受付番号5:八千代エンジニヤリング㈱広島支店 (様式−20) 業務の実施方針 1.業務の目的と特徴 本業務は、一般国道54号とアストラムライン、そし て JR山陽本線間に挟まれる狭隈な空間を利用して 交通結節点となるべき新駅とJR連絡通路を建設する ことを目的に詳細設計を行うものである。鉄道営業線 の近接施工という特殊事情を十分考慮した上で、以下 の事項に着目した設計、施工計画、協議用資料作成を 行います。 1)列車の安全運行確保(アストラムライン・新幹線・在来線) 2)安全・快適な連絡駅機能を有する駅と周辺計画 3)総合的な観点からのコスト縮減・環境負荷の低減 4)意匠設計業者との協力による安全・快適・デザイン を兼ね備えた交通結節点の駅計画 5)他分野の専門家配置による品質確保 白島新駅詳細設計 打合せ① 現地調査、既存資料収集 照査① 基本条件、鉄道近接条件、 道路条件整理 打合せ② 意匠設計とのマッチング を考慮した検討事項整理 検討内容の着目点整理 打合せ③ 照査② 意匠設計監修① 意匠設計結果の受領 駅部概略構造検討・施工計画 連絡通路部構造検討 ・施工計画 打合せ④ 2.業務の実施方針 詳細設計方針決定 意匠設計監修② (1) 列車の安全運行確保 ①白島新駅の設計にあたっては、営業線の運行に支障しない よう、施工方法、施工手順を十分に検討し、広島高速交通 との協議をスムーズに行うための詳細な構造検討と施工計 画を早期に作成します。 ②連絡通路の設計ではJR新幹線の近接施工となり、施工計 画、施工中の管理基準、施工工程が重要課題となり協議資 料の早期作成とJR協議への対応を行います。 ○白島新駅 詳細設計 ●連絡通路 詳細設計 意匠実施設計 建築設備詳細設計 火災対策設備設計 UD 緑地修景設計 空間づくり 意匠設計監修③ 照査③ 意匠設計監修④ 打合せ⑤ (2) 安全・快適な連絡機能を有する駅と周辺計画 ①白島新駅と連絡通路を囲む既存鉄道線により連絡経路とし ては大きな制限を受けている事から、高低差の大きい連絡 通路をより安全に、快適になるような計画を行います。 ②単なる乗換駅でなく、周辺状況を考慮した多くの交通結節 点機能を有する駅となることを提案します。 ③国道54号中央部緑地帯をアストラムパークと位置づ けて、集客できる賑わい空間・快適な滞留を創出す る工夫をいたします。 全体の整合性確認 詳細設計図書の作成 照査④ 打合せ⑥ 設計図書の作成 (3) 総合的な観点からのコスト縮減 図−1 業務フロー ①JR新幹線に平行なこ道橋は橋脚の施工が制限範囲Ⅲ内に入ると予想されることから設計・施工上の配慮が必要 になります。またアストラムライン間の工事も同様です。工事期間が長いほど保安費用・計測管理費用も増大す るため、同時施工案を基本とした施工計画を早期に立案いたします。 ②早い時期に詳細な施工ステップ計画を提示することで協議を円滑に進めます。また、施工時には設計段階とは異 なる挙動を示す可能性があるため、設計結果を検証するための動態観測計画、軌道計測計画の立案も行います。 (4) 意匠設計業者との連携による安全・快適・デザイン性を有する駅計画 ①広島市、意匠設計業者と合同打合せを通じて十分に詳細設計のコンセンサスを図る。詳細設計の建築担当者を軸 として意匠側と詳細設計側の打合せ・調整を十分に行い、安全で快適、乗換負担の少ない駅の設計を目指します。 (5) 多分野の設計人員配置による品質確保 ①ISO により品質・環境に配慮すると共に、照査技術者の他に照査専門技術者を配置し、成果品質の向上に努めます。 ②本業務は、鉄道、地下構造物、道路、設備、バリアフリー、環境など多岐分野にわたるため、各分野の専門技術 者を配置して、データの共有や定期的ミーティング(2 回/月程度)による連携強化を図ります。 ③遅滞なく協議を進めるため、協議時期及び時間を考慮した条件提示等の期限の明確化を図り、業務打合せ・照査 時期なども含めたマイルストーン工程管理表を作成し、発注者及び受注者間で情報共有した執行とします。 3.工程計画 検 討 項 目 アムストライン新駅詳細設計業務 ① 意匠実施設計 ② 構造詳細設計(土木・建築) ③ 建築設備詳細設計 ④ 地下鉄火災対策設備詳細設計 ⑤ 打ち合せ協議 連絡通路詳細設計業務 ① 意匠実施設計 ② 構造詳細設計 ③ 建築設備詳細設計 ④ 中央緑地帯修景詳細設計 ⑤ 打ち合せ協議 照査計画 業 務 工 程 12月 1月 2月 備 考 3月 設計計画 協議① 設計計画 協議② 協議③ 協議④ 協議⑤ 協議⑥ 報 告 書 協議① 協議② 照査① 協議③ 照査② 協議④ 照査③ 協議⑤ 協議は全回数 市・意匠 詳細で合同会 議とする。 協議⑥ 照査④ (様式―21) 課題 1 1.課題に対する認識 白島新駅は幹線道路の中央に位置し、営業線直近での掘削工事を行う制約の多い工事である。詳細設計と してはアストラムライン及び利用者の安全性第一認識にもとづき下記の項目に留意する。 ① ② ③ 近接鉄道営業線の運行を妨げない安全な施工を考慮した設計 現在の既設ボックス構造を一部開口にした場合の構造安全性 工期短縮及びコストダウン 2.着眼点 上記の認識の下、地下駅の設計施工について着眼点を以下に示す。 ◆安全性 1)アストラムラインのボックスの間での開削時の地下水に対する安全性 2)最小限の支保構造による掘削と既設ボックスの変形防止と計測による安全確認 3)既設ボックスの側壁開口方法・範囲と開口部補強方法(CFRP板接着工法) 4)最終構造のあり方と止水方法の検討(駅部と既設ボックスの一体化検討) ◆工期短縮 1)既設アストラムラインのボックスを土留め材として中間部分に土留材不使用 2)アストラムラインのボックス開口部の最小化 3)列車間合いを利用した昼間施工範囲を多くする方法 3.技術提案(安全性の確保) についての技術提案 3)アストラムラインボックスの側壁開口方法・範囲と開口部補強方法(CFRP接着工法) 都内地下鉄で本計画と同様に側壁部を撤去してホーム増設を行った時に問題となった事項は ①全体を一体構造とすると応力の再配分が生じて既設構造物が現行の耐震基準を満足しない ②ホームドア周辺の部分的開口の場合は列車運行上問題があり不可 であった。 ②の方法をとる場合は現在の他の駅のような全透明壁方式のホームドアとはならず、確認を要する。 側壁開口方式:既存検討書では大型ブレーカーによる壊しとなっていたが鉄道近接では特に振動が問 題になるため開口の施工にはワイヤーソーによる小割方式により撤去する。部分開口方式で許可がお りる場合は既存のボックス側壁に補強配筋できる余裕幅を考慮した開口とする。 開口部補強方法:開口部の大きさにより側壁上下部を桁型補強するのが一般的である。そのためには 側壁隅角部を一時撤去して補強桁を再構築することになるが、近接条件下では不可能であり、工期的 にも不利である。そこで橋梁補強等に最近よく使用されているCFRP板接着工法を採用を検討する。 4)最終構造のあり方と止水工法の検討(駅部と既設ボックスの一体化検討) 駅全体の構造安定性・止水対策上からも両側の既設ボックスと中間ボックスを一体とする事が望まし い。その場合構造形式が変更となり両側のボックスの安全度が不足する可能性がある。設計開始早期 段階で一体化した場合と独立構造方式とした場合の比較を行い一体化の可能性検討を行う。一体化設 計が不可能となった場合は3個の独立構造の地震時安全性を動解により安全度照査するとともに新 旧コンクリートの境界部の止水対策を行う。 4.