植物性ポリフェノールの消化酵素に対する阻害作用

成 膜 大 学 理 工 学研 究 報 告
J.Fac.Sci.Tech,SeikeiUniv.
Uo1.48No.2(20--)pp1-8
植 物 性 ポ リ フ ェノー ル の 消 化 酵 素 に対 す る 阻害 作 用
鈴木
敦 士*1,山
本
幸 弘*z,原
節 子*3
InhibitionEffectsofPlantPolyphenolsonDigestiveEnzymes
AtsushiSUZUH-*'.YukihiroYAMAMOTO*Z.SetsukoHARA*s
,,
ABSTRACT:Theinhibitoryeffectsofpolyphenolscontainedinplantsextractssuchasarooibostea
extract(RTE)andagreenteaextract(GTE)ondigestiveenzymessuchasporcinepancreaticlipaseand
α 一amylasewere血vestigated血
廿iepresentwork,since廿losepolyphenolsareexpectedtohavevarious
physiologicalactivities.Inaddition,quercetin(Qu)andrut血(Ru)whicharemainconstituentsofRTE,
andepigalocatechingallate(耳GCG)andepigalocatechin(耳GC)whicharemainconstituentsofGTEwere
evaluatedtoclarifytherelationbetweentheinhibitoryeffectandthestructureofpolyphenols.Asresults,
itwasfoundthatGTEshowedstronginhibitoryeffectforthelipase,andRTEgavetheeffectforamylase.
Thecorrelationbetweenthechemicalstructuresofplantpolyphenolsand血hibitoryeffectsfbrthelipase
anda-amylasewassuggested.
Keywords:polyphenol,plantextract,lipase,amylase,inhibitoryeffect
(ReceivedSeptember15,2011)
1.は
じめ に
や 果 物 に 広 く含 ま れ る フ ラ ボ ノ イ ドで あ る。 植 物 中 で は
種 々 の 単 糖 や 多 糖 が β 一グ リ コ シ ド結 合 した 配 糖 体 と し
ポ リフ ェ ノー ル は 分 子 内 に 複 数 の フ ェ ノー ル 性 水 酸 基
を 有 す る 化 合 物 の 総 称 で あ り,分
て 多 く存 在 し,ま た,C3部
子 内 に あ る水 酸 基 の 数
ン,フ
ラ ボ ノ ー ル,フ
や 立 体 的 な 位 置 関 係 が 異 な る 多 種 類 が 天 然 に 存 在 し,酸
ン トシ ア ニ ジ ン,イ
化 防 止1)z),動
存 在 す る。
制6〕,抗
脈 硬 化 予 防3),が
菌7)-9),消
ん 予 防4)5),血
圧上昇抑
臭1D)11)お よ び タ ン パ ク 質 機 能 調 節 作
分 の構 造 の違 い に よ りフ ラボ
ラ バ ノ ー ル,フ
ラ バ ノ ノ ー ル,ア
ソ フ ラボ ンな どの 多様 な化 合物 群 が
本研 究 で は ポ リフ ェ ノール の タ ンパ ク質機 能 調 節 作用
用iz)な ど の 様 々 な機 能 ・作 用 を 示 す こ とが 報 告 さ れ て い
に 着 目 し,肥 満 や 糖 尿 病 な ど の 生 活 習 慣 病 の 対 策 に ポ リ
る 。 ポ リ フ ェ ノ ー ル は コ ー ヒ ー 酸,ク
フ ェ ノ ー ル を利 用 す る た め の 基 礎 的 検 討 と して,各
フ ェ ノ ー ル 酸,ケ
ル セ チ ン(Qu)や
ロ ロ ゲ ン 酸 な どの
エ ピ カ テ キ ン な どの フ
酵 素 に 対 す る 阻 害 作 用 をinvibo系
消化
で 評 価 した 。 な お,消
ラ ボ ノ イ ド,レ ス ベ ラ トロ ー ル に 代 表 さ れ る ス チ ル ベ ン
