7 ダウン症とパリビズマブについて Respiratory Syncytial Virus Prophylaxis in Down Syndrome : A Prospective Cohort Study The Journal Of Pediatrics Vol.133, No6 1031-1037 背景と目的: ダウン症候群の子供にとって RS ウイルス感染症は入院となる重要なリスクである。我々は RSV 流行期間にパリ ビズマブを接種した 2 歳未満のダウン症の子供とパリビズマブ未接種のダウン症の子供の出生コホートを呼吸器 感染症における入院率で比較した。 方法: パリビズマブを接種した 532 人のダウン症の子供が 2005 年から 2012 年カナダの RSV 評価研究から集めた。233 人のパリビズマブ未接種のダウン症の子供が 2003 年から 2005 年のオランダの出生コホートから集めた。ポアソ ン回帰分析を用いて入院比率の比較を行った。 結果: RSV 感染症で入院となる危険性はパリビズマブ接種者より未接種の方が高かった(入院比率 3.63;95%信頼区 間、1.52-8.67)。すべての呼吸器感染症での入院のリスクでは差がなかった(未接種群と接種群での入院比率 1.11;95%信頼区間,0.80-1.55) 結論: これらの結果からパリビズマブは人生の最初の 2 年間でダウン症の子供において RSV 関連での入院比率を 3.6 倍低下させることと関連していることを示唆している。 無作為化試験は、ダウン症候群の子供における RSV に対 する免疫予防の有効性を決定するために必要とされている。 新居見の感想; ダウン症候群の患者は 700 人に 1 人の割合で存在している。日本では 2013 年 8 月に 2 歳未満のダウン症患者 へのパリビズマブ投与が認可された。パリビズマブの投与の目的は主に RSV 感染時の重症化予防である。定期 外来でダウン症患児にパリビズマブを RSV 流行期間に接種するが、ここまで重症化のリスクを予防する効果があ るとは知らなかった。今回の論文を読み、予防接種の重要性を再認識した。 (小児科 新居見 俊和)
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