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-総説
M Rを用いた脳循環測定
¥
五十嵐博中, 片山
泰朗
(脳循環代謝
1
4 :1
7
1
1
8
0,2
0
0
2
)
k
s
p
a
c
e
はじめに
L
RF
この稿では近年の高速 MRI撮影法の実用化に
より臨床への応用が可能となった MRによる脳
循環測定法の原理と応用を高速撮影法の原理も含
G
s
l
i
c
e
「
ユ
E
E二
コ
Gp
h
a
.
.
島
RF
』
G
s
l
i
c
eC
h
l
M
a
n
s
f
i
e
l
d1
が超高速 MR法の原理として e
c
h
o
p
l
a
n
a
r法(以下 EPIと略す)の原理を発表した
のは 1
9
7
7年であったが, MRI性能の制限により
その実用化は 1
9
9
0年代まで待たなければならな
かった.近年の EPI実用化により我々は脳の中
の動きを持った水分子の s
n
a
ps
h
o
tを得られるよ
うに成ると共に,従来の撮影法では撮影時間が長
m
r
.
q
ム
E二
ユ
Eヨ
一
則
叫w
めて述べて行きたい.
高速 MRI撮影法がもたらしたもの
l
j
:
;
;
:
;
1
2
2
│
m
r
.
q
障幸運
酬盟帥障関
Gp
h
a
.
.
図1
.s
p
i
ne
c
h
oと s
i
n
g
l
es
h
o
tE
P
I
s
p
a
c
e上の一
s
p
i
ne
c
h
oにおいては lスキャンにて K
行を各スキャン同じ方向に向かって埋めていく.それ
に対し, E
P
Iは K
s
p
a
c
eを折り返して埋めていく.S
i
n
s
p
a
c
eは 1スキャンで一筆書
g
l
es
h
o
t
E
P
Iの場合, K
きのように埋め尽くされる.
すぎて実用的ではなかった各種の撮影法が可能と
なった.現在行われている脳循環測定法も撮影の
原理として EPIを用いているものが多く, EPI
転させることにより, MRIの画像構成上必要な
の長所・短所は MRIを用いた脳循環撮影法の長
情報(この情報を持つ空間は 2次元の画像収集を
所・短所のーっとなるため,まず EPIの原理と
行う場合, 2次元空間に展開される.この空間を
その画像の特性を述べて行きたい. EPIは一度の
k
s
p
a
c
eと言う. ks
p
a
c
eを 2次元フーリエ変換
RFパルスによる励起の後,傾斜磁場を高速に反
することにより MRI画像が得られる-)を得る撮
影法である. MRIの性能が高ければ一度の励起
日本医科大学第二内科学教室
干1
1
3
8
6
0
2 東京都文京区千駄木
司
により k
s
p
a
c
e上の全ての情報を得ることが可能
1-1-5
-171
脳循環代謝第 1
4巻 第 3号
であり,これを s
i
n
g
l
es
h
o
tEPIと言い,通常脳
水素クリアランス法2)などと同様に血液と組織
血流測定に用いられるのもこの方法である.この
の聞で極く短時間に平衡が成り立つ物質を用い
撮影法を用いる事により数十 msecという短時
て,その物質のクリアランスを測定する事により
間で MRI画像の撮影が可能である(図 1
)
. その
脳血流量 (
c
e
r
e
b
r
a
lb
l
o
o
df
l
o
w=CBF) を測定す
反面,この撮影法の欠点としては,
るもので,その基本原理は K
e
t
t
yの展開した F
i
c
k
の法則の応用 3)が元になっている.
1
) 勾配磁場の高速な反転が必要である為,機
械の勾配磁場発生装置 (
g
r
a
d
i
e
n
t
) に要求される
この方法で用いられるトレーサーは溶液あるい
スペックが高い.特に今後普及すると考えられる
はガスであるが,溶液の場合は何れも水分子の一
3Tなどの高磁場機では静磁場強度に比例して要
部を s
t
a
b
l
ei
s
o
t
o
p
eで置き換えたものであり,重
求されるスペックが高くなるため,設備が高価に
水 (
D
e
u
t
e
r
i
u
m2っと酸素で構成された水,以下
なり維持の負担も高くなる.
7
頭文字をとり D20と表記する.)ないしは H/
0
2
) 勾配磁場の高速な反転に伴い,出現する渦
が用いられる.両者共その基本的性質は H20の
電流 (
e
d
d
yc
u
r
r
e
n
t
) により画像のボケや位置の
それと同じであり, d
i
f
f
u
s
i
b
l
et
r
a
c
e
rに要求され
ずれが出ることがある.
