Document 658909

【剛体のつり合い】
剛体…変形しない・大きさのある物体
☆剛体の静止条件
(i) 力のつり合い(平行移動しない条件)
2次元運動のときは2成分について立式する。
(ii) 力のモーメントのつり合い(回転しない条件)
力のモーメント:力×うでの長さ
→
− −
F ×→
r
O 回りのモーメント F l
F
l
O
力のモーメントの求め方は2パターン
・距離に直交する力 F cosθ l
・力に直交する距離 F lcosθ
F
θ
l
O
θ
(例)
T
x
l-x
O
A
B
mg
Mg
力のつり合い
T = (M + m)g
力のモーメントのつり合い
任意の点まわりの力のモーメントのつり合いが成立しているのでモーメントの支点はどこにとってもよいから
計算しやすい,問われている値が求めやすい点を支点とする。
O 回り mgx = M g(l − x)
A回り T x = lM g
B回り T (l − x) = lmg
次に斜面に置かれた直方体の力のつり合いを考えよう。
A
A
θ
A
θ
θ
左と右の力の状態では,物体が回転してしまい,静止することはできない。よって,力の関係は真ん中の図と
なり,重力と垂直抗力の力の作用線は一致する。
N
a
b
θ
f
mg
θ
水平方向の力のつり合い
鉛直方向の力のつり合い
mg sin θ = f
mg cos θ = N
重心回りの力のモーメントのつり合い
よって,
aN = bf
amg cos θ = bmg sin θ ∴ tan θ =
よって,確かに重力の作用線上に抗力の作用点があることが分かる。
N
a
b
f
θ
mg
θ
a
b
【惑星の運動】
力の単元で,質量と質量との間には必ず引き合う力がはたらくことを習ったことを思いだそう。
☆万有引力…2つの質量(物体)の間にはたらく引力
m2
F
r
m1
大きさは
F =G
F
m1 m2
r2
(万有引力定数:G = 6.67 × 10−11 )
これは非常に小さい力であるため少なくとも物体の1つが天体のとき有効になる。
(例)重力
m
R
M
F
F
地球上にある物体 (質量 m) と地球 (質量 M , 半径 R) との間の万有引力が重力であるので
mg = G
Mm
R2
gR2 = GM
が成立する。
☆万有引力のエネルギー
基準位置からある点まで外力のする仕事が位置エネルギーとして定義される。基準位置は力が 0 になる場所に
とるのが一般的である。万有引力では力が 0 になる場所は r →∞(無限遠)である。
無限遠を基準にとるとき外力のする仕事は
m
r
M
U=
!
r
∞
F外
F
Mm
dr
r2
U = −G
Mm
r
となる。位置エネルギーが定義できたので
非保存力がない万有引力下での運動では ∆U = 0 となり
エネルギー保存則が成立する。
☆惑星の運動
ケプラーが発見したケプラーの法則をおさえよう。これらは後にニュートンによってすべて運動方程式により
証明される。
(i) 太陽の回りを回るすべての物体の軌道は楕円軌道(正確には2次曲線)になる。
図のようなモデルを考えると
v
r
v1
m
θ
r1
M
r2
保存力(万有引力)のみの運動なので,エネルギー保存則が成立するので
1
Mm
1
Mm
mv 2 − G
= mv22 − G
2 1
r1
2
r2
となる。
(ii) 面積速度一定の法則
r と v が作る3角形の面積を考えると
1
1
1
r1 v1 = r2 v2 = rvsinθ
2
2
2
v2
これはニュートンの運動方程式から導かれる角運動量保存則と
呼ばれる法則と等価である。この法則は惑星の運動に限らず中心力のみの運動であれば常に成立する。
(iii) 同一の中心物体(恒星)ならば a =
r1 + r2
とすると
2
T2
4π 2
=
= 一定 となる。
a3
GM
地表付近を回る衛星だと
運動方程式:m
より周期 T =
v2
Mm
=G 2
R2
R
2πr
を考えると定数部が導ける。
v
★ケプラーの第3法則の厳密な証明
角運動量保存(面積速度一定)
エネルギー保存
1
1
r1 v1 = r2 v2 ≡ h
2
2
1
Mm
1
Mm
mv12 − G
= mv22 − G
≡E
2
r1
2
r2
2式より
m
2
E=
!
