第8回「I 氏賞」受賞者決定に係る選考委員長のコメント

第8回「I 氏賞」受賞者決定に係る選考委員長のコメント
【全体講評】
全体の傾向として、これまでの美術作品の在り方にとらわれない新しい視点からの
アプローチも見られ、意欲的で多様な作品が出揃った。「見せる」という行為から、
ものの成り立ちや出来事の因果関係の表現に、作る側の関心も変化している。
「I 氏賞」への注目も年々高まる中、実力ある候補者から選ばれた受賞者に、さら
なる飛躍を期待したい。
【大賞】
原 彰子(グラフィックデザイン)
(コメント)
現代社会を鋭い感性で認識し、デザインの中にはっきりとした主張がある。日本的
な感性を活かした絵画的造形の延長にある技術と表現力が、その思いを支えている。
国際社会を舞台にした発信の継続と、さらなる活躍が期待できる。
【奨励賞】
有永 浩太(工芸)
(コメント)
柔らかな布や手の動きを感じさせる繊細な表現を、端正なフォルムの中に引き出す
造形力がある。伝統技法を活かした新たな造形美の追求に期待する。
安中 仁美(絵画)
(コメント)
物語性のある表現への関心が高く、小さく収まらない可能性を感じさせる。主題や
構成を活かした絵画表現のさらなる展開に期待したい。