「みやざき自然との共生プラン(案)」(要約版) 第Ⅰ章 策定の背景 1 生物多様性保全の機運の高まり (1) 生物多様性条約の発効(1993年) 生物多様性の保全と持続可能な利用に関する包括的な国際的な枠組み。 (2) 愛知目標の採択(2010年) 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された2011年以降の新たな世界目標。 2 生物多様性の保全に向けた我が国の取組 (1) 生物多様性基本法の制定(2008年) 生物多様性の保全及び持続可能な利用のための基本原則を定めたもの。 (2) 生物多様性国家戦略2012-2020の策定(2012年) 生物多様性基本法に基づき、愛知目標の達成のためのロードマップであり、「自然と共生 する社会の実現」に向けた方向性を示す役割をもつもの。 第Ⅱ章 生物多様性の現状と課題 1 生物多様性とは (1) 3つの多様性 ア 生態系の多様性(地域の自然環境に応じたさまざまな生態系が存在していること) イ 種の多様性(それぞれの生態系の中にさまざまな種の生物が存在すること) ウ 遺伝子の多様性(同じ種でも遺伝子の違いで個体差、地域差があること) (2) 生物多様性の重要性 生物の多様性のもたらす恵みは、食糧の供給や大気、水の循環など人類の存続基盤になっ ており、また、地域独自の文化の多様性も支えている。 (3) 生物多様性の危機 人による開発、過疎化による里地の荒廃、外来種や薬品等による生態系への影響、温暖化 による生息域の変化などが、生物多様性の保全に大きな影響を与えている。 2 生物多様性の現状と課題 (1) 世界の生物多様性の現状 (世界的規模で、2010年までに)生物多様性の損失速度は減少しておらず、根本的な要因に 対する有効な対策が行われてこなかった。 (2) 日本の生物多様性の現状 日本には未知のものまで含めると30万種を越える生物種が存在するといわれるが、絶滅の おそれのある種が増えており、野生生物の生息・生育状況は依然として厳しい状況にある。 (3) 宮崎県の生物多様性の現状 西には九州脊梁山脈、東には太平洋に面した長い海岸線を持ち、高温多雨な気候から、多 くの動植物が生息・生育している。県土は森林、河川、沿岸部など変化に富んでおり、自然 環境も豊かである。一方で、中山間地域を中心に過疎による里地の荒廃などの問題もある。 (4) 生物多様性の保全と持続可能な利用に関する課題 ア イ ウ エ オ 種の保存と野生生物の保護管理(レッドリスト種の増加等) 生物多様性に関する理解(生物多様性の保全の重要性への理解不足) 担い手と連携の確保(広範囲で持続的な取組には、主体間の連携が必要) 過疎地域の管理(高齢化や就労者不足に伴う里地(二次的自然)の維持管理の低下など) 野生鳥獣対策(シカ等の食害による生態系や農林産物への被害増加) 第Ⅲ章 生物多様性の保全と持続可能な利用の目標 1 基本的事項 (1) 策定方針 本県における現状と課題をふまえ、生物多様性の恩恵を将来の世代に引き継ぐため、さま ざまな主体が、生物多様性の保全と持続可能に利用するための行動指針として策定。 (2) 位置づけ 生物多様性基本法第13条に基づく計画であり、かつ、宮崎県環境計画に掲げる「生物多様 性の保全」を推進するための個別計画。 (3) 対象区域 宮崎県全域。 2 目標 (1) 長期目標 宮崎県は、生物多様性のもたらす恩恵を将来世代に引き継ぐため、2050年までに「自然と共 生する社会」を実現する。 (2) 短期目標 すべての県民は、2020年までに、生物多様性の価値を認識し、それを保全し持続可能に利用 するための行動を行う。 3 県土のグランドデザイン (1) 自然と共生できる宮崎県 (2) 県土の特性に応じたグランドデザイン 森林、里地里山・田園、河川、沿岸、都市など、それぞれの地域に応じ、生物多様性の保 全と持続可能な利用が行われている。 4 基本的視点 生物多様性の保全と持続可能な利用を実現する施策についての基本的視点 (1) 科学的認識と予防的かつ順応的な態度 常に変化する自然環境や生態系に対して科学的認識を持ち、順応的に対応する。 (2) 地域に則した取組 地域の生物多様性とそれらを利用してきた文化を守りながら活用する。 (3) さまざまな主体の連携と協働 さまざまな主体が連携・協働することにより、より効果的な取組となる。 (4) 社会経済における生物多様性の主流化 生物多様性の保全と持続可能な利用が自分たちの生活や事業活動に深く関わっていること を認識し、社会経済の仕組みを構築する。 5 基本戦略 (1) 野生生物の適切な保護管理 レッドリスト作成などによる野生動植物の現状把握と保護、増殖など。 (2) 重要地域の保全 生物多様性の保全上重要な自然公園、保安林などの重要地域を指定し保全。 (3) 県土の区分に応じた生物多様性の保全 森林、農地、河川、沿岸などの区分に応じて生物多様性へ配慮した施策。 (4) 生物多様性の主流化の推進 生物多様性の重要性がさまざまな主体に認識され、それぞれの社会活動の中に組み込まれ るよう、普及啓発を図り、生物多様性の主流化を推進。 第Ⅳ章 生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する行動計画 1 野生生物の保護や重要地域の保全に関する施策 (1) 野生生物の適切な保護管理 ア 希少な野生動植物の保護 ・指定希少野生動植物の保護 等 イ 重要な生態系の保護 ・森林生態系等の保護 等 ウ 外来種の防除 ・外来種の防除、駆除支援 等 エ 野生鳥獣の保護と適正な管理 ・野生鳥獣の適正管理 (2) 重要地域の保全 ア 自然公園等の維持、施設の整備 ・自然公園等の貴重な生態系の保護 等 イ 生息・生育地の管理 ・重要生息地の指定・保全 等 ウ 野生鳥獣の保護 ・鳥獣保護区の設定 エ 保安林の指定・整備 (3) 県土の区分に応じた生物多様性の保全 ア 森林 ・再生可能な資源としての木材生産・供給 等 イ 里地里山・田園地域 ・環境保全型農業の推進 等 ウ 河川域 ・森・川・海との連携 等 エ 沿岸域 ・沿岸部の保全・管理 等 オ 都市地域 ・自然環境の保全及び自然環境に配慮した公園・緑地等の整備 (4) 公共事業における生物多様性への配慮 ・環境への配慮 等 2 生物多様性の主流化の推進に関する施策 (1) 生物多様性の主流化の普及啓発 ア 普及啓発 ・環境情報センターの活用 等 イ 生物多様性とのふれあいの機会・場の創出 ・各種ツーリズムの活用 等 (2) 人材の確保・育成 ・環境教育・学習の推進 等 (3) 県民と事業者の取組の推進 ・環境認証制度の普及・推進 等 第Ⅴ章 みやざき自然との共生プランの推進 1 推進体制 (1) 各主体の役割 ア 県民 生物多様性との関わりを認識したライフスタイルへの転換等を行う。 イ 民間団体(NPO、自然保護活動団体など) 生物多様性の保全活動や県民への機会提供、他の主体への支援等を行う。 ウ 事業者 事業活動が生物多様性に与える影響を認識し、保全に配慮した事業活動を行う。 エ 研究・教育機関 専門知識や技術等による他の主体への支援、人材育成等を行う。 オ 市町村 地域の自然環境の調査、保護回復への取組、地元住民の活動支援等を行う。 (2) 関係機関との連携 ア 国との連携 国の管理地での施策、広域での対応が必要な施策等での連携。 イ 市町村との連携 地域住民と最も近く、自然環境行政等の地域の施策の推進について連携。 ウ 関係各県との連携 広域的な対応が必要な施策について、関係各県と連携・協働。 エ 庁内の連携 各事業主体の行う施策の実施や調整、実施状況の点検等について連携。 (3) 県民との連携協働 生物多様性の主流化のため、県民一人ひとりの生物多様性への認識を深め、各主体間の連 携強化を進める。 (4) 情報の連携・共有化 県、市町村、研究機関、自然保護団体などの有する生物多様性に関する情報の共有化のた めの取組を検討。 2 みやざき自然との構成プランの点検・評価 (1) 指標の設定 生物多様性の変化の状況や各種成果の効果を把握するため指標を設定。 ・レッドリスト掲載種数 ・重要生息地の指定 ・生物多様性の言葉の認知度 等 (2) 宮崎県生物多様性地域戦略の点検・評価 2020年の目標年度に、指標の達成評価、野生動植物生息状況調査などの科学的知見に基づ くデータ、生物多様性国家戦略の状況などから、プランの見直しを検討する。
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