2h
r
"2
−G
Mm
r
Er2 + GM mr − 2mh2 = 0
の2解が r1 , r2 である。解と係数の関係から
r1 + r2 = −
r1 r2 = −
GM m
E
2mh2
E
なので r > 0 となるには E < 0 が必要であることがわかる。ちなみに E > 0 では双曲線(彗星の軌道),
E = 0 では放物線になる。数Cでこれは学習する。また楕円の短径
r1 + r2
GM m
=−
2
2E
a=
長径
b2 = a2 − (
r1 − r2 2
2mh2
) = r1 r2 = −
2
E
なので
T2
=
a3
となり証明される。
!
πab
h
"2
1
4π 2
=
a3
GM
・
☆相対運動の運動方程式
厳密に内力のみのはたらく2物体に働く運動方程式を議論すると
→
r →
−−→ −
→
m−
a = f (r) −
r : 相対ベクトル
r
→
r
−−→ −
−
→
M A = −f (r)
r
より運動量保存が成立することはすぐ分かる。よって重心運動エネルギーは不変。
相対運動は
となり換算質量 µ が現れ,
−
→
−
→
1
1
r
−
→
→
−
→
ar = −
a −A =( +
)f (r)
m M
r
−
→
→
−
r
−
→
µar = f (r)
r
例えば万有引力を及ぼし合い運動する惑星では,
Mm
Mm
ar = −G 2
M +m
r
となることがわかる。
ここで M >> m の近似をすると µ → m となり M が動かない
とした場合の運動方程式に一致するわけである。
★外積(ベクトル積)
→ →
A×B
→
B
→
A
θ
→
−
→ −
A ×B
−
→
−
→
をベクトルAとベクトルBの外積という。外積は内積と異なりベクトル量である。向きは A から B 右ネジ
−
→
→
−
を回す向きであり,両ベクトルに直交する。大きさは A から B が作る平行四辺形の面積に一致し,ABsinθ
となる。これが外積というベクトル量であり,特に電磁気学で重要になる。
★回転の運動方程式
F
v
r
o
運動方程式
m
→
両辺に −
r を右から外積する
→
d−
v
−
→
=F
dt
d →
→
−
→
→
(−
r × m−
v)=−
r ×F
dt
→
−
→
r × m−
v は角運動量と呼ばれる量であり,右辺は力のモーメント(トルクともいう)を表している。
これは回転の運動方程式と呼ばれ,角運動量の時間変化が力のモーメントによることを示している。高校物理
では回転は扱わないので力のモーメントは常につり合っているのはこのためである。
ただし力のモーメントは等速度で回転している場合もつり合うことは頭に入れて置きたい。力がつり合ってい
たら等速度運動になるのと同じイメージだ。
逆に中心力のみならば力のモーメントが常に0になる。これから角運動量一定(面積速度一定)が導かれる。
これも重要な事実である。
★剛体の重心運動方程式
質点の運動方程式は
dv
=f
dt
" dv "
m
=
f
dt
#
d2
mr "
M 2
=
f
dt M
m
M aG = F外
※ 質点間の内力の和は0となる。
★剛体の回転運動方程式
今,剛体が角速度 ω で回転しているとする。
質点の回転運動方程式は
d →
→
−
→
→
(−
r × m−
v)=−
r ×F
dt
だがこれをすべての質点について足し合わせたものが剛体の回転運動方程式となるので
I=
"
mr2 =
!
r2 dm
で表される慣性モーメントと呼ばれる量を導入すると剛体であるので回転軸に対して同じ角速度 ω で運動す
ると考えて,v = rω より
I
となるこれが回転運動方程式である。
dω "
=
r×F
dt
剛体が静止しているときは,右辺(トルクの和)は 0 となる。
また回転運動している剛体の回転エネルギーは
1"
1
mrω 2 = Iω 2
2
2
となる。また、剛体全体の運動エネルギーは
1 "
1
2
K= {
m}vG
+ IG ω 2
2
2
となり、重心の運動エネルギー+重心回りの回転による運動エネルギー (重心に対して相対的なエネルギー)
となることが知られている。
※一様な棒の慣性モーメント
I=
!
