第4章 伝達関数 講義資料

第4章 伝達関数
4.1 周波数伝達関数
4.1.1 正弦波の複素数表現 •  入力信号の角周波数ωが変われば,振幅Aoと,
位相差φは変化. •  ωに対する振幅比Ao / Ai,位相差φを周波数特性 •  正弦波を複素数で表現することを考える. •  ここで必ず虚部をとると決めて以下のように表す
–  複素数の信号が物理的に存在するわけではなく,こ
の様に表現すると都合が良いから.
4.1.2 周波数伝達関数と周波数応答
システムの出力はたたみ込み積分によって与
えられる. 正弦波が入力信号のときの出力を求める
たたみ込み積分に入力 フーリエ変換
•  入力信号がある単一の周波数成分しか
もたない正弦波入力である場合
出力は同じ周波数 振幅と位相が変化
=周波数伝達関数
•  振幅比(ゲイン) •  位相差
周波数により変化
周波数特性
•  振幅比と位相の変化を横軸を周波数にして
表したもの –  ゲイン(利得)特性 –  位相特性
ボード線図
4.1.3 交流回路の複素計算法 直列RLC回路の周波数特性
回路方程式 入力が 複素数表現を使うと 電流も複素表現をして とする.
R
L
C
であるので, となる.したがって周波数伝達関数は
であるので, 出力の位相が遅れる場合 出力の位相が進む場合
周波数特性(R=L=C=1)
4.1.3 交流回路の複素計算法 例題 4.1 RL回路の周波数特性
同様に複素表現を使って を使って変換すると
4.1.3 交流回路の複素計算法 例題 4.1 RL回路の周波数特性
周波数特性(R=L=1)
4.2 伝達関数
4.2.1 伝達関数の導出 Ø 周波数伝達関数=ある正弦波入力の伝達特性 Ø 任意の周波数の信号の伝達特性を記述したい ⇒s領域での表現を考える Ø ラプラス変換した表現では 初期条件はすべて0とする
伝達関数
伝達関数
伝達関数が分かれば任意の入力に 対する出力がわかる
線形微分方程式で表される
線形システムの伝達関数
システムが次の式であるとする このラプラス変換をする. 初期条件はすべて0とするなら などと置き換えれば良いので
よって 線形システムの伝達関数は多項式の比で
与えられるので,部分分数展開で解析可能
例題4.2 RL回路の伝達関数
ラプラス変換すると 伝達関数は
直列RLC回路の伝達関数
ラプラス変換すると したがって伝達関数は
例題4.3 バネ・ダンパ系の伝達関数
両辺をラプラス変換すると したがって伝達関数は 例題: RL回路のステップ応答
•  RL回路の伝達関数は •  ステップ入力のラプラス変換は •  したがって出力y(t)のラプラス変換は 部分分数展開で逆ラプラス変換を解く つまり ラプラス変換表を用いて
4.2.2 伝達関数とブロック線図
ブロック線図の信号もラプラス変換したs領域で表す
x(s)�
G(s)
y(s)=G(s) x(s)
要素も伝達関数で表せば、たたみ込み積分の性質
より、要素が定数倍のときと同様の記述で扱える
フィードバックシステムの伝達関数
+�
e
G(s)
H(s)
開ループ伝達関数
閉ループ伝達関数
例題
•  次のフィードバック系の開ループ伝達関数と
閉ループ伝達関数を求めよ。また、ステップ
応答を求めよ。
+�
−
•  開ループ伝達関数 •  閉ループ伝達関数
•  ステップ入力のラプラス変換は1/sであるから
出力y(t)のラプラス変換は 4.3 伝達関数と周波数伝達関数
•  周波数伝達関数
例題4.4 (a)
周波数特性は
例題4.4 (b)
周波数特性は
例題4.4 (b)
ただし と書けるので, 4.4 周波数応答の表示 4.4.1 ナイキスト線図
ナイキスト線図(ベクトル軌跡) –  G(jω) の実部を横軸,虚部を縦軸にとった複素平
面にベクトルを描く. –  ωを0 から∞まで(または-­‐∞から∞まで)変化させ
たときのベクトルの軌跡.
実軸に対して対称
例題4.4のナイキスト線図
例題
•  次の伝達関数のナイキスト線図を描く •  周波数伝達関数は
例題
•  特異な点を計算する 例題
•  特異な点を計算する 例題のナイキスト線図
4.4.2 ボード線図
ボード線図 •  横軸は角周波数の対数(log10ω) •  ゲインの縦軸は20 log10|G(jω)|. •  単位はデシベル[dB]. –  位相特性の縦軸の単位は[rad]
ボード線図では で表されるとき,ゲインと位相はそれぞれ加算で表すことができ
る.すなわち、ボード線図上でも足し合わせればよい. であるならば, であるので, 例題4.4のゲイン特性のボード線図
•  定数15はゲイン
20 log(15)の定数
•  この4つを加えると