平成 26 年度「協働ロードマップ策定事業(現代アートを活かした地域の魅力づくり)」 (第 1 回)議事概要 参加者:別添参加者名簿のとおり 会場 :あいちNPO交流プラザ 1 開会・テーマの趣旨及び資料説明 ○目的 地域が抱える課題を解決していくため意見交換の場。 全部で 5 回。 ○趣旨 NPO、行政側の相互理解の促進と課題共有をする。 中長期的な視点を踏まえた上での役割分担、連携協力の在り方を探る。 ロードマップを作るというのがゴールイメージ ○ロードマップの説明 課題の解決に向けて、NPOと行政の実務者がどうしたら良いか話し合い、課題を共 有し、取りまとめる。 課題が整理され、将来の姿が掲げられ、役割分担がされているという3点。 ○今回のロードマップのテーマ「現代アートを活かした地域の魅力づくり」説明 トリエンナーレの目的のひとつである「文化芸術活動の活発化により、地域の魅力を 向上」について話し合いを行いたい。 トリエンナーレに対する議論ではなく、一般論として、現代アートを地域の魅力づく りにどう活かしていくか、そのなかで行政とNPOの役割は何かについて議論する。 なお、ロードマップについては、成果物をつくることや計画づくりを目的としている ものではなく、集まって意見交換をしながら、その議論の過程を共有し、議論した人が 地域で他の人を巻き込む、その行程が重要な事業と考えているので、自由に話し合って もらえばよい。 ○自己紹介(普段どのようなことをしているか) (名古屋学芸大学 助教 村上将城氏) 創立して 12∼13 年と新しい大学のメディア造形学部の助教をしており、主に写真作品 を作っている。 前回のあいちトリエンナーレ 2013 で、ドイツで活躍しているアーティストグループの 作品のコーディネートをしていた。 トリエンナーレにかかわったのは、2013が初めて。 (sebone 実行委員会 代表 黒野有一郎氏) 豊橋市内の水路上に建つ水上ビルという 50 年以上経過する建築物、ここにある3つの 商店街のうちの一つの理事長に任命された。この理事長は、自然に sebone 実行委員会の 代表にもなる。 日本建築学協会に属していて、建築の立場から、水上ビル自体がアート的なおもしろ みがあると思っている。 sebone 実行委員会は現代アートをテーマにしているが、予算のある昨今のアートプロ ジェクトに比べると弱い面がある。もう少し商店街に落とし込むようなアートイベント にできないかと思っている。 毎年アートイベントを行い、今年 11 年目で、まだまだ成功とは言えないが、失敗あり き、うまくいかないのが当たり前と思っている。元気な若者が集まってきているので、 あと 20 年はやっていきたい。 (大ナゴヤ大学 学長 加藤幹泰氏) 今年で6年目のまちづくり分野のNPOで、コンセプトは名古屋をおもしろがる人を増 やすこと。 私は2代目学長で、名古屋生まれの名古屋育ち。海外に行ったとき、自分のまちを楽し いと言えない自分自身にコンプレックスがあった。 何でもあるまち名古屋というけど、それに出会うきっかけが無いことに気づき、実際に まちに出て体験する・体感するということで身近に感じてもらう活動をしており、名古屋 を中心とした名古屋圏で魅力を発見していきたい。 テレビ塔を中心とした久屋エリアで、ソーシャルタワープロジェクトを行う。マーケッ トやフリーペーパーを作成している。 (フリーエディター・ライター 石崎幸子氏) 12 年ぐらい「ぴあ」の編集部にいて、「ぴあ中部版」をつくっていた。 美術の記者として入り、しばらく美術の記事を書き、イベント、レジャー、レシピ本等 多岐にわたるジャンルを取り扱っていた。 出産後退職し、フリーで活動している。 書の師範の免許を取得しており、子どもを呼んで、書のワークショップなどの企画もし ている。 前回のトリエンナーレでは、プロジェクトFUKUSHIMAで、子どもとともに太鼓 をたたいた。 (港まちづくり協議会 事務局員 吉田有里氏) 東京出身、東京の美術大学でキュレーションのコースで大学院へ行き、横浜市が都市政 策の一環で実施しているアートセンターで5年間働く。ここでは、街の外に出て展覧会を する、飲み屋で展示するなどの活動をした。 