技術提案(工期短縮) 1)既設アストラムラインのボックスを土留材として中間部分の土留材不使用 既設ボックスの両側には施工時の土留杭が残置されている事から、中間部掘削時には土留杭を施工す 1) 既設アストラムラインボックスの間での開削時の地下水に対する安全性 る工法では残置仮設材の処理等に問題を生じる。そのため 3-2)で記した様に掘削底面付近を地盤改良 広島市の地盤の特性として砂質系地盤内の地下水問題がある。また近郊の工事で被圧地下水の報告も することにより先行地中梁工法を採用して工期短縮を図る。 あるため、設計段階よりこの地下水対策については十分な配慮が 必要であ 2)アストラムラインのボックス開口部の最小化 る。土留杭(または矢板)による止水も可能であるが Fl 層 既設構造物の安全性とも合わせて開口部を出来る限り小さくすることは工期面でも非常に有利にな 鉄道近接部での土留建込にオーガー併用などの無振 る。ただし全面ホームドア化された他の駅と同様に運行面で許可が得られる事を確認する必要がある。 動工法を使用する必要があり、工期も長くなるデメリ As層 上り線 下り線 + + Asf 層 3)列車間合いを利用した昼間施工範囲を多くする。 ットがある。そのための方策として掘削面下の地盤改 地下駅の施工時で最も工期が長くなる要素は既設鉄道ボックスの直近での掘削工事である。夜間の起 良を行い不透水層を構築する。地盤改良においてはそ 電停止区間の施工が望ましいが、計測管理システムを用いて昼間施工の可能性を確認する。ボックス の圧力により施工時に既設構造物の変形を伴うもの 地下水 Asf 層 変位・変形に対する管理値を『軌道施設実施基準』及び「整備基準値(静的値)」、「無徐行(徐行速 もあるため、変位制御型注入工法を採用する。 度向上)のための構造物の設計・施工の手引き:H9.4」の考え方に従って設定する。計測管理は、開 2)最小限の支保構造による掘削と既設ボックスの変形防止と計測による安全確認 削工事中の仮土留め壁や支保工の変位・変形・応力および軌道の高低・水準・通りについて、リアル 掘削時には既設のボックス構造を土留め材として考慮する。 タイムで計測する計画とする。 その為、最終根堀時のボックスの安全性を確保 4)連絡通路との同時施工 国道中央の緑地を利用して同時施工とし工期短縮を図る。そのための詳細施 Fl 層 するために、既設ボックス底版を支点とする地 工計画を早期作成して国道・鉄道管理者協議資料による計画協議援助を行う。 盤改良による先行地中梁を構築する。先行地中 5.その他 As層 梁の上面まで掘削した後に、ベンチカット工法 上り線 下り線 先行地中梁 + + Asf 層 で部分的に中間部の底版を構築して全体の下 総合的なアプローチと品質管理及び専門技術者配置 弊社はグル−プ 床版とする。 制を導入しており、道路・鉄道グループ内はもとより、他のグループ間 既設ボックスの変形防止・軌道変位を管理基 地下水 Asf 層 の技術的協力体制を整えている。本業務での駅周辺計画、環境配慮等の 地盤改良 準値内にするために、工事開始から完成までを 問題も各部門から専門性の高い適正な担当者の配置が可能である。本業 トータルステーションシステムによる計測管理を行うものとする。 務でも環境グループから専門家を追加配置する。 (様式―21) 課題 2 についての技術提案 1.課題に対する認識 土木・建築工事におけるコスト縮減は永遠の課題である。特に高度成長期に構築された社会資本の多く が現在、維持・補修の時期を迎えており、維持・補修費用は今後の社会資本発展の大きな課題となってい る。白島新駅においても完成後の長期にわたりライフサイクルコスト(LCC)を低減すること、そして 地下駅の機能を長期にわたり維持するための維持管理技術・手法を向上することが重要となる。 2.