マ レ ー シ ア の 税 金 還 付 制 度 の 概 要 と 実 務 上 の

特集 法人所得税とVATを中心に解説
4月から導入されるGSTに注意する
松元 勝彦
渡辺 和哉
KPMG Malaysia
公認会計士
有限責任 あずさ監査法人
公認会計士
て、還付が生じるケースとして分割
納付の過払いに係る還付請求につい
て解説する。
● 分割納付の過払いに係る
還付請求
C
マレーシアでは法人所得税の分
割 納 付 の 制 度 が あ る( 所 得 税 法
日前までにマレーシア税
条 )。 分 割 納 付 と は、 事 業 年 度 開 始
日から
た、税金還付制度は、マレーシア所
計算、申告・納税の義務がある。ま
されていないため、還付請求それ自
付請求に係る税務調査の規定は明記
マレーシア所得税法において、還
との乖離が見込まれる場合には、事
付である。また、実際の法人所得税
)を も と
( Estimate of Tax Payable
に毎月納付する法人所得税の中間納
務当局に提出する支払税額見積り
得税法 条に規定されており、納税
体が必ずしも税務調査のトリガーに
業年度の6カ月目ないし9カ月目に
するものになっている。
者が確定申告において過払いである
なるわけではないが、通常の税務調
修 正 す る こ と が 可 能 と な っ て い る。
度が採用されており、納税者に税額
や、 法 人 所 得 税 率 の 引 下 げ
(賦課年
(前払税額が確定税額を超過してい
査の一環として還付請求時に税務調
ここで企業が留意すべき点は、この
品サービス税
(
度 2 0 1 6 よ り 適 用 )お よ び 個 人 所
る )こ と を 申 告 す る こ と に よ り 還 付
査が行われる可能性はある。
リンギット
( 約 3、3 0 0 億 円 )の 税
て、政府は2015年に約100億
発表されたマレーシア予算案におい
2013より還付入金の遅延に係る
は 規 定 さ れ て い な い が、 賦 課 年 度
実際の還付金の入金に要する期間
いる。また、(過払い)確定申告から
の提出期限日から6年以内とされて
所得税の還付請求期限は、申告書
留意点を解説する。
て、還付が生じるケースおよびその
人所得税および個人所得税につい
にとって還付請求の可能性がある法
本稿では、マレーシアの現地企業
ルティが課されるという規定がある
超える過少金額に対して
過少となっている場合には、
の法人所得税に比べて
、 以 下、
「 G S T 」と い う )の 導
Tax
入
(2015年4月1日より適用)
得税率の引下げ
(賦課年度2015
が認められる。
収増加を見込んでおり
(2014年
補 償 規 定( マ レ ー シ ア 所 得 税 法
日を超え
マレーシアにおける法人所得税の
%を
%を超えて
(修正後の)支払税額見積りが、実際
見 込 み: 2、2 5 0 億 リ ン ギ ッ ト、
条)
が導入されている。当該規定は、
法 人 所 得 税 が 過 払 い と な る 場 合、
%のペナ
30
30
過払いが発生することが多い。
税額見積りを行うため、分割納付の
一般的に企業は保守的な(修正)支払
ことである
( 次 頁 図 表 1)。 よ っ て、
10
月に
2 0 1 5 年 予 想: 2、3 5 2 億 リ ン
電子申告の提出期限から
還付は、還付請求が生じるケースは
企業は、①還付請求を行うか、②翌
111
えている。また、2014年
ギット)
、新たに導入されるGST
る場合、またはマニュアル申告の提
あるものの、後述する理由から実際
期の分割納付と相殺するかの選択を
法人所得税
ならびに法人所得税および移転価格
出期限から120日を超える場合に
に還付請求を行う企業はあまりない
行うことができる。①還付請求を行
D
を含めた税務調査がこの財源と目さ
年率2%の補償がなされるというも
というのが現状である。以下におい
れている。
マレーシアの所得税
(法人所得税
のであり、還付金の入金遅延を抑制
90
10
111
Goods and Services
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よ り 適 用 )な ど 大 き な 転 換 期 を 向 か
マ レ ー シ ア の 税 制 度 は 近 年、 物
第4章
お よ び 個 人 所 得 税 )は、 自 己 申 告 制
経理情報●2015.3.10(No.1407)
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マレーシアの税金還付制度の
概要と実務上の留意点
ASEANの税金還付ガイド