Document 655695

工業反応装置特論
講義時間:水曜6限
場所
:8-1A
塗布例
12月末まで:塗布乾燥(山村 )
講義資料をプロ2webページで公開
www.che.kyutech.ac.jp/chem22
毎回レポート提出
1月から:粉体工学(鹿毛)
(Bower et al., AIChE J, 53, 1644-1657, 2007)
1
COATING APPLICATION EXAMPLES
ディスプレイ部材
家電/建材用
カラー鋼板
包装ラベル
(意匠性・バリア性)
(意匠性)
(平滑性)
http://fujifilm.jp/business/material/displa
y/index.html
電子写真用感光ドラム
中間転写ベルト
電池
http://www.nssmc.com/product/use/elect/top_ele_st
eel_homeele/sheet_white/vc_citron.html/
インクジェット光沢紙
(浸透性)
(弱い導電性)
(導電性・多孔性)
2
http://www.fujifilm.co.jp/kassai/technology/index.html
COATING = 界面を作る技術
基材表面処理
塗布
調液 (混合分散)
乾燥 / 固化
裁断 / 後処理
走行基材(WEB)のハンドリング
Thermodynamics/ Polymer Physics
Transport Phenomena
Colloid Science/Rheology/Mixing
viscoelastic
bimodal
L=10 m
h
Ketner et al., JACS, 129, 2007
Fluid dynamics
free surface
製品
surface-modified
nanoparticles
airflow dryer
速度 1~2000 m/min
slit nozzle
Instability, visco-elasticity,
Elasto-hydrodynamics
間隔10~50 cm
air flow
no slip on
moving substrate
parabolic
velocity profile
no slip on
slide wall
境界層 d~1mm
dynamic
contact line
moving substrate
(web)
static contact line
Kistler S. F., Schweizer, P. M., Liquid Film Coating, 228, 1997
欠陥(ムラ、割れ、偏析…)
1nm~100nm
厚み
coated:310mm
dried : 5 mm
塗布流れの特徴
長さ(L)や幅(W)に比べて厚み(h)
が非常に薄い( h/W~10-6)
1次元流れ
慣性力・重力は無視できる
自由表面の存在
流れ中の速度や圧力のみでなく
界面位置も求めるべき解
高速(しかし多くの場合層流)
paper industry
1800 m/min(108km/h, 30m/s)
20 min bad operation
gives 36 km coating
with defects
http://www.metsopaper.com/
4
本講義のMISSION
□
□
□
□
□
□
□
□
潤滑理論からブレード塗布時の流体圧力を算出できる
毛管力を考慮したFilm Profile Equation(FPE)を導出できる
1D-FPEの線形安定性ができる
スロットダイ塗布のコーティングウィンドウを求められる
粘弾性流体に対するMaxellモデルを導出できる
非相溶高分子溶液中に対するCahn-Hilliard Equation (CHE)を導出できる
1D-CHEの線形安定性ができる
拡散係数が推算できる
5
速度分布がない場合
gas
ポンプへの
供給流量
Q [m3/s]
coater
h
liquid
pump
W
U
流量Q  hUW
単位幅当りの流量は
q ( Q / W )  hU
例:
h  10 mm
U  10m / s
W  1.5m
q  (10  10 6 )(10)  1 10  4 m 2 / s
Q  (1 10  4 )(1.5)  1.5  10  4 m 3 / s  9 L / min
6
Couette flow(1)
速度分布は
y
u  U1  U 2   U 2
h
y  0からh( x)まで積分すると
U1
h
U2
単位長さ当たりの流量qは
coated
web
h
q   u ( y )dy
0
y
h
y


  U1  U 2   U 2 dy
h

0 
h
web
h
U1
u(y)
0
x
U2
Q. 速度分布が直線の流れをクエット
(couette)流という。厚みhのクエット
流の単位幅当りの流量qを表せ。
2
 U1  U 2   y 

   U 2 h
 h  2  0
1
 U1  U 2 h (1)
2
Couette flow(2)
U1=0
液
h
NO SLIP ON BLADE
h
U2
NO SLIP ON SUBSTRATE
Q. 静止固体壁(U1=0)と速度U2の移動
固体壁に挟まれたクエット流れが大気
中に解放されたときの厚みh∞を表せ。
U1  0なので単位長さ当たりの流量qは
1
q  U 2h
2
下流では速度分布は均一なので
q  U 2 h
流量は保存されるから
1
U 2 h  U 2 h
2
h
 h 
2
Q.流れ方向と逆向きに圧力勾配を与えて
膜厚を低下させられるか?
圧力勾配がある場合:潤滑理論(1)
y
U1
u(y)
h(x)
0
W
x
U2
運動方程式
(後述のシェルバランスより)
d 2u dp
m 2 
dy
dx

Newton流体を仮定
 重力無視
 詳しい導出は後頁
1回積分して
du 1 dp

y  C1
dy m dx
もう1回積分して
1 dp 2
u
y  C1 y  C2
2 m dx
境界条件y  0 : U  U 2 ,
y  h( x) : U  U1から
U1  U 2 1 dp

h
h
2 m dx
C2  U 2
C1 
9
圧力勾配がある場合:潤滑理論(2)
よって速度分布は
1 dp 2  U1  U 2 1 dp 
y  

h  y  U 2
2 m dx
2 m dx 
 h
y  0からh( x)まで積分すると
u
(2)
単位長さ当たりの流量qは
h
q   u ( y )dy
0
 1 dp 2  U1  U 2 1 dp 

 
y  

h  y  U 2 dy
2 m dx
2 m dx 
 h

0 
h
h
h
1 dp  y 3   U1  U 2 1 dp   y 2 


h     U 2 h
   
2 m dx  3  0  h
2 m dx   2  0
1 dp 3 1  U1  U 2 1 dp  2

h  

h h  U 2 h
6 m dx
2 h
2 m dx 
10
圧力勾配がある場合:潤滑理論(3)
整理すると
q
1 dp 3 1
h  U1  U 2 h (3)
12m dx
2
圧力勾配による
ポアズイユ流れ
基板走行による
クエット流れ