る毛細血管と組織の聞での瞬間平衡が成り立っと
3
) エコー信号を勾配磁場の反転により発生さ
考えられている.現時点では両者共動物実験への
せているため,磁化率アーチファクト (
s
u
s
c
e
p
t
i
-
応用が多くヒトにおける研究4)は殆ど見られてい
b
i
l
i
t
ya
r
t
i
f
a
c
t
) が発生しやすく,脳では特に副鼻
ないが, CBFを正確に算出する方法として今後
腔の空気と骨が接するテント下において画像がゆ
がみやすい (
a
i
r
b
o
n
ea
r
t
i
f
a
c
t
).また,通常の MRI
研究が進められるべき測定法である.測定法に関
しては両者とも D5)あるいは 1706)を直接測定する
撮影法では影響をほとんど受けない上額歯の金属
方法が用いられることも有るが,これらの核種は
補填物でもアーチファクトが出現することがあ
一般の MRI撮影に用いられるプロトン (
H
)よ
り測定感度が低い為, MRSと同じように s
i
n
g
l
e
る.
れも機械の進歩,あるいは撮影法の改良により克
v
o
x
e
ls
p
e
c
t
r
o
s
c
o
p
yからの値として CBFを算出
するものも多く,画像7)としてはかなり荒いもの
服可能なものであり, s
i
n
g
l
es
h
o
tEPIが可能にし
にならざるを得ない.但し,直接測定法では 170
た各種撮影法により MRIの臨床・研究への種々
を用いた場合,
の応用が可能になった恩恵は計り知れない.
局所酸素消費量 (rCMR02) との同時計測が可能
などが挙げられる.しかし,これらの欠点は何
0
2吸入との併用により理論的に
1
7
でありペその応用が期待される.
2
. MRIを用いた脳循環測定法
一方, H2170が存在する場合,その組織中の濃
度に比例して, lH-MRIにおける 170を含んだ水分
MRIを用いた脳循環の測定法としては,何れ
子の T
2を短縮させたりペ s
p
i
nl
o
c
k時の縦緩和
も標識された物質をトレースする事により組織循
時間である T
1
Pの o
妊r
e
s
o
n
a
n
c
e成分を短縮させ
環動態を求めるものであり,次の 3つの方法が用
る効果がある附.また
いられている.
はc
o
u
p
l
i
n
gしている為, 170を d
e
c
o
u
p
l
eして間
1
7
H
_
接的に 0濃度を見る方法11)もある.これらの l
1
)d
i
f
f
u
s
i
b
l
et
r
a
c
e
rを用いた方法
HFOにおいて, 170と H
3
)1
)の応用として血液の水自体を標識する方
MRIを用いて間接的に 170濃度を測定する方法を
用い,測定感度,ひいては空間解像度を高めた研
究も見られる 2
1
.
13
)
以下の項ではそれぞれの特性,アプリケーショ
凶を用い
一方,ガス吸入による方法では CHF
3
2
)n
on-d
i
f
f
u
s
i
b
l
et
r
a
c
e
rを用いた方法
法
ンを述べる.
た方法が試みられている.
2
.1
.n
o
n
d
i
f
f
u
s
i
b
l
et
r
a
c
e
rを用いた方法
2
.1
.d
i
f
f
u
s
i
b
l
et
r
a
c
e
rを用いた方法
172-
MRを用いた脳循環測定
. DPIの i
J
I
I
J定法と造影斉J
I
濃度の計算
図2
Iは脳組織を通過する│祭に s
u
s
c
e
p
t
i
b
i
l
i
t
ye
f
f
e
c
tにより組織信号
ボーラスされた造影斉J
の」過性の低下を起こすが,この信号低下より図中の式を用い,造影剤濃度が計算で
きる (
S
o
:信号低下前の信号強度. S
(
t
)時間 tにおける信号強度).
トレーサーが血管内に留まり,組織中に拡散し
この測定法を用いて CBFを計算する場合,
1
) トレーサーは組織中に留まらず,組織に流
ないトレーサーを用いて血流を測定する方法であ
る. トレーサーの動的な動きを追跡する方法およ
入したトレーサーはすべて静脈から出てくる.
r
a
pされるトレーサーを用いる方
び,血管内に t
2
) トレーサーが組織中にすべて流入するまで,
静脈からの流出は起こらない.
法の 2つがある.
