第9回レポート課題 (1)偏差応力は以下の式で与えられる.偏差応 力の全成分を具体的に書き表せ.また,偏 差応力の第1不変量が0になることを示せ. 学生番号: 氏 名: sij = σ ij − δ ijσ m (2)等方的圧力の付加によっては材料中のいか なる面に作用するせん断応力も変化しない ことを示せ. (第11回講義はじめに提出) (1a) 偏差応力 sij = σ ij − δ ijσ m sxx s yx szx sxy s yy szy sxz σ xx τ xy τ xz σ m 0 0 s yz = τ yx σ yy τ yz − 0 σ m 0 0 σ m szz τ zx τ zy σ zz 0 1 3 σ m ( = − p ) = (σ xx + σ yy + σ zz ) = sxy = τ xy (= s yx = τ yx ) 3 である(静水圧応力)から, s yz = τ yz (= szy = τ zy ) sxx = σ xx − σ m szx = τ zx (= sxz = τ xz ) = σ xx − σ xx + σ yy + σ zz 3 2 1 σ xx − (σ yy + σ zz ) 3 2 2 1 s yy = σ yy − (σ zz + σ xx ) 3 2 2 1 szz = σ zz − (σ xx + σ yy ) 3 2 せん断応力については 偏差応力=通常の応力 = テキスト:p.141, (10.7)式 クロネッカのデルタより, 対角成分以外は0になる 1 (i = j ) 0 (i ≠ j ) δ ij = (1c) 偏差応力の第1不変量 第1不変量は, (1b) 偏差応力の各成分 J1 ' = sii = s xx + s yy + s zz ここで, J1 ' = s xx + s yy + s zz = (σ xx − σ m ) + (σ yy − σ m ) + (σ zz − σ m ) = σ xx + σ yy + σ zz − 3σ m = 3σ m − 3σ m =0 偏差応力の第1不変量は必ず0になる (2a) 応力の座標変換から考える 簡単のため2次元問題で考える.x-y座標系からθ だけ回転 したx’-y’座標系への応力の座標変換式は次のようになる. σ + σ yy σ xx − σ yy σ x′x′ = xx + cos 2θ + τ xy sin 2θ 2 2 σ + σ yy σ xx − σ yy σ y′y′ = xx − cos 2θ − τ xy sin 2θ 2 2 σ − σ yy τ x′y′ = − xx sin 2θ + τ xy cos 2θ 2 ここで等方的圧力pが付加され σ xx → σ xx − p, σ yy → σ yy − p になったとすると, σ x′x′ → σ x′x′ − p, σ y′y′ → σ y′y′ − p となるの に対して, τ x′y′ には何の変化も生じない. 等方的圧力 p の付加によってはいかなる方向 θ の面に おけるせん断応力も変化しないことがわかる. 1 (2b) コーシーの関係式から考える 法線ベクトル n = {nx , n y , nz } をもつ平面における応力ベク トルを t,垂直応力ベクトルを σ,せん断応力ベクトルを τ と すると,コーシーの関係式から下記の関係が成立する. T σ xx τ xy τ xz nx t = σ + τ = τ yx σ yy τ yz n y τ zx τ zy σ zz n z ここで等方的圧力 p が付加された状態(’)を考えると, σ xx − p τ xy τ xz n x t ′ = σ ′ + τ ′ = τ yx σ yy − p τ yz n y = σ + τ − pn τ zx τ zy σ zz − p nz となることは明らかである.ここで右辺の pn は垂直応力ベク トル σ と平行であり,せん断応力ベクトル τ とは直交する. (2c) コーシーの関係式から考える 以上より, σ ′ = σ − pn τ′ =τ となり,垂直応力ベクトルは等方的圧力 p の影響を受ける が,せん断応力ベクトルは受けないことがわかる. 等方的圧力 p の付加によってはいかなる方向 n の面に おけるせん断応力も変化しないことがわかる. 塑性変形の本質は結晶中のすべり面におけるずれ(すべり) であり,すべり面におけるすべり方向のせん断応力(分解せ ん断応力)がすべりの駆動力となる.そのせん断応力が等 方的圧力の影響を受けないのであるから,等方的圧力は塑 性変形に寄与しない(降伏に関与しない)と言える. 2
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