ガソリン機関における HC 生成に関する研究

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ガソリン機関におけるHC生成に関する研究
赤木, 盈; 塚原, 実; 吉田, 豊
室蘭工業大学研究報告.理工編 Vol.7 No.3, pp.937-946, 1972
1972-09-15
http://hdl.handle.net/10258/3566
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Muroran Institute of Technology
ガソリン機関における HC生成に関する研究
赤木
盈x ・ 塚 原
実・吉田
世話
_H.
A Study on HCFormation of Gasoline Engine
Mitsuru Akagi,Minoru Tsukahara
and Yutaka Yoshida
Abstract
1
ti
ss
a
i
c
lt
h
a
tt
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e majority o
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s experiment.
I . 緒 言
カ、ソリン機関から排出される炭化水素は,燃焼室における壁面の 1
'
j炎作用が主因とされて
いる。本実験では,圧縮比と空燃比を変えた場合における燃焼時および膨張時のガスを,電磁
式吋ンプリングパルプで抽出して,排出炭化水素 (
HC)の生成および組成について実験した。
一般に圧焔比が j将加すると HC濃度は,
上首加することが報告されているが,
1
氏
丹7縮 i
七領域で
は,必ずしもこのことは成立しないことが分った。これらの結果について報告する。
1
1
.
実験装置および実験方法
図-1に,全体の実験装置をぷす。
実験に供試した機関は 9 2
冷一単気筒側弁式 4サイクノレ・ガソリン機関(圧縮比; 5
.
6, 定
格出力; 7.0ps/2800rpm,内径×行程
85mmx75mm,点火時期; 150CA.BTDC) である。
2に示すように,角型とし,
燃焼室は,図 -
この中に,インサートリングを挿入して圧縮比
を変えられるように政造した。圧縮比は燃焼室に挿入するインサートリングの組合せを変えて
.
1,4
.
9の 3通りに変えた。
行ない,それぞれ 3ム 4
* 玉川大学工学部教授
(
3
0
7
)
このときの燃焼室の表面積・体積比は,そ
赤 木 盈 ・ 塚 原 宍 ・ 古r
n ~:
938
れぞれl.3
7,1
.55,1
.9
0となり,
他である九
通常の Pancake タイプの場合に比較して,やや大きい程度の
インジケータ線図の測定には,
式指圧討をとりつけ,
ピストン中心線上に位置するところに抵抗線歪計
グランク角度は,マグネットスイッチにより検出して,これらをシンク
H
l
J,
i
己録した。
ロスコープにより観 i
'部壁面の内面より 0.5mmの点に CA熱電対を l
l
i付けて測定し,
燃焼室壁温は,燃焼室 l
壁温が←一定になるように,ブロワーによって機聞を宗冷して,壁温を制御した。
燃やl
流量は,気化器のメータリングジェットで調節し,丸型ノズルにより吸入空気量を計
測し,
この両者より空燃比を算出した。燃料
は市販の自動車用レギュラーガソリンを使用
した。点火時期については,正縮比を変えた
場合に最良の燃焼をさせるための最適点火│時
期があると思われるが,
0
ここでは, 1
5 CA-
BTDCニ一定に保った。
JhI]
ミリ/"t~Jレ入計
図 1 実験談
図 2
t
[
'
J
:
シリンタヘッド郎
1
1
1
. ガスサンプリングおよび分析方法
燃焼および膨張行程 I
'
t
lのガスの採取については,燃焼室頭部に電磁式ガスサンプリングノく
ノレブを取付けて行なった。その採取時期は,
より連続的に変え,採取期間は,
クランク軸に取付けた光電管とパルス遅延装置に
0
クランク角度で 1
5~ 20 (
1msec~ 1.
28msec) とした。なお,
0
これらサンプリングバルブのリフト,採取時期および採取期間は,シンクロスコープによって
監視した。ガス採取量は,燃焼に変化を与えないために,
1
0
0サイクルに 1
1司の割合で抽出し
た。また 1向。7抽出量は,機関の運転状態によって変り,高負荷運転の場合には, 7c
cであり
低負荷運転では 3c
cであった。この l回の採取量については,運転条件に応じた妥当な採取量
(
3
08
.