2
.1
. 1Dynamicp
e
r
f
u
s
i
o
nimaging
トレーサーを可能な限り短時間で血管に注入
などの前提が必要になるが,実際問題として,
ある程度の容量をもっトレーサーを注入するた
i
n
p
u
tf
u
n
c
t
i
o
n=脳の
し,組織および入力関数 (
め,血流が大きい場合,組織へのトレーサ一流入
r
t
e
r
i
a
l
場合は測定組織に近い動脈が用いられ. a
が終わらないうちに流出が始まる可能性があり,
i
n
p
u
tf
u
n
c
t
i
o
n=AIFと呼ばれる.)におけるト
この場合 CBFは過小評価される.また, CBFの
レーサーの動向を追うことにより CBFをはじ
計算上,測定範囲内における毛細血管の構築はほ
c
e
r
e
b
r
a
lb
l
o
o
dvolume=
CBV).
め,脳血液量 (
ほ、一定であることが前提になる貯など,定量に関
組織平均循環時間(測定組織中をトレーサーが通
してはまだ,解決されるべき問題の見られる定量
r
a
n
s
i
tt
i
m
e=
過する時間の平均であり, meant
i
n
g
l
es
h
o
tEPI法
法である.しかし,前述した s
MTTと呼ばれる)などの脳循環パラメーターを
を用いた場合,短時間 (
2分以内)に大脳スライ
e
r
f
u
s
i
o
nimaging
得るものであり,通常 dynamicp
スの測定を完了することが可能であり,急性期虚
(=DP
l)と言われる.別!論的には Z
i
e
l
e
rらの tn-
r
f
i
l
性I
血管障害の場合,拡散強調画像との同時計測
d
i
c
a
t
o
rd
i
l
u
t
i
o
ntheorem が基本となっており,
によりいわゆるペナンブラ領域を描出で、きる可能
1
o
l
1
7
3一
脳循環代謝第 1
4巻 第 3号
- ﹄目
一
・
一
..
n FF
j
一
-
司
目
h
h
-
IF
﹃盟
"E
E.E
1
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1
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m EPI
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圃
,
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t
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F
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I可Ii羽目!w"
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.
.
.
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,
. ".:
:
~
T
J
唱
ヘ
﹃l
・・
・
・ 三
.
一
図3
. GEEPIと SEEPIの CBVイメージ
両者を白質の信号強度と皮質血管の信号強度で w
indowを合わせた. GEEPIは皮質
血管や静脈洞(矢印)の影響を強く受ける事がわかる.
性問などがあり,注目されている測定法である.
スシークエンスの性質上, GEEPIの方が短時間
実際の測定方法としては,同一スライスにおい
で多数のスライスの画像を得られ, Gd造影剤の
て 1~2 秒間隔に高速スキャンを繰り返しつつガ
注入により大きな信号変化が得られるので,パル
ドリニウム (Gd) などの緩和時聞を短縮する造
スシークエンスの選択は,その目的により選択さ
影剤をボーラスすることにより,造影剤通過時の
れるべきである.
磁場の乱れ (
s
u
s
c
e
p
t
i
b
i
l
i
t
ye
妊e
c
t
) を原因とした
Jは体
また図 2の実測値に見られるように造影斉j
緩和時間の短縮による信号強度の低下から,図 2
内を一度循環した後に再び、頭部へ入るが(これを
右上の式に従い組織中を通過する造影剤の経時的
じめとした各種パラメーター mapを求めるもの
s
e
c
o
n
dp
a
s
sと言う).これにより計算精度が減じ
るのを防ぐ為に,画像計算の前に C
t(
t
) を y関
数で c
u
r
v
ef
i
t
t
i
n
gする事も行われる.
である(図 2
).実際の測定パルスシークエンス
次に,撮影後の画像計算の原理を簡単に述べる.
な濃度変化 (
C
t(
t
)
)を算出,それより CBFをは
p
i
ne
c
h
o (SE) EPIないしは g
r
a
d
i
e
n
te
c
h
o
では s
わかりやすく説明するために,まず理想的な状態
(GE) EPIが用いられる.この測定法の違いにつ
での原理を述べ,次に現実のデータをし、かに理想
いては,後者は大血管の大きな信号変化を拾いや
的な状態に変換するかを述べる.
