2013 EM2 Quiz2 [1] i) 半径 a の孤立導体球に電荷 Q を与えたときの静電エネルギーをコンデンサーと 思って求めよ。それが静電場のエネルギーに等しいことを確認せよ。 ii) 電荷分布が一様で全電荷 Q、半径 a の孤立帯電球の静電場のエネルギーを計算 せよ。 [cf. 砂川 p75] [2] 点電荷 Q が無限に拡がり接地されている導体平板から d だけ離れて置かれている。 平板の表面における電荷密度を電荷から下ろした垂線からの距離として求めよ。 これは本質的に z > 0 なる半空間内で z = 0 でポテンシャル φ = 0 なる境界条件に 従う Green 関数を求める問題で鏡像法 (method of images) と呼ばれる。 [3] ∫ ∫ ∫ dV x × (rotM ) = dS (n(x · M ) − (n · x)M ) + 2 dV M D D ∂D を示せ。 [1] の解答例 i) 無限遠方から電荷 dq を点電荷 q から距離 a だけ離れたところまで持ってくるのに 必要なエネルギーは qdq 1 4π²0 a である。この点電荷を孤立導体球と見て、この系をコンデンサーと思ったときの 静電エネルギーは ∫ Q Q2 qdq 1 = 8π²0 a 0 4π²0 a となる。一方で孤立導体球の中心を座標の原点に取った時の動径座標を r, 極角を 1 θ, 方位角を φ とすると、r ≥ a の領域における静電場は球対称性より ∫ ∫ dSn · E(x) = dSE(r)er · er (er は動径方向の単位ベクトルで今はn = er ) ∫ = dSE(r) = 4πr2 E(r) (S は半径 r の球の表面) Q = (Gauss の法則) ²0 より Q 1 er 4π²0 r2 となる。これより静電場のエネルギーは )2 ( ∫ ∫ ∞ ∫ π ∫ 2π 1 1 Q 2 2 dV ²0 (E(x)) = ²0 dr r sin θ 2 2 4π²0 r2 a 0 0 ∫ ∞ Q2 1 = dr 2 8π²0 a r 2 Q = 8π²0 a E(x) = となって、確かに一致する。 ii) 半径 a より外の静電場のエネルギーは上で計算したものと等しいので、後は内側の 静電場のエネルギーを計算すればよい。一様に電荷が分布していることから、半 径 r < a での電荷の量は r3 Q 3 a であるので、r < a での電場の大きさは先ほどと同様に計算して r3 1 a3 4π²0 r2 Q = r 4π²0 a3 E(r) = Q である。これより r < a での静電エネルギーを計算すると ( )2 ∫ a ∫ a 1 Q Q2 2 dr ²0 r 4πr = dr r4 3 6 2 4π²0 a 8π²0 a 0 0 Q2 = 40π²0 a となる。従って求める静電エネルギーは Q2 3Q2 Q2 + = 8π²0 a 40π²0 a 20π²0 a 2 である。 [2] の解答例 静電場の問題の中には導体表面上の電位を与えて、導体外にできる静電場を決め ると同時に導体表面上の電荷分布を決めるという類の問題もある。この類の問題 では ∫ 0 1 3 0 ρ(x ) Φ(x) = dx 4π²0 |x − x0 | の右辺の積分を実行して静電ポテンシャルを決めることはできない(ρ(x0 ) も未知 関数だから)。この時には Poisson 方程式 ∆x Φ(x) = − ρ(x) ²0 に戻って、導体表面上で静電ポテンシャルが一定の値をとるという条件の下でこ の方程式を解くのである(境界値問題と呼ばれるものの典型例)。境界値問題を厳 密に解くことができるのは極めて限られた場合のみであり、今の問題の場合は鏡 像法という数学的手法を用いて解決するのである。鏡像法は Poisson 方程式を解か ずに境界条件を満たす解の形を決める方法である。 接地した導体平板を平面 z = 0 に置き、点電荷 Q を点 q(0, 0, d) に置く。もし導体 平板がなければ、電荷 Q が点 p(x, y, z) につくる静電ポテンシャルは Φ1 (x, y, z) = Q 1 √ 2 2 4π²0 x + y + (z − d)2 となる。