)
白河u
A刈υ
q
J
HC生 成 に 関 す る 研 究
カソリン機関における
が不確定であること, またその制御も非常に困難であることが,今後の問題として残されてい
る。排気ガスの採取は,機関の排気管取付けフランジ t~向、ら 140mm 離れた位置で行なった。
DOPを使用し,
トグ、ラフィは充よu剤として,
点から 65Cに設定した。
FIDによって分析した。
ガスクロマ
分析fI
i
!間と分離能との j
B
o
カラム恒温槽温度は,
したがって溶出成分の定量については,
0
J
スグ口マトグラブィに内蔵する 2c
cの計量管に封入し,
-ノ
燃焼ガスおよび排気ガスは,いずれも 2
00c
cの採取瓶で水置換によって採取し,逆置換で,
沸点が 1
1
0
.
60C のトルエン
l波形となり, 測 定
これより高沸点成分であるキシレン等は,非常にブロードな溶 H
までとし,
誤差が大きいと思われるので,測定しなかった。 このキシレン等の除外による HC濃度の差異
は排出全炭化水素に対して, せいぜい 10-15%程度である。
実験に使用したガソリンとその排気ガスの分析の一例を図 3に示す。
1
5
El
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0
S (1200 CrQJ1kAng均}
2
t
2
3
4
5
( Hydrocarbn)
DOP 却 弘 (;!mm X2m)
・
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N2 5
5ml/min 65
F'D H2 50削 Imin
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Gasoli問
6 t-3-butadiene
7 i-pentone
8 n-pentone
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1
0 2-methyl bu1ane
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I
2
3
4
R0 tent1o n γ ,
m
図
(min)
3
M気カ、スの分析の結果は,炭化水素系においては炭素数 1のメタン以
f
:のものが含まれて
,
主 ブタン系統のものがわずかに含まれるだけで, ほとんどは
いる。 これに対して, カ、ソリン I
炭素数が 5以上のものである。 これより,排気ガスの組成のうちで炭素数が 7であるトルエン
までを全炭化水素 (THC)とし,燃燃した時に分解によって新たに発生した成分が主体であり,
炭素数が 4までのものを低級炭化水素 (LHC)として分けて考察した。
I
V
. 実験結果および考察
空燃比および J
E
(
:
M比が,燃焼膨張時の HC濃度に及ぼす影響を調べるに当っては,機関が
連続して安定な運転状態を保つように,気化器の絞り弁開度を 1
/
2に設定し,機関回転速度は
2600RPM一定のもとで運転した。
(
3
0
9
)
9
4
0
赤木
I
V
l
忍・啄!京
f
J!
J
.
実・吉田
1
I
=
i
'
_
機関の燃焼最高圧力と出力
圧縮比および空燃比を変えた場合における機関性能値を悶 4お よ び 図 5に示す。 どの空
燃比においても庄縮比が大きくなると当然出力は増加している。
URU
︽
制醐ト
∞
4
民 JW
5
C
O
221
︻
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2E¥ULRH帽 園 鶴 蛍
自治
3
.
0
zavR
叫骨、世川間
15
1
.
0
30
図 5
図-,1 圧縮比と正味馬力およひ温度
主主燃上ヒと正味 J
お力および燃焼最高圧力
C
C
しかし,圧縮比が 3.4の場合においては,排気ガス温度が他の場合に比べて 5
0-100C程
この場合においては, 空燃比がリッチのときに, 出力および
こ
,
度
, 高い他を示している。 ま7
燃焼最高圧力がともに l旬く, 安定した運転状態を示した。 しかしリーンになると急激に出力が
7のとき には,非常に不安定な運転状態となった。逆に圧縮比 4
.
1お
低下し,とくに空燃比が 1
F
.
9の場合は,史燃比が 1
3のリッチ側で不安定な運転状態となった。 なおこのような不安
よび 4
定な運転状態においては排気ガスの測定は行なわなかった。
I
V
2
燃焼および膨張行程における HC濃度
│
ま
.
16は,圧縮比が
4
.