すいというものがある.このため特に GEEPIで
今,一瞬で薬剤の総量を体内に注入でき,通入
撮影された画像から計算された mapは皮質など
された薬剤l
が組織の入り口まで,拡散しないとい
における大血管の高血流を強調する傾向にある
う理想的な状態を考える.このとき測定組織にお
(
図3
)
. しかし,前者においても s
u
s
c
e
p
t
i
b
i
l
i
t
ye
f
f
e
c
tにより大血管周囲の組織の信号変化は大きく
いて薬剤が到達した瞬間から連続スキャンを行っ
なる傾向は小さいながらも存在する.また,パル
1
0,
000個の小さな玉として考えると,組織の測定
田
たと仮定する. トレーサーを静脈中に入れられた
1
7
4
MRを用いた脳循環測定
t
i
s
s
u
e
領域中にはその領域の CBFに比例した数の玉が
0個の玉が
到達する .たとえばある 測定領域に 8
到達し,他の領域に 1
0
0個の玉が到達 したとすれ
0
:100=4:5であ
ば前 者 と後者の CBFの比は 8
t
) の最初の 高 さ れ は CBFに比
る. つ まり FtR(
例す る(図 4
)
. ここで 1
0
0個の 玉が到達 した領
, 4秒 後 に 4個
, 5秒
域 に お い て ,3秒 後 に 2個
,
_f
α
(
t)
d
t
0個
, 6秒後に 1
8個 の玉が組織から流出し
後に 1
C
B
VZ
4
Fト一 。σ)
ていくと考えると,
3秒後
• I
Ca
(
t
)
d
t
h(
3
)=2
/1
0
0=0
.
0
2
M廿
R(
3
)=1-0
.
0
2=0
.
9
8
4秒後
R
(
4
)=1一 (
0
.
0
2+0
.
0
4
)=0
.
9
4
h(
5
)=1
0
/1
0
0=0.
l0
R(
5)=1-(
0
.
02+0
.
0
4+0.
l0)=0.
8
4
h
(
6
)=1
8
/100=0.
l8
6秒後
R
(
6
)=1一 (
0
.
0
2
+
0
.
0
4十 0.
1
0+0.
l8
)=0.
66
i ....(6)
CBV
.
MTT=記'-'
CBF
h(
n)=hn R(
n
)=1一 (Eh(
i)
)=O
n秒後
CBF
図4
.DPIにおける CBF,CBV,MTTの言十算法
1
) か ら導き出され る. SVD法では
何れの方法も式 (
式 (
2
) を行列を用いて 解く事により, F
tを求める .
FT法の場合 C
t
(
t
),C
a
(t
)をフ ーリエ変換しその比
を,逆フーリエ変換することにより R
t
(
t
) を求める
)
.F
tが求まれば,脳の密度 pおよび血液中の
(
式3
I
Fと測定組織との比が
血竣成分 k
H が占める割合の A
5
), (
6
)よ
わかれば CBFの値が求まる .さらに (
,MTTを求める事が出来る .
り CBV
h(
4
)=4/1
0
0=0
.
0
4
5秒後
CBV 宇
=一 一 ぉ I
R
t
(
t)
d
t
となる. h (
t
) をt
r
a
n
s
p
o
r
tf
u
nc
t
i
o
nといい,
により CBF,CBV,MTTが 算 出 す る ことが
造影剤の総量 を 1とした場合の単位時間ごとの組
可能 である .
nond
i
任
織から出て行く造影剤の割合である (
しかし 実際の測定では造影剤の注入には時聞
us
ab
let
r
a
c
e
rによる脳循環測定の原理は富田の
n
p
u
t
)ま
がかかる上に,組織の入り 口 (入力 =i
総説川こ非常にわかりやすく説明されている).
で造影剤が運ばれる時にさらに希釈されることに
このとき ,組織中で測 定さ れる造影剤の濃度は関
より入力での造影剤はある程度の時間的な分布を
数
もって到達する .このため,組織で測定される造
t
) と AIFである Ca(
t
)(通常
影剤の 変化量 は Rt(
f
即 時 1-
入力関数としては内頚動脈,中大脳動脈などの大
h勺)批
o
n
v
o
l
u
t
i
o
n(
畳
きな動脈 の AIFを用いる.)の c
込み)である(図 4
).
で表され, Rt (
t
)を r
e
si
d
uef
u
nc
t
i
o
nという
まず, convo
l
u
t
i
o
nを除去しない見かけ上の組
(
図4
).
