12 さいとう・まさき●山口県下関市の社会福祉法人松涛会理事長。医療法 人社団松涛会理事長も兼ねる。下関市の安岡地区、山の田地区、綾羅 木地区、彦島地区に病院やクリニックをコアとした医療・福祉サービスを 多岐にわたって展開。 さいとう・たえこ●社会福祉法人松涛会副理事長。特別養護老人ホーム 「は まゆう苑」苑長も兼ねる。現在、2014年12月開設の高齢者多機能複合 介護施設「フロイデ金比羅」の運営に力を注いでいる。 西山の高台、関門海峡を見渡せる高 台に複合介護福祉施設「フロイデ彦 松涛会グループの歴史は1960 年に、 下関市彦島地区江の浦町で「斎 たちが入ってみたい施設」を具現化 当施設は私たちの念願だった「自分 クリニック開業からスタート 藤医院」を開業した時から始まりま したものです。自然光が豊富に入る 島 」 を 開 設 す る こ と が で き ま し た。 床の入院設備を らに1983年に医療法人を設立 整えクリニックから病院へ移行、さ 装などのハード面に気を使っただけ 界を占める間取り、解放感溢れる内 デザインや、いたるところで海が視 す。1981年に し、 その後148床に増床しました。 でなく、職員と入居者の交流やおい 月に最 12 後、 年 代 に 入 る と、「 老 人 保 健 施 はまゆう苑」を開設しました。その 初の福祉施設「特別養護老人ホーム 祉法人松涛会を設立。同年 3年後の1986年2月には社会福 52 げ、さらに2005年には彦島地区 多種の介護老人福祉施設を立ち上 「グループホームわたぼうし」など 設コスモス」 「ケアハウスオリーブ」 90 経営協 12月号 32 特別養護老人ホーム はまゆう苑 医療と介護・福祉の切れ目のない密接な 連携が当法人の最大の強みです。 第9回 斎藤 正樹 氏 斎藤 妙子 氏 医療法人・社会福祉法人松涛会は、山口県下関市の旧市内・山陰地域において医療および福祉事業を展開している。今回は社会福祉法人の本部を併設 する﹁特別養護老人ホームはまゆう苑﹂にて、理事長の斎藤正樹氏および奥様で副理事長である妙子氏、 そして事務長の川瀬英盛氏にお話をうかがった。 松涛会は本年 月に﹁フロイデ金比羅﹂のオープンを予定しており、﹁川上から川下までの多機能複合施設﹂をテーマに掲げた、同一建物内での住み 替えに沿った住居といえる施設である。 社会福祉法人 松涛会 点 視 の 者 経営 ーズ シリ 松 涛 会 の 最 大 の 特 徴 は 、 密 接 な 医 療と 介 護 、 福 祉 の 連 携 で す 。 地 域 に 力を 注 い で い ま す 。 しい 食 事 の 提 供 な ど 、 ソ フ ト 面 に も な病床をもつ病院ですから、医療と ハビリ・難病・医療介護病床と多様 す。安岡病院は緩和ケア・回復期リ 取りもスムーズに行うことができま 患者さんの状態の把握や情報のやり プ 内 の 職 員 同 士 が 連 携 し ま す の で、 まったくありませんし、同じグルー ぐらいでした。将来のある介護分野 きています。以前は8対2(男性2) ここ最近、地域の雇用状況により 男性の介護職員の応募が多くなって うまでもありません。 頭の切り替えが必要であることは言 医療から介護へと移る際には相当の 財 産 に な る と 思 い ま す。 も ち ろ ん、 医療と福祉の密な関係 住む 人 々 に 対 し 生 涯 に わ た っ て 健 康 介護の密接度が非常に高いのです。 をめざし、介護職に挑戦したいとの ジで の サ ー ビ ス を 提 供 で き る 体 制 を もあります。まさに、あらゆるステー への サ ー ビ ス 付 き 高 齢 者 住 宅 の 供 給 ムー ズ な 移 行 が 可 能 で す 。 元 気 な 方 ら特 養 に 入 っ て い た だ く と い っ た ス 実施 し 、 家 族 の 負 担 が 大 き く な っ た 急 性 期 の 病 院 を 退 院 し 家 に 帰 ら れ た患 者 さ ん へ 訪 問 看 護 や 訪 問 介 護 を めて い た だ い て い る と 思 い ま す 。 