着眼点 ◆ライフサイクルコスト低減・維持管理性向上に関する着眼点 LCC の要素である初期建設費(I)、撤去費(R)そしてメンテナンス費(M)を低減することが課題 となるが、以下の事項に留意する。 ・営業線近接の条件下で工期を短くする工夫を図る。課題1でも記述したように鉄道営業線維持のために 規制が多く入ることから、工期を短くする事が初期建設費縮減につながる。 ・側壁の撤去においては営業線直近工事であり工期・工費を要するため、撤去範囲を可能な限り小さくし て工期短縮、建設副産物量の低減を目指す。 ・地下駅の維持管理費として大きいものは建築設備、換気設備関連であり地上駅よりもはるかにコストが かかる。そのため可能な限り長寿命なものを選定することは 勿論であるが、維持管理費、補修費を縮減できるものにする。 ・構造的な要素として維持管理上問題になっているものにク ラック、漏水がある。特に漏水は本体そのものを劣化させて 駅の寿命を短くさせるとともに排水ポンプの新たなる設置 や台数増加を要するため重要な解決課題と言える。構造一体 化の検討と単独構造での止水対策の両面で検討を行う。 3.初期建設費低減の提案 ◆初期建設費の低減 初期建設費の低減においては以下の項目について着目し、 コスト縮減を図る。 土留掘削工法:開削工事をできるだけ早期に行う事を目標 として工期縮減=コスト縮減化する。 ①既設ボックスを土留壁として土留材の省略、切梁支保工に 代わる逆巻きスラブの使用、掘削底面付近に先行地中梁を設 置する事を含めた総合的な仮設工事費縮減を図る。 ②運行上の安全性の確保することを条件として既設アストラムラインのボックスの側壁開口部の撤去面 積をできるだけ小規模とする。側壁撤去の量・範囲は営業線近接を考慮して施工時にワイヤーソーを使 用することが予想される。他の駅と同様にシースルーなホームドア構造にするには側壁全面撤去になり、 上下に補強桁構造新設をともなう大変な工事となり撤去費増大、工期延長、安全管理費も増大する。そ のための対策として以下の点に考慮して詳細設計を行う。 ・ホームドア付近のみ開口とできるかの可能性検討(特に鉄道事業者の判断) ・開口のための桁型補強の廃止。 4. 維持管理費低減・管理性の向上 メンテナンス費用の低減を含む維持管理性の向上の方策としては以下の提案事項による、 ◆詳細設計上の前提条件として考慮すべき事項 ①合理的な耐久性設計法の確立:鉄道基準が限界状態設計法になっているため、既設のボックスの評価手 法を当時の基準で評価とするか、現行基準で評価するかの決定 ②構造物性能の下限値の明確化(構造物更新、補修時期の目安) ③コンクリート構造物の劣化予測を適切に評価する手法の開発 ④劣化に対する効果的な補修、補強工法の開発と継続的なメンテナンス体制の確立 ⑤日常の点検や定期的に行う点検の際に見つかった損傷などを、対症療法的に補修する管理手法で構造物 を維持してきたが、この管理手法を、LCAの考え方を踏まえた予防保全型に切り替える ⑥建物のライフサイクルコストの中で大きな比率を占める光熱水費の削減をトータルに提案し実現 ⑦メンテナンスフリーの材料の採用 ⑧メンテナンスし易く、取合い部分の劣化し難い納まりの採用 ◆建築設備、換気・電気設備の設計 :土木構築に比較して建築設備、換気・電気設備の寿命は短いため、 維持管理上、長寿命材料・メンテナンスフリーの材料を使用する方が好ましい。 ①換気機械設備配管にアルミやステンレスのものを使用する。 ②LEDや無電極タイプの照明器具にするなど新技術を積極的に 応用してゆく。 ③屋根に降る雨水を貯留し、旅客トイレ洗浄水、緑地散水に利用 する。 ◆自然エネルギー利用 :太陽光など自然エネルギーの利用を図 り、将来の維持管理費用を低減させる。白島新駅に利用できる代表 的な手法を以下に挙げる。 ①白島新駅の屋根、側壁部、通路部の屋根にソーラー発電装置を 施し・太陽熱の光の利用、トップライト部より明かり取りを積極的 に行い、同時に自然換気が出来るような開閉装置を設ける。 ②アストラムパーク(今回提案:課題4、5参照)の屋根材に酸化 チタン光触媒膜を利用する。 ③連絡通路のこ道橋の屋根もソーラー発電装置を施し太陽熱によ る電気利用を図る ◆構造物と排水関連維持管理性向上 :課題1でも記したが、既存 ボックスと新設ボックスの境界部分を一体とするか独立とするか は構造物の安全性によることが大きいが、維持管理上も重要なポイントとなる。 ①1層3径間構造にした場合、継目を無くすことが出来、漏水量を大きく低減できる。 ②排水経費、継目金具等の維持管理も不要となる。漏水によりRC部材、鋼部材の腐食による劣化防止で きる効果も大きいと考える。 ③反面一体化による拘束ひび割れの発生も懸念される。 以上より一体化と独立構造での止水性とメンテナンス費用も比較して総合的に判断する。 5.その他 緑化推進:屋根や壁面の緑化を図ることで、ヒートアイランド対策に寄与すると共に躯体に対する遮熱 効果から空調負荷が軽減され、それによるLCCの低減、維持管理費用への転換を図るとともに、利用客 及び地域に対して視覚的に環境配慮型駅としての PR を行う(環境負荷低減にも記載)。 (様式―21) 課題 3 についての技術提案 1.課題に対する認識 「広島カーボンマイナス 70」における今後の地球温暖化対策として、その対策の方向性の中で CO2 排 出の少ない都市基盤をつくることが掲げられている。対策では総合的な交通需要マネジメント等の推進と し、交通手段を自動車に依存している現状から、自動車から公共交通機関への交通手段の転換など市民、 事業者の交通行動を転換していくための総合的な取組の一つとして公共交通機関の充実・強化を図ってい くために、路面電車の LRT 化や、乗り継ぎ利便性の高い交通結節点の整備していくことになっている。 本業務は交通需要マネジメント等の推進の一環として行われるものと認識し、結節点整備に伴い駅舎及 び周辺施設においても地球温暖化対策への対応を行っていくものと認識している。 2.着眼点 ◆省エネルギー CASBEE ひろしまの指針に適合する項目について省エネルギー化を図る。 ◆環境負荷低減 LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いた検討を行い、CO2 排出量の少ない工法を選定する。 3.技術提案(省エネルギー) 省エネルギーに関わる駅設備の主要項目についての提案を以下に述べる。 ◆昇降機(エレベーター・エスカレーター) 現計画は最低限の配置であるため、台数低減は不可能であることから、機械制御方法等に省エネ対策を 行う。インバーター制御によるエネルギー制御、エレベーター昇降路内換気ファンのサーモ発停やエスカ レーター(及び動く歩道)の自動運転装置による効率的な運転を行い、省エネルギー化を図る。 ◆自然エネルギー利用 駅舎屋根、国道横断連絡通路部の屋根にソーラー発電装置を施し自然エネルギーの活用を図る。 ホーム階上部や駅舎屋根の一部にトップライトの設置、開放性のある歩道、連絡通路の屋根材に膜材を 使用することで、ほどよい自然光の取り込みを行い、日中の照明負荷の軽減を図る。また、トップライト 部分には自然換気が出来るような開閉装置を取り入れる。 なお、自然光の取り入れ部には Low-E ペアガラスやルーバー等を設け、直接日射の抑制を図り室内空 間の空調負荷に配慮する。 