織濃度曲線のみから計算 した CBF,CBV,MTT
このとき組織中の平均通過時間は以下の式で求
の画像に意味はあるのであろうか. まず, CBV
まる.
f
は図 4式 5より相対的な値であるが求ま る事 は明
f
M廿 = t
.h (
t
)d
t"
'
" R
t(
t)d
t
e
i
l
e
rの理論より 見か け上の
らかで有る .一方,Z
MTTはこ の曲線からで も求まり, c
e
n
t
r
a
lvolume
p
r
i
n
c
i
p
l
eより CBFの近似値も求ま るが,こ の場
さらに注入した造影剤の総量および測定組織の
合,実際に得られた組織濃度曲線は AIFの影響
e
nt
r
a
lvolumep
r
i
n
c
i
p
le
質量がわかれば,c
1
75
脳循環代謝第 1
4巻 第 3号
3
3議室を
DJ凡
m:E
I
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r BY
r
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y
議1
ザ
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I しI r十
J 長年犠 移
1題
I
議 義母1
ぷ
t
ミ
I
I
I
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日誌
F
,
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訴
.
手
6
4
二
三
7
r
j
m
!t
i
U
I
!
T
!
l
円
図5
. 本文中の各計算法により計算された DPI計算画像.
症例は発症 2時間後の r
.
tS
t
o
r
i
a
t
o
c
a
p
s
u
l
a
ri
n
f
a
r
c
t
i
o
nで MRI上右内頚動脈の閉塞が
e
c
o
n
v
o
l
u
t
i
o
nを行わない場合(最下段), MTTは造影剤の a
r
r
i
v
a
lt
i
m巴の影
ある. D
響を強く受ける.しかし,実際の血流低下領域は CBFi
n
d
e
xi
m
a
g
eにおいて明確に
IFを健常側にとった場合 U:段 AIF=L),左内語、動
描出されている. SVD法では A
整流領域での血流の遅延の影響が強く. MTT延長領域, CBF低下領域は過大評価
脈j
される.それに対し, FT法では健常側に AIFを取ってもそのような過大評価は見
られない.上記 mapの作成には, SVDでは O
s
t
a
r
g
a
a
r
dらにより作られたプログラ
ム20'を
, FTi
去は D
r
.View'
LINUX (1也化成情報システム社製)を用いた.
を強く受けるために,図 5,最下段に見られる様
次に c
o
n
v
o
l
u
t
i
o
nを 除 去 (d
e
c
o
n
v
o
l
u
t
i
o
n
) する
に MTTは主幹動脈の狭窄による流れの遅れ(造
方法であるが,現在用いられているのはフーリエ
影剤 a
r
r
i
v
a
ltime,図 5最 下 段 枠 内 の 一 番 右 ) の
変 換 に よ る 方 法 (FT法 川 お よ び 濃 度 曲 線 の 変
影響を大きく受ける. しかし,この比較的簡単な
化を数列とみなし連立方程式を組み立て,特異値
計算で求まる CBFの近似値(我々は CBFindex
分解 (
S
i
n
g
u
l
a
rValueDecomposition=SVD法 201
と呼んでいる)でも,血流低下部位を画像的に確
により F
t
R
t
(
t
) の最初の高さ Ft (CBFに比例す
認でき,超急性期の脳梗塞などの早急に治療の
る)を求めるものである.現時点ではどちらの方
d
e
c
i
s
i
o
nmakingが 可 能 で あ る こ と よ り , 定 性 的
法も一長一短であり,優劣はつけがたい.著者ら
な評価としての使用は可能である.我々はこの計
は通常 SVD法により CBFを計算しているが図 5
算法で得られた CBFindex低下部位が DWI陽性
B の如く SPECTの値と良好な相関を得ている.
領域より広い場合,梗塞は拡大し,最終的に CBF
図 6に各方法により計算した同一症例の画像を,
indexの視覚的な低下部位と良く
表 1に DPIの 画 像 計 算 ま で の 方 法 の 選 択 と そ れ
宇致すること,
ぞれの特徴をまとめた.
病 側 CBFindexの 対 側 比 は SPECTよ り 計 算 さ
れた他と相関すること(図
5
A
)を確認している.
2
.1
.2 S
t
a
t
i
cp
e
r
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u
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o
nimaging
1
7
6
M Rを用いた脳循環測定
A
.
A
.
。
4ir=0.915
2 1 s M鵬
r
=
0
.
7
8
5
slope=0.746
S
電
R
邑1.4
2
ム68
.
1
.
8
84
2
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.
4 t6 1
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o 2
. 4 6
. 8 1 1
99m-HMP
SPECT(Tc
AO)対 側 比
E
;。
.
4 1
_
6 1
_
8
.
2 1
2 4 6 8 1 1
SPECT(Tc99 HMPAO)対 側 比
回目
図6
. DPIと SPECTの定量値の比較
何 れ も , 急J
性期の脳梗塞症例で MRIと SPECTを連続して測定し得たものから得た,
梗塞半球の対側との比. SVD法にて非常に良い相関が得られているのがわかる.