迎え ら れ る 拠 り ど こ ろ と だ と 受 け 止 強をしてもらい、今度は介護の分野 に定年になった方に一年間介護の勉 再採用することなどもできます。現 迎えた職員の希望で介護職員として がありますので、医療の方で定年を も高く、医療と介護と福祉の受け皿 就職をされる方のご家族からの信用 バ ッ ク ボ ー ン と し て あ り ま す か ら、 ています。しかし、私どもは医療が 題もあり、これが最大の課題となっ す。少子化に加え介護職の処遇の問 多くの社会福祉法人と同様に、当 法人も職員の確保には苦慮していま いくのですが、結局そのような施設 楽な職場に勤めたいと思って辞めて で辞めていく職員もいます。もっと で、相当に厳しいようで、それが嫌 私どもの職員教育、勉強会は技術 習得などに力を入れておりますの す。 は1000人を超す人員になりま なくオープンしますので、その際に 介護が265人です。新施設がまも 両法人の職員数は、 医療が718人、 も ま た 課 題 と な っ て い ま す。 現 在、 護福祉の仕事に取り組んで頂くこと 志を持つ男性ですので、この方に対 整え て い ま す 。 で活躍してもらっています。医療と では勉強ができない、これ以上成長 最大の課題は職員の確保 の面 、 介 護 の 面 で お 世 話 を す る こ と がで き ま す 。 と り わ け 高 齢 者 へ の 医 療・ 介 護 の 切 れ 目 な い 継 続 的 な ケ ア 医療の拠点となる安岡病院と介護 の拠点である特別養護老人ホーム 介護の両方のスキルを覚え、経験を できないと気づいてまた戻ってきた する心配りのある受け入れにより介 「 は ま ゆ う 苑 」 は 同 敷 地 内 に あ り、 積むことはその人にとっては大変な は、 地 域 の 皆 さ ま に 安 心 し て 老 後 を 医療と介護の距離的なストレスは 33 経営協 12月号 新規オープン 高齢者多機能複合介護施設 フロイデ金比羅 医療法人 松涛会の母体 安岡病院 に眺めているのではなく、採算の厳 それら他分野の参入を他人事のよう 況にあります。だからこそ、 私達は、 法人などが進出し、経営は厳しい状 うです。 用者や家族にはとても評判がよいよ す。家庭的な雰囲気が感じられて利 機能を付加させている施設もありま 私どもの小規模多機能施設には民 間の住宅を買い上げ、そこに介護の ができ、現にいろいろな企業、医療、 しい事業こそ社会福祉法人がやるべ き事業と思うと共に積極的に取り組 存在 価 値 が あ る で し ょ う か 。 例 と し 業の 運 営 で 、 社 会 福 祉 法 人 と し て の 社 会 福 祉 法 人 と し て は 、 特 養 、 デ イサ ー ビ ス な ど を 核 と し た 手 堅 い 事 張っ て く れ ま す し 、 非 常 に 優 秀 な 職 ね。 そ れ に 気 づ い た 人 は と て も 頑 の糧 に な る こ と が 実 感 さ れ る の で す の良 さ 、 厳 し い な が ら も 自 分 の 成 長 す。 他 の 法 人 に 行 っ て 初 め て 当 法 人 場合 は ま た 一 緒 に 働 こ う と 歓 迎 し ま いと 訪 ね て く る 人 も お り ま す 。 そ の 私たちの使命だという信念を持って 介護と福祉を充実させていくことが のようなニーズに極力応え、地域の 設に入りたいと願うのですから、そ い、在宅での活しが無理になれば施 誰でも歳を取ったら訪問看護や訪 問介護のようなサービスを受けた なくてはいけないと思っています。 を出したくないことを率先して行わ 医療法人や民間ができないこと、手 の 面 で 優 遇 さ れ て い る の で す か ら、 います。また、社会福祉法人は税金 る、そんな時期に来ていると考えて に回らなければ存在自体が危ぶまれ 感じています。社会福祉法人も攻め ん。 えれば、これに勝る喜びはありませ とができた、このように感じてもら のホスピスで幸せな最期を迎えるこ パーをお願いしてよかった、あそこ にかかってよかった、あそこにヘル たいと思うと同時に責任の重大さを 利用しているというのです。ありが 医療もしくは福祉で松涛会の施設を た。 