L
r2 dm dm = ρdr(ρ : 線密度)
0
=
!
L
r2 ρdr =
0
!
L
r2
0
M
1
dr = M L2
L
3
次の例では,
X
r
ω0
F
F
Y
質点の回転運動方程式
m
ゆえに 剛体の回転運動方程式
I
dv
=F
dt
d
(rmv) = r × F
dt
dω
= −r × F
dt
2式より,
rmv + Iω = 一定
角運動量保存則が成立していることが分かる。
なお,支点から棒には外力が作用しているので,運動量保存則は不成立である。
モーメント ★★★
映像:(典型)角運動量とトルク A
A
60
°
θ
B
なめらかな壁に長さ L,質量 m の棒が立てかけられている。床と棒の静止摩擦係数を µ,重力加速度を g と
する。
(1) 静止摩擦力を f としてかべに水平,鉛直方向の力のつりあいの式と,点 B まわりのモーメントのつり合い
の式を記せ。
(2) 棒がすべらないための µ の条件を求めよ。
映像:(導入)角運動量とトルク
B
F
m
h
a
θ
傾斜 θ の斜面に質量 m の直方体 P が置かれている。直方体の底面は1辺 a の正方形,高さは h である。P と
斜面の静止摩擦係数を µ,重力加速度を g とする。
今斜面に平行な力 F を直方体の上端の中央に加える。
(1) 静止摩擦力を f として P の斜面に対して水平方向と鉛直方向の力のつり合いの式を記せ。
(2)F を大きくしていくと F = F1 のとき P は滑らずに傾いた。このときの µ の条件を a, h, θ を用いて求め
よ。
1
(創作問題)
2
映像:
(導入)角運動量とトルク2
万有引力 ★★★
地球の質量を M , 半径を R,万有引力定数を G とする。
A
2R
R
B
今地表付近を質量 m の物体が回っているとする。
(1) 物体の速さと周期を求めよ。
物体を A 点で加速し図のような楕円軌道に乗せた。
(2)A 点と B 点での速さを求めよ。
(3) この楕円軌道の周期を求めよ。
B 点でさらに加速し,物体を地球の引力圏から脱出させた。
(4) 脱出に必要な最低速度を求めよ。
(創作問題)
3
ケプラー問題 ★★★
図1に示すように,地球の赤道上の高さ h の位置に,地球の自転と同じ角速度 ω で,自転の向きに回ってい
る質量 m の人工衛星がある。この人工衛星は地上から見るといつも同じ位置にある。このような人工衛星を
静止衛星と呼ぶ。地球を半径 R, 質量 M の一様な球(ただし M は m より十分大きい)とし,人工衛星の大
きさは無視できるものとする。また,空気抵抗はないものとする。以下の文章中の (1) から (11) に適切な数
式あるいは数値を入れよ。なお,万有引力定数を G とする。
h
M
m
v
R
図1
問1 この静止衛星は,地球から万有引力をうけて地球のまわりを等速円運動している。このとき,万有引力
の大きさ F は( 1 )と書ける。また,静止衛星の速さ v は R, h, ω を用いると( 2 )と表される。
さらに静止衛星の加速度は地球の中心を向いており,その大きさは v, R, h を用いて( 3 )となる。静止
衛星に対する運動方程式より,速さ v は G, M, R, h を用いて ( 4 ) と書ける。これらの関係より R + h は
( 5 ) と表される。
問2
問1の静止衛星と同じ軌道を,前部 A(質量 mA ), と後部 B(質量 mB )の2つの部分からなる人工衛星が,
速さ v でまわっている(図2)。ただし mA + mB = m である。今軌道上のある点 P で B を A から見て進行
方向の逆向きに瞬時に打ち出し分離した。分離の際 A,B それぞれの質量および進行方向は変わらず,A の速
さは vA ,B の速さは vB となった。このとき v, vA , vB のあいだには( 6 )という関係が成り立つ。また,
地球からの万有引力による A の位置エネルギーは,その基準(U = 0)を地球から無限遠に選ぶと点 P では