表 1. DPIにおける手法の選択と各々の特性
1.造影剤の選択
p
i
r
a
m
i
d
e (Dy-DTPA-BMA) などの d
y
s
p
r
o
s
i
u
m製剤の方が信号
日本では Gd造影剤が用いられるが, S
の低下は強い(即ち計算画像の S/Nが良く,このためコントラストが大きい.).
2
. 撮影法の選択
1
. GE-EPI
長所:SEと同じ TRで s
l
i
c
eを稼げる. SEに比し,信号低下が強い.
短所:大血管の信号が強く描出される. a
i
r
b
o
n
ea
r
t
i
f
a
c
tに弱い.
2
.S
E-EPI
長所:大血管の信号の影響が弱い. GEに比し a
i
r
b
o
n
ea
r
t
i
f
a
c
tに強い.
短所:GEに比し信号低下が弱い.
3
. yf
i
t
t
i
n
gの有無
yf
i
t
t
i
n
gにより s
e
c
o
n
dp
a
s
sの影響を防ぐことが出来る.
4
.d
e
c
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o
nの有無
1
.d
e
c
o
n
v
o
l
u
t
i
o
n (-)
長所.計算が簡単・早い.脳梗塞急性期の評価は充分可能.
短所:定量性が低い.
2
. SVD法
長所:元画像の S/Nが低くても定量性が保たれる.
t
(
t
) の問に d
e
l
a
yや d
i
s
p
e
r
s
i
o
nがあると CBFが過小評価される.
短所:AIFと C
3
. FT法
長所 AIFの S/Nが充分に良ければ d
e
l
a
y,d
i
s
p
e
r
s
i
o
nの影響を受け難い.
短所:元画像の S/Nが低いと定量性が落ちる. CBFmapは CBVの影響を受ける.
一方,組織内には漏出しないものの,造影剤注
測する手法である.この特性を生かし,脳内に流
入後毛細血管に trapされ,緩和時間を変化させ
れ込んで、くる血液のスピンにあらかじめ操作を加
る物質を用いれば, CBVの経時的測定が可能で
える事により変化させる事が出来る.このとき,
ある.現時点では動物実験への応用のみであるが,
この画像と流入する血液のスピンに変化を加えて
Magnetite (Fe304)
いない画像との差分をとれば,脳組織の信号は相
な ど の superparamagnetic
iron-oxidenano-particlesを用い,
CBVを経時的
殺され,スピンの変化しているもの,即ち流れ込
1,2
2
>
に追った報告が見られる 2
んでくる血流のみを画像化出来る.実際には通常
の MRI画像中の血流の占める部分は極わずかな
2
.
2
. 動脈血中の水を標識する方法
MRは実際には種々の分子のスピンの挙動を観
ので,差分を積算しなければならず, EPIの実用
177
lJ必循環代謝第
ト - Td
J
1
4巻 第 3ぢ
TE一一一一一-j
AAwA
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u
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一
四
ト
'
+
血I
I
I
のスピン
観測組・のスピン
o
f
VOI
.
.
+
nuU
FAIR
x30=
図7
. FAIRi
去の原理
発症 3U
;
rI
l
J
の左│人l
i
j
l
r
.
i
動脈問答 f
y
l
)
. 比較として DPIによる CBFmapを載せた.
化により始めて│臨床への応用が聞けた.
の向上がまだなされるべき測定法であり,原理上,
この測定法の原理を現在臨床にて使射され始め
Jを使用
マルチスライスの侃影が難しいが,造影斉I
た FAIR(
Fl
ow-sensi
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iveal
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o
nr
e
-
しない CBF測定法として則待がもたれている.
I
J
G
I7).基本的に
coveryZ
3
)
) を用いて説明する (
他にも,原理は同様であるが,測定スライスの上
は通常の撮影パルスシークエンスの前に 1
8
0I
支反
e
c
h
o
下に交互に反転パルスをかける EPISTAR (
転パルスを付加し,スピンを反転させることによ
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n
alt
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-
(
l
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[
J
J
I定スライス
りJ
に直
n
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gr
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d
i
of
r
e
q
u
ency2
4
1),測定スライス而 i
8
0)支反転パルスをかけ,
厚と同じスライス厚で 1
交して流れる水に対 し
, 弱い RFパルスを持続的
しばらく (
図 7の Td)待 った後に通常の測定を
にかける司Iにより 生 じる adi
a
b
a
ti
cf
a
s
tpassage
行う .こ のときスライス中のスピンは 1
8
0度反転
により血流巾の水パルスが 1
8
0度反転する性質を
しているが,待ち時間 Tdの聞にスライス内に流
利用し,マルチスライスを比較的 S/
N良く取る
入してくる血液のスピンは反転していない.次に
事 を 可 能 に し た CASL (
c
o
n
t
i
nuousa
r
t巴r
i
a
ls
p
i
n
測定スライス厚より厚いスライス厚でパルス反転
l
abel
i
ng却などの方法も試みられている (
1
き1
8
).
