偏光高速度イメージングカメラ CRYSTAシリーズの紹介 株式会社フォトロン イメージング事業本部/上野裕平 高速度カメラは、約80年の歴史があり継続的な撮影技術開発により様々な高速現象の可視化を 実現し、 ワールドワイドに普及をした。 近年、精密加工技術や機能性材料、そしてロボット技術の発達により偏光を用いた高速物体 認識や動的構造解析のニーズが高まりを見せている。 弊社では、偏光に感度をもつ高速度カメラを開発し、偏光高速度イメージングカメラ 「CRYSTA」 の発売を開始した。 本稿ではこの製品の特長および物体認識の実例について解説する。 偏光高速度カメラ 1 「CRYSTAシリーズ」 CRYSTA の販売を開始した。 CRYSTA シリーズは、画素ごとに方位の異なる フォトニック結晶型マイクロ偏光素子アレイを実 従来のカメラでは、光の「色(波長) 」 「明るさ 装したイメージセンサを搭載したカメラであり、 (輝度) 」 の分布を取得し画像として表示している。 偏光観察の新たな検知デバイスとして注目されて この際には「偏光」という情報は取得されずにい いる。従来の偏光観察技術では、偏光板の回転が た。これまでカメラを用いて偏光情報を取得する 不可欠であったが、CRYSTAは 1 度の露光で偏光 ためには、カメラの前に置いた偏光子を回転させ 観察に必要な光強度情報を取得できる特長を有し ながら撮影する方法や互いに異なる透過軸の偏光 ており、さらに独自の画素並列読み出し回路と偏 子を複数台のカメラの前に設置して取得するなど、 光素子アレイを直結させることで (図1) 、サンプ データの取得に時間を要し、また光学系は非常に 複雑となっていることが偏光画像を取得する大き なハードルであった。 近年、精密加工技術や機能性材料、そしてロボッ ト技術の発達により「偏光」を用いた動的構造解 析や高速物体認識へのニーズが高まっている。そ こで、弊社は偏光に感度をもち、かつ高速に変化す る現象を捉えることができる“偏光高速度イメージ センサ”の開発に着手し、5 年の開発期間を経 て 2014 年 9 月に偏光高速度イメージングカメラ 図1 eizojoho industrial March 2015︱33
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