( 7 )と書ける。
問3
いま,vA が v の ( 8 ) 倍以上であれば A は静止衛星軌道をはずれ,無限の遠方に達する(図2の軌道 a)。
ただし,A と B の間の万有引力は無視できるとする。一方,vA がちょうど v の( 8 )倍のとき,B は地
球の中心 O を焦点の1つとする楕円軌道(図2の軌道b)を描いて運動したとする。このとき点 P と,B が
地球に最も接近する点 Q とでは,ケプラーの第2の法則(面積速度一定の法則)が成立する。したがって点
Q の地上からの高さを x, 点 Q における B の速さを vQ とすると,vQ は vB , R, h, x を用いて vQ =( 9 )
1
2
2
と書ける。また B に対する力学的エネルギー保存則より vQ
− vB
=( 10 ) が成り立つ。これらのことか
ら (R + h)/(R + x) は vB と v を用いて ( 11 ) と書ける。
a
b
vQ
h
x
Q
R
mA
mB
vA
P
vB
静止衛星軌道
図2
(12 北大)
2
映像:
(難問)角運動量とトルク 円運動と角運動量保存 ★★★★★
図1のように,質量 m の小球が伸縮しない糸によりつるされている。糸は互いに平行な2枚の厚い板に開け
た小さな穴を通して左右の手でつままれ,x 軸方向に水平に加えられた大きさ F の力によって支えられてい
る。板は固定されており,左右の穴の高さは等しい。小球は静止しており,つりあいの位置にある。最初,糸
が水平となす角は 30°であり,左右の穴から小球までの糸の長さは L で,穴の高さから鉛直方向に沿って
測った小球の深さは 12 L であった。穴と糸には摩擦がなく,糸の重さや小球の大きさは無視できる。また重力
加速度を g として以下の問に答えよ。
F
F
30°
L
L
m
z
y
x
図1
問1 片方の手が糸を支えるのに必要な力の大きさ F を求めよ
問2 糸を支える力を緩めたところ,小球は深さ aL(a >
1
2)
まで沈み込んでつり合った。新たなつりあいの
位置で,片方の手が糸を支えるのに必要な力の大きさ F を求めよ
!
問3 小球を最初のつりあいの位置に戻したあと,糸を左右から均等に,x 軸に沿ってゆっくり引いたとこ
ろ,小球は深さ 14 L まで持ち上がった。糸を引いた距離と,片方の手がした仕事を求めよ。
ふたたび,小球を最初のつりあいの位置に戻す。ここで図2のように,小球に y 軸の正方向に初速 v0 (v0 > 0)
を与え,運動させる。
F
F
φ
30°
L
L
z
m
z
正面から
y
x
x
y
v0
右真横から
図2
問4 初速度 v0 が十分小さいとき,小球はつりあいの位置まわりで単振動をした。この振動の周期を求め
3
よ。
問5 初速度 v0 を大きくすると,小球は回転運動を始めた。糸がたるまずに回転運動を続けるための初速度
v0 の条件を求めよ。
問6 糸に加わる張力が TC を超えると糸は切れるものとする。回転運動中に糸が切れないための,初速度 v0
の条件を求めよ。
問7 糸がたるまず,かつ切れずに回転を続けるとき,片方の手が糸を支える力 F を求め,回転角 φ の関数
として解答欄に図示せよ。ここで φ は図2のように鉛直下向きを 0°とし,右真横からみて反時計回りを正に
とる。答の図には F の最大値,最小値も明記せよ。
引き続き,図2のように糸がたるまず,かつ切れない回転運動を考える。以下の二つの設問ではある実数 " の
大きさが1より十分小さいとき (1 + ")2 ≒ 1 + 2" と近似できることを用いよ。
問8 小球が初めの位置 (φ = 0°) に戻ったとき,糸を左右から長さ ∆x ずつひいたところ,小球の速度は
∆v0 だけ増加した。ここで生じた小球の速度変化の割合
∆v0
v0
を L と ∆x を用いて表せ。ただし,糸を引く長
さ ∆x は L に比べて十分小さいとし,小球の速度変化 ∆v0 も v0 に比べて十分小さいとする。
