発光イメージングシステム LUMINOVIEW シングルセルレベルの発光イメージングを用いた正常細胞株および癌細胞株における トランスフェクション効率の比較とプロモーター活性の追跡 LV200 Luminescence Imaging 細胞への遺伝子導入効率の高低によらず、プロモーター活性の解析が出来る プロモーター活性やシグナル伝達などの細胞機能の解析は ルシフェラーゼなどをレポーターとしたプラスミドDNAを 細胞に導入することで行われている。このプラスミドDNAの 細胞に小胞体ストレスを誘導し、Bipプロモーター活性の経時 変化を12時間に渡って発光イメージング法で追跡した。 図1に示すように、PE細胞以外の細胞株では発光イメージ 遺伝子導入効率は細胞株によって大きく異なることが知られ ングとルミノメーターで同様の結果が得られた。ルミノメー ている。従来使用されてきた発光検出器であるルミノメータ ターによる解析では細胞溶解操作が必要であるが、発光イメ ーはディッシュ内の細胞の発光シグナルの総量を検出するた ージングでは不要であるため、発光イメージングを用いるこ め、発光シグナルの総量が低くなる低遺伝子導入効率の細胞 とでライブセルの解析が可能であった。さらに、発光イメー 株では細胞機能の解析が困難だった。本研究では数種の正常 ジングを用いれば、BXPC3のような低遺伝子導入効率の細胞 細胞株および癌細胞株に遺伝子導入を行い、発光イメージン 株であっても、高遺伝子導入効率のHeLa細胞と同様にBipプ グ法を用いて、細胞間の遺伝子導入効率を比較した。さらに ロモーター活性の経時変化を追跡可能であった(図2)。 低遺伝子導入効率の癌細胞株を用いて、薬剤刺激後のBipプロ モーター活性のシングルセルレベルでの検出を試みた。 このように、発光イメージングを使用することで、正常細 胞株および癌細胞株の遺伝子導入効率をライブセルで比較出 ヒトBipプロモーターをpGL4.14ベクター(Promega)に組み 来る。さらに、本法を用いれば低遺伝子導入効率の細胞株に 込み、pBipPro-Lucベクターを作成した。このpBipPro-Lucベク おいても、高遺伝子導入効率の細胞株と同様にシングルセル ターをLipofectamine LTX (Invitrogen)を用いて複数の細胞株に レベルのプロモーターアッセイを行うことが可能である。 導入後、発光イメージングシステムLV200 (Olympus)を用いて 謝辞:京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 薬剤 発光イメージングを行い、遺伝子導入効率を解析した。ルミ 疫学分野 ノメーターを用いた解析ではpRL-SV40プラスミドを内部標 ータをご提供頂きました。 準としたDual-Glo Luciferase Assay System (Promega)を使用し 参考文献:Horibe T, Torisawa A, Akiyoshi R, Hatta-Ohashi Y, Suzuki H, た。さらに、Thapsigargin (Tg)を用いてHeLa細胞およびBXPC3 Kawakami K. Luminescence, DOI 10.1002/bio.2508, 2013. Low HeLa MDA‐MB‐231 BXPC3 Luminometer Luminescence Intensity/cell (RLU) Transfection efficiency (%) LV200 system HeLa 0hr 0hr 5hr 4.5hr Time (hr) 図1 撮像条件 各細胞株における遺伝子導入効率の比較 CCD カメラ:ImagEM (浜松ホトニクス)、Binning:1x1 対物レンズ:40x、露出時間:10 秒、インターバル:5 分 D-luciferin(終濃度 500uM)を培養液に添加後、撮像を行った。 お問い合わせはこちらから http://bioimaging.jp/ 図2 BXPC3 Luminescence intensity (RLU) Medium Luminescence intensity (RLU) High 川上浩司先生、堀部智久先生、鳥澤亜矢先生にデ Time (hr) HeLa 細胞および BXPC3 細胞における小胞体ス トレス誘導後の Bip プロモーター活性の経時変化 図 1, 図 2 において、発光画像は疑似カラー(オレンジ色)で示す。
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