コアフコース特異的レクチンによる 組織染色

コアフコース特異的レクチンによる 組織染色
〜FUT8 遺伝子欠損型マウスの組織染色
PhoSL (フォースル) はキノコ( Pholiota squarrosa スギタケ)から精製された新しいレクチンです。N 型糖鎖のコアフコース
(Fucα1-6GlcNAc-) のみに特異的で、他のタイプの フコース には結合しません。
今回は FUT8※遺伝子欠損型マウスの組織を PhoSL で染色し、PhoSL の特異性が実証できましたのでご紹介します。
N 型糖鎖の構造(例)
※FUT8 : 糖転移酵素の一種であるα1,6-フコース転移酵素。N 型糖鎖の根元(GlcNAc)にフコースを付加する働きを持つ。
PhoSL 紹介文献 : The Journal of Biological Chemistry, 287, 33973-33982, October 5, 2012
◇実験
FUT8 遺伝子 欠損型(KO)マウス と 野生型(WT)マウス の大腸組織を ビオチニル化した PhoSL で染色しました。比較とし
てフコース特異的レクチンである AAL でも染色をおこないました。
◇結果
PhoSL は、野生型(WT)と FUT8 欠損型(KO)で染色
に差が見られ、FUT8 欠損型(KO)では全く染色されま
せんでした。対して AAL では、野生型(WT)と欠損型
(KO)の間で染色に差は見られず、欠損型(KO)でもム
チンに対する反応を含めて染色性が残ることがわかり
ました。
大阪大学大学院医学系研究科
のご厚意による。
三善英知先生