問9 小球がもっとも高い位置(φ = 180°)を通るとき,糸を左右から長さ ∆x ずつ引いたところ,小球の
速度は ∆v だけ増加した。ここで生じた速度変化の大きさ ∆v は問8における速度変化 ∆v0 の何倍になるか
を求めよ。
(早稲田大)
4
角運動量保存 ★★★★★
I
図のように,質量が m で大きさの無視できる小物体 A が質量の無視できるひもでつながれて,水平に置かれ
た板の上を半径 r の等速円運動をしている。ひもは,大きさの無視できる穴を通して鉛直下方に引かれ,はじ
めひもの端点 P は固定されている。小物体 A と板の間の摩擦,ひもと板,ひもと穴の間の摩擦,および空気
抵抗は無視できる。
近似式
(1 + x)α ≈ 1 + αx (x << 1)
を用いて以下の問いに答えよ。
r
m
V
A
P
図1
(1) 小物体 A が速さ V で等速円運動をしているときの張力 T を求めよ
(2) ひもの端点 P をゆっくりと ∆r(∆r << r)だけ引き,小物体 A が半径 r の円運動から r − ∆r の円運
動へゆっくり移る過程を考える。この過程で A の運動エネルギーは E =
∆E を E, r, ∆r を用いて求めよ。
1
2
2 mV
から E + ∆E に変化する。
(3) 前問 (2) の過程での小物体の速さの変化 ∆V を r, V, ∆r を用いて求めよ
(4) 円運動の半径と速さが変化すると回転の角速度 ω も ω + ∆ω へ変化する。∆ω を ω, E, ∆E を用いて求
めよ。
(5) 端点 P をゆっくり引く過程で
ω
E
は増加するか。一定であるか。減少するか。理由をつけて答えよ。
3
II
小物体 A が速さ V で半径 r の等速円運動をしている最初の状態で,端点 P に質量 M のおもり B をつるした
ら B は静止した。そこで,B をゆっくり a(<< r) だけ引き下げて放すと B は上下に振動した。B の振動の周
期を重力加速度の大きさ g と r をもちいて求めよ。ただし,おもり B の振動は,小物体 A の回転運動に比べ
て非常にゆっくりしているものとする。
(京大)
4
2つの恒星の重心まわりの運動 ★★★★
図1のように,質量 M と m の恒星 P と Q が互いに万有引力で引き合いながら,距離 R だけ離れて1点 O
の回りを等速円運動している。万有引力を G として以下の設問に答えよ。ただし,P,Q 間にはたらく万有引
力以外に P,Q に外部からは力は作用しないものとする。
P
M
f
f
O
R
Q
m
図1
問1 OP の距離を r1 ,OQ の距離を r2 として,恒星 P と Q の運動方程式を考え,r1 と r2 を m, M, R を用
いて求めよ 問2 恒星 P(Q)から見ると,恒星 Q(P)は質量 µ をもと,万有引力 f を受けて等速円運動をしているよ
うに見える。µ を M, m を用いて表せ。また,その周期を G, M, m, R を用いて求めよ
問3 恒星系 PQ の全力学的エネルギーを G, M, m, R を用いて表せ。ただし,万有引力の位置エネルギーは
無限遠を基準とする。
5
水平面上で回転する質点 ★★★★★
質量 m が質点が充分広い水平面上にあり、その質点には糸がつけられている。糸は水平
面の中央の小孔を通って、質量 M の小さいおもりに結ばれている。小孔の直下の台にお
もりをのせて、糸がたるまないようにすると、質点から小孔までの距離は b, 小孔からおも
りまでの距離は s になる(糸の長さは b + s)
最初、おもりを台にのせ、糸がたるまないようにして、質点の大きさ v0 の初速を与える。
初速度の方向は水平面内にあって糸と垂直とする。
おもりは上下運動だけをするものとし、空気による抵抗や糸の質量を無視して、以下の設
問に答えよ。重力加速度を g とし、また質点や糸と水平面との間の摩擦を無視せよ
v0
b
m
s
M
I
おもりが台にのったままで、質点が運動を続けるのは、v0 がある値 u1 以下の場合である。
