経産省が仕掛けるガス自由化で「エネルギー大競争時代」に突入

より、 年度から都市ガス業界への新規参入が予想される。
一方で、地方
は拙速すぎる」というエネルギー業界からの不満の声は強いが、これに
事業法改正案を通常国会に提出する。
「経産省が進めるエネルギー改革
会が1月
日に報告書をまとめ、経済産業省はそれを盛り込んだガス
家庭向け都市ガスの販売事業が2017年度から自由化されること
がほぼ決まった。経済産業省の諮問機関であるガスシステム改革小委員
事 業ではあるが、その
しかし、電力と都市
ガスは同じエネルギー
議論が進められてきた。
る形で自由化に向けた
上がり、電力と並行す
13
なった。
方式を当面の間、継続することに
る可能性があることを配慮し、同
まない地域では逆に価格が高くな
競争を推進する一方で、競争が進
り、その領域や事業規模には差が
方部では普及していない地域もあ
部は導管が張り巡らされるが、地
ていたのに対し、都市ガスは都市
囲にわたるエリアで一社が独占し
され、関東、関西、九州など広範
ほぼ日本全土に送電網が張り巡ら
業界地図はかなり異なる。電力は
化などとの競合があり、すでに競
や電力会社が展開するオール電
ていた。また、家庭用でもLPG
大口事業家に関しては自由化され
しかも、都 市ガス事 業は家 庭
用の販売こそ規制があったものの、
う指摘はあった。
無理がある」
(業界関係者)とい
電力自由化が
〝飛び火〟
議論終了で法案提出へ
もともと都市ガスの家庭用販売
の自由化がが進められてきた背景
ある。東日本大 震災の原 発 事 故
社に過ぎないのに対し、都市ガス
都 市ガスの家 庭用販売の自由
化については、2013年からガ
スシステム改革小委員会で1年以
ある。事業者数も電力会社が
た。日本各地の都市ガス会社にも
会社は209社(
った。
年1月時点)
。
しかし、業界 地図は異なるも
のの、
「電力業界を自由化する以
で、電力会社に批判が集まり、そ
10
ヒアリングし、自由化に向けた形
争にさらされているという声もあ
には電力のシステム改革が前提に
昨年11月に完成したひびきLNG基地
上にわたり、議論が重ねられてき
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価方式」は原則廃止、自由な価格
上乗せして料金を決める「総括原
までの原料費などに一定の利益を
を模索してきた。その結果、これ
電力と同様、都市ガスも自由化す
市ガス事業にも矛先が向けられた。 まで幅広い。そのため、電力と都
で、同様に総括原価方式をとる都
の自由化の議論が進められる一方
市ガスを同じ構造で論じることは
模の会社から、数億円程度の会社
しかも、規模は売り上げ1兆円規
いうのが基本方針になっている」
ス業界も自由化せざるをえないと
上、同じ所管管理下にある都市ガ
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Zaikai Kyushu / MAR.2015
生き残りに向けて問われる経営者の手腕
の小規模都市ガス業者は生き残りに向けた対応を求められる。
べきという議論が湧き
経産省が仕掛けるガス自由化で
「エネルギー大競争時代」
に突入
業界 FOCUS
エネルギー
小売前面自由化後の事業類型
理で、経済産業省主導のもと、都
(ガス業界関係者)
。そうした論
売しながら、導管も所有している。 者団体も懸念を示している。
都市ガス会社は家庭用にガスを販
会社側が反発したからだ。現在、
会ではガス会社だけでなく、消費
は慎重な姿勢が求められる。委員
よってコスト削減が見込まれ、そ
を大幅に上回る。この基地稼働に
ければ、新規参入会社に対して公
針が固まった。ただ、今後の行方
ガス事業法の改正案を提出する方
160万㌔㍗の火力発電所の建設
る。近隣にはLNGを燃料とした
ネルギー事業者として歩みを進め
れ、電力小 売 りに参入し総 合エ
同社はこの基地稼働を機に、企
業 向 け の ガス 販 売 に も 力 を 入
