第 22 回 E ナース うつ病患者への看護アプローチ (演習問題 10 問) 設問 1:「死にたい」と患者に言われたらまず、どのように対応すればよいか。適切な対応を1つ選びなさい。 1.「そんなことを言ってはいけない」とさとす 2.「すぐに精神科に相談しましょう」と受診をすすめる 3.批判せずに患者の次の言葉を待つ 4.聞かなかった振りをして別の話題を話す 設問 2:SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)について誤っているものを1つ選びなさい。 1.副作用に嘔気、嘔吐、などの食欲低下がある 2.抗うつ効果は内服後 2-3 週後にあらわれる 3.中止による離脱症状はない 4.三環系抗うつ薬に比べ、便秘や立ちくらみなどが出にくい 設問 3:うつ状態を来たすことがあるものを1つ選びなさい。 1.Cushing 症候群 2.経口ステロイド剤 3.脳血管障害 4.上記全て 設問 4:入院患者が意欲低下と食欲低下をきたした。看護師の対応として適切なものを1つ選びなさい。 1.意識障害がないか観察、検討する 2.バイタルに変化がないか確認する 3.抑うつ症状がないか確認する 4.上記全て 設問 5:自殺企図で救急入院した患者の看護で不適切なものを1つ選びなさい。 1.支持的な対応 2.自殺念慮の確認 3.叱咤激励 4.家族の心理的サポート 設問 6:体活動型せん妄とうつ状態の鑑別に役立つ症状を1つ選びなさい。 1.不眠 2.落込んでいるときといないときのムラが大きい 3.食事をとらない 4.リハビリをしない 設問 7:うつ病加療中の患者の対応で望ましいものを1つ選びなさい。 1.調子が良いなら薬をやめることを勧める 2.うつは心の持ちよう、といった俗説を述べる 3.落込みの訴えがあれば傾聴し焦らぬよう話す 4.精神科的対応は無理と明言しメンタル面の訴えをせぬよう予防線を張っておく 設問 8:高齢者のうつ病の特徴として誤っているものを1つ選びなさい。 1.落込みが目立たない例がある 2.体の症状が前面にたつことがある 3.環境や身体疾患の影響を受けやすい 4.若年のうつより治りやすい 設問 9:うつ病と認知症について誤っているものを1つ選びなさい。 1.うつ病患者が認知症様の症状を呈することがある 2.認知症のうつ症状は対応の工夫だけでよくなる 3.レビー小体型認知症で抑うつを呈することがある 4.認知症とうつ病の鑑別が困難な例がある 設問 10:精神的に不安定な患者の対応で不適切なものを1つ選びなさい。 1.チーム内で情報を共有する 2.自身のメンタルヘルスにも気を配る 3.患者の主張を代弁し家族や他スタッフと戦う 4.専門医への受診が必要か主治医とカンファランスを開く 第 22 回 E ナース うつ病患者への看護アプローチ (演習問題 解答・解説) 設問 1:「死にたい」と患者に言われたらまず、どのように対応すればよいか。適切な対応を1つ選びなさい。 1.「そんなことを言ってはいけない」とさとす 2.「すぐに精神科に相談しましょう」と受診をすすめる 3.批判せずに患者の次の言葉を待つ 4.聞かなかった振りをして別の話題を話す 正解:3 解説:患者さんが自殺念慮を訴えても、焦らずに次の言葉を待ちましょう。気の利いた一言を言う必要はありません。受容的な態度で患者 の訴えを傾聴することが大切です。「なぜ死にたいのか」という質問はときに批判的にとらえられてしまうので注意が必要です。 設問 2:SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)について誤っているものを1つ選びなさい。 1.副作用に嘔気、嘔吐、などの食欲低下がある 2.抗うつ効果は内服後 2-3 週後にあらわれる 3.中止による離脱症状はない 4.三環系抗うつ薬に比べ、便秘や立ちくらみなどが出にくい 正解:3 解説:SSRI の副作用で代表的なものは嘔気、嘔吐などの消化器症状です。パロキセチン(パキシル®)などではときに強い離脱症状を 呈することがあるので、注意が必要です。抗うつ薬の効果は一般的に開始 2-3 週後からあらわれます。 