第七管区海上保安本部 定例記者懇談会 平成27年2月26日 ― 発 表 項 目 ― 1 平成26年における海上犯罪送致状況 ( P1∼P6 ) (説明者 警備救難部長) 平成27年2月26日 問い合わせ先 第七管区海上保安本部 第七管区海上保安本部 警備救難部 刑 事 課 長 玉野 晃(内線3170) 国際刑事課長 森田英典(内線3210) 代表:093‐321‐2931 平成26年における海上犯罪送致状況 第七管区海上保安本部は、平成26年の1年間に管内各部署が行った各種海上犯罪 取締りの実績を取りまとめましたのでお知らせします。 ◇ 平成26年の海上犯罪の送致件数は、対前年比154件減の 1、088件でした。 ◇ 全送致件数の内訳については、海事関係法令が約59%と最も多く、次いで 刑法犯(19%)、海上環境関係法令(9%)、漁業関係法令(7%)となって おり、海事関係法令は対前年比201件減、刑法犯は52件増となっておりま す。 ◇ 全体の約6割を占める海事関係法令違反について、船舶の安全運航確保の観 点から、法令遵守の指導、集中取締りを実施していますが、依然としてこの種 違反が後を絶たない状況にあります。 今後とも海難防止及び船舶の安全運航確保の見地から、海事関係法令違反の 指導取締りを強化していくこととしております。 ◇ 各種法令別の具体的な内容については、別添の「海上犯罪取締状況」をご参 照ください。 1 平成26年の法令別 取締り状況 ◇過去5年間における法令別送致件数の推移 (件) 22年 刑 法 犯 23年 24年 25年 26年 191 129 168 150 202 海事関係法令 687 620 708 847 646 漁業関係法令 47 74 83 80 73 海上環境法令 92 127 99 108 103 出入国関係法令 12 1 1 0 0 0 0 1 0 2 36 49 35 57 62 1065 1000 1095 1242 1088 薬物・銃器関係法令 その他の法令 合 計 ◇平成26年 法令別送致件数 ❖刑法犯 202件(前年比 52件↑) ❖海事関係法令 646件(前年比 201件↓) ❖漁業関係法令 73件(前年比 7件↓) 103件(前年比 5件↓) ❖出入国関係法令 0件(前年比 0件−) ❖薬物・銃器関係法令 2件(前年比 2件↑) 62件(前年比 5件↑) (0.2%) (6%) (19%) ❖海上環境関係法令 (9%) (7%) ❖その他の法令 (59%) ※ 「その他の法令」・・・電波法、国際航海船舶及 び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律、遊 漁船業の適正化に関する法律など 2 別添 「海上犯罪取締状況」 ❖刑法犯 刑法犯の送致件数は202件で、 前年に比べ52件増加しました。 その内、船舶同士による衝突や 浅瀬への乗揚げ等の業務上過失往 来危険が148件で、刑法犯全体 の約73%を占めています。 また昨年は、衝突逃走事件が 10件発生しましたが、その後の 捜査で全ての事件について逃走船 当て逃げされた漁船 舶を特定しました。 業務上過失往来危険に関与した船舶は、日本籍船が134隻、外国籍船が14隻 であり、外国籍船の内訳は、韓国8隻、中国3隻、パナマ2隻、カンボジア1隻、 となっています。 また、外国籍船14隻が関与した事件の被疑者国籍別の人数は、韓国人が8名で 最も多く、次いで中国人5名、フィリピン人1名、ミャンマー人1名となっていま す。 また、7月には、山口県長門市沖の青海島北方海域において、船体が大破した無 人の日本漁船(総トン数4.9トン)が発見され、その後、付近海域において、同 船船長を発見し病院に搬送しましたが、死亡(溺死)が確認されたため、衝突逃走 死亡事件として現場から逃走した船舶を捜索中のところ、山口県徳山港に入港中の 船首部に真新しい擦過傷がある日本籍タンカー(総トン数696トン)を発見、両 船に残存する塗膜片を鑑定した結果、各塗膜片が一致、その後の捜査により、タン カー乗組員が見張りを怠って漁船に衝突し、その衝撃で漁船船長を海中転落させ、 死亡させたことを特定しました。 ❖海事関係法令 海事関係法令違反の送致件数は646件で、前年に比べ201件減少しました。 法令別では、船員の雇入契約成立等の不届出などの船員法違反が258件で、海 事法令違反の40%を占めています。 次いで、船舶検査証書等を受有せずに航行したり、変更した検査事項を受検せず に航行するなどの船舶安全法違反が175件、その他として入出港届の不届出など の港則法違反が101件となっています。 3 第七管区海上保安本部では、地域の事情を勘案した集中的な指導取締り期間を設 けるなどして違反撲滅に取組んでいますが、この種違反は後を絶ちません。 今後とも、不法運航等については、厳正な取締りを行い、海上における安心と安 全の確保を図っていきます。 船舶安全法 27% その他 19% 船舶法 7% 船舶職員及び小 型船舶操縦者法 7% 船員法 40% ❖漁業関係法令 漁業関係法令違反の送致件数 は73件(うち外国人漁業関係 7件)で、前年に比べ全体では 7件減少しましたが、外国人漁 業関係は5件増加しました。 違反の内容としましては、一 般市民による漁業権侵害や漁業 者による無許可及び許可内容に 反する違法操業となっています。 外国漁船検挙時の状況 漁業者ではない一般市民が、 漁場内において、あわび、さざえなどを採捕する漁業権侵害では、漁業者の生活を 脅かす様な事案が多数見受けられ、合計19名を検挙しております。 4 また、外国人による漁業関係法令違反については、2月、7月、12月に長崎県 対馬沖において、立入検査のための停船命令に従わず逃走したり、日本の排他的経 済水域において、無許可で操業した韓国漁船船長をいずれも逮捕しました。 さらに、10月には、長崎県対馬市沿岸部において、韓国から来日しウエットス ーツを着用のうえ水中銃を使用して魚を採捕した韓国人旅行客3名を外国人漁業 の規制に関する法律違反で逮捕しました。 第七管区海上保安本部では、総合的な密漁対策を推進し、漁業秩序の維持及び水 産資源の保護に努めていきます。 ❖海上環境関係法令 海域への廃棄物不法投棄事件、油の 不法排出事件等、海上環境事犯の送 致件数は103件(送致件数全体の 9%)で、前年に比べ5件減少しま した。 法令別の内訳は、廃船の不法投棄、 船舶からの油の不法排出などの「海 洋汚染等及び海上災害の防止に関 する法律」違反が76件、船舶以外 投棄された廃筏 からの廃棄物の不法投棄などの「廃 棄物の処理及び清掃に関する法律」違反が11件となっています。 未だ老朽化した小型船舶等の不法投棄が後を絶たないことから、引き続き、人気 のない海域等の巡回・監視に努め、悪質な不法投棄については厳しく取り締って参 ります。 ❖銃器関係法令 平成 26 年 5 月 13 日、大分海上保安部は、船舶から海中投棄されたと思料され るけん銃状のものを発見したとの情報を受け、押収・鑑定の結果、銃砲刀剣類所持 等取締法規定の「模造けん銃」であることが判明、所要の捜査を行ったものの、腐 蝕状況等から海中投棄から相当年月(時効完成 3 年)を経過し、被疑者特定に至らな かったことから、被疑者不詳のまま模造けん銃所持事件として送致しました。 5 ❖その他 1月、当時、内閣府の職員であった男性1名が単身ゴムボートにて韓国釜山から 日本への渡航を試みるも、途中で遭難し、寒冷環境下において低体温症状態に陥り、 意識低下の中、ゴムボート内に倒れ風浪により打ち込む海水を吸引し溺死した後、 北九州市若松区響新港防波堤付近に漂着した事案が発生しました。 若松海上保安部において、男性の司法解剖を行うとともに、同人が所持していた 物品及び韓国国内のホテルに残された荷物の精査、同人所有の電子機器等のデータ 解析、並びにICPOルートによる韓国捜査機関等への情報提供依頼等、所要の捜 査を実施した結果、同人の日本への渡航目的等及び密航ブローカーや第三者の関与 が認められないことが明らかとなり、事件性がないものと判断し、捜査を完遂しま した。 6
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