から家庭用ガス料金を値下げした。
れに先んじる形で同社は1月1日
市ガスの家庭用販売も自由化に向
その結果、販売と導管の法的分
離に関しては東京、大阪、東邦の
経済産業省は小売りを自由化す
るなら、販 売する会社と導 管を
大手ガス 社に限り、義務づける
けた議論を重ねてきた。
所有する会社は法的に分離しな
の発送電分離と同様の論理である。 いかんでは、大手以外も対象とな
平性が保てないとしている。電力
ることは考えられ、
「段階的に大
も予定している。 万〜 万㌔㍗
販売と導管の
「法定分離」
保安の不安で反発大きく
ただ、この自由化の議論は終盤
に来てもつれた。総括原価方式の
きな事業者から経産省は仕掛けて
利用者
基整備し、数期に分
けての計画となるとみられ、発電
も 社程度になる可能性が高い。
〜
と九州内のガス事業者は大きな関
での自社活用でもある。運営会社
電力に参入する西部ガス
九電もガス参入見据える
級を
反対理由は以下のとおりだ。す
でにガス会社側で販売事業と導管
心を持って今後の行方を見守って
くるだろう」
(地元ガス会社幹部)
事業では「会計分離」が行われて
は落ちる。それにより、格付けが
会社の規模は小さくなり、収益性
と導管が分離すれば、それぞれの
公平性は担保できる。また、販売
も外部から見えるようにすれば、
いる。
80
いる。それをオープンにし、料金
40
一方、九州電力もガス事業への
参入が見込まれている。同社は火
力発電の燃料用に北九州LNG、
大 分 L N G とい う 子 会 社 を 持
ち、基地を所有している。これま
で、西部ガスには約 万㌔㍑、筑
出る可能性がある。
の各ガス事業者も準備を整える必
った(上図)
。それに向けて、九州
西 部 ガスが新たにLNG基 地を
ス会社にも供給してきた。しかし、
紫ガスや大分ガスといった都市ガ
法的分 離をした場 合に、販売 会
を完成させた。貯蔵能力 万㌔㍑
九州市若松区にひびきLNG基地
がかけつける態勢が整う。しかし、 ス会社である西部ガスは昨年、北
まず注目されるのは、地元大手
の動向である。九州最大の都市ガ
に大口需要家向けの販売には力を
することは十分考えられる。すで
出てくるわけで、それを自ら販売
た。当然、LNGはかなり余力が
から西部ガスへの供給はなくなっ
稼働させたことで、北九州LNG
社と導管会社が連携し、緊 急処
で、これまでの福北工場の7万㌔
害などの緊急時はすぐにガス会社
置がとれるのかどうか。ガスは人
入れているとされ、 年度に策定
ら導管も管理していることで、災
要がある。
このような流れで都市ガス事業
は 年に自由化されることが固ま
4
最大の争点は保安の問 題。現
在はガス会社がガスを販売しなが
下がれば、資金調達の面で支障が
2
3
㍑、長崎工場の3万5000㌔㍑
36
(密接関連性を
有する者に限る)
全ての利用者
(大口、小口)
しかし、ガス会社側はそれに強く
原則廃止などは一致をみたものの、 反対していた。
3
命に関わるだけに、保安に関して
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ガス小売事業
小売
特定供給
(卸供給)
託送供給
30
15
ガス導管事業(一般・特定)
導管
17
販売と導管の「法的分離」にガス
LNG基地・ガス田等
される中期経営計画には家庭用
県 直 方 市、有 吉 慶
州に立地するほとんどのガス事業
模索できる事業者は多くない。九
とで自由化時代を生き抜くことを
九州において、西部ガスのよう
に大規模投資や電力参入するこ
展開がなされるのか、 年度とみ
原発 再稼働後にどのような事業
の見方もある。川内、玄海 基の
と組むのでは」
(業界関係者)と
んでいたが、 年に直方ガスを設
同社のルーツは炭鉱会社だ。有
吉鉱業という名称で炭鉱業を営
日間で5252人が訪れたという。
て料理試食会なども実施した。3
ベントには川越達也シェフを招い
も併設しており、オープニングイ