1および空燃比が 1
4の場合における運転サイクル r
j
::tのガスを 1
1
1
11
1
1し
,
それを分析した結果について示したものである。
抽出時期については,圧縮土タE
点を 0 にとり, それより 20 きざみに膨張行程から 6}~\tlji
0
0
, および圧縮行程の初めと終りから, それぞれ, ガスを抽出し
出し p さらに排気付程から 2点
5(
1msec)にした。 また,同じ運転条
た
。 なお, ~、ずれもガスの採取期間はラ グランク角度で 1
0
件において排気管から採取した排気カ、ス中の HC濃度および燃料の LHC割 合 に つ い て も 図 6
に示してある。
(
3
1
0
)
ガソリン機関における
HC生成に関する研'先
9
4
1
100
90
90
匂3
70
70
60
叙3
日咽
当 40
4
三
3 5 h w蒜 S O 士﹂
酔
世
30
30
20
却
1
0
1
0
。
。
図 6
試料抽出クランク角度と炭化水素および
LHCの 割 合
上死点で、ある 0 において抽出した HC濃度が,もっとも大きく,膨張するにつれて HC濃
0
度は減少する。しかし,グランク角度 4
0 を過ぎると ,THCおよび LHCともにほとんど濃度
0
の変化はなくなる。排気行程においても,ほとんど濃度の変化はないが,排気弁の聞き始めで,
やや濃度が大きい。これは,
ピストンリングと満,およびピストントップランドとシリン夕、、壁
との間にあった未燃混合気が,ピストンの下降によって流出することによる影響が,その一因
として考えられる。圧縮始めにおいては,新混合気が吸入されたにもかかわらず, THC濃度
が大きく l
将1
)
1
1していない。これは,特殊の燃焼室を使用し,その燃焼室土部から,ガスをサン
プリングしているため,残留ガスの比較的多い混合気を抽出することによるものと思われる。
点火直前のガスは,
新気と残留ガスが充分に混合するため,
非常に大きい濃度を示す。
しか
し,この時の THCに対する LHCの割合が,燃料分に含まれる LHCの割合に比べて,非常
に大きな値となっている。これは,吸入した混合気の一部が,圧縮行程中に既に分解反応を起
すためと考えられる。
排気ガスの HC濃度は,排気行程中に燃焼室から抽出したガスの HC濃度に比較すると,
(
3
1
1
)
9
4
2
赤木盈・塚原実・王寺田豊
非常に小さい。これは,燃焼室の形状と給排気弁の位置との関係によって,燃焼室から抽出す
るカゃスは,残留ガスの影響を大きく受けていることによるものと考えられる。
しかし,この場合にも排気行程から排気管を通じて燃焼ガスが排出される際に,なお反応
が続けられているものと考えられる。しかも,排気ガス中の
ガス中の
LHC割合が燃焼室より抽出した
LHC割合に比べて,非常に小さいことから, LHCの酸化反応が,より活発である
と考えられる。
燃焼および膨張行程時の
HC濃度に及ぼす空燃比および圧縮比の影響を考察するにあたっ
て,膨張時において,クランク角度が
膨張時の
4
0 を過ぎると , HC濃度がほとんど変化しないため,
0
HC濃度は, 4
0,8
0,1
2
0 のそれぞれの場合において抽出したガスの HC濃度の平
0
0
0
0
),膨張時のガス,お
均値をもって代表値とした。したがって,燃焼時のガス(クランク角が 0
よび排気ガスの 3つの場合について以下比較考察する。
IV-3 空燃比の影響
図一7は
,
ガス抽出時期をパラメータにとり,
空燃比が
THC濃度に及ぼす影響について
示す。
いずれのガスにおいても,空燃比が,
リッチより理論京燃比になるにしたがって,
HC濃
度は減少し,さらにリ{ンになると,また増加する傾向になる。このことは,燃焼に及ぼす各
種の因子の影響を単純化する目的で行なった模型燃焼容器における実験結呆,および理論的に
算出した HC 濃度の傾向2) と一致するよ 1主縮比が ~.4 と低い場合には,
0
近傍より増加している。とくに 0 抽出時の
HC濃度は理論併燃比
HC濃度がラ力、激に増加している。 これは,圧縮
x陥 2
庄
描
二J
l
宮崎出
図-7 空燃比と全炭化水素
(
3
1
2
)
(THC)
カ ソ リ ン 機 関 に お け る 壬IC生 成 に 関 す る 研 究
943
比が低く,しかも宅燃比がリーンの場合においては,燃焼最高圧力が低く,および排気温度が
高い(図 3お よ び 図 4
) ことから考えて,燃焼の遅れによるものと考えられる。
IV-4 圧縮比の影響
8は,空燃比毎にガスの抽出時期をパラメータとして, HC濃度に及ぼす圧縮比の影響
図について示す。
演
。
'
0
'
'
0
0
。
9
80
。
γ
'
0
図-8 圧 縮 比 と 全 炭 化 水 素 (
THC)
q
;
燃比が 1
4で濃い場合には,
d
ノ
I
r縮比の増加にともなって HC濃度が増加する。
これに対
5および 1
6と薄くなるにつれて,圧縮比が 4
.
