解答例

2014 年度後期 有機化学1 第12回 「脂肪族求核置換反応(2)」
復習問題
学籍番号___________ 氏名___________
1. 次の反応は SN1 か SN2 か。そう考えた根拠とともに答えなさい。
(1)
Br
(1) SN1。安定なカルボカチオンを生成する三
OH
H2O/アセトン
級ハロゲン化アルキルの反応であり、かつプ
ロトン性溶媒中で弱い求核剤の反応だから。
(2)
NaSCH3
Br
(2) SN2。二級ハロゲン化アルキルなので SN1
SCH3
も SN2 も可能だが、非プロトン性極性溶媒中
DMF
強い求核剤を使っているので SN2。
2. 次の化合物を SN1 の反応性の高い順に順位をつけなさい。また、その根拠となる数値を教
科書から引用して示しなさい。
H3C
H3C
H3C C O
H3C C OCH3
3
(脱離基の共役酸の pKa: 15.5
H3C C Cl
CH3
H3C C NH2
H3C
H3C
2
1
4
4.8
–7
36)
H3C
H3C
H3C
H3C
O
3. 1-ブロモ-2,2-ジメチルプロパンは SN1 も SN2 も起こしにくい。理由を説明しなさい。
一級のハロゲン化アルキルなので SN1 は困難。また、背面攻撃の
H3C
H3C C CH2Br
際に3つのメチル基が立体障害になるため、SN2 も困難。
H3C
4. 下の化合物は SN1 反応条件下で転位生成物を与える。メタノールとの反応生成物を書き、
反応機構を図示しなさい。
Br
H
– Br–
H CH3OH
H
OCH3 – H+
OCH3
5. 下の反応の生成物を書きなさい。立体配置を明示すること。生成物は一つとは限らない。
(1)
CH3
O
C OH
O
O C CH3 +
Br
(2)
CH3
Br
O
C ONa
O
DMF
CH3
+
O
O C CH3
+
+
+
O
6. (S)-2-ブロモブタンをアセトン中過剰量の NaI と反応させると、ラセミ体の 2-ヨードブタ
ンが得られた。この反応は SN2 なのにラセミ化が起きたのはなぜか。
(S)
Br
I–
(R)
I
I–
(S)
初めに立体反転で(R)-2-ヨードブタンが生
I
成したが、これが系中に残っている I–と反応
して(S)-2-ヨードブタンが生成し、最終的に
(S)体と(R)体が平衡に達したため。