霧 多布港 本港 地区 小型船だまり整備事業

資料2-5(1)
きり た っ ぷ こ う
ほんこう ち
く
霧多布港 本港地区
小型船だまり整備事業
事後評価結果準備書説明資料
平成 26 年度
北海道開発局
目 次
1.事業の概要
…………………………………………… 1
(1)事業の目的
……………………………………… 1
(2)事業の経緯
……………………………………… 3
(3)事業の概要
……………………………………… 4
2.事業効果等の確認
…………………………………
5
(1)費用対効果分析の算定基礎
となった要因の変化
(2)事業効果の発現状況
…………………………
(3)事業実施による環境の変化
(4)社会経済情勢の変化
………………
5
6
………………… 11
………………………… 11
(5)費用対効果の算定結果
……………………… 11
3.今後の事業評価の必要性等
……………………… 12
(1)今後の事業評価及び改善措置の必要性
…… 12
(2)同種事業の計画・調査のあり方や
事業評価手法の見直しの必要性…………12
1.事業の概要
(1)事業の目的
○港の概要
霧多布港は、釧路市と根室市のほぼ中間に位置し、浜中町が管
理する地方港湾です。
本港は、浜中町とその周辺地域の諸活動を支援する重要な役割
を担っています。
本港の浜中湾側では現在、サンマ流し網漁業、サンマ棒受網漁
業、サケ定置網漁業等が盛んに行われており、多くの船舶に利用
されています。近年では、静穏域を利用したエゾバフンウニの港
内増養殖も行われ、今後、貴重な水産資源として期待されていま
す。
霧多布港全景
浜中湾
琵琶瀬湾
霧多布港
<平成 22 年 9 月撮影>
霧多布港位置図
-霧多布港本港地区 1 -
○事業の目的
事業名 霧多布港 本港地区 小型船だまり整備事業
小型船だまりを整備することにより、小型船の港
内混雑を解消し、荷役等の効率化を図る。また、漂
目
的 砂埋没により、安全な船舶航行に支障をきたしている
ため、埋没対策により安全な船舶航行を図る。
霧多布港では、陸揚・準備岸壁や休憩岸壁が不足しており、
陸揚・準備作業時における滞船や休憩時の多そう係留などの漁
業活動に大きな支障が生じていました。さらに、泊地において
は、漂砂による埋没が生じ、大型漁船の利用や航行船舶の安全
性に問題があり、新たな係留場所の確保、埋没対策を行う必要
がありました。
本事業では、これら問題に対処するため、本港地区において
小型船だまりを整備するもので、滞船及び多そう係留の解消、
埋没対策を目的として実施しました。
-霧多布港本港地区 2 -
(2)事業の経緯
平成12年度
事業採択
物揚場(-3.5m)
、防波堤(波除)現地着工
平成17年度
再評価の実施
平成21年度
整備事業の完了
平成22年度
小型船だまり供用開始
平成26年度
事後評価の実施
-霧多布港本港地区 3 -
(3)事業の概要
防波堤(波除)
泊地(-3.5m)
防砂堤
道路
泊地(-3.0m)
物揚場(-3.5m)
○総事業費
30億円
○整備期間
平成12年度~平成21年度
-霧多布港本港地区 4 -
2.事業効果等の確認
(1)費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化
① 投資額(事業費)
(単位:億円)
前回評価
(A)
実績
(B)
差分
(B)-(A)
増減の主な理由
26
30
4
埋没対策での構造形式
の見直しによる
事業費
○防砂堤の断面
当初、ブロック構造を想定していたが、砂の
遮蔽構造が確実な 2 重矢板構造としたほか、
洗堀防止用工も必要となったため。
② コスト縮減結果
浚渫土砂を防砂堤の中詰材に利用する等、現場内流用及び他事業
流用することで建設コストの縮減を図りました。
コスト縮減額
約38百万円
③ 事業期間
事業期間
前回評価
(平成 17 年)
実 績
増減の主な理由
H12~H20
H12~H21
埋没対策での構造形式の
見直しによる
今回評価
備 考
④ 定量的効果に用いた指標の変化
定量的効果に用いた指標
利用小型船隻数
前回評価
(平成 17 年)
100 隻
実績を踏まえた見直しに
112 隻
(平成 21 年) (平成 26 年) よる
-霧多布港本港地区 5 -
(2)事業効果の発現状況
物揚場や防砂堤等の整備により、港内の漁船の混雑解消、漁業活
動の利便性・安全性の向上、及び港内の埋没現象の影響低減等に寄
与しているものと考えられます。
整
備 効
果
○
港内の漁船の混雑が改善されました。
○
港内における埋没現象の影響を低減しました。
○
港内の漁業活動の利便性・安全性が向上しました。
○
地域の活性化に寄与しました。
(下線は、定量的効果)
整備後:さんま水揚げ状況
<平成 22 年 8 月撮影>
-霧多布港本港地区 6 -
港内の漁船の混雑が改善されました。
本港を利用する漁船は、小型漁船を中心におおよそ 200 隻と
非常に多くなっており、加えてサンマ等の外来漁船の入港が年
間 100 隻を超え、港内の混雑は顕著な状況にあり、円滑な漁業
活動に支障をきたしていました。
本事業の物揚場整備により、係留施設延長が増加し、小型船
の準備・陸揚時の滞船や休憩時の多そう係留の改善が図られま
した。
○利用者の声(水産関係者)
港内の混雑が解消された点や、準備・陸揚時の作業時間の短縮により、出荷時に航空便に
