新製品紹介 高硬度鋼用ノンステップ穴あけドリル Non-Step Drilling Tool for Hardened Steels Drill:NSBH-ATH 金型製作において高硬度鋼の直彫 (NSBH-ATH)を開発した(図 1) 。以 Vapor Deposition)コーティングで り加工の要望が高まっている。この 下にその特長と加工事例を示す。 ある日立ツールの ATH コーティング 要望は段取り回数の削減,金型製作 高硬度鋼の加工を行う場合,切削 の採用による長寿命化を実現した。 途中での熱処理待ちをなくすなどの 抵抗の増大による大きな振動の発生 次 に 加 工 事 例 を 示 す。SKD61 製作期間の短縮化に関するものであ によって,切れ刃のチッピングが起 (48HRC)を被削材に用いて,工具 る。一方,高硬度鋼の穴あけは焼き こりやすい。本工具は,従来工具と 径の 20 倍の深穴加工を連続して行っ 入れ焼き戻しの熱処理前に行うのが 比較して心厚を大きくして工具の剛 た。その結果,90 穴の加工を行っ 一般的である。 また深い穴の加工は, 性を高めることで振動を抑制し,さ た後も切れ刃の摩耗は良好な状態 切り屑の排出のため,工具の切り込 らにねじれ角を小さくして切れ刃の で,性能は良好であった( 図 3) 。 みと引き抜きを繰り返すステップ加 強度を高めることでチッピングの発 SKD11(60HRC)の穴あけ後の工 工を行うことが多く,工具の移動距 生を抑制した( 図 2)。 具および切り屑の例を図 4 に示す。 離が長くなり加工時間が長くなる。 また,独自の既存技術である切り NSBH-ATH は 60HRC の鋼に対し それに対して,日立ツールでは 屑の排出性を高める切り屑排出溝の て工具径の 10 倍を超える深さの穴 40HRC を超えるような鋼に,一回の 設計により,ノンステップ加工が可 あけを行うことができた。 切り込みで穴あけを行うノンステッ 能となり加工時間を短縮できる。 プ加工が可能な,超硬 OH( オイル その他の特長として,耐摩耗性に ホ ー ル )ノ ン ス テ ッ プ ボ ー ラ ー H 優 れ た TiSiN 系 の PVD(Physical (a) ( 日立ツール株式会社) Conventional (WHNSB-TH) NSBH-ATH Web thickness Web thickness (b) 1 mm Web thickness 1 mm Helix angle 1 mm 1 mm Helix angle 10 mm 1 mm Helix angle 図 1 超硬 OH ノンステップボーラー H(a)外観 (b)刃先写真 Fig. 1 Carbide oil hole non-step borer H (a) appearance (b) cutting edge 図 2 工具形状の特長 Fig. 2 Feature of tool shape [Cutting condition] Work material: SKD61 (48HRC) Coolant: emulsion, internal supply Hole size: Ѯ6.0 x 120 mm ï1 Revolution speed (n) =3,183 min , Feed speed=191 mm/min Pilot hole depth: 18 mm [Cutting condition] Work material: SKD11 (60HRC) Coolant: emulsion, internal supply Hole size: Ѯ8.0 x 95 mm Revolution speed (n) =400 minï1, Feed speed=20 mm/min Pilot hole depth: 16 mm (a) (a) Flank face (b) Margin 1 mm 1 mm 図 3 切削事例(SKD61:48HRC)切れ刃の状態(a)逃げ面 (b)マージン Fig. 3 Cutting data (SKD61: 48HRC) cutting edge condition (a) flank face (b) margin 68 (b) 日立金属技報 Vol. 31(2015) 1 mm 5 mm 図 4 切削事例(SKD11:60HRC)(a)切れ刃の状態 (b)切り屑の状態 Fig. 4 Cutting data (SKD11: 60HRC) (a) cutting edge condition (b) cutting chips
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