②流早死産の内分泌学的研究 部 室雄久 学幸恒 入村野 産中牧 騨∼嵩 応 大理俊 麹塚林 慶飯イ 学 婦 科 教 、 済生会神奈川県病院産婦人科 仁科進弘 目 的 peakをつくり排卵し,そのpeakは非妊時と差 流産の原因としては,数多くの原因が考えられ はみとめられない。LH peakには急激に低下し, ているが,その一つとして内分泌動態の変化は大 早い症例では十12日(LHpeakより),遅い ものでも十16日頃にはLH peakを越すLH きな要因を占めていると考えられる。特に初期妊 娠にみられる流産(10週以前)に於ては,内分 (H C G)の上昇をみうける。したがって,この 泌異常は重要な役割を演じていると考えられる。 時期より絨毛組織よりのHCG分泌が開始される しかしながら,流産時にみられる内分泌動態の変 ものと推定される。 化は,その変化がはたして原因であるのか,流産 F S Hは,LH peakに一致して小さなpeak による結果なのかにっいて,明確な知識は得られ をつぐり,その后は卵胞期のレベルより低いレベ ていない。 ルを妊娠中持続する。 我々は,初期流産の原因としての内分泌異常を Pは,LH peak后1n%n1以上の分泌を開始 し,十8日ごろより横ばい状態をっづけ,HCG 把握すべぐ努力しているが,その一環として初期 妊娠,初期流産例のうち,非妊娠時より連続的に 出現時期の十14日頃より,ゆっくりとさらに上 血中ホルモン測定を行い得た症例をもとに,初期 昇する。 流産の原因解明を試みてみた。 E2は,LH peakの前日又は当日に200P彰血 近くのpeakをつくり,一一時急激に低下するもP と同様,再び上昇を開始し,十8日頃より横ぱい 慶応病院,慶応健康相談センター,済生会神奈 状態を示すが,HC G出現期に一致して200P輸 川県病院産婦人科患者中,非妊時より,初期妊娠, 嵐上の値を示すようになり,その上昇はPよりも 初期流産と至るまで経日的に血中ホ.ルモン測定を 急激である。 行い得た症例10例を対象とした。 2)初期流産例の内分泌動態 初期流産(妊娠10週迄とした)の内分泌動 血中LH(HCG),FSHは第一ラジオアイ ソトープ研究所のキット,progesterone(P), 態は大きくわけて,4つのタイプに分類された。 es tradi ol(E2)は帝臓神戸 博士提供による ①妊娠黄体の感受性が低下していると、思われ 抗体を用いR I Aにて測定した。 る症例 このタイプの初期流産は,HC Gの上昇は 成績及び考察 正常妊娠と同様急激に上昇を示すが,血中P,E2 1)初期妊娠の内分泌動態 のレベルは,HC Gの上昇にともなわず,むしろ 逆に低下をまして流産に至る症例である(図1)。 LHは,E2surgeの翌日又は当日に大きな 一46一 気 示すようにLH peak后もCM良好状態がつづき, このタイプでは,すでにLunnenfeld(Lunn− } 庸 り enf e l d, 13, In t.」.of Ferti1.12,299, HC Gの出現も十20日前后と遅れ,P,E2レペ 1967),吉田(吉田俊彦他,臨婦産,24,253, ルも低値を示す。 1970)ものべているように,HC Gに対する妊 妊黄体の感受性が低ぐ,増加したHC Gに対して このタイプは,排卵日周辺の中枢よりLH分泌 動態の異常が,それに引きっづいて月経黄体,妊 黄体が反応し充分な量のE2,Pを分泌せず,これ 娠黄体の内分泌機能が低下を誘発することが流産 が原因となって流産に至ると考えられる症例であ の原因をなしたものと推定される。排卵日周辺で, る。このタイプの流産に対しては妊娠早期より CMが良好となったら直ちにHCG又はLH−RH estrogen,progeste raneを外来性に投与 を投与し,排卵后もHCGを与することによって することによって,治療できる可能性をなしてい 好結果が期待できる。 る。 ④流産直前よりE2,Pが急激に低下し流産 ②黄体の形成が遅延又は不全が原因と考えら に至る症例 れる症例 このタイプの流産は,10週以后の流産例 このタイプの流産は,HCGの出現が遅れ にしぱしぱみられるタイプで,内分泌異常以外の るかそのレベルが極めて低ぐ,P,E2の卵巣ホル 要因が原因となって流産に至ったものと考えられ モyの増加もきわめて低い(図2)。月経黄体, E2,Pの低下は,流産の原因ではなく,結果と 妊娠黄体の形成がきわめて不完全であるか,妊娠 考えられる症例である。したがって内分泌面より 黄体への移行が不充分のため,絨毛組織よりの の治療は全く期待がもてない。 且C G分泌が不充分となり,またE2,Pの分泌 以上,非妊時より流産に至るまでの連続観察の も低い。このような症例に対しては,外来性に 結果四つのタイプの初期流産が観察された。現在 且C Gを早期より投与し,黄体を刺激して,黄体 の所,症例数も少ぐ,このタイプ別にみた治療成 形成を完全ならしめることによって,流産治療の 績も不充分であり,今后さらに数多くの症例の集 可能性が期待できる。 計が望まれる。 ③排卵日のLHpeakと,頸管粘液状態(CM) とのブレ又は排卵日周辺のLH peak.の不定形を 妻 渉 示す症例 発表文献及び学会 このタイプの初期流産は,人工排卵周期に つ中村幸雄:初期流産と着床不全,産婦人科の世 しばしぱみられるC M状態艮好の状態が長くつづ 界,36,1075,1975(S50) き排卵が遅延する症例,排卵日周辺のLH peak 。印出秀二,中村幸雄,松本茂,仁科進弘, の不定形を示す症例に黄体機能不全が多いことと 着床期及び初期流産に齢ける内分泌動態・ 関連している。初期流産,習慣性流産,機能性不 第20回日本不始i学会総会(仙台)1975, 妊にも,.上記と同様の現象がみられる他,図3に し 一47一 10,2∼4. ll O s )¥ l¥r IJ ll tl ]m 1 e'$ti9sr' tt' EPP' l , ll"r rlO' 1'It eL F_SH ---- t j v;¥ l- : J ! njU/ J !: ai S 2 P I ' :L f- **'"'' l2 l3 O *7 5e -,, 35 L2 o t7 +1, -7 a Lg I I I 55 6S t * 4, Q, - f " 'L' " IL 2, 2S L2 L9 56 70 QJ ! f ・tlorf i Qa o!' aOO LH(t'CG) '-- 600 F' SH IIlt , l+' Hw I ,t i 40Q lOQ iOO I , ----FSH ・1,11 C" pregn ncy tl:5t preg, 10cy test t - LH ,,1 i,tl I , I , I I f ( L I , I AiH 11 28 2, i I I -13 ・7 IL 50 O 1 50 l 2 d9 t t* ./?'1 ' I 100 :, pro9'st,cone ' 50 o ,, t$ ・II,11・1- IQ 5 O ng/ /mt Progelterone lO I 5 pg" 1 'Oo o aoo 21 O *7 42 Lg t -13 ・1 2, S5 !OO Ioo 4 J o +1 tl =_L -7 o +7 :S , Z 4g 5e O] tL -5 2i 2,
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