2014年度春学期 解析学 IA 課題 # 2

2014 年 6 月 6 日(金)
千原浩之
2014 年度春学期 解析学 IA
提出方法
2014 年 6 月 27 日(金)16:30 までに担当教員へ直接提出のこと.
問題
下記の 6 , 7 , 8 , 9 のうち自力で出来る範囲を解答せよ.
注意
コピーした/させた疑いがある答案は零点とする.
6
課題 # 2
e−πx の Fourier 変換を
2
∫
F (ξ) =
e−2πixξ−πx dx
2
R
によって与える. まず F (0) = 1 を示せ. 次に F (ξ) を以下の 3 通りの方法で求めよ.
(a) 単純計算により
F (ξ) = e−πξ
2
∫
e−π(x+iξ) dx
2
R
2
e−πz
であることに注意する. 整関数
(z ∈ C) に Cauchy の積分定理を適用することにより,
∫
∫
2
−π(x+iξ)2
e
dx =
e−πx dx for ∀ξ ∈ R
R
R
を示し, これを利用して F (ξ) を求めよ。
(b) F (ξ) が初期値問題
dF
(ξ) + 2πξF (ξ) = 0,
dξ
F (0) = 1
をみたすことを示せ. この初期値問題を解くことにより F (ξ) を求めよ.
(c) e−2πixξ の Taylor 展開
e−2πixξ =
∞
∑
(−2πixξ)n
n=0
n!
に注意する. Gauss 関数 e−πx のモーメント
∫
2
xn e−πx dx, n = 0, 1, 2, . . . ,
2
R
を計算することにより F (ξ) を求めよ.
7
初等整数論で重要な Riemann のゼータ関数
ζ(s) =
∞
∑
1
ns
(s > 1)
n=1
の正偶数における特殊値 {ζ(2m)}m=1,2,3,... を, Poisson 核に対する Poisson の和公式
∞
∞
∑
1 ∑
t
=
e−2πt|n|
π n=−∞ n2 + t2 n=−∞
を使って求める.
(a) C \ {0} 上の正則関数 f (z) = (ez − 1)/z を z のべき級数で表すことにより, f (z) は C 上の
正則関数に拡張されることを確かめよ.
(b) f (0) ̸= 0 であるから 1/f (z) は z = 0 の近傍で正則である. Bernoulli 数 {Bn }n=0,1,2,... を
∞
∑ Bn
1
−z
=
=
zn
f (z)
1 − ez
n!
n=0
によって定義する. 次を示せ.
B0 = 1,
1
B1 = − ,
2
1
B2 = ,
6
B3 = 0,
B4 = −
1
,
30
B5 = 0.
(c) t ∈ (0, 1) とする。公比 e−2πt の等比級数の和を用いて次を示せ.
∞
∑
e−2πt|n| =
n=−∞
2
− 1.
1 − e−2πt
(d) t ∈ (0, 1) とする。公比 −t2 /n2 の等比級数の和を用いて次を示せ.
∞
∞
1 ∑
t
1
2 ∑
=
(−1)m+1 ζ(2m)t2m−1 .
+
π n=−∞ n2 + t2
πt π
m=1
(e) Poisson 核に対する Poisson の和公式の両辺を比較して次を示せ.
2ζ(2m) =
8
(−1)m+1 (2π)2m
B2m ,
(2m)!
m = 1, 2, 3, . . . .
実数直線 R 上の複素数値関数 f (x) は, ある L > 0 と 0 < α ⩽ 1 に対して
|f (x) − f (y)| ⩽ L|x − y|α ,
x, y ∈ R
をみたし, ある R > 0 に対して f (x) = 0 (|x| > R) をみたすものとする. このとき,
∫
∑
∑
2πix
ˆ
ˆ
f (x + n) =
f (n)e
(x ∈ R),
f (n) =
e−2πinx f (x)dx
n∈Z
R
n∈Z
が成立すること, および, この等式の左辺はコンパクト一様収束し, 右辺は一様収束することを
示せ.
9
Fourier 解析だけを用いて Riemann のゼータ関数の正偶数における特殊値の漸化式を導出する.
実数直線上の関数列 {fm }∞
m=1 と数列 {am (n)}m=1,2,3,...,n=0,1,2,... を以下のように定義する.
∫
fm (x) = 1−x
2m
(x ∈ [−1, 1]),
fm (x) = 0
(x ̸∈ [−1, 1]),
1
x2m cos(2πnx)dx.
am (n) =
0
(a) fm は問題 8 の仮定を α = 1 でみたすことを確かめよ.
(b) {am (0)}m=1,2,... を求めよ.
(c) 次を示せ.
am+1 (n) =
2m + 2 (2m + 2)(2m + 1)
−
am (n),
(2nπ)2
(2nπ)2
m, n = 1, 2, 3, . . . .
(d) n を固定して m に関する数学的帰納法を利用することにより次を示せ.
am (n) =
m
∑
(−1)k+1
(2m)!
,
2m
(2nπ) (2m + 1 − 2k)!
m, n = 1, 2, 3, . . . .
k=1
(e) m = 1, 2, 3, . . . に対して {fm (n)}n∈Z と {fˆm (n)}n∈Z を求めよ.
(f) m = 1, 2, 3, . . . , n ∈ Z \ {0} に対して fˆm (n) = 2a0 (|n|) − 2am (|n|) であることを示せ.
(g) fm に対して 問題 8 の Poisson の和公式を用いて次を示せ.
m−1
)
2m − 1 (−1)m+1 (2π)2m ∑ (−1)k+1 (2π)2k (
ζ(2m) =
+
ζ 2(m − k) ,
4
(2m + 1)!
(2k + 1)!
k=1
m = 1, 2, 3, . . . .