Ⅲ腎動脈が栄養血管であったパラガングリオーマの一例 症 例 66 歳の女性が 5 年前から高血圧の治療を受けて いたが、偶々の超音波検査で右後腹膜腔に腫瘤を発 見され 2001 年に入院した.入院当日血圧は発作性 に 202/96 と上昇したが、以後は 160-170/80-90 と 落ち着いていた.尿検査、全血球算定、血液生化学、 コルチゾール、アルドステロン、ACTH、レニン 活性の値は全て正常範囲内であった.血中カテコー ルアミンは、アドレナリン 31pg/ml、ドパミン 12pg/ml、と正常範囲内であったがノルアドレナリ ンは 1903pg/ml(基準値 100-450pg/ml)と高値で あった.ダイナミック CT では右腎、腹部大動脈と 腎血管に取り囲まれるような腫瘍を認めた(図1). MRI では腹部大動脈と右腎との間の腎血管部に位 置する腫瘍を認めた(図2).選択的右腎動脈造影 (図3)では腎動脈周囲の腫瘍への右腎動脈からの 栄養血管を認めた. 患者と相談の上、右腎副腎を含めての腫瘍摘出術 を行った.病理組織学的診断は褐色細胞腫であった 1) (図4).術後経過は順調でノルアドレナリン は正常化し、3 月後には血圧も 140 代/80 代を維持 している. 考察 副腎以外の臓器に発生する異所性褐色細胞腫を 一般的にパラガングリオーマと称している1).佐 藤ら2)は 1983 年に本邦のパラガングリオーマ 93 例を集計しているが、発生部位は腹部大動脈周辺部 が最も多く 43 例、膀胱部 15 例、左右腎動脈部 13 例、Zukerkanndel 小体 10 例、縦隔 4 例、頸部、 腎内、睾丸部各 2 例と不明 6 例であった. Copyright© Noriharu Mikata 2015 All Rights Reserved. 文 献 1)Murphy W.M.:Urorogical Pathology.W.B.Saunders Company, Philadelphia,1989 2)佐藤辰男、大石誠一、岩岡大輔、梅田輝久;褐色細胞腫 増):897-890,1983 本症例は第 15 回泌尿器画像診断研究会で報告した(2002 年) Copyright© Noriharu Mikata 2015 All Rights Reserved. 日本臨床 41(春
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