島根県海士町 - 国土交通省 中国地方整備局

中国地方 空き家サミット
海士町長
『 なくてよい。 大事なことはすべてここにある。 』
海士町の生き方を発信するロゴマークです。
山 内 道 雄
【 隠岐國(おきのくに) ・ 海士町(あまちょう) 】
海士町とは
・・・
日本海、島根半島の沖合約60㎞に浮かぶ隠岐諸島の一つ
■人口 : 2,357人 (H26.12.31)
■面積 : 33.52k㎡
■交通 : 本土から高速船
又はフェリーで約2~3時間
選ばれし島・・・御食國・海士(みけつくに・あま)
■ 対馬暖流の影響を受け豊かな海と、名水百選(天川の水)にも選ばれた豊富な湧水に恵まれ、自給自足のできる半農半漁の島である。
■ 平城京跡から海士町の「干しアワビ」等が献上されていたことを示す木簡が発掘されるなど、古くから海産物の宝庫として「御食國」に任ぜられていた。
■ 奈良時代から遠流の島として遣唐副使の小野篁をはじめ、承久の乱(1221年)で、ご配流の身となられた後鳥羽上皇は、在島19年有余この島でご生涯
を終えられた。…「隠岐神社」に祀られ島民の畏敬の念はいまも深い。
【 隠岐國(おきのくに) ・ 海士町(あまちょう) 】
【海士町の基幹戦略】 ~なぜ、超過疎化の島が生き残ってきたのか~
コンセプト : 「 官民一体での産業振興 」
島に人(=雇用の場)を
“ 島の経済基盤である第1次産業の再構築と産業創出、そして
島ブランドを
売り出せ!
主戦術
≒
後方支援
~ 「人」 ~
■ Iターン者の発想と視点を活用した地域資源の商品化
■ UIターン者による地域資源を活用した新規事業の起業
創り出された島ブランド
+
”
~ 「人」の島暮らしへの支援 ~
■ 商品開発研修生制度 (就業支援・人材育成)
※ H10年度より開始
■ 町営住宅提供
(定住支援 = 住宅建設・空き家リニューアル住宅整備)
- 島ブランド3つのキーワード 『海』 ・ 『潮風』 ・ 『塩』 島生まれ、島育ち、「隠岐牛」
『潮風』
海の潮風吹く、放牧地でミネラルたっぷりの牧草で育った
ブランド牛。繁殖から肥育までを一貫した生産販売を行う。
島じゃ常識
さざえカレー
CAS凍結商品
岩がき「春香」
島の豊富な海の資源、また海の食材を活かした食文化に、付加価値
を加え商品化。ターゲットマーケットへの付加価値を求め、「CAS(Cell
Alive System)」という新技術を導入し、外貨の獲得へ
『海』
「人」
海士乃塩
『塩』
ミネラル豊富な海水を使用して作られた「海士乃塩」。
塩の生産のみならず、この塩を使って作られた梅干し、
塩辛、干物と次なる産品へと繋がった。
- H16年度から今日までの10年間 -
・ UIターン者雇用創出効果 200人超
・ 商品開発研修生採用 25人(内7名が町内就職又は起業)
H16年度~H25年度末までに
延べ294世帯、437人が移住し、内約55%が定着している。
【 隠岐國(おきのくに) ・ 海士町(あまちょう) 】
【空き家の減少と空き家を活用するには】
- 空き家が活用されるためには、何が必要であったか? -
“島に「人」なくして、空き家活用なし”
(島に人がいなければ、空き家増えるのみ。全ては「人」)
- 島に「人」をもたらすためには、何が必要であったか? 1.島の経済基盤(第1次産業)の再構築
2.島で「人」が暮らしていくために必要な支援
【産業振興・就業支援】
【定住支援・子育て支援】
・ 産業振興策に基づく、雇用創出
(就業支援)
・ 就業そして定住のための住宅供給
(定住支援)
・ 生活面での離島のハンディを補う支援 (子育て支援)
島が自立し、「人」が島で生活を営むことが可能な支援の仕組み
【 隠岐國(おきのくに) ・ 海士町(あまちょう) 】
【海士町の空き家活用事業】
空き家
- 空き家を少しだけ、手直し
リニューアル住宅
町で改修
-
賃貸住宅供給
「人」
所有者
物件の貸借契約
貸借期間 : 10~15年
■空き家の手直し(=改修)■
・ 水廻り(トイレ・浴室・洗面・キッチン)を中心に改修
キッチン改修前
■ 町のメリット ■
・
・
・
・
物件の賃貸契約
使用料 : 15,000~25,000円
※ 生活に必要な最低限の改修
キッチン改修後
■ 物件所有者のメリット ■