化 酵 素 と して は これ ら の 活 性 を 阻 害 す る こ と に よ っ て 抗
お よ び リ グ ナ ン に 分 類 さ れ る 。 ま た,植
肥 満 作 用 や 高 血 糖 抑 制 作 用 が 期 待 され る た め,脂
物 中で は これ ら
の 化 合 物 が 重 合 した 高 分 子 タ ン ニ ン と して も 存 在 し,こ
質 に そ れ ぞ れ 作 用 す る リ パ ー ゼ[EC3.1.1.3]と
れ らは プ ロ ア ン トシ ア ニ ジ ン な どの 縮 合 型 タ ン ニ ン とガ
ー ゼ[EC3
質 と糖
α 一ア ミ ラ
.2.1.1]を用 い た 。 これ ま で ポ リ フ ェ ノ ー ル に よ
ロ タ ン ニ ン や エ ラ グ タ ン ニ ン な どの 加 水 分 解 型 タ ン ニ ン
る 消 化 酵 素 の 阻 害 機 構 に っ い て は 明 確 に な っ て い な い が,
に 分 類 さ れ る 。 こ れ らの 中 で,機
ポ リ フ ェ ノ ー ル が 様 々 な 酵 素 タ ン パ ク 質 と結 合 す る こ と
能 性研 究 が 最 も進 ん で
い る の は ジ フ ェ ニ ル プ ロ パ ン(C6-C3-C6)構
造 を も ち,野 菜
で 阻 害 作 用 を示 す こ と が 示 唆 され て い る13)。 本 研 究 で は
Quお
よ びQuに
ル チ ノ ー ス が 結 合 した 配 糖 体 で あ る ル チ
*1・ 理 工 学 研 究 科 物 質 生 命 コ ー ス 修 士 課 程 修 了 生
ン の よ うな フ ラ ボ ノ ー ル を 主 要 成 分 とす るル イ ボ ス テ ィ
:z・ 理 工 学 部 助 教
ー 抽 出 物(RTE)と
*3・ 理 工 学 部 教 授(sktara@st
.seieki.ac.jp)
(EGCG)や(一)エ
一1一
,(一)エ
ピ ガ ロ カ テ キ ン ガ レー
ピ ガ ロ カ テ キ ン(EGC)の
ト
よ うな フ ラ バ ノ
一 ル を 主 要 成 分 と す る 緑 茶 抽 出 物(GTE)を
ポ リフ ェ ノ ー
ホ ル ム:メ
タ ノ ー ル:溶
液 を20加
え,20min,
ル 化 合 物 と し て 用 い,こ れ ら の リパ ー ゼ と α 一
ア ミ ラー ゼ
3500rpmの
に 対 す る 阻 害 作 用 に つ い て ポ リフェ ノー ル 構 造 との 関 連
ウ ム で 脱 水,脱
溶 媒 し て 脂 質 区 分 を 回 収 し,酸
性 を 含 め てin17YO系
測 定 し た 。AVか
ら算 出 し た 加 水 分 解 率 か ら リパ ー ゼ の 比
に お い て検 討 した。
活 性(ポ
2.実
遠 心 分 離 して得 られ た 下 層 を無 水 硫 酸 ナ トリ
価(AV)を
リ フ ェ ノ ー ル を 添 加 し た 系 の 加 水 分 解 率)/(酵 素
の み を 添 加 し た 系 の 加 水 分 解 率)を 算 出 し,ポ リ フ ェ ノ ー
験
ル の リパ ー ゼ に 対 す る 活 性 阻 害 作 用 を 調 べ た 。 な お,算
出 し た 比 活 性 が1よ
ポ リ フ ェ ノ ー ル を 含 む 植 物 抽 出 物 と し てRTE,GTEの
2種,標
準 物 質 と し てRTEに
ー ル で あ るQuとRu(東
,GTEに
製),比
ル ガ レー ト(PG)と 没 食 子 酸(GA)(東
使 用 した 。RTE,GTEの
リパ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 が 強 い こ と を 示 す 。
含 まれ る主 要 な ポ リフ ェ ノ
京 化 成 工 業 製)
EGCGとEGC(Sigma社
り低 い ほ ど ポ リ フ ェ ノ ー ル 化 合 物 の
含 まれ る
較のためにプ ロピ
2.3.1に 示 し た 活 性 阻 害 作 用 の 測 定 実 験 に お い て,RTE
京 化 成 工 業 製)を
お よ びGTEを
ポ リフ ェ ノー ル 含 有 率 を フ ォ ー
そ れ らの ポ リフ ェ ノー ル 含 有 率 に基 づ き酵
素 量 に 対 し ポ リ フ ェ ノー ル 量 と し て10wt%に
添 加 し,共 存 時 間lh,加
算 で28.4%,GTEはEGCG換
ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 の 強 さ を 比 較 し た 。 な お,ポ