を行 った測定を行う . このとき,血液の流入側の
これらの方法を用い CBFの定量 を待ょうとする
隔では血液,組織ともスピンの反転が
ある 一定の l
試みも見られている 加が
, I~~I{; 床においては,現 H守
起きているので,測定スライス内に流入している
点ではその S
/
Nの低さより定性的な評価に用い
血液もスピンは反転している事になる.この二つ
られている .
流のみを反映した
の画像の 差分を取る事により 泊l
画像が得られるが,図 7に見られるように 一つの
終わりに
/
Nが悪いので,画像の加算を行
差分だけでは S
い評価に耐え得る画像を得る.現時点では S!
N
-1
7
8一
以上, MRIを
J
.
I
.Jいた脳循環測定法の原理I
Iと方
MRを用いた脳循環測定
法を紹介した. MRI (ないしは MRS) はその測
定方法により種々の分子の状態を観測することが
可能なため,脳循環測定へのアプローチも多岐に
渡る. MRI測定自体はほぼ無侵襲である事と,
最近の M Rの高性能化により現時点では実験的
な手法に留まっているものも,将来臨床への応用
が期待される.
文 献
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1528-1537
1
8
) 富田稔.脳循環測定の理論.脳卒中ハンドプツ
9
3
ク.佐野圭司監修.アイピーシー.東京. 1
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脳循環代謝第 1
4巻 第 3号
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:348-355,1
.原著
ラット脳虚血再潅流モデルにおける Tempolの脳保護効果
加藤徳之,谷申請之,兵藤行志二本間一弘*,永瀬宗重ぺ
平山
暁",松村
明,兵頭明夫,能勢忠男
要
0
=
.
回
中大脳動脈虚血再 i
墓流モデルにおいて,微小透析法を用い 2
ふDHBA (
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) を測
定することにより,虚血再潅流中のヒドロキシルラジカルの産生時期を測定解明した.また,ヒドロキ
シルラジカル消去能を有する 4
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s (TBARS) と脳梗塞体
効果について,脂質過酸化の指標である t
産流時の生理食塩水投与群 (
n=
8
),再i
整流 1
5分前の Tempol(
2
0mg/kg)
積を測定し比較検討した.再i
投与群 (
n=8),再濯流時の TempoI投与群 (n=8) の 3群で 1時間虚血,再潅流後 4時間にて評価し
,
3-DHBAは虚血周辺部で再潅流早期に上昇し (
p
<
0
.
0
5
),再 j
産流早期のヒドロキシルラジカルの
た. 2
関与が示唆された.再i
産流時の Tempol投与群が生理食塩水投与群と比べ有意に TBARS値が低く,脳
pく 0
.
0
5
).再潅流前 1
5分投与では脳保護効果は認めなかった.再 i
産流時には
梗塞体積が小さかった (
ヒドロキシルラジカル産生が克進し, Tempolの再潅流時投与が脳保護効果を有することが証明された.
(脳循環代謝
1
4:1
8
1
1
8
9,2
0
0
2
)
キーワード:虚血再潅流,ヒドロキシルラジカル,脂質過酸化,微小透析法,サリチル酸
ジカルが関与することが報告されておりトペ活
はじめに
性酸素ラジカル種の中で特にヒドロキシルラジカ
ルの細胞障害性が高く,細胞膜脂質を過酸化して
脳虚血後に栓子の融解などにより血流が再開さ
細胞死を誘導すると考えられている.このヒドロ
れると虚血脳細胞に多量の酸素化血液が供給され
キシルラジカルを消去することにより脂質過酸化
る.この際活性酸素種のフリーラジカルが生成さ
を抑制し,虚血再謹流による細胞障害を軽減する
れる.正常脳細胞であればラジカル消去が正常に
ことが期待される.