・ 物件管理負担の免除
・ 貸付期間内の固定資産税の免除
・ 物件の老朽化の防止
町
低コスト、短期間工期での定住対策
定住による人口対策
各自治区のコミュニティ維持、活性化
景観保護
改修費:600~800万円/物件
浴室改修前
浴室改修後
■「人」のメリット■
・ 低家賃での住居の確保
・ 居住自治区でのコミュニティ形成の
しやすさ(人と人の繋がり)
物件所有者、町(地域)、そして「人」各々にメリットがあり、相乗効果が望める環境の創出
【 隠岐國(おきのくに) ・ 海士町(あまちょう) 】
【海士町の空き家活用事業実績】
H10年度より定住対策として試験的に開始。
現在、H26年度までに延べ54件の空き家をリニューアルし、現在、全51件を賃貸住宅として運用。
■定住対策と人口状況■
定住支援は、空き家リニューアル住宅の他、町として定住住宅等、約180戸の物件を整備。 (現在、人口の約15%が居住)
H16年度より空き家リニューアルを含めた住宅整備を急速に展開した結果、昨今では人口の減少率が大幅に低下している。
2,800
2,672
2,600
人口推移状況
H16年度~H25年度末までに延べ294世帯、437人が移住
2,581
2,374
2,400
2,357
総人口の増加はないが、減少率が大幅に低下
2,200
2,000
活力人口が増。人口構成バランスが改善
H12国勢調査 H17 国勢調査 H22国勢調査
H26.12月末
人口
【海士町の空き家活用の課題】
- 現在抱える問題 –
■ 海士町空き家実態調査 ■
(H25年度調査より)
・ 空き家 380戸 (全世帯数の約25%)
内、二次的住宅及び危険家屋を除いた数は 275戸
■ 現在抱える問題と今後の課題 ■
・ 空き家活用対象外の物件への対応 → 対象外物件 : 危険家屋ではないが、老朽化が著しく改修も困難な物件
将来の危険家屋となる可能性も高く、活用、除却以外での対応策 を考える必要性が高まっている。
【 隠岐國(おきのくに) ・ 海士町(あまちょう) 】
【海士町の空き家除却事業】
- 事業概要 H21年度より、倒壊の危険性が高く、又近隣への影響が大きい空き家(=危険家屋)について解体を行い、
影響する周辺住環境の安全性を確保し、且つ跡地に町営住宅を建設する等、解体後の有効活用を前提とした
事業を展開。
■ 事業スキーム ■
STEP1
危険家屋の確認
【情報収集方法】
・各自治区からの報告
・住民からの陳情
・職員で確認
【現場調査】
・報告後、現場調査
・近隣住居への影響、
または道路沿いで倒壊
の危険性の高いものを
優先的に行う。
STEP2
所有者確認
税情報確認
【確認事項】
・登記内容確認
・納税情報確認
・相続確認調査
STEP3
所有者へ連絡
解体意向確認
・所有者(相続人)交渉
・所有権移転登記
STEP4
所有者が解体
町が解体
(土地の無償提供が条件)
社会総合交付金を活用
STEP5
町営住宅建設用地
主に定住対策に活用
倒壊の危険性からの安全確保を第一とする中で、除却後の有効活用を踏まえた事業の展開
空き家除却は、未来を築く有効な資源の創出
【 隠岐國(おきのくに) ・ 海士町(あまちょう) 】
【海士町の空き家除却の課題】
■ 危険家屋となる空き家 ■
・ 相続関係の複雑化
・ 抵当権の設定
・ 固定資産税の滞納
等々
多くの問題を抱えているケースが多い
・ 解体を行うまでには、この問題を解決していくことが必要。問題解決なくして、有効活用に繋がらない。
・ 問題解決を行いながらの解体までのプロセスは長期化し、また手続きも複雑化する。
- 過疎地域における空き家問題の解決には -
所有者の管理義務を追及した法の整備
危険家屋については、建築基準法をはじめ、その他法令の下、行政代執行が可能であり有効性が高まっている。
その一方
所有者の管理義務が果たされることのない中での、危険家屋除却の行政代執行等では根本的な問題は解決していない。
所有者の管理義務を追求した中で、適切な措置を執ることが今後の空き家問題の解決には不可欠。
【 隠岐國(おきのくに) ・ 海士町(あまちょう) 】
最後に・・・・・・
空き家は未来への貴重な資源
資源の有効活用が、未来の「人」の営みへ
「人」をもたらし、「人」の営みを築く仕組みが
持続可能な地域へ