算 で58.3%で
酵 素 と し てSigma社
ゼ(135,000u/g)と
あ っ た 。ま た,
か ら購 入 し た 豚 す い 臓 リパ ー
ノ ー ル と し て はRTE,GTEに
豚 す い 臓 α一ア ミ ラ ー ゼ(27,000u/g)
を 使 用 し た 。 な お,こ
水 分 解 時 間5hと
な る よ うに
リン ・チ オ カ ル ト法 に よ っ て 測 定 し た 結 果,RTEはQu換
PGお
よ びGAを
して,リ
パー
リフ ェ
加 え てQu,Ru,EGcG,EGc,
用いた。
れ らの 酵 素 の 活 性 を 測 定 す るた め
の 基 質 と し て,リ パ ー ゼ に 対 し て は 精 製 キ ャ ノ ー ラ 油(シ
ポ リフ ェ ノー ル の 活 性 阻 害 作 用 に 対 す る分 子
リカ ゲ ル カ ラ ム 分 画 に よ っ て 予 め ト コ フ ェ ロ ー ル を 除 去)
お よ び α一ア ミ ラ ー ゼ で は 生 化 学 用 溶 性 デ ン プ ン(和 光 純
薬 工 業 製)を
ポ リフ ェ ール の活 性 阻 害作 用 に対 す る分 子構 造 の影 響
そ れ ぞ れ使 用 した。 そ の 他 の 試 薬 類 は 全 て
市 販 の 特 級 ま た は1級
を 検 討 す る た め に,QuとRu,ポ
の もの を そ の ま ま使 用 した。
あ るEGCGとEGCお
ぞ れ1.0×10'2mol量
験 を 行 い,各
植 物 抽 出 物 に 含 ま れ る ポ リフ ェ ノ ー ル 化 合 物 の 定 量 に
リフ ェ ノール 標 準物 質 で
よ び 比 較 物 質 で あ るPGとGAを
を 用 い て2.3.2と
同 条件 で活 性 阻 害試
種 ポ リ フ ェ ノ ー ル の 等mol当
用 に つ い て,そ
それ
た りの 阻 害 作
の分 子構 造 との 関連 を含 め て検 討 した。
は 下 記 の フ ォ ー リ ン ・チ オ カ ル ト法 を 用 い た 。す な わ ち,
50の
植 物 抽 出 物 水 溶 液lmLに2倍
ル 試 薬lmL,10%炭
希 釈 の フ ェ ノー
酸 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液5mLを
30℃ で 静 置 し た 後,760で
豚 す い臓 α一ア ミラ ー ゼ に 対 す る活 性 阻 害 作 用 の
加 え,lh,
吸 光 度 測 定 した 。 抽 出 物 中
の ポ リフ ェ ノ ー ル 含 有 量 は あ ら か じ め 作 成 し た 検 量 線 を
用 い,RTEに
対 して はQu換
算 量,GTEに
5塩
対 して はEGCG
化 カ ル シ ウ ム 添 加 酢 酸 緩 衝 液(pH=55)に
α一ア ミ ラ ー ゼ を 溶 解 し て0.02溶
換 算 量 と して ポ リ フェ ノー ル 量 を 求 め た。
素 量 に 対 して50∼250wt%のRTE,GTEを
ン 交 換 水 に 溶 解 し た 溶 液1を
で1∼
2を
豚 す い 臓 リパ ー ゼ0.177に,RTE,GTEを
し て0∼50wt%量
酵素量に対
に な る よ う に イ オ ン 交 換 水lmLに
し て 加 え,37℃,8001pmで10min∼3h擁1牛
溶か
そ れ ぞれ イ オ
混 合 し て,40℃,800rpm
撹 絆 し た 。 こ の 酵 素 溶 液 に0.1%デ
加 え,40℃,700rpmで
後,0.015%ヨ
ン プ ン溶 液
加 水 分 解 反 応(lh)を 行 っ た 。
反 応 終 了 後 沸 騰 浴 中 で10min加
した 。撹 拝 後
の 酵 素 溶 液 の 活 性 を 下 記 の よ う に 測 定 し,RTEお
GTEの
液 を 調 製 し,酵
熱 し,酵
素 を 失 活 させ た
ウ素 一
〇.15%ヨ ウ 化 カ リ ウ ム 溶 液5を
加 え
て ヨ ウ 素 一デ ン プ ン 反 応 に 基 づ く 青 紫 の 発 色 を 吸 光 度 分
よび
析(660)し,デ
酵 素 に 対 す る 阻 害 作 用 を 測 定 し た 。 す な わ ち,酵
ン プ ン 残 存 量 か ら α一ア ミ ラ ー ゼ に 対
す る活 性 阻 害作 用 を測 定 した。
素 溶 液 に 反 応 基 質 と し て 精 製 キ ャ ノ ー ラ 油2gと0.2mol/L