なされるが,虚血脳細胞においては,フリーラジ
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,
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カルによる細胞障害が前面に出ることになり再謹
(Tempo
l)はピペリジン環をもっニトロキシル化
流障害が進行する.この再i
藍流障害にはフリーラ
合物であり(図 1
),E
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nParamagneticR
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-
nance (EPR) を用いたラジカル測定分野ではス
筑波大学臨床医学系脳神経外科
*産業技術総合研究所
..筑波大学臨床医学系腎臓内科
干3
0
5
8
5
5
8 茨城県つくば市天久保
ピンラベル剤として用いられており,ヒドロキシ
ルラジカルを捕捉することが知られている.ニト
1-3-1
ロキシル化合物は, 1
) ヒドロキシルアミンへの
-181
脳循環代謝第 1
4巻 第 3号
T
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x
y
l
)
減期の短い Tempolの投与時期による脳保護効果
の違いにつき検討を行った.まずヒドロキシラジ
H
カルの発生時期を知るため,虚血・再潅流時にお
けるヒドロキシルラジカル発生量を微少透析法を
H3
CH
3
H3
CH
3
用いて分析した.次いで Tempol投与,非投与群
で虚血・再潅流モデルを用いて患側大脳半球での
過酸化脂質量 (
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s:TBARSとして検出)ならびに脳梗塞
体積を測定し比較検討を行った.
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lの化学構造式
. ニトロキシル化合物 T
図1
対象ならびに方法
可逆反応においてスーパーオキサイドディスム
実験動物として体重 250~350
g(
約 8週齢)の
ターゼ様にスーパーオキサイドを消去する. 2
)
雄性 Sprague-Dawleyラット(株式会社チヤール
フェントン反応における Fe を酸化するため,
スリバー)を用いた.ザイラジン 13mg/kg,ケ
2
過酸化水素と反応する Fe
+を減少しヒドロキシ
タラール 87mg/kgの混合静注麻酔薬にて導入
ルラジカルの産生を抑制する.これらスーパーオ
後
, 70%笑気, 2%ハロセンの吸入麻酔で全身麻
2
+
キサイド消去からのヒドロキシルラジカル産生抑
酔を維持して中大脳動脈塞栓の手術を施行した.
制,フェントン反応からの産生抑制に加え,ニト
手術中ならびに薬剤投与前後は血圧,直腸温,動
ロキシル化合物とヒドロキシルラジカルとの直接
脈血ガス分析をモニターした.
反応による消去系からもヒドロキシルラジカル産
生を抑制すると考えられている日)
量を検討するために,中大脳動脈塞栓モデルに微
Tempolは心筋虚血障害の抑制8),肺浮腫の軽
小透析法を組み合わせて,ヒドロキシルラジカル
減ぺ
NO合 成 系 へ の 関 与 か ら 高 血 圧 の 改 善 効
虚血・再濯流時のヒドロキシルラジカルの産生
とサリチル酸の反応物質である 2,
3
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-
果1へまた多臓器不全への効果ωなどの生体保護
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2,
3-DHBA) を測定し間接定量を
効果が多く報告されている.脳虚血の分野では
n=1
0
)
.
行った (
ラット中大脳動脈閉塞モデルでの脳梗塞抑制効果
続いて,ヒドロキシルラジカル補足消去能を有
が証明されている 12) また砂ネズミ一過性全脳虚
する Tempolの投与時期による脳保護効果の検討
血モデルにおける脳浮腫,過酸化脂質産生の抑制
のために,中大脳動脈塞栓モデルを以下の 3群で
ならぴに海馬における好中球集積抑制効果ペウ
比較した.再擢流時に生理食塩水を投与した群:
サギ脳塞栓モデルにおいては組織プラスミノーゲ
Group1 (
n=8
),再 i
藍流時に Tempo120mg/kg
ンアクチベターに起因する脳出血の抑制効果が報
投与群:GroupI
I(
n=8
),再濯流前 1
5分に Tem-
告されたベ
I
I(
n=8
) とし,
pol20mg/kg投 与 群 :GroupI
Tempolは細胞膜透過性を有するとされてお
虚血 1時間後に再謹流し,再j
墓流後 4時間の時点
り,細胞膜,蛋白質,核酸,糖質など細胞内構成
で各群の TBARSと脳梗塞体積を測定し比較検討
成分すべてに核酸律速に近い速さで反応する.そ
した.薬剤投与はすべて右大腿静脈経由としシリ
して Tempolは生体内で還元反応からヒドロキシ
ンジポンプを用いて約 1
0分間で静脈内投与を
ルアミンとなり,加えて経時的な排世により生体
行った. Tempol投与量は 25mg/kg以上の投薬
内では数分から