2014/4/26 はじめに 国内死亡原因 嚥下障害患者の嚥下内視鏡のみかた 1位 2位 3位 4位 溝口 惠1), 江里口 誠1), 前田 香織2), 皆良田 貴之2) 佐賀大学医学部 神経内科1), 佐賀大学医学部附属病院 先進総合機能回復センター2) 悪性腫瘍 心疾患 肺炎 脳血管疾患 65歳以上の死因 第1位 肺炎の内、誤嚥性肺炎は66% 平成23年厚生労働省 誤嚥性肺炎を引き起こす嚥下障害とは 嚥下の5期モデル ・ 摂食 先行期(認知期) 食物を口に入る前の段階で、どのように食べるのか決定する段階 (梅干を見て酸っぱそうだと思ったり、リンゴを見て硬そうだと思うこと。) 食べ物を認知して口に入れて噛み砕き、飲み込みやすい状態 にする事。 準備期 ・ 嚥下 食物を口に入れて、噛んでから飲み込みやすいように調整する段階。 咀嚼した食塊(bolus)を口腔から胃へ 口腔期 送り込む(飲み込む)輸送運動 口腔から咽頭へ食塊を送る段階(飲み込む)で、随意運動から不随意運動へと 移行する段階 咽頭期 反射運動により、食塊を咽頭から食道へ移送する段階 食道期 摂食・嚥下障害 蠕動運動により食塊を食道から胃へ移送する段階 飲食する能力が障害された状態。本来は摂食障害と嚥下障害 は別物だが、最近は、嚥下障害というと、摂食も含めた広い意 味で捉える事が多い。 嚥下前(前咽頭期型)誤嚥 嚥下中(挙上期型)誤嚥 嚥下反射惹起前の誤嚥 喉頭挙上時に起こる誤嚥 −1− 1 2014/4/26 嚥下後(下降期型)誤嚥 嚥下評価 喉頭下降時に起こる誤嚥 チェックポイント 嚥下評価の方法 反復唾液飲み検査 RSST ごろごろした音がする, 改訂水飲み検査 MWST 声がかれる(湿性嗄声) フードテスト FT 喉がいがいがしている 頸部聴診 水分を取ろうとしない 酸素飽和濃度(SPO2) 微熱が続く 嚥下スクリーニング 食事の際にむせ込む video endoscopic evolution of swallowing:VE 痰量が増えた・色や粘度が変わった 嚥下造影検査 嚥下精査 嚥下内視鏡検査 肺炎を起こした事がある video fluoroscopic examination of swallowing:VF 改訂水飲み検査 反復唾液飲み検査 repetitive saliva swallowing test MWST modified water swallowing test : :RSST 方法 ①冷水3mlを口腔底に注ぎ嚥下を指示する 方法 第二指で舌骨、第三指で甲状軟骨を触知し た状態で空嚥下を指示。30秒間に何回嚥下 できるかを観察。 ②嚥下後、反復嚥下を2回行わせる ③評価基準が4点以上なら最大2施行繰り返す ④最低点を評価点とする 評価基準 1:嚥下なし、むせるand/or呼吸切迫 カットオフ 2:嚥下あり、呼吸切迫(不顕性誤嚥疑い) 3:嚥下あり、呼吸良好、むせるand/or湿性嗄声 /30秒間 4:嚥下あり、呼吸良好、むせない (健常高齢者:11.4±6.4秒) 5:4に加え、反復嚥下が30秒以内に2回可能 −2− 2 2014/4/26 頸部聴診・酸素飽和濃度(SPO2) 嚥下精査について 頸部聴診 酸素飽和濃度(SpO2) 嚥下内視鏡検査 (VE) 90%以下or初期値 より1分間の平均で 3%低下で摂食中止 video endoscopic evalution of swallowing 嚥下造影検査(VF) video fluoroscopic examination of swallowing ・嚥下前後の呼吸音の違い ・嚥下音の強さ 嚥下造影検査(VF) 嚥下造影中・・・ 透視室が利用できる時間制限、被爆 などのデメリット いつもの食事のときと違う雰囲気に 緊張する患者さんも多い・・ (videofluoroscopic examination of swallowing) ●メリット 1.