トリ ス 塩 酸 緩 衝 液(pmLを
加 水 分 解 反 応(5,15h)を
加 え37℃,800rpmで
行 っ た 。 反 応 終 了 後,ク
ロロ
ポ リ フ ェ ノ ー ル 量 を 酵 素 量 に 対 し て50wt%,共
一2一
存時
間lh,加
水 分 解 時 間lhと
反 応 を 行 い,α
な お,ポ
PGお
し て2.4.1と
3.結
同 様 に 加 水 分解
果 と考
一ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 を 調 べ た 。
リ フ ェ ノ ー ル 試 料 と し て はQu,Ru,EGCG,EGC,
よ びGAを
用 い た。
RTEお
ポ リ フ ェ ノー ル の 活 性 阻 害 作 用 に 対 す る 分 子
3hと
よ びGTEの
添 加 量 を0-50wt%,共
変 化 さ せ,加
水 分 解 時 間 を5hと
ゼ の 比 活 性 の 変 化 を 図1,2に
ポ リフ ェ ノ ー ル の 分 子 構 造 が 酵 素 に 対 す る 活 性 阻 害 作
用 に 及 ぼ す 影 響 を 検 討 す る た め,Qu,Ruに
加 えて ポ リフ
ェ ノ ー ル 標 準 物 質 で あ る,EGCG,EGCと
比較物質 であ
るPGお
よ びGAを
そ れ ぞ れ1.0×10'7mol量
と 同 条 件 下 に 活 性 阻 害 試 験 を 行 い,各
な お,加
結 果 は5hと
後 は 加 水 分 解 時 間 を5hと
ほ ぼ 同様 で あ
した。
in
を 用 い て2.4.2
o.s
ポ リフ ェ ノ ー ル 等
坦
mol当 た り の 活 性 阻 害 作 用 を そ の 分 子 構 造 と の 関 連 を 含
め て 比 較 した。
0.6
L」
一
『
一
婆0.4
共 存 時間
Q=IOminO=lh
口=2h△;3h
0.2
0
リパ ー ゼ お よ び α 一ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 活 性 阻 害 作 用
0
1020304050
RTE添
オ ク タ ノ ー ル/水 系 に お け る 分 配 係 数 を 測 定 し た 。す な わ
ポ リ フ ェ ノ ー ル 水 溶 液10に,イ
一
11111
に 及 ぼ す ポ リ フ ェ ノ ー ル の 溶 解 性 の 影 響 を 調 べ る た め,
ち,50の
した場 合 の リパ ー
そ れ ぞ れ 示 した 。
水 分 解 時 間15hの
っ た の で,以
存時 間
加 量(%)
オ ン交
図1
換 水 と オ ク タ ノ ー ル を24h以
和 オ ク タ ノ ー ル10mLを
上 混 合 して飽 和 させ た 水飽
分 液mト
に 取 り振 盤 した 。 振
盤 後,遠
心 分 離 し,各
285nmに
お け る 吸 光 分 析 に よ り 測 定 し,分
log(Co/Cw)と
層 に含 ま れ るポ リ フェ ノー ル 量 を
1
N。
配係 数 を
起 雌 ﹄(
Hanes-Woolfプ
ロ ッ トに よ る 活 性 阻 害 メ 力 ニ ズ ム の
検討
Hanes-Woolfプ
弩囎
o.a
して 算 出 した。
"ロ=2h△=3h
0.6
"
0.4
"
0.2
ロ ッ トを 行 い,ミ
大 反 応 初 速 度(Vmax)を
求 め,活
を 行 っ た。 す な わ ち,酵
カ エ リ ス 定 数(Km)と
し て,酵
111,・
0
・
01020304050
リフェ ノー ル 量 を一 定 に
し,基 質 量 を精 製 キ ャ ノ ー ラ 油 で は0.5∼5.Og,デ
で は0.Ol∼05%と
最
性 阻 害 メカ ニ ズ ム の 検 討
素 量,ポ
。血 。 、、h
GTE添 加 量(%)
ンプ ン
素 とポ リフ ェ ノール を基 質 に
図2
同 時 に 添 加 し て 加 水 分 解 反 応 を 行 っ た 。そ れ ぞ れ 加 水 分 解
速 度[V]を 算 出 し,横
ロ ッ ト し,得
軸 に 基 質 濃 度[S],縦
軸 に[S]/[V]で プ
ら れ た 直 線 式 とHanes-Woolfプ
[S]/[V]=S]Nmax+Km/Vmaxか
らKmとVmaxの
ロ ッ トの
と し た 時,拮
阻 害 の 場 合 に はVmax=Vmaxi,Km〈iと
な り,非 拮 抗 阻
らRTE添
加 系 に お い て 添加 量 の増 加 に伴 っ て 比
