枝幸港 本港 地区 小型船だまり整備事業

資料2-4(1)
え さ し こ う
ほ ん こ う
ち
く
枝幸港 本港地区
小型船だまり整備事業
事後評価結果準備書説明資料
平成 26 年度
北海道開発局
目 次
1.事業の概要
…………………………………………
1
(1)事業の目的
………………………………………
1
(2)事業の経緯
………………………………………
3
(3)事業の概要
………………………………………
4
2.事業効果等の確認
…………………………………
5
(1)費用対効果分析の算定基礎となった・・・・・・・・・・・・・・・
(2)事業効果の発現状況
要因の変化……
5
……………………………
6
(3)事業実施による環境の変化
(4)社会経済情勢の変化
(5)費用対効果の算定結果
3.今後の事後評価の必要性等
…………………
13
…………………………
13
………………………
13
……………………
14
(1)今後の事後評価及び改善措置の必要性
……
14
(2)同種事業の計画・調査のあり方や・・・・・・・・・・・・・・・・・・
事業評価手法の見直しの必要性……………
14
1.事業の概要
(1)事業の目的
○港の概要
枝幸港は北海道宗谷地方の東南部に位置する、枝幸町が
管理する地方港湾であり、オホーツク海を漁場とする漁業
拠点、背後地域への物資の輸送拠点として、地域の生活や
産業を支える重要な役割を担っています。また、近年はプ
レジャーボートなど海洋レジャー拠点としても利用されて
おり、港湾機能の一層の充実化を目指した施設整備を展開
しています。
枝幸港
枝幸港全景
本港地区
<平成 25 年 8 月撮影>
-枝幸港本港地区 1 -
○事業の目的
事業名 枝幸港 本港地区 小型船だまり整備事業
小型船だまりを整備することにより、小型船の港
目
的 内混雑を解消し、荷役等の効率化を図るとともに、
港内静穏度の向上を図る。
枝幸港は、当該地域の基幹産業である水産業を支える重
要な役割を果たしている社会基盤ですが、準備・陸揚・休
憩岸壁の不足及び老朽化、防波堤越波による港内擾乱、さ
らには荒天時には漁船の破損事故が発生するなど、効率的
かつ安全な利用に支障が生じていました。
本事業では、これらの問題に対処するため、本港地区に
おいて小型船だまりを整備するもので、滞船及び多そう係
留の解消、商品価値低下の回避を目的として実施しました。
また、港内静穏度向上による港内の漁業活動の利便性・安
全性の向上を目的として実施しました。
-枝幸港本港地区 2 -
(2)事業の経緯
平成7年度
事業採択
現地着工
平成16年度
再評価の実施
平成21年度
整備事業の完了
小型船だまりの供用開始
平成26年度
事後評価の実施
-枝幸港本港地区 3 -
(3)事業の概要
護岸(防波)(東)
港湾施設用地(東)
物揚場(東-3.5m)
泊地(東-3.5m)(防波堤撤去)
泊地(東-3.5m)
防波堤(東)(改良)
防波堤(波除)(東)
物揚場(-3.5m)(中央)
岸壁(-5.0m)(改良)
船揚場(改良)
物揚場(-3.5m)(改良)
港湾施設用地(改良)
道路(東)(改良)
○総事業費
35億円
○整備期間
平成7年度~平成21年度
-枝幸港本港地区 4 -
2.事業効果等の確認
(1)費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化
① 投資額(事業費)
前回評価
事業費
33.3 億円
実
績
34.6 億円
増減の主な理由
構造形式の変更による
②コスト縮減結果
本事業では、現場内で発生した消波ブロックの流用、
建設副産物の再生化することにより建設コストの削減を
図りました。
コスト縮減額
:約79百万円
③事業期間
事業期間
前回評価
実
績
H7~H21
H7~H21
増減の主な理由
-
④定量的効果に用いた指標の変化
定量的効果に用いた指標
利用小型船隻数
スルメイカ水揚量
前回評価
今回評価
54 隻
53 隻
(平成 22 年) (平成 26 年)
-
1,206 トン
-枝幸港本港地区 5 -
増減の主な理由
実績を踏まえた見直しによる
効果の実績が得られたことに