嚥下各期の運動を可視化でき,嚥下障害の要素,重症度を評価できる 2.嚥下しやすい体位、食物形態を知ることができる 3.むせと誤嚥の関係を把握でき,危険管理に役立つ ●デメリット 1.被爆がある(患者と検査者) 2.手軽ではない 3.実際食べている食事を評価できない 嚥下内視鏡検査(VE) 実際の食事場面での 評価も可能!! (videoendoscopic evaluation of swallowing) ●メリット 1.被爆がない 2.ベッドサイド,在宅でも施行可能 3.実際の摂食場面での評価が可能 4.粘膜や唾液の状態が直視下に評価できる ●デメリット 1.嚥下の瞬間が見れない 2.声門下への誤嚥を見落とすおそれがある 3.食塊の移送の大きな流れが把握できない 4.ファイバーの違和感が嚥下に影響を与える可能性あり −3− 3 2014/4/26 嚥下内視鏡検査で用いるもの 嚥下内視鏡検査で用いるもの ●内視鏡:硬性鏡、軟性鏡、カプセル型 嚥下内視鏡で用いるのは軟性鏡 ■光学内視鏡 シャフト部分の対物レンズで とらえた画像を、ファイバーを 介して内視鏡体にある接眼レ ンズに導く。 そのまま除くことも可能だが、 接眼部に小型カメラを接続し、 モニターに画像を映し出す。 比較的安価で、セットが小さくてすむ。 更に電子内視鏡と光学内視鏡に分けられる ■電子内視鏡(右図) シャフト部先端に小型のカメラがついており、そ のカメラで撮影した画像信号を外部のモニ ターに映し出す。 高価、セットが大がかりになることが欠点。 ■接続カメラ、モニター ■食事や着色した水など 嚥下内視鏡検査で用いるもの 嚥下内視鏡で用いるもの ■光源 機動性には勝るが、備え付け型 のものより暗いため、内視鏡操作 に熟練していなければならない エアスコーフ air-scope (リフ ト株式会社:内視鏡の映像をワイヤレスて iPadへ送るカメラシステム) iPadと内視鏡とエアスコー プのみで検査が可能 データ管理もできる −4− 4 2014/4/26 嚥下内視鏡検査時のポイント ①挿入時 嚥下内視鏡検査時のポイント ②鼻咽腔 鼻腔内抵抗が少ないところを選択して通すと、疼痛・違和感が少な い。通常は次の二カ所が比較的抵抗が少ない。 周囲軟組織の器質的異常の有無を観察し,続いて発声時 (「アー」「イー」「ヒ ヒ ヒ ・・」「カーカーカー」など)と空嚥下 時の鼻咽腔閉鎖機能を確認する。 A:中鼻甲介の下 ●(非通鼻音時)発音時に閉鎖するか B:下鼻甲介の下 無理に抵抗が強いところ を通すと、痛みや出血の 原因にもなるので注意! ●嚥下時に閉鎖するか ●嚥下時に食物・液体の逆流がないか 嚥下内視鏡検査時のポイント ③咽頭・喉頭 ●口蓋垂後方付近(高位置)からの観察 衛生状態,器質的異常の有無, 唾液・分泌液なと の 貯留 を観察。 ●発声や空嚥下をさせて,咽頭壁の運動の左右差を評価。 咽頭収縮によるホワ イトアウトの有無も評価。 ●さらに喉頭に近つ いた位置(低位置)て の観察 喉頭前庭,下咽頭部の器質的異常の有無,唾液貯留を 観察。 披裂部の運動,声門の運動,喉頭閉鎖,感覚の評価。 嚥下内視鏡検査時のポイント ④嚥下時 食事形態の難易度 難 多 ●実際に液体・食物を摂取している様子を観察する。 とろみ水、ゼリー、お粥、ご飯、クッキー、水分など コップのみ 混合 液 体 量 ●観察のポイント ・ホワイトアウトがあるか 認められないときは咽頭収縮の不良を疑う ・どこで嚥下反射が生じるか 通常は喉頭蓋に液体が触れると嚥下反射が起こる 食道入口部付近に達しても起こらなければ異常 ・食塊形成は良好か ・残留の有無・場所 ・誤嚥の有無 クッキー ペースト ゼリー 少 不要 −5− 咀嚼 要 5 2014/4/26 当院の嚥下内視鏡セット −6− 6
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