1の場合に,最も HC濃度が小
して,空燃比が 1
さく,圧縮比がこれよりも小さくなっても,また大きくなっても増加している。この理由につ
いて,以トのような考察をした。
HCは主として燃焼室壁面における消炎作用によって排出され,それは壁溢,空燃比,燃
焼室表面積体積比および燃焼圧力によって影響を受ける。消炎作用によって排出される HC濃
.Agnewは
, R
.Friedmanの求めた消炎距離 3) を使用することによって次
度については, ]
.T
式を提唱しため。
舵
z; 空燃比,
(PI
'1
1
)
!300V
1
S
瓦
・
¥
'
T
:
)• 百ïpc)U ・',sy-'-v-
残夜ガスおよびその他の定数より求められる値, PBおよび TB ;
)正縮初めの圧力および温度。K,αおよび s;F
riedmanによって求められた実
験値 ,P
c
;圧縮庄力 ,Fn;燃焼圧力, e; 圧縮比 ,S;燃焼室表面積 ,V;燃 焼
室容積 ,U およひ Y; ポリトロープ指数と α および月の関数
(
3
1
3
)
(
1
)
944
赤木
盈・塚原
実・吉田
豊
この Agnewの消炎理論に基づく HC濃度の計算式については,前に筆者等が模型燃焼容
器を使用して, HC濃度に及ぼす空燃比,壁温および燃焼最高圧力の影響について実験した結
果によると,計算値と実験値が定性的にほぼ一致した傾向を示したへ
の場合においても,
実際機関
したがって,
HCの大部分が消炎層内から排出されるものとすれば, Agnewの式から
求めた計算値と実験偵の傾向はー致するものと考えられる。
J
:縮比の影響について考察するため,燃焼室を
低圧縮比領域において, 日C 濃度に及ぼす I
1
)
P
a
n
c
a
k
e型と仮定し, 半完全ガスを作動流体として, 理論サイクルによって求めた諸値を (
式に代入して HC濃度を求めた。 この場合における燃焼最高圧力は,熱解離および燃焼効率を
考えに入れないで次式により求めた。
'
" (~
1
口
町 (l-SO)f)
PD=ò.~~Tc
十一一一一一三一
lJ - T ¥
C 1十 .
JL \~ .
J
'
.v'
V
c
v
(2)
o
Tc;圧縮温度 ,L
o
;理論空気量,ヂ;残留ガス割合, f
f
r
y
;燃料の低{立発熱量,
れ空気過剰率, cu; 燃焼ガスの定積比熱, o; モル増加割合
ただし,燃焼ガスの比熱は完全燃焼した場合におけるガス組成をもって,谷
Fの比熱式に
より算出した。 。を求めるに際しては,未燃混合気のガス定数は,燃料をヘキサンとした場合
における燃料と空気の混合割合によって算出し,燃焼ガスのガス定数は,
R= 2
9
.
2
7
0
.
1
4
f.
J
で近似して求めた。
2
)式より算出した燃焼最高圧力およびそれよ
この両者より d を求めた。 (
1
)式 に 代 入 し て 算 出 し た
り求めた諸値を, (
60
HC濃 度 を 図 -9に示す。
どの空燃比の場合においても,圧縮比が
r
o
こ
,
増加すると HC濃度は増加している。 ま7
その HC濃度は,実験で得た HC濃度に比べ
度の違いについては,燃焼室形状が異なるこ
と
, および燃焼最高圧力が大きく違うことに
原因しているものと考えられる 2)。
HC濃度に
ーーー
及ぼす圧縮比の影響は, 空燃比が理論空燃比
ま3
20
4
以上,計算と実験において,
{2tt} 凶 閉 鎖 心 主
て非常に小さい値を示している。 この HC濃
40
10
よりも濃い場合については, 一致した傾向を
示している。 しかし,空燃比がリ{ンの場合
z
4
5
6
7
犀 婦 tt
には,異なった傾向を示している。すなわち,
国 ~9
6の場合
図8に示されるように, 空 燃 比 が 1
(
3
1
4
)
自
9
1
0
1
1
ー→
圧縮比と全炭化水素の計算値
E
ガ ソ リ γ 機関における
HC生 成 に 関 す る 研 究
王縮比が 3
.
4の場合の HC濃度は, 圧
には, 1
9
4
5
一下一一一一
丁 ---~-;-~-~-l
ド一一一一一一一一一クランク魚度 0・ 0
口
」
縮比が 4
.