よる
(2)事業効果の発現状況
本事業による小型船だまりの整備により、港内の漁船の
混雑解消、港内の漁業活動の利便性・安全性の向上、水産
物輸送の効率化等に貢献しているものと考えられます。
整
備
効
果
○港内の漁船の混雑が改善されました。
○滞船及び背後用地不足による水産物の商品価値低下の回避が図
られました。
○港内の漁業活動の利便性・安全性が向上しました。
○船揚場の漁船の上下架作業環境が向上しました。
○水産物輸送の効率化が図られました。
○ホタテ貝の漁獲量増産に伴う水産業での雇用創出が図られまし
た。
(下線は、定量的効果)
(下線は、定量的効果)
ホタテ貝の水揚げ状況(物揚場(-3.5m)
(中央)
)
<平成 24 年 7 月撮影>
-枝幸港本港地区 6 -
港内の漁船の混雑が改善されました。
枝幸港では、準備・陸揚・休憩岸壁の不足及び施設の老朽
化により盛漁期には滞船や多そう係留が生じるなど荷揚げ作
業等に支障をきたしていました。
本事業の実施(物揚場の整備)により、係留施設延長が増加
し、小型船の準備・陸揚時の滞船や休憩時の多そう係留によ
って生じる時間コストの削減が図られました。
○利用者の声(水産係者)
枝幸港は、小型船溜まりが狭隘なため水産物の水揚げ作業等に支障を来していました。物揚場等の
整備により港内での準備・陸揚・休憩場所の再編が進むとともに、港内の輻輳が緩和され作業効率が
向上したことで、漁獲物の増産や鮮度低下防止の効果に結びついています。
平均滞船時間
平均多そう係留隻数
3.6
整備前
0.7
整備後
陸揚時
1.0
0.0
22.0
整備前
3.4
0.0
整備後
休憩時
準備時
1.0
2.0
3.0
4.0
時/隻
0.0
10.0
20.0
30.0
隻/日
整備前
整備後
準備・陸揚岸壁の不足により、順番待ちの
滞船が発生
準備・陸揚岸壁の整備により、準備
・陸揚時の滞船が改善
滞船改善
既存の水産対応
係留施設
既存の水産対応
係留施設
新規整備の水産
対応係留施設
:陸揚作業中の小型船
:陸揚作業中の小型船
:順番待ちの小型船
:順番待ちの小型船
整備前:多そう係留状況
<平成 18 年 9 月撮影>
整備後:多そう係留改善状況
-枝幸港本港地区 7 -
<平成 20 年 7 月撮影>
滞船や背後用地不足による水産物の商品価値低下の回避
が図られました。
従来までは、陸揚作業において岸壁や用地等の不足により
非効率な作業形態を余儀なくされていたため、スルメイカに
ついては鮮度保持面での問題から全道や宗谷管内の単価と比
べて最大で 185 円/kg 程度、安い単価で出荷していました。
本事業の実施(物揚場・用地の整備)により、陸揚岸壁延長
の増加と用地拡張及び防塵処理が図られ、陸揚作業効率の向
上から商品価値下落が回避され、仲買人から一定の評価が得
られることになり、現在のスルメイカの出荷単価は全道や宗
谷管内との差が縮まり平成 24 年実績はほぼ同等レベルまで
改善しています。
○スルメイカの単位量当たりの価格の推移
○宗谷管内のスルメイカ漁獲量割合
利尻富士町
2.4%
礼文町
2.8%
稚内市
40.0%
その他
0.1%
宗谷管内
スルメイカ
漁獲量(H24年)
2,297トン
枝幸町
54.7%
○利用者の声(水産係者)
小型船だまりの整備が、スルメイ
カの単価向上に貢献し、漁業者所得
の増加に結びついています。
整備後:選別台を使用したスルメイカの荷揚げ状況
<平成 26 年 11 月撮影>
-枝幸港本港地区 8 -
港内の漁業活動の利便性・安全性が向上しました。
本事業の実施(防波堤(改良・新設))により、港内静穏
度が向上し、漁船の通常時の航行や荒天時における係留の
安全性が向上したほか、係留時の漁船同士の接触事故等が
回避され漁船の安全確保が図られました。
また、陸揚箇所の静穏度が格段に向上し、安全性に加え
て作業効率の向上が図られることにより、漁獲物の鮮度下
落防止効果が得られました。
防波堤(東)の越波状況(平成 15 年 9 月)
越波による港内擾乱状況(平成 15 年 9 月)
漁船破損状況(平成 12 年 12 月)
-枝幸港本港地区 9 -
船揚場の漁船の上下架作業環境が向上しました。