間に合うことが出てくる等、水産物の販路拡大にもつながっており、大変良かった。
平均滞船時間
平均多そう係留隻数
2.22
整備前
47
整備前
2.92
1.70
整備後
26
整備後
陸揚時
1.14
休憩時
準備時
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
0
10
20
30
40
50
隻/日
時/隻
整備前
整備後
準備・陸揚岸壁の不足により、順番待ちの
滞船が発生
準備・陸揚岸壁の整備により、準備
・陸揚時の滞船が改善
滞船改善
既存の水産対応
係留施設
既存の水産対応
係留施設
新規整備の水産
対応係留施設
:陸揚作業中の小型船
:陸揚作業中の小型船
:順番待ちの小型船
:順番待ちの小型船
整備前:多そう係留状況
整備後:多そう係留改善状況
<平成 16 年 9 月撮影>
<平成 21 年 9 月撮影>
-霧多布港本港地区 7 -
港内における埋没現象の影響を低減しました。
本港は、霧多布大橋を境に、浜中湾側と琵琶瀬湾の 2 湾に面
し、両湾の水路になっており、港内に年間を通じて徐々に土砂
が堆積していました。
この漂砂の堆積により、漁船の船底を擦ることによる船体被
害や漁船の船舶上架作業ができないなど、一部の水産活動に支
障が生じておりました。さらに、定期的に泊地浚渫をしなけれ
ばならない状況で負担になっていました。
本事業の実施(防砂堤の整備)により、漁船の安全な船揚場
への上架や港内航行が可能となったほか、漂砂による泊地浚渫
費が削減されました。
整備後
整備前
霧多布港全景
浜中湾
琵琶瀬湾
<平成 22 年 9 月撮影>
-霧多布港本港地区 8 -
港内の漁業活動の利便性・安全性が向上しました。
本港では、多くの地元漁船に加え、サンマ等の外来漁船の利
用により滞船・混雑が発生しており、さらに港内が狭隘である
ことから、港内を航行する漁船の航行安全性が確保できない等、
漁業活動に支障が生じていました。また、漂砂により泊地水深
が浅くなり、漁船の船底を擦る懸念があるため、埋没箇所付近
の漁船航行にも影響が生じておりました。
一方、本港では道路整備が不十分であったため、未舗装箇所
の走行で砂埃等が発生し、鮮魚等水産物への影響や路面の不陸
により走行に支障をきたしておりました。
本事業により、港内利用漁船の混雑が緩和され、漁船の航行の
安全性も向上しています。さらに道路整備により、砂埃の影響
が解消され作業環境の改善が図られています。
整備前:港内混雑状況
整備後:港内混雑解消状況
<平成 17 年 8 月撮影>
<平成 21 年 9 月撮影>
整備前:道路状況
整備後:道路状況
<平成 16 年 4 月撮影>
<平成 23 年 11 月撮影>
-霧多布港本港地区 9 -
地域の活性化に寄与しました。
本港背後の浜中町における 2 大産業は水産業と酪農となってお
り、就業人口の約 4 割を水産業が占めています。また、産業別生
産額においても、水産業は全体の 4 分の 1 を占めております。一
方、町財政は厳しい状況下にあり、その再建と自立を目指すまち
づくりを進めるため、また、本町の持続的な発展を可能とするた
めにも、本町を支える漁業の振興を図ることが期待されています。
本事業の実施により、生産基盤が整備充実されることで、漁業
の振興が図られ、地域の活性化に寄与しています。
水産業
1,536人
36%
その他産業
2,047人
48%
その他産業
1,283百万円
24%
水産業
1,331百万円
25%
農林業
2,696百万円
51%
農林業
697人
16%
浜中町の産業別就業人口(左)と産業別生産額(右)(平成 19 年)
浜中町の漁業と酪農を紹介する HP
(浜中町観光協会)
浜中町で獲れる水産物を紹介する HP
(浜中漁業協同組合)
-霧多布港本港地区 10 -
(3)事業実施による環境の変化
事業整備により滞船時間が改善される事で、船舶の運行時間が短縮
されたため、CO2 の排出量が削減されました。
(4)社会経済情勢の変化
本港周辺の漁場環境が変化したことにより、サンマやサケといった
漁獲量の減少も見られるが、総漁獲高は安定的に推移しています。
(5)費用対効果の算定結果
○プロジェクトの投資効果
費用便益比(B/C) =
耐用期間(50 年)の滞船コストの削減+多そう係留コ
ストの削減+泊地の維持浚渫費削減
建設費+耐用期間(50 年)の維持管理費
54.2億円
=
45.8億円
= 1.2
※費用、総便益については、デフレータや社会的割引率を考慮(現在価値化)して、算定している。
-霧多布港本港地区 11 -
3.今後の事業評価の必要性等
(1)今後の事業評価及び改善措置の必要性
本事業の実施により、漁船の滞船時間や多そう係留作業時間削
減、及び維持浚渫費の削減等、当初の目的が達成されていること
から、今後の事後評価及び改善措置の必要性はないものと考えま
す。
(2)同種事業の計画・調査のあり方や事業評価手法の見直し
の必要性
本事業評価においては、同種事業の計画・調査のあり方等に
ついて見直しを必要とする事項はないものと考えます。
-霧多布港本港地区 12 -
参考資料
○前回評価時との比較
前回評価
(H17 再評価)
今回評価
(H26 事後評価)
総費用
26億円
46億円
総便益
36億円
54億円
B/C
1.4
1.2
※費用、総便益については、デフレータや社会的割引率を考慮(現在価値化)して、算定している。
-霧多布港本港地区 13 -