Couette流れとPoiseuille流れが共存する場合
流量は2つの流れの単純な和で与えられる
 圧力一定(dp/dx=0)なら(3)は(1)に一致
(a) dp/dx=0
(クエット流れ)
(b) dp/dx>0
(c) dp/dx<0
11
圧力勾配がある場合:潤滑理論(4)
U1=0
液
pU
h
h
pD
L
U2
上流(upstream)に圧力pu、下流(downstream)にpDを与えた場合を考える。
簡単のため圧力勾配を直線近似すると
dp pD  pU

dx
L
(3)に代入し、U1=0を用いれば
1 pU  pD 3 1
q
h  U 2h
12m
L
2
一方、速度分布のない下流での流量は
q  U 2 h
圧力勾配がある場合:潤滑理論(5)
この2つの流量は等しいはずだから
1 pU  pD 3 1
h  U 2 h  U 2 h
12 m
L
2
1
1 pU  pD 3
 h  h 
h
2
12 m LU 2
従って上流を減圧( pU  pD )すれば
膜厚はクエット流れの理論値h / 2より低くなる
80
60
h [ mm] 40
h  100mm, m  0.1Pa  s(水の100倍)
L  100mm, U 2  10m / s
クエット流れ
20
0
-60000
-40000
-20000
pU  pD [Pa]
0
13
基礎式の導出(1)
Air
x
W U1
H
y
0
gsin
y
u(y)

x
g
U2
yにおけるシェル面積はWxなので
単位時間にyからシェル内へ流入するx方向の運動量は( yxWx)
y
同様にy  yからシェル外へ流出するx方向の運動量は( yxWx)
y  y
xにおけるシェル面積はWyなので
xにおいてシェルへ作用する圧力は(Wyp ) x
x  xにおいてシェルへ作用する圧力は(Wyp ) x  x
シェル体積はWxyなのでシェルに作用する重力は(Wxy ) g sin 
従って定常状態を仮定すると運動量収支から
0  (Wyp ) x  (Wyp ) x  x  ( yxWx)   ( yxWx)
y
yy
 (Wxy ) g sin 
14
基礎式の導出(2)
y
Air
x
W
gsin
H
y
u(y)
0

x
ニュートン流体ならばmは一定なので
シェル体積Wxyで除すと
0
p x  x  p x

 yx
y  y
  yx
y  y
x
y
x  0, y  0では
dp d yx
0 
 g sin 
dx dy
ニュートン流体ならば yx   m
0
g
 g sin 
dp
d 2u
0    m 2  g sin 
dx
dy
(6)
重力が厚み方向に作用する場合は
  0なので
dp
d 2u
0 m 2
dx
dy
du
であるから
dy
dp d  du 
  m   g sin 
dx dy  dy 
15
ミッション:
□
□
□
□
□
□
□
□
□
潤滑理論の基礎式を導出できる
潤滑理論から流体圧力分布を算出できる
毛管力を考慮したFilm Profile Equation(FPE)を導出できる
1D-FPEの線形安定性ができる
スロットダイ塗布のコーティングウィンドウを求められる
粘弾性流体に対するMaxellモデルを導出できる
非相溶高分子溶液中に対するCahn-Hilliard Equation (CHE)を導出できる
1D-CHEの線形安定性ができる
拡散係数が推算できる
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Report 1 film thickness in blade coating
右図のように速さU2で走行する基材の上にNewton流体の膜がある。膜の
上方に一定の間隙hで固体壁を設けると、間隙を通りぬけた液体のみが厚みh∞の
薄膜になる。x方向に圧力勾配dp/dxが存在する場合について以下の問いに答えよ。
ただし基板表面に沿った方向にx軸、基板に垂直な方向にy軸をとり、
ブレード幅をL、液体粘度をμ、液体速度をu(y)とする。
[問1]運動量のシェルバランスを復習し次式を導け。
m
d 2u dp

dy 2 dx
(1)
氏名
U1=0
液
pU
h
h
pD
U2
L
[問2]圧力勾配dp/dxはyによらず一定であることに注意して式(1)を積分し
速度分布が次式で表わされることを示せ。
1 dp 2  U 2 1 dp 
u
y  

h  y  U 2 (2)
2 m dx
 h 2 m dx 
[問3] 式(2)をy=0からy=hまで積分することで次の潤滑理論の基礎式を導け。
dp
1
mq
 6mU 2 2  12 3 (3)
dx
h
h
[問4]式(2)-(3)より次式が成り立つことを示せ。
2
2q  y 
3q  y


u  3U 2     4U 2    U 2
h  h 
2h  h


(4)
[問5]U2=10m/s, h=100mmとして(a)q=1×10-4m2/s、 (b)q=3×10-4m2/s、
(c)q=5×10-4m2/sの3通りの場合について式(4)より速度分布を描き、
(a)ではブレード近傍で逆流が生じるのに対し(c)では生じないことを示せ。
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