本事業の実施(船揚場の改良)により、漁船の上下架作
業が行い易くなり、上架時の所要時間が 1/3 に短縮され、
必要人員も 5 名から 3 名程度に削減することができるよう
になり、漁船の上下架作業環境や安全性が向上しました。
整備前
整備後
上下架施設の老朽化状況(平成 6 年 6 月)
上下架施設の改良後(平成 25 年 6 月)
-枝幸港本港地区 10 -
水産物輸送の効率化が図られました。
本事業の実施(臨港道路の改良)により、路面の段差や
降雨時の水溜まり等による交通障害が回避されるなど、水
産物輸送の効率化が図られました。
整備前
整備後
道路(東)(改良)の改良前(平成 6 年 6 月)
道路(東)(改良)の改良後(平成 25 年 6 月)
-枝幸港本港地区 11 -
ホタテ貝の漁獲量増産に伴う水産業での雇用創出が図られ
ました。
本事業の実施により係留施設延長が増加し狭隘化が緩和
され、老齢漁船の更新においては大型化が可能となり、ホ
タテ貝漁獲量が増加しています。今後とも当港でのホタテ
貝の安定生産や増産が見込めることから、平成 24 年~26
年にかけて 4 件のホタテ加工場の立地が進み、町内から新
たに 10~20 人の雇用が創出されました。
なお、枝幸港のホタテ貝生産は、対全道シェアが 9%程度
まで高まっており、北海道全体の中でのホタテ生産拠点と
しての重要性が増しています。
●枝幸港ホタテ貝漁獲量と対全道シェアの推移
(トン)
40,000
ホタテ貝漁獲量
対全道シェア
30,000
36,292
H21完成
35,000
29,922
27,969
25,172
25,718
23,157
25,000
20,264
16.0%
14.0%
24,642
22,085
21,425
12.0%
20,000
10.0%
15,000
10,000
20.0%
18.0%
32,525
8.4%
5.6%
5.7%
5.8%
5,000
5.3%
6.5%
5.6%
5.7%
8.7%
6.9%
8.0%
6.0%
4.0%
4.9%
2.0%
0
0.0%
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
資料:北海道水産現勢をもとに作成
新造漁船(14t)
(平成 24 年 6 月)
枝幸港背後に新たな水産加工場
(平成 24 年 5 月)
-枝幸港本港地区 12 -
(3)事業実施による環境の変化
事業整備により滞船時間が改善される事で、船舶の運行
時間が短縮されたため、CO2 の排出量が削減されました。
(4)社会経済情勢の変化
特に大きな社会情勢の変化はありません。
(5)費用対効果の算定結果
○プロジェクトの投資効果
耐用期間(50 年)の滞船コストの削減+多そう係留コ
ストの削減+商品価値低下の回避+残存価値
費用便益比(B/C)
=
建設費+耐用期間(50 年)の維持管理費
85.9億円
=
=
1.5
56.1億円
※残存価値は耐用期間後にも残るプロジェクトの資産価値であり、地域に残る便益をして計上している。
※費用、総便益については、デフレータや社会的割引率を考慮(現在価値化)して、算定している。
-枝幸港本港地区 13 -
3.今後の事業評価の必要性等
(1)今後の事後評価及び改善措置の必要性
本事業の実施により、漁船の滞船時間削減や多そう係
留作業時間削減、荒天時の港内静穏度の向上が図られ、
安心・安全な生産活動が確保されるなど当初の目的が達
成され、投資効果も確保されていることから、今後の事
後評価及び改善措置の必要性はないと考えます。
(2)同種事業の計画・調査のあり方や事業評価手法の見
直しの必要性
本事業評価においては、同種事業の計画・調査のあり
方等について見直しを必要とする事項はないものと考え
ます。
-枝幸港本港地区 14 -
参考資料
○前回評価時との比較
前回評価
(H16 再評価)
今回評価
(H26 事後評価)
総費用
33億円
56億円
総便益
69億円
86億円
B/C
2.1
1.5
※費用、総便益については、デフレータや社会的割引率を考慮(現在価値化)して、算定している。
-枝幸港本港地区 15 -