自 分 か あ る い は 家 族 の 誰 か が、 を利用していますと言っていまし 市内のデパートの外商の人が、市 民の3人に1人は松涛会のサービス 「癒し」 と 「安らぎ」 を 重視する て、 小 規 模 多 機 能 型 の 運 営 は 、 在 宅 います。そのような観点から地域に 入居者に本当に満足していただく ためには、そこの施設が備えている まなければいけないのではないかと の利 用 者 の 方 の 送 迎 、 ヘ ル パ ー と し おける医療と介護と福祉の一体型の ハード機能の充実だけでなく、ソフ 社会福祉法人のあり方とは 員に な り ま す 。 て の 訪 問 な ど 人 手 の か か る 内 容 で、 サービス拠点を目指したのです。 改めて認識しました。あそこの病院 また 介 護 事 業 は 民 間 で も 始 め る こ と 川瀬英盛事務長 ケアハウスフロイデ彦島 外観と内装 経営協 12月号 34 れる 雰 囲 気 づ く り が と て も 重 要 だ と ト、 つ ま り 癒 し や 安 ら ぎ を 感 じ て く 業協会賞」と「医療・介護の建築賞」 介護福祉施設としては異例の「建築 なれる外装やインテリア。 当施設は、 た水準の高いおいしい食事の提供が す。直営ですから、地元食材を使っ ンでは、汁物、揚げ物などを作りま 35 経営協 12月号 考えています。「フロイデ彦島」は、 ホームヘルパーステーション ○ 在宅介護支援センター 10 フロイデ彦島拠点 ○ ケアハウス ○ グループホーム ○ デイサービスセンター ○ ホームヘルパーステーション ○ 居宅介護支援事業所 ○ 防災拠点地域交流ホーム 「真空低温調理」を準備する本部厨房室 ●法人認可 昭和61年12月 ●所在地 〒759-6604 山口県下関市横野町3-15-10 ●URL http://www.syoutoukai.or.jp/ できております。 ○ を受賞しました。 グループホーム これ ま で の 固 定 観 念 に と ら わ れ な い ○ ○ 小規模多機能型居宅介護 サービス付き高齢者向け住宅 ○ 発 想 で 作 ら れ た 複 合 型 施 設 で、「 癒 ショートステイ ○ 「はまゆう苑」のイングリッシュ ガ ー デ ン に は、 毎 年 月 に な る と、 特別養護老人ホーム ○ 「 癒 し と、 安 ら ぎ 」 の 視 点 は 食 事 にも向けられます。入居者の大きな ○ し、 安 ら ぎ 」 を 最 大 限 に 入 居 者 に 感 デイサービスセンター 居宅介護支援事業所 南西諸島・台湾へ渡るアサギマダラ ○ 楽しみである食事を充実させたいと あやらぎ拠点 じて い た だ け る よ う 、 さ ま ざ ま な 工 ○ 住宅型有料老人ホーム 杜の宮 という蝶がやってきます。花の間を 小規模多機能型居宅介護 杜の宮 の思いから、病院介護福祉分野では コスモス在宅介護支援センター 夫 を 凝 ら し た 造 り に な っ て い ま す。 生活支援ハウス ねぎぼうず ○ ひらひらと飛ぶさまは可憐で美し 脳いきいきデイサービスねぎ ○ まだ実施している施設が少ない「真 居宅介護支援事業所 ○ おか げ さ ま で 年 平 均 1 0 0 0 人 ぐ ら デイサービスセンター ○ く、入居者だけでなくスタッフ達の はまゆう苑 地域交流ホーム ○ 空 低 温 調 理 」 シ ス テ ム を 立 ち 上 げ、 ケアハウスオリーブ ○ い の 見 学 者 が 訪 れ て く れ ま す。「 空 特別養護老人ホーム ○ 心もやさしく癒してくれます。 ○ メインの料理をセントラルキッチン ●事業内容 はまゆう苑本部 と海 」 が 思 う 存 分 に 見 わ た せ る 自 然 松涛会 で作り、各施設のサテライトキッチ 社会福祉法人 環境 。 だ れ で も が 癒 さ れ 心 が 平 穏 に はまゆう苑 イングリッシュ ガーデンに集まるアサギマダラ サテライト型新型特養 フロイデハイム フロイデ金毘羅拠点
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