消化器合併症の予防と費用をふまえた経腸栄養移行期における投与プランの検討 せんぽ東京高輪病院 柿崎祥子 高村晴美 徳永圭子 足立香代子 東郷眞子 小山広人 【目的】静脈栄養(PN)から経腸栄養(EN)への移行期では、経腸栄養施行に伴う消化 器症状の合併症予防と経済性が共に重要な要件となる。そこで、当院の経験を踏まえ 経済性に焦点を当てた投与プランを検討することを目的とした。 【方法】EN の間欠投与例と持続投与例の別に中心静脈栄養(TPN)及び末梢静脈栄養(PPN) からの移行期において、開始後 7 日間の栄養剤の累計費用を試算、比較検討した。なお栄 養剤の価格は、PN は当院採用品の薬価を、EN は納入価格を使用した。栄養量は、1200kcal, 蛋白質 40-50g、Na80-100mEq、水分 1800ml の他ビタミン、ミネラルを充足させるよう 調整した。EN のステップアップの方法は、間欠投与例では、初日は水分のみ、2 日目から 200ml 単位で 1 日 1 回、2 回、3 回と上げ、1 回の投与時間を 3 時間以内とした。持続投与 例では、初日から速度 20ml/時の低速から開始し、50ml/時まで 1 日 15ml/時ずつ上げ、EN の増量を優先した。なお、この方法で消化器症状が生じにくいことを確認して実施し てきた。 【結果】TPN から EN の移行期では、持続投与例は、EN の量が 3-4 日後に必要量 の 80%程度充足でき、高カロリー輸液を2日目に中止できるが、間欠投与例は、高カ ロリー輸液を5日目まで補給した。その結果、7日間の費用合計が持続投与例では、 7,381 円に比し、間欠投与例では 12,051 円と約 4,600 円多くかかった。PPN からの移行 の場合の累計費用は、同様に間欠投与例が 16,347 円、持続投与例 8,598 円より約 7,700 円余分に要した。 【考察】持続投与では、間欠投与に比し、早期に補助的な PN を減量できることより、7日 間の累計費用を 4,500~7,500 円軽減しうる。これは、持続投与では早期に目標栄養量投与 に到達可能であるためと考えた。現在、当院では EN と PN のプランニングの際に、費用 をも計算できるシートを作成して利用している。
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