伺えます。 ■調理から食事提供までの食物アレルギー対応実施状況 n=103 【図 4】 実施している 今後、実施予定である 実施する予定はない 献立表を分かりやすく改善する 78.6% 食札を分かりやすく工夫する 75.7% 複数人による多重チェックを実施する 専用の調理器具を用意する 低アレルギー食品やアレルギー対応食品など、代替食品を活用する 8.7% 12.6% 12.6% 68.0% 13.6% 59.2% 51.5% 16.5% 16.5% 専用の食器を用意する 48.5% 14.6% 食物アレルギーの原因となる食材を出来るだけ使用しない献立にする 48.5% 16.5% 専用の調理室や調理スペースを用意する 42.7% 17.5% 11.7% 18.4% 24.3% 32.0% 36.9% 35.0% 39.8% 調理から食事提供までの 8 つの項目について実施状況を聞いたところ、実施していることは「献立表を分 かりやすく改善する」(78.6%)、「食札を分かりやすく工夫する」(75.7%)、「複数人による多重チェックを 行う」(68.0%)に回答が集まり、ソフト面での対応は進められているものの、専用の調理器具や食器、 調理スペースの確保などハード面での対応が遅れていることが伺える結果となりました。 しかし、これらの項目については、「今後、実施予定である」との回答もあり、今後はハード面での対応も 進んでくることが考えられます。 また、代替食品の活用や、食物アレルギーの原因食材を出来るだけ使用しない献立にするなど、献立 づくりにおける工夫を行っている施設もあり、更なる事故防止策が考えられていることが伺えます。 ■給食での代替食品の使用状況 n=103 【図 5】 給食における代替食品の使用状況を聞いたところ、 57.3%が「食物アレルギーを持つ方に使用している」と 回答しました。 さらに、11.7%が「食物アレルギーを持たない方も含め て使用している」と回答したことから、約 7 割が給食の 食物アレルギー対応において代替食品を使用している ことが分かりました。 使用していない 31.1% 食物アレルギー を持つ方に使用 している 57.3% 食物アレルギー を持たない方も 含めて使用して いる 11.7% ■給食で使用している代替食品 n=71:給食で代替食品を使用している回答者 【図 6】 使用している 使用していないが、使用したい 卵を使っていないマヨネーズ 使用しておらず、今後も使用は考えていない 66.2% 卵を使っていないハム・ソーセージ・ベーコン 15.5% 62.0% 卵を使っていない練り製品 57.7% 米粉で作ったパン 36.6% 豆乳で作ったヨーグルト 36.6% 小麦を使っていない味噌やしょうゆ 35.2% 食物アレルギー対応のドレッシング 31.0% 乳製品を使っていないマーガリン 29.6% 食物アレルギー対応の風味調味料 29.6% 低アレルギー化の小麦粉 28.2% 低アレルギー化の牛乳 26.8% 食物アレルギー対応のケチャップ 25.4% 11.3% 31.0% 53.5% 乳製品を使っていないポタージュスープの素 18.3% 26.8% 11.3% 22.5% 23.9% 29.6% 33.8% 33.8% 26.8% 29.6% 38.0% 36.6% 32.4% 35.2% 35.2% 40.8% 29.6% 35.2% 35.2% 36.6% 38.0% 40.8% 33.8% 給食で使用している代替食品の第 1 位は「卵を使っていないマヨネーズ」(66.2%)、次いで「卵を使って いないハム・ソーセージ・ベーコン」(62.0%)、「卵を使っていない練り製品」(57.7%)と続き、卵を使って いない代替食品が多く使用されていることが分かりました。 ■食物アレルギーの原因となる食材を使用しない献立づくりへの取り組み n=103 【図 7】 取り組む 8.7% 予定はない 取り組みたいが、 実現が難しい 26.2% 既に取り組んでいる 43.7% 食物アレルギーの原因となる食材をなるべく使わず、 食物アレルギーを持つ方も含め同じメニューを食べら れるような取り組みについては、「既に取り組んでいる」 (43.7%)となり、「今後、取り組む予定である」(21.4%) との回答も含めると約 65%にのぼる結果となりました。 また、「取り組みたいが、実現が難しい」との回答は 26.2%になり、約 9 割が取り組みについて前向きな考え を持っていることが分かりました。 今後、取り組む 予定である 21.4% 〈リリースに関するお問合せ〉 日清オイリオグループ 食物アレルギー調査事務局 (トータル・コミュニケーションズ株式会社内 担当:佐藤、寺田) TEL:03-3291-0099 〒101-0065 東京都千代田区西神田 1-3-6 ウエタケビル 4 階
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