活 性 は 低 下 し,50wt%添
値 を算 出 し
た 。 ポ リ フ ェ ノ ー ル 添 加 後 をKm;,Vmax、
害 の 場 合 に はVmax>Vmaxl,Km=Kmiと
1か
抗
図2か
らGTE添
加 系 で は 約0.6で
加 系 で はRTE添
活 性 の 低 下 が 見 られ,30wt%以
な る こ と か ら,ポ
あ っ た 。ま た,
加 系 に 比較 して 顕 著 な 比
上 の添 加 系 で は ほ ぼ 完全
に 失 活 す る こ と が 半1」
明 し た 。 な お,図1,2か
ら10min
リフ ェ ノ ー ル 化 合 物 に よ る 酵 素 の 活 性 阻 害 メ カ ニ ズ ム を
∼3hの 共 存 時 間 で は 阻 害 作 用 に 大 き な 変 化 が な い こ と が
考 察 し た。
確 認 され た た め,以
結 果 か ら,RTEとGTEが
を 示 し,こ
た。
一3一
後 の 共 存 時 間 はlhと
した。 以 上 の
リパ ー ゼ に 対 して 活 性 阻 害 作 用
の作 用 は 添加 量 に依 存 して い る こ とが判 明 し
Ou
RTE,GTE,Qu,Ru,EGCG,EGC,PGお
る よ うに そ れ ぞ れ 添 加 し,リ
結 果 を 図3に
Ruo66
よ びGAを
リパ ー ゼ に 対 して ポ リ フ ェ ノ ー ル 量 と し て10wt%に
082
EGCG-023
な
EGC
パ ー ゼ の 比 活 性 を 測 定 した
083
PG-067
示 した 。
RTE
GAo69
018
GTE
045
0
du
0.20.40.60.8
1
078
比 活 性(無
Ru
添 加 系:1.0)
082
EGCG
018
図4各
EGC
種 ポ リ フ ェノ ー ル 等 モ ル あ た りの リパ ー ゼ 活
071
PG
031
0
0.2
0.4
0.6
0.8
(1.0×102mol)添
i
加 し,こ れ ら の 添 加 系 に お け る リ パ ー
ゼ の 比 活 性 を 図4に
比 活 性(無
示 した。
添 加 系:1.0)
Quは0.82,Ruは0.66,EGCGは0.23,EGCは0.83,PG
図3各
種 ポ リ フ ェ ノ ー ル 等 量 あ た りの リパ ー ゼ に
は0.67,GAは0.69と
た 。QuとEGCは
な り,EGCGが
最 も高 い 阻 害 を 示 し
ほ ぼ 同 じ 阻 害 作 用 を 示 し た こ と か らQu
の 構 造 に 見 ら れ るB環 の ジ オ ー ル 構 造 とEGCの
RTEお
0.45ま
よ びGTE添
加 系 の 比 活 性 は そ れ ぞ れ0.78お
で 低 下 し,こ
ら れ るB環 の ト リ オ ー ル 構 造 に よ る 阻 害 作 用 に は 差 が な
れ ら の 植 物 抽 出 物 は リパ ー ゼ に 対 し
て 阻 害 作 用 を 示 し,さ
ら に,GTEは
た りの 活 性 阻 害 作 用 がRTEよ
の た めRTE,GTEの
よび
い と 考 え られ た 。 ま た,PG:0.67,GA:0.69と
ポ リフ ェ ノール 量 あ
Qu,Ru,EGCよ
り強 い こ と が 判 明 し た 。 そ
り阻 害 作用 が 強 い こ とか ら もガ ロイ ル基
ら フ ラ ボ ノ イ ド類 に あ るC6-C3-C6結
の 活 性 阻 害 作 用 を 調 べ た 結 果,Qu:0.78,Ru:0.82,
す る 活 性 阻 害 作 用 が あ り,そ
いず
れ に お い て も 比 活 性 の 低 下 が 観 察 さ れ,特
いず れ も
の リパ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 が 確 認 され た 。 こ の こ と か
主 要 成 分 で あ るQu,Ru,EGCG,EGC
EGCG:0.18,EGC:0.71,PG:0.37,GA:0.32と
構造 に見
合 に も リパ ー ゼ に 対
の作 用 は ガ ロイル 基 に よっ
て さ らに 強 ま る こ とが判 明 した。
に,EGCGに
最 も 高 い 活 性 阻 害 作 用 が あ る こ と が 判 明 し た 。ま た,RTE
とQu,Ruを
比 較 す る と,い ず れ の 添 加 系 に お け る 比 活 性
も ほ ぼ0.8程
度 で あ っ た こ と か ら,RTEの