1の場合の HC濃度に比べて,逆に
20
大きい HC濃度となっている。
これは,圧縮比が 3.4と低く,
空燃比が
ι
¥
-
1
6で,薄い場合においては,消炎層から排出
/
〆
7こヘて寸
札ノ/¥
¥
.
入¥ここ:
t
三〉内
戸
、
'
"
ア
ー
.
.
.
.
.
.
_
ー
、
1"
0_
U
。
の運転条件における燃焼最高圧力が他の条件
3
.
0
の場合に比べて非常に低く,排気温度が高い
(
図4お よ び 凶 5
) こと,
/
¥uzh
消炎層以外の部分からも HCが排出されるこ
とによるものと考えられる。 このこと』主,
•
U エト
される HCのほかに, 不完全燃焼によって,
圧縮比
7
および空燃比を 1
と薄くして運転した場合に,安定した連続運
THC)に対する
図-10 圧 縮 比 と 全 炭 化 水 素 (
各 組 成 炭 化 水 素 (IHC)比
転が不能になったことからも推察される。 さらに, 前に模形燃焼容器において行なった実験に
おいても,実験で、得た HC濃度と Agnewの式で求めた計算濃度は, かなり一致した傾向を示
したが,極端に濃い空燃比のもとで,比較的低い壁温および低い燃焼庄力の場合においては,
実験値と計算値は異なった傾向を示した。その際に排出された HC濃度は,良好な燃焼をした
際に,排出されない分解成分が多かったことから, 消炎層以外の部分で, 不完全燃焼によって
排出されたものと考えられた。本実験においても,分解成分として,メタンについて考えると,
区ト 1
0に示すように, 圧縮比が低く,
空燃比が薄くなると THC濃度に対するメタン濃度の割
合が大きくなっており,模型燃焼容器における実験の場合と同様な考察ができるものと考えら
れる。
なお,
図-10に示されるように,最も低沸点分子であるメタンは, ガスの抽出時期が遅く
なるにつれて,
THCに対する割合が小さくなり,分析した中で, もっとも高沸点分子である
トルエンは, ガスの抽出時期が遅くなるにつれて,逆に割合が高くなっている。 これより膨張
行程と排気行程を通して, なお反応が起っており, しかも排出 HCの成分の中で, もっともオ
キシデーションをしいるのは低沸点分子であることが明らかである。
V
.
①
結
燃焼室から直接に燃焼ガスを抽出して,
~.ð‘
員同
ガスに含まれる HC濃度を測定することに
よって,膨張行程を通して反応が進行していることが明らかとなった。 とくに,膨張初期にお
ける HC濃度の減少が大きいことから,膨張初期における反応がさかんである。
このときの HCの組成につし、ては,膨張が進むにつれて,全排出炭化水素に対する分解成
分の割合が減少していることから, 膨張行程においては分解成分が,
(
3
1ラ
)
より活発な反応を起して
9
4
6
赤木霊堂・塚原実・吉田豊
いるものとみられる。
②
圧 縮 行 程 に お い て 抽 出 し た ガ ス に は , 燃 料 成 分 と し て 含 ま れ な い 低 沸J
主成分が,非常
ていることから,新しく吸入された混合気は,圧縮行税「十Iに,すでに分解反応を
に多く含まれ 7
起していることが分った。たとえば,点火直Iii
jにおいては,全排出炭化水素濃度に対する分解
成 分 濃 度 の 割 合 は , 約 50%程度である。
③
実験で、求めた H C濃度および Agnew氏の式によって求めた算出濃度は,ともに,
1
:
縮比が増加すると排出 H C濃 度 は 増 加 す る 傾 向 に あ る 。 し か し , 圧 縮 比 が 低 く 包 燃 比 が 縫 い
場合には,実験によって得た H C濃度はヲ!と紺比が小さい側で)単に大きくなる。この場合に
は,低圧縮比と神い空燃比によって不完全な燃焼となり,消炎出以外のゾーンからも H Cが 多
く排出されるものと思われる。
本研究を行なうに当って,御協力頂いた玉川大学の i
判λ真一, i
f
t
々谷悼の諸氏に, 1
栄く!吾、
謝致します。
(
1
1
1
'
:
1
和4
7子
;
: 5月 1
9日受理)
参考文献
1
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実・岡井真一. 玉 )11 大工学部紀~, N
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1
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