これは境界条件 Φ1 (x, y, 0) = 0(導体平板は接地されているので平板上で 静電ポテンシャルは 0)を満たさない。 そこで導体平板を置く代わりに平面 z = 0 を鏡面と考えて点電荷 Q の像ができる 位置 q 0 (0, 0, −d) に点電荷 −Q を置く。この電荷 −Q が点 p(x, y, z) につくる静電ポ テンシャルは Q 1 √ Φ2 (x, y, z) = − 2 2 4π²0 x + y + (z + d)2 である。これは z > 0 の領域で ∆Φ2 = 0 を満たす。Poisson 方程式(Laplace 方程 式も)は線形微分方程式なので解の線形結合も解である。従って ( ) Q 1 1 √ Φ(x, y, z) = −√ 4π²0 x2 + y 2 + (z − d)2 x2 + y 2 + (z + d)2 を考えると、これは境界条件 Φ(x, y, 0) = 0 を満たす。また z > 0 の領域では点電荷 Q のみがある時の Poisson 方程式を満た す。 3 これより正規直交基底での電場の各成分を求めると Ez (x, y, z) = −∂z Φ(x, y, z) ) ( z+d Q z−d = − 3 4π²0 ((x2 + y 2 + (z − d)2 ) 32 ((x2 + y 2 + (z + d)2 ) 2 Ex (x, y, z) = −∂x Φ(x, y, z) ( ) 1 Qx 1 = − 3 4π²0 ((x2 + y 2 + (z − d)2 ) 32 ((x2 + y 2 + (z + d)2 ) 2 Ey (x, y, z) = −∂y Φ(x, y, z) ( ) Qy 1 1 = − 3 4π²0 ((x2 + y 2 + (z − d)2 ) 32 ((x2 + y 2 + (z + d)2 ) 2 となる。平面 z = 0 上では Ez (x, y, 0) = − 1 Qd 2π²0 ((x2 + y 2 + d2 ) 32 Ex (x, y, 0) = Ey (x, y, 0) = 0 となる。これより導体表面上の電場は導体表面に直交していることが分かる。 導体板表面に誘導される表面電荷密度は Coulomb の法則 En = σ²0e より σe (x, y) = ²0 Ex (x, y, 0) = − 1 Qd 2π (x2 + y 2 + d2 ) 32 となるのである。 [3] の解答例 x × rotM = ∑ xi ei × ( i = ∑ xi ei × ( ∑ h,i,j,k, = ej ∂j × j i = ∑ ∑ xi ∑ ∑∑ j,k ∑ = k ²hjk eh ∂j Mk ) el ²lih ²hjk ∂j Mk l (δlj δik − δlk δij )xi ∂j Mk el δik xi ∂j Mk ej − i,j,k ∑ Mk ek ) h i,j,k,l = ∑ ∑ δij xi ∂j Mk ek i,j,k xi ∂j Mi ej − i,j ∑ i,k 4 xi ∂i Mk ek これより ∫ ∫ ∫ ∑ ∑ dV x × (rotM ) = dV xi ∂j Mi ej − dV xi ∂i Mj ej D D = dV ∑ D ∫ = dV dV D dV D ej ∂i (xi Mj ) + ∫ ej ∂j (xi Mi ) − dV ej δij Mi ∑ D dV D i,j ∑ i,j ∫ i,j ∑ ∫ +2 ∫ ej ∂j (xi Mi ) − ∑ D i,j ∫ i,j ∫ − D i,j ∫ δii Mj ej i,j ∑ ej ∂i (xi Mj ) i,j dV M D = dS ∂D ∫ +2 ∫ ∑ ∫ ej n j xi M i − ∂D i,j ∑ ej n i xi M j i,j dV M D ∫ dSn(x · M ) − = dS ∂D ∫ dS(n · x)M + 2 ∂D dV M D ∑ となる。但し 3 つ目の等号で、今は ( i δii = 3) であることを用いた。また 4 つ目 の等号では n を ∂D の法線単位ベクトルとして、体積分と表面積分の関係(GaussGreen の定理)を用いた。 5
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