成 成 分 で あ るQu,Ruの
に,GTE添
で は0.18と
RTE添
作 用 は そ の構
作 用 に 基 づ く と考 え られ た 。 さ ら
加 系 の 比 活 性 は0.45ま
加 系 お よ びGTE添
に 対 す る 阻 害 作 用 を 比 活 性 に よ り測 定 し,図5,6に
で 低 下 し た が,EGCG
ぞれ 示 した。
さ ら に 強 い 阻 害 が 見 ら れ た 。GTEがEGCGよ
り も 阻 害 が 弱 い こ と に つ い て はGTEに
はEGCG以
1
外 に よ
/」
o.s 『
り阻 害 作 用 の 低 い ポ リ フ ェ ノ ー ル が 存 在 し て い る こ と が
推 察 さ れ た 。GTEに
含 ま れ る 成 分 の1つ
で,EGCGと
は
異 な りガ ロ イ ル 基 が エ ス テ ル 結 合 し て い な いEGCの
比活
性 は0.71とGTEやEGCGよ
ド類 に あ るC6-C3-C6結
作 用 が あ り,そ
り低 い こ と か ら,フ
加 系 に お け る α一ア ミ ラ ー ゼ
0.6
\.
い ミミ 』
一
玉0.4
共存時間
ラボ ノイ
◇;10皿hlO:1h
口=2h△=3h
0.2
合 に も リパ ー ゼ に 対 す る 活 性 阻 害
0
の 作 用 は ガ ロイ ル 基 に よっ て さ らに 補 強
lF「1
050100150200250
され る こ とが 判 明 した。
RTE添
ポ リ フ ェ ノー ル の 活 性 阻 害 作 用 に 対 す る 分 子
Ru,EGCG,EGC,PG,GAを
図5
基 質 に 対 して 等 モ ル 量
一4一
巨
」 多臼
加 量(%)
一
それ
且
o.a
c
RTE
GTE
已n
dv〔
(1【
)
o.s
一110
Qu
8
Ru
1
蜜
EGCG
一
.4
共存 時 間
ECG
◇:10皿
血0:1h
口:2h△:3h
0.2
PG
一
GA
1「II
0
0
0.20.40.60.8
050100150200250
1
比 活 性(無
GTE添
添 加 系:1。0)
加 量(%)
図7各
種 ポ リ フ ェ ノ ー ル 等 量 あ た り の α一ア ミ ラ ー ゼ
図6
RTE,GTEを
酵 素 量 に 対 し て0-250wt%添
加 し た 場 合,
添 加 量 に と も な っ て α一ア ミ ラ ー ゼ の 活 性 は 最 大05ま
低 下 し た が,1∼3hの
加 系 の 比 活 性 はQu:0.62,Ru:0.5,EGCG:0.6,EGC:
で
0.78,PG:0.78,GA:0.67ま
共 存 時 間 の 阻 害 作 用 に 対 す る影 響 は
で 低 下 し,Ruが
害 作 用 を示 し た 。 ま た,EGCG,EGC,PGお
最 も高 い 阻
よびGAの
阻
リパ ー ゼ の 時 と 同 様 に 観 察 さ れ な か っ た 。 ポ リフ ェ ノ ー
害 作 用 に は 大 き な 差 は 見 られ ず,リ パ ー ゼ に 対 す る 作 用 と
ル 添 加 量 に つ い て は,図1に
は 異 な り,ガ
に 対 し て50wt%量
でRTEで
活 し た の に 対 し,α
250wt%添
示 し た リパ ー ゼ で は 酵 素 量
は0.6,GTEで
はほぼ完全に失
と か ら,RTE,GTEの
を 顕 著 に 強 め る こ と は な い こ とが 判 明 し た 。 従 っ て,α
一ア ミ ラ ー ゼ は 酵 素 量 に 対 し て
加 し て も 比 活 性 の 低 下 は 約05と
ロ イ ル 基 が α一ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用
一
ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 に 関 与 す る構 造 は ポ リ フ ェ
なってい るこ
ノ ー ル 特 有 のC6-C3-C6結
合 と推 測 さ れ た 。 さ ら に フ ラ ボ ノ
ー ル 骨 格 とフ ラバ ノ ール 骨 格 の構 造 を 比 較 す る とフ ラボ
活 性 阻 害 作 用 は リパ ー ゼ に 対 し て
よ りも α一
ア ミラー ゼ に対 す る 方 が 弱 い こ とが 判 明 した。
ノ ー ル 骨 格 に は ポ リ フ ェ ノ ー ル のC環 に 二 重 結 合 と キ ノ
ン 構 造 が あ る こ と か ら,こ