その後、2009 年にあいちトリエンナーレ 2010 の芸術監督の建畠さんに呼んでいただき、 名古屋に来て、2010 年、2013 年と長者町エリアを担当して、展示会場の空き家の交渉、ア ーティストとまちの人が一緒に作品をつくるときのコーディネートなど、このような仕事 を5年間行った。 今年の4月からは、名港線の築地口から名古屋港エリアとする港まちづくり協議会で働 いている。現在、新しいプロジェクトとしてとして、アートを導入してのまちづくりとい う企画があがっていて、そのアート担当をしている。 いま、空き家を活用したプロジェクトとして、アーティストが展示ではなく製作をする ような環境をつくりたいと考えている。 (愛知県県民生活部文化芸術課国際芸術祭推進室 室長 中野充康) 2008 年から3年間、あいちトリエンナーレ 2010 を担当した。 2011 年から2年間、社会活動推進課NPOグループで、協働の仕事に携わった。 2013 年は、芸術文化センターで管理の仕事を行い、トリエンナーレ事務局ではないが、 身近な場所で、そして少し外からトリエンナーレ 2013 を見てきた。 2014 年からは、トリエンナーレ 2016 の実施に向けて、国際芸術祭推進室事務局へ異動 してきた。 (特定非営利活動法人岡崎まち育てセンター・りた 事務局次長 山田高広氏) りたというNPOは、岡崎限定であるが、幅広くまちづくり活動をしている。 現在、まちのリノベーション(空き店舗活用、公共用地活用、あたりまえ活用)を行っ ており、りたとして、ソフトな事業だけでなく、ハードな事業に着手している。 また、「景観まちづくり」として、まちのおもしろいところを 100 人が 27 枚写し、合計 2,700 枚をテレビ塔や岡崎市で展示したり、子どもたちだけによる「子どものまち」づく りを手掛けている。 また、「お金の循環」として、ソーシャルビジネス・コミュニティビジネス支援を行い、 市民から募った寄附をNPOに助成していくあいちコミュニティ財団の理事をしている。 個人的な活動として、被災地での建築家とのまちづくり、小道具の利活用、若者のヴァリ ューネットワークづくり (森、道、市場)を行っている。 2 現状把握及び問題意識の相互理解∼課題の掘り起し∼(自由意見) A.【言葉の定義について】 ○地域の魅力づくりとは? ・地域の魅力づくりとは何か。魅力づくりといったとたんに分かりにくくなる。 ・市民の参画や意識の変化がどのようになっている状態なのか。 ・豊かな市民社会、それは成熟した市民をつくるのが目的となってくるのでは。 ○現代アートとは? ・普段、見えないところが見えたりするきっかけとなるのが現代アートの効果。 ・現代アートは、まちを変えるものではなく、市民の意識を変えるもの。 ・文化芸術というものが多様化しているため、ひとくくりにできず、幅広くとらえてい く。 B.【アーティスト(作家)について】 ○アーティストの社会への意識 ・アーティストは、社会的活動に強く意識がある人もいるし、街づくりに積極的に関 わるといよりも自己表現の場として捉えている人もいたりと、さまざまである。 ・社会意識の高いアーティストをどうすればうまく巻き込めるか、どう選んでいくの か、関係者間のネットワークがなければ呼べないなど、その窓口や受け皿がない。 ・表現方法が特殊なため、そうした意識を持っていても、ストレートに伝わらないケ ースもある。 ・現代アートのコミュニティもまだまだ狭く、活動範囲も限られているように見える。 ○アーティストへの対価 ・アーティストは金銭的に苦しい人も多い。 ・地域で何か作ってくれと言われても作家の持ち出しとなる場合も多く、金銭的なサ ポートが必要。 ・金銭の話はタブー視されることが多いが必要なもの。 ・地域と作家個人それぞれにメリットがあるべき。 (参考例) 「三河アート&アーカイブプロジェクト」 芸大教員だけでなく、学生も巻き込んで、まちのアーカイブ(蓄積)を実施して いる。作品が蓄積されていくだけでなく、街の記録、保存にもつながっていく。 行政との協働としても意義があると思う。 C.【コーディネーターの存在と拠点の必要性について】 ○コーディネーションの必要性 ・必ずしもまちなかで現代アートをやることが良いアーティストばかりではない。