設問 3:うつ状態を来たすことがあるものを1つ選びなさい。 1.Cushing 症候群 2.経口ステロイド剤 3.脳血管障害 4.上記全て 正解:4 解説:種々の身体疾患や薬剤が抑うつ症状の原因となります。うつ状態の患者をみた際は、身体的な問題がないかを考えることが必要で す。甲状腺機能低下症などの内分泌疾患も重要です。 設問 4:入院患者が意欲低下と食欲低下をきたした。看護師の対応として適切なものを1つ選びなさい。 1.意識障害がないか観察、検討する 2.バイタルに変化がないか確認する 3.抑うつ症状がないか確認する 4.上記全て 正解:4 解説:意欲低下・食欲低下の原因はうつ病以外にもたくさんあります。まずは身体疾患と意識障害(低活動型せん妄はよくうつと間違われ やすい)がないかの確認が大切です。 設問 5:自殺企図で救急入院した患者の看護で不適切なものを1つ選びなさい。 1.支持的な対応 2.自殺念慮の確認 3.叱咤激励 4.家族の心理的サポート 正解:3 解説:自殺企図後の患者は再自殺の危険が高いので自殺念慮の確認は必須です。「死にたい気持ちが強くなったら行動に移す前に教え てください」と説明するのも有効です。支持的な態度を保ち、家族の心理的サポートにも気を配れるとよいですね。 解答・解説 1 設問 6:体活動型せん妄とうつ状態の鑑別に役立つ症状を1つ選びなさい。 1.不眠 2.落込んでいるときといないときのムラが大きい 3.食事をとらない 4.リハビリをしない 正解:2 解説:実際には鑑別は難しいところもありますが、せん妄は意識障害ですので状態にむらがあるのが特徴です。うつ状態では反応が鈍くなり ますし、注意力も障害されます。意識が悪ければ行動に移せず意欲低下に見えます。 設問 7:うつ病加療中の患者の対応で望ましいものを1つ選びなさい。 1.調子が良いなら薬をやめることを勧める 2.うつは心の持ちよう、といった俗説を述べる 3.落込みの訴えがあれば傾聴し焦らぬよう話す 4.精神科的対応は無理と明言しメンタル面の訴えをせぬよう予防線を張っておく 正解:3 解説:精神症状が不調な時に訴えられる状況を作っておくことが大切です。患者から訴えがあった場合は、まず受容的に耳を傾けましょう。 医療者は医学的に誤った知識による指導をしてはいけません。 設問 8:高齢者のうつ病の特徴として誤っているものを1つ選びなさい。 1.落込みが目立たない例がある 2.体の症状が前面にたつことがある 3.環境や身体疾患の影響を受けやすい 4.若年のうつより治りやすい 正解:4 解説:高齢者のうつ病エピソードは数年続くことや、遷延することが若年より多いです。一方環境調整だけでよくなる例もあります。落ち込ん で暗い顔をして動けなくなるような典型的なうつ状態でなく、不安が強く多訴多弁を呈する方もいます。 設問 9:うつ病と認知症について誤っているものを1つ選びなさい。 1.うつ病患者が認知症様の症状を呈することがある 2.認知症のうつ症状は対応の工夫だけでよくなる 3.レビー小体型認知症で抑うつを呈することがある 4.認知症とうつ病の鑑別が困難な例がある 正解:2 解説:認知症のうつ状態では環境調整や抗認知症薬の使用が基本ですが、抗うつ薬の投与が必要な例もあります。レビー小体型認知症 だけでなく、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭葉変性症等種々の認知症の初期症状で抑うつを呈することがあります。 設問 10:精神的に不安定な患者の対応で不適切なものを1つ選びなさい。 1.チーム内で情報を共有する 2.自身のメンタルヘルスにも気を配る 3.患者の主張を代弁し家族や他スタッフと戦う 4.専門医への受診が必要か主治医とカンファランスを開く 正解:3 解説:精神的に不安定な患者さんの対応をするためには、一人で抱え込むのではなくチームで対応することが大切です。ときに支持的になるあまり 患者さんの代弁者となってしまう医療者がいますが、一定の距離を保つことも必要です。 解答・解説 2
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