れ らの 部 位 が α一ア ミ ラ ー ゼ に
対 す る 強 い 阻 害 作 用 に 関 与 して い る と推 測 され た 。
RTE,GTE,Qu,Ru,EGCG,EGC,PGお
よ びGAの
Qu-062
ポ リ フ ェ ノ ー ル 量 を α一ア ミ ラ ー ゼ 量 に 対 して50wt%
Ruo5
に な る よ うに 添 加 し て α一ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用
を 比 活 性 に よ っ て 比 較 し た 結 果 を 図7に
EGCGo6
示 し た 。RTEの
EGC
078
PG
018
比 活 性 はo.6,GTEはo.73,Quはo.64,Ruは0.6,EGcG
は0.69,EGCは0.84,PGは0.76,GAは0.71ま
で 低 下 し,
α一
ア ミ ラ ー ゼ に 対 しRuが 最 も 強 い 阻 害 作 用 を 示 す こ と,
ま た α一ア ミ ラ ー ゼ に 対 し てRTEはGTEよ
GA
on
り強 い 阻 害 作
0
用 を 示 す こ と が 判 明 し た 。 さ ら にRTE,GTEの
ノ ー ル 成 分 で あ るQu,Ru,EGcG,EGcの
を 比 較 し た 結 果,Ruの
0.4
比 活 性(無
活性 阻 害 作 用
作 用 が 最 も強 い こ とが確 認 され た 。
同 じ フ ラ ボ ノ ー ル 類 で あ るQuも
0.2
a.s
1
0.8
ポ リフ ェ
図8各
添 加 系:1.0)
種 ポ リ フ ェ ノ ー ル 等 モ ル あ た り の α一ア ミ ラ ー
強 い 活性 阻 害 作 用 を 示
し た こ と か ら,α 一
ア ミ ラー ゼ に 対 して は フ ラボ ノー ル 骨
格 を 有 す る ポ リフ ェ ノ ー ル が 強 い 阻 害 作 用 を 示 す と 考 察
各 種 ポ リ フ ェ ノ ー ル の 活 性 阻 害 作 用 と分 配 係
され た。
各種 ポ リフェノールの 阻害作用 に対す る分子
各 種 ポ リ フ ェ ノ ー ル の オ ク タ ノ ー ル/水
配 係 数 を 算 出 し た 結 果,RTEは
各 ポ リ フ ェ ノ ー ル を等 モ ル 量(LO×1σ7mol)添
これ ら の 活 性 阻 害 作 用 を 比 活 性 と し て 図8に
加 し,
は0.62,Ruは
示 し た 。各 添
0.04で
一5一
系 に お け る 分
一 〇.68,GTEは0.06,Qu
一 〇.22,は0.6,は1.15,GAは
あ っ た 。 各 種 ポ リ フ ェ ノ ー ル の 分 配 係 数 と 図3,
論
図7に 示 した 比 活性 との 関係 を 図9に 示 した。 こ こに 示
した オ ク タ ノー ル/水系 分 配 係 数 は,そ の 数 値 が 高 い ほ ど
脂 溶 性,低
2種
い ほ ど水 溶性 で あ る こ とを 示 す の で,リ パ ー
の植 物 抽 出物 お よ び 各種 ポ リフ ェ ノ ール 化合 物 を
ゼ に 対 して は脂 溶性 の ポ リ フェ ノー ル ほ ど,α 一
ア ミラー
用 い て,リ パ ー ゼ お よ び α一ア ミ ラ ー ゼ に 対 す るinitro系
ゼ に 対 して は水 溶性 の ポ リ フェ ノー ル ほ ど強 い 活性 阻 害
に お け る 活 性 阻 害 作 用 に つ い て 検 討 し た 結 果,ポ
作 用 を 示 す傾 向 が観 察 され,そ れ ぞ れ の 酵 素 の 作 用 す る
ノ ー ル の 構 造 お よ び 酵 素 と の 組 み 合 わ せ に よ り,そ
基 質 で あ る,脂 質 と糖 質 の性 質 を 反 映 して い る こ とが 示
害 作 用 が 大 き く 異 な る こ と が 判 明 し た 。 す な わ ち,リ
唆 され た。
ー ゼ に対 す る ポ リフ ェ ノ ール の活 性 阻 害作 用 に つ い て は
ポ リ フ ェ ノ ー ル 特 有 のC6-C3-C6結
リフ ェ
の阻
パ
合 に よる 阻 害 作用 に加
1
え て ポ リフ ェ ノ ール に結 合 して い る ガ ロイル 基 の影 響 が
y=007:066
◆a=04521
o.s一
>'一
虻Io.6・
靴一
\
\
胞i
◆
玉0.4
強 い こ と が 確 認 され た 。 一 方,α
性 阻 害 作 用 は フ ラ ボ ノー ル 骨 格 を 有 す る ポ リ フ ェ ノ ー ル