間料理教室、カルチャースクール
の水回り商品を展示。筑豊初の民
商品や、住設関連会社小川商店
の介護サービス「わかば」の関連
関連商品だけでなく、グループ内
約させた。ショールームにはガス
ショールーム ここ
ち」を開設し、グループ会社を集
本社の「Q―SAN
設になりたいという思いがある。
で、地域のコミュニティーの拠点施
ルチャー教室なども開設すること
ここち」である。グループ会社
の本社と商品展示を集約、またカ
設したのが前述の「ショールーム
吉代表は話す。その象徴として開
業になれるのではと考えた」と有
で、より地域の方々に役に立つ企
集約し、シナジーを生み出すこと
社のグループ会社がある。それを
を目指したという。
「当社には
根ざしたサービスを強化すること
社の強みを見渡した結果、生活に
えない。そうした中で、同社が自
るい状況とはい
る。将来的に明
減少が続いてい
筑豊地区は人口
方市が含まれる
はない。特に直
た だ、 危 機
感がないわけで
いる。
トップは「今は経産省との関係が
立ちはだかる。ある地元ガス会社
けでなく、人口減少という問題も
も言われる。自由化による競争だ
ると言ってよい。それに合わせて、
エネルギー自 由 化時代が到 来す
力 自由 化と合わせて、来 年以降、
いよいよ、本格的な動きが始ま
った都市ガスの自由化。 年の電
持ち続けたい考えだ。
の組み合わせも視野に入れながら、
い。有吉代表は太陽光発電などと
の時にはガスだけでは対抗できな
という商品も登場するだろう。そ
すれば
「ガスと電気のセット販売」
ただ、ガスがメーン事業である
ことは変わりない。今後、自由化
きたいと話す。
つという視点で事業を拡大してい
代 表)
。あくまでも地域に役に立
地域の方々の役に立てる」
(有 吉
介護の知識などを持てば、さらに
高い。従業員がガスだけではなく、
者は中小事業者が大半であり、国
立、都市ガスの供給を始めた。現
れまで地域の重要な産業インフラ
需要は微増して
主導で進められる突然の自由化に
在、家庭用ガスは約6000件、
「当グループには介護サービス
業者がある。九州の都市ガス事業
として、役割を果たしてきた都市
祐 代 表 )の 構 成 企
戸惑いを隠さない。そうした中で
商 業用 約350件、工業用 約
者で介護に参入している事業者は
ガス事業者はどのように生き残り
ガスのセット営業」は出てくるだ
計だろう。自由化による「電力・
いう構図だけを単純に描くのは早
業 所 を 買 収、昨 年
いた九州電力直方営
った土地に隣接して
もともとの本社があ
動向が注目されている。
「総合生活関連事業者」
で地域の生活を支える
月ショールーム兼
ろうが、先述のひびきLNG基地
内に計画している発電所は「九電
4
られる発送分離を想定した同社の
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都市ガス事業者の再編が始まると
ギクシャクしている」と話す。こ
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Zaikai Kyushu / MAR.2015
ガス販売事 業が盛り込まれる予
「総合エネルギー事業者」と同時
件。家庭用は横ばいだが、ショッ
少ない。しかし、ガス事業は各住
を図るのか。今後の経営者のかじ
業である直方ガスは、
に、
「総合生活関連事業者」を目
ピングモールの開設や工場の熱源
宅を訪問することも多い事 業 体
取りが問われている。
西部ガス」と
指すことで、生き残りを図る地方
が天然ガスにシフトしたことによ
であり、介 護 事 業とは親和性が
16
10
定。ただ、
「九 電
のガス事業者も出てきている。
り、商工業は増加している。ガス
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エネルギー事業者としての武器を
九酸・直方ガスグループ(福岡
「総合生活関連事業者」
を目指す直方ガス
11
vs