その値 u1 を求めよ
II
v0 がある値 u2 以上の場合には、おもりは上昇して水平面に衝突する。その値 u2 を求め
よ
8
III
v0 > u1 の場合、上昇を始めたおもりが台から高さ y だけ上昇した位置でのおもりの加速
度 a を求めよ。鉛直上向きを加速度の正の方向とする。
(83 東大)
9
剛体 ★★★★★★
A 図1のように質量 M , 底面が1辺 a の正方形,高さが h で密度の一様な直方体が傾斜 θ の滑らかな床に置
かれた斜面の上にある。斜面と直方体との静止摩擦係数を µ とする。今斜面を加速度 A の大きさで右向きに
移動されていくときの直方体の運動について考える。重力加速度を g として以下の問いに答えよ。
M
h
a
A
θ
図1
最初,直方体はすべりも傾きもしなかった。
(1) 斜面の上から見たときの直方体の斜面に垂直方向と平行方向での力のつり合いの式を記せ。ただし斜面か
ら直方体にはたらく垂直抗力を N , 静止摩擦力を f とする。
次に加速度を A0 に増加させたところ直方体は滑らずに傾いた。
(2) このときの静止摩擦係数 µ の条件を h, a を用いて表せ。
1
B 図2のような斜面の上に両端に質量 m の質点が固定された円筒形の質点以外の質量の無視できる装置を
床からの高さ h の地点から離すことを考える。装置の中心から質点までの距離を r とする。最初両質点の位
置は床と平行になっていた。
離した後,装置は滑らずに転がり床に達した。そのとき質点同士は再び図のように床に鉛直な位置関係になっ
ていた。また斜面と床は滑らかにつながっているとする。
m r
m
h
R
図2
(3) 物体系の全エネルギーは重心の運動エネルギーと両質点の回転運動エネルギーの和であらわされる。装
置が滑らずに床に達したことと力学的エネルギー保存則が成立するとして,床に達したときの装置の重心の速
さ v0 を求めよ。
その後物体は半径 R の半円形の斜面を滑り上がり,最高点に達した。
(4) 最高点に達するための v0 の条件を R, r, g で表せ。
(創作問題)
2
映像:
(難問)角運動量とトルク ケプラー問題 ★★★★★
図1のように質量 M の恒星の回りを質量 m の物体Pが半径 r の円運動をしている。万有引力定数を G とし
て以下の問いに答えなさい。
A
M
r
3r
B
図1
(1) 物体PがA点に来たときの速さを v0 とする。このときガスを後方に放出し加速する。放出するガスの質
量を αm とし,放出前のPに対する放出ガスの速さを v0 にする。このとき放出後のPの速さ v1 を求めよ。
ガスを放出後,Pはごく短い時間のうちに図のような楕円軌道に移った。このときの地球の中心から最も離れ
たB点までの距離を 3r とする。
(2)B 点でのPの速さ v2 を M, r, G を用いて求めよ。またケプラーの第3法則を用いて公転周期を求めよ。
B 点で再び質量 αm のガスを放出前のPに対する放出ガスの速さを v2 として放出したところPは地球を中心
とする半径 3r ,速さ v3 の等速円運動を行った。
(3)α の値を求めよ。またPがA点に来たときからこのときまでに加えられたエネルギーの総和を m, α, v1 , v3
を用いて求めよ。
1
その後,Pが加速し地球の引力圏外まで脱出し,図2のように無重力空間に浮かんでいる状況を考える。P
の内部は半径 a の巨大な円筒空間で,中心軸のまわりに一定角速度 ω で回転している。
u
a
ω
図2
(4) 円筒の内壁にいる観測者が地球上と同じ重力加速度 g を感じるには ω はいくらでなければならないか。
a, g を用いて答よ。
円筒内部にいる観測者が,円筒内壁のある点から真上に速度 u で物体を投げ上げた。
(5) 物体はこの観測者に対してどこに落下するか。また円筒の内部にいる観測者,外部にいる観測者から見た
ときのこの物体の軌道を示し,その軌道になる理由を説明せよ。
(東大改+創作問題)
2