で 強 く,ポ
\
◆
\
一ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る活
◆
リ フ ェ ノ ー ル 特 有 のC6-C3-C6結
合 が 阻 害 作用
に 影 響 し て い る こ と が 推 察 され た 。
◆ リ,e一 セ
o.z
◆
■Cl一
ア ミ ラ ー セy=-02417x骨05828
さ ら に,こ
マ=03198
0
一i
一〇
0
.5
る 阻 害 作 用 の メ カ ニ ズ ム を 検 討 し た 結 果,リ
i
0.5
れ らの ポ リフ ェ ノール 化 合 物 の酵 素 に 対す
1.5
パ ーゼ に対
し て は 脂 溶 性 の ポ リ フ ェ ノー ル,α 一ア ミ ラ ー ゼ に 対 し て
は 水 溶 性 の ポ リ フ ェ ノー ル が 強 い 阻 害 作 用 を 示 す 傾 向 が
図9各
種 ポ リフ ェ ノ ー ル の 分 配 係 数 と 酵 素 活 性 阻 害
見 られ,ま
た リパ ー ゼ,α
一ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 メ カ
ニ ズ ム に つ い てHanes-Woolfプ
Hanes-Woolfプ
ロ ッ トに よ る 活 性 阻 害 メ カ ニ ズ
ロ ッ トに よ り検 討 し た 結
果,酵
素 の活 性 中 心 以外 で酵 素 とポ リフ ェ ノール が結 合
し,酵
素 活 性 を 失 活 させ る 非 拮 抗 阻 害 で あ る こ と が 確 認
され た 。 ポ リ フ ェ ノ ー ル 化 合 物 お よ び これ ら を 含 む 植 物
表1に
リパ ー ゼ,表2に
α一ア ミ ラ ー ゼ のVmaxとKmを
比 較 し た 結 果 を 示 し た 。 リパ ー ゼ,α
VmaxをVmax;と
抽 出 物 に つ い て,消
一ア ミ ラ ー ゼ と も に
化 酵 素 に対 す る活 性 阻 害作 用 を活 用
し た 各 種 利 用 法 が 今 後 開 発 され る こ と が 期 待 され る 。
比 較 す る と 、 い ず れ の ポ リフ ェ ノ ー ル を
用 い た 場 合 に お い て も減 少 し た の に 対 し,Kmの
値に変化
は 見 ら れ な か っ た 。 こ の こ と か ら リパ ー ゼ,α
一ア ミ ラ ー
参考文献
ゼ に 対 す る阻 害 作 用 は い ず れ も活 性 中 心 以 外 で 酵 素 とポ
リフ ェ ノ ー ル が 結 合 し,酵
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素 活性 を 失 活 させ る非 拮 抗 阻
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害 で あ る と考 察 され た。
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曾,
Frein
polypheinEvidenceromald
表1ポ
Nutr.3284
リフ ェノ ー ル の リパ ー ゼ に 対 す る活 性 阻 害 に お
MiuraT.,oMiura
無添加系
R
添加系
GTE
添加系
Qu
添加系
EGCG
添加 系
添加系
UmesakiHaraedaomitaTe
添加 系
Vmax
o.
0,347
0,271
0,516
0,461
Km
o.
0,179
o.iss
0,180
0,187
catechinseventelopmatherosclerosis
apoproteindeftJ.r,
YaLandaufeconsumptionon
nutritionJ.
表2ポ
リ フ ェ ノ ー ル の α一ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 活 性 阻
無添加系
R
添加 系
Vmax
12.
8.69
Km
266.7
266.4
GTE
添加系
Qu
添加系
EGCG
添加系
8.23
5.2
268.3
M.J.;eandteaphenolscancer,
添加系
添加系
J.tr.
6.68
9.0
' _,
Yang.,ang.,r
262.8
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