一部トップライトの設置 自然光を駅舎内へ取り込む <駅舎屋根> 太陽光発電パネル 設置箇所 積極的に緑化 <連絡通路> 膜屋根とし自然採光 の取り入れ ちょっとした溜場 <避難階段屋根> 太陽光発電パネル 設置箇所 アストラムパーク 開放性のある歩道 膜屋根とし自然採光 の取り入れ 一部トップライトの設置 自然光を駅舎内へ取り込む 太陽光発電パネル 設置箇所 ◆効率的な空調・換気設備の検討 全 体:地下鉄の駅で空調、換気システムはメンテナンスコストの面でも非常に重要となる。 横浜市営地下鉄では駅冷房をしない所もあり、地上と近い事を利用して自然駅換気を行う事も 視野に入れる。また地上階を冷房をやめてミスト方式の採用も検討する。さらに降雨時の地下 水位が高い場合に被圧地下水を駅冷房・雑排水に積極的に利用する方法がないか確認を行う。 ホーム:高効率個別分散型空調機の配置を検討する。ホームから階段を上がった所にエアカーテンを設 け、ホーム階の環境を外に逃がさない設備配置の検討を行う。 ◆使用水量抑制 節水タイプの便器使用、節 水型自動水栓の手洗い器、節 自然光の 駅舎屋根:太陽光発電パネル 大屋根:酸化チタン光触媒膜材 取入れ 水型フラッシュ弁の採用、小 Low-e ペアガラス 便器の対面センサー化を採用 開放性のある歩道 し節水に取り組む。また雨水 周辺は積極的に緑化 ▼ホーム階 貯留槽を設け、トイレ洗浄水 連絡通路・動く歩道 に中水の利用を図る。 (アストラムパーク) 滞留スペース ◆効率の良い照明器具の導入 休憩・待合いスペース LED 照明、LED 案内掲示 板の積極的な導入を図り、省エネ及びランニングコストの軽減を図る。無電極タイプの照明器具を導入す る。 ◆酸化チタン光触媒膜素材の採用 カーボンマイナス素材:軽量素材ゆえに、アルミハニカム材やガラスに比べ CO2 排出量の削減効果が 大きい。 自然環境への配慮:窒素酸化物(NOx)を除去し、空気を浄化する。 維持管理の軽減:光触媒のセルフクリーニング作用により、いつでもきれいな状態で保持できる。 自然光の取り入れ:紫外線をカットし、ほどよく昼光を取り込むことで照明負荷を軽減する。 4.技術提案(環境負荷低減) 環境負荷低減において重要な CO2 削減のための方策として以下の事項が挙げられる。 ◆材料:使用資材量を減らす(資材が少なくて済む工法を採用する)。 リサイクル材を活用する(リサイクル材はバージン材よりも負荷が少ないため) 。 ◆施工時:低燃費の建設機械、運搬車両等を使用する。 ◆維持管理面:資材やエネルギーをできるだけ必要としない施設形式を採用する。 廃棄物が出ないような施設形式を採用する。 ◆廃棄物削減:廃棄物をできる限りリサイクル(マテリアルリサイクル、サーマルリサイクル)に回し、 最終処分量を最小化する。 5.その他 低炭素社会を迎えた現在、省エネ対策を推進する上で、施設内のあらゆるエネルギー事情を把握し、 「デ ータを見える化」することが重要である。これにより、環境対策だけでなく、事業者側にも大きな波及効 果が生じる。また住民への PR 用としても「エネルギーの見える化」は効果がある。管理用は役務室内で 集中管理する際の指標となり、住民へはソーラー発電量などを電力量 kwh 表示ではなく、 ○○○の電源 は、太陽光で発電した電気で動かしています というような分かりやすい表現にする。 (様式―21) 課題 4 1.課題に対する認識 についての技術提案 3.技術提案 広島県では平成14年3月に「ユニバーサルデザインひろしま推進指針」を策定し、広島県に暮ら す人、広島県を訪れる人、すべての人があらゆる場面で障壁を感じることなく、安全で安心して生活 を楽しむことができるユニバーサルデザイン社会の実現を目指している。 白島新駅においては、JR山陽本線とアストラムが連絡する交通結節点として、多様な利用者の動 作特性や新駅開設後の交通需要、乗り換え等の利用動線に配慮した、利便性の高い駅周辺整備が必要 である。 ①鉄道間の乗り換えの負担の少ない動線計画 ●乗り換えの移動の負担を軽減するため、連絡路の 『動く歩道』化 ●JR山陽本線利用者や 乗り換え客が集中する JR南口駅舎側のEV の大型化 (大型化に伴い、ESC 《配慮すべき利用者》 ・長寿園アパート等の高齢者・障がい者 ・国際観光都市として外国人旅行客 ・妊産婦や子ども連れ ・土地勘のない平和記念公園方面への観光客 だれもが 利用しやすい 駅整備 《交通結節点としての利用形態》 ・国道横断による駅アクセス ・JR山陽本線とアストラムの乗り換え利用 ・鉄道とバス・タクシーとの乗り換え ・駅や駅まわりでの休憩や滞留 設置の必要性やスペース についても検討) ●アストラムとJR山陽 本線の乗り換え経路を 図記号や大きな文字、 多言語で分かりやすく 案内 2.ユニバーサルデザインの視点からの整備コンセプト ①鉄道間の乗り換えの負担の少ない動線計画 ②安全で快適に歩くことができる歩行空間の確保 ③駅とバスやタクシー、自転車との接続性の強化 ④さまざまな人が利用できるにぎわい快適空間の創出 《整備イメージ》 ②安全で快適に歩くことができる歩行空間の確保 ●乗り換え通行量の対応し歩行者と自転車の分 離した充分な歩行空間確保のために、側道歩道 の拡幅を検討 歩道拡幅のイメージ 路肩 車道 0.5m 3.25m 施設帯 自転車歩行者道 0.5m 5.0m ●新駅への平面アクセスを向上させる、駅舎エ ントランス付近への国道横断歩道の追加設置 検討 ●JR山陽本線南北の動線強化のために、横断 部のBOXカルバートの拡幅検討 ※ 及び安全 性向上のための美装化並びに照度の確保 (※現状の幅員 w4.0mで 通行量に対するサービス 拡幅 2.0m 水準は満足するが、北口 ●視覚障害者誘導ブロックについて、アストラム 構内(グレー) 、JR(黄色)、道路(黄色)の 色や接続部など連続性確保について調整 ∼アストラムの乗り換え ③駅とバスやタクシー、自転車との接続性の強化 ④さまざまな人が利用できる にぎわい快適空間の創出 ●白島新駅への自転車ア クセスに対応した駐輪 施設の確保 ■アストラム∼JR山陽本線の動線について ・アストラムラインからJR山陽本線(広島方面)への乗り換え には 4 回の上下移動を要すため、利用者への負担が大きい ・国道 54 号東側歩道に分散させることで、上下移動量が低減でき JR山陽本線(横側方面)のエレベーターへの利用者の集中を 緩和可能。また現計画でも多い東側歩行者・自転車へも対応 現状歩道 3.5m や歩行者・自転車の通行 の快適性を考慮し検討) ●バスやタクシーを待つ間 ●駅北スペースを、アストラムを身近に感じるに の快適性を向上させるシ ぎわい空間として利用。花やせせらぎ、休憩施 ェルターやベンチの設置 設等により利用者の人目を増やすことで防犯 性を高めたり、快適に利用できるトイレを設置 (様式―21) 課題 5 についての技術提案 1.課題に対する認識 (1)白島新駅周辺の状況 ①土地利用について 白島新駅周辺の用途地域は、国道 54 号沿道が近隣商業地域、後背地が第二種住居地域となってい るものの、国道 54 号や市道沿道における商業系の土地利用はほとんどなく、住居系の土地利用が中 心となっている。また、大規模な低未利用地などは見られない状況である。 ②交通状況について 白島新駅周辺の交通状況は、幹線道路である国道 54 号と、地域の生活道路により構成されており、 国道 54 号沿道の土地利用状況から、国道 54 号線自体は通過交通主体、生活道路については、国道と 地域を繋ぐ道路としての利用に留まっているものと考えられる。 (2)白島新駅及び周辺エリアにおける集客や賑わい、滞留空間に関する課題 新駅周辺の土地利用状況や、交通状況を踏まえると、新駅周辺における集客や賑わい、滞留空間に 関する課題は以下のように考えられる。 ①既成市街地内における商業系土地利用への転換の困難さ 住居系土地利用であり、中心市街地への至近性や交通利便性から、商業施設への需要が少な いと考えられ、また低未利用地も少ないため、商業施設等の新規立地は難しいと考えられる。 ②通過型の交通体系 白島新駅の設置による効果は、乗り換え利用者の増加が中心となることから、国道 54 号と ともに、通過型の交通体系は改善されないと考えられる。 ③生活環境の維持の必要性 白島新駅周辺は、中心市街地への至近性や交通利便性とともに、太田川の存在や用途の混在 が少ないなど良好な生活環境にあることから、新駅設置後においても良好な生活環境を維持す る必要があると考えられる。 ■方策①∼アストラムパーク∼ ・国道 54 号車道に囲まれた空間を、休憩や待合せ空間として、またイベント開催などの空間として活 用し、動線ではなく、1つの公園的空間として整備 ・オープンカフェや イベントスペース 気軽に立ち寄れる オープンカフェの 出店スペースや気 軽に開催できるイ ベントスペース等 を配置し、より活 気溢れ、賑わいの ある空間を創出 ・緑溢れる木漏れ日空間 隣接地の土地利用に配慮 し、視線の抜け、日当た り、落葉などの適正をふ まえた樹種選定をし、木 漏れ日空間を配置、光や 風を感じさせる緑溢れる 魅力的で快適な滞留空間 を創出 ・四季を感じる彩り豊かな 樹種選定 各季節毎に彩り豊かな樹 種等を採用し、毎日、駅 を訪れる人々が四季の移 り変わりを感じられるよ うな、いつでも生き生き とした生命観溢れる空間 ■方策②∼水辺の動線①:舟運∼ ・雁木タクシーの定期運行(水上バス化) 、屋形 船の運航、ナイトクルーズツアーなど、太田 川を活用した市内の水辺回遊ルートの設定 2.着眼点 上述のような課題を踏まえつつ、交通体系の中での白島新駅の位置や、周辺の地域資源などを踏まえる と、集客や賑わい空間づくり、快適な滞留空間づくりにおいては、以下のような着眼点が挙げられる。 交通結節点機能を活かした 人の動き の創出と、 人の動き に対応した仕掛けづくり 地域資源である太田川や、国道 54 号線などの交通利便性の活用 3.技術提案 上記の着眼点を踏まえ、白島新駅及び周辺エリアにおける集客促進と賑わい空間づくり及び快適な滞留 空間づくりについて、以下のような方策を提案する。 ¾ 方策①:国道 54 号の中央分離帯を活かした乗り換え動線を楽しくするアストラムパークの形成 連絡通路両側の空間を連絡通路と一体的な空間とし、楽しみながら移動できる、待ち合わ せや休憩ができる、アストラムラインが間近に見える、空間をアストラムパークとして形成 する。アストラムパークにはオープンカフェやイベントスペースを設置、そして緑溢れる木 漏れ日空間と四季を彩る樹種たちが集客を促進し、賑わいのある快適な滞留空間を演出する。 ¾ 方策②: 人の動き を生み出す新たな動線の創出 太田川の舟運、国道 54 号や河川沿いのサイクリング利用などに対応したレンタサイクル 拠点などを形成し、本駅周辺及び周辺地域への集客を図るとともに、平和記念公園や広島城 など主要観光施設へ来訪者を誘導する多様なアクセスを提供する。 ・レンタサイクル拠点、水上タクシー乗り場などの整備、スタンプラリー等のソフト施策 ■方策②∼水辺の動線③:スタンプラリー等∼ ・交通施設(白島 新駅)と観光施 設それぞれのス タンプを集め、 景品等をプレゼ ント 図 ■方策②∼水辺の動線②:自転車∼ ・白島新駅周辺、平和記念公園、広島城などの 主要施設にサイクリングポート(レンタサイ クル貸し出し)を配置 ・太田川沿いや国道 54 号の自転車ネットワーク を用いた市内自転車回遊ルートの設定 提案方策の展開イメージ(ベース図:「水の都ひろしま」構想)
© Copyright 2024