作 品によっては、美術館などのほうがあっているものもなど、求めている地域や場と、 それに応え活かすことのできるアーティストとのマッチングをするスキルが求めら れる。 ・地域と美術をつなぐ職業の人は最近でてきたものであり、まだ少なく人材がいない。 ・また、現代アートをビジネス(事業的)に導ける人材も必要である。 ○育成の場づくり ・コーディネーターは、現状それだけでは食べていけない。各地を飛び回らないとい けない。 ・愛知でそうした人材育成のプログラムとその後の活躍の場があれば、優秀な人が全 国に散らばらなくても良い。 ・学生がわざわざ東京にインターンに行かなくても良くなる。 ・学芸員も新卒では取らない現状もあり、厳しい状況ではある。 ○活動の場(拠点)づくり ・事業の継続性が問題。トリエンナーレも3か月の期間中の盛り上がりだけでは成功 とは言えない。 ・アートラボあいちがひとつの指針になると思ったが、認知されつつも終わってしま ってもったいない。 ・アートラボのように、そこに行けばいつも何か面白いことができると思われるよう な場所が必要。 D.【まちの受けとめ方について】 ○現代アートへの正しい認識 ・現代アートが、地域を良くしてくれる、全てを昇華してくれるというような期待感 があるが、地域が変わるには、まずはまちのビジョンを地域がもつべきでは。現代 アートはそのためのきっかけにすぎない。 ・まちの未来は、アーティストに提示してもらうものではなく、自らみつけていくも の。 (例)長者町では、トリエンナーレ開催時にまちなかに人が溢れたことをきっかけ に、木のベンチを設置した結果、そこでお弁当を食べる人などが出てきた。 ・現代アートとまちづくりを融合させることありきではなく、どちらかに特化してみ てもよいのでは。アートをまちづくりの型にはめては、せっかくのものが死んでし まうこともあるのでは。 ○現代アートとまちの関係 ・アート自体に地域の問題を解決するまでの力はないと思うが、良いものに巡り合え ば、一人一人の考えやものの見方は変わる。 ・アートを利用して、まちや行政や個人がアイディアをもらって利用していく、その 視点を持つのは大事。 ・アートによって街のかわった例もある。都市計画の中でアートセンターの機能を位 置づけたり、売春エリアを変えてアーティストを住まわせた例や、十日町は、芸術 祭後に自殺率が減ったという話もある。 E.【行政側の捉え方について】 ○愛知県の戦略は ・まちが変わっていく・・・民間が動き出す。行政は大きな動きをつくる「とっかか り」。 ・あいちでトリエンナーレをやっているという意識を持ってもらうことが重要だと考 えている。 ・文化基本計画 文化100年という大きな計画があり、その花火としてトリエンナ ーレが位置づけられている。打ち上げ段階で、市町村を巻き込み、各地域で流れを つくっていってほしい。 ○横浜市の例 ・横浜はトリエンナーレだけでなく、アーティストが常にいる街になっている。 ・前の中田市長の方針。戦略として、アートセンター、アーティスト製作環境、トリ エンナーレが3点セット。市長も変わり、10年が経過して行き詰っている感もあ る。 F.【環境づくりについて】 ○事業の継続性、継続する仕組み ・カネとヒトが課題。 ・行政の予算確保、地方では場所の継続提供なども課題、 ・助成金だけだと制度が無くなった場合が困る。 ・横浜アートセンターは行政100%ではなく、民間側でも50%出資、後は稼ぐ仕 組み。 ・現代アートの予算化が難しいのは、文化芸術のランクが行政的な面から見れば低い から。でも、これはトップ次第でもある。 ・アート側も甘んじるのではなく、考えないといけない。 ・学生を使う場合でも、学生だから無料ではなく、正当な対価を与えていくべき。 ○波及性について ・地域に併せた戦略やプロモーションの仕方が重要。 ・アーティストのことが取り上げられがちだが、まちの変化、市民の変化を特集して いく必要がある。 3 今後の予定 次回の開催日等について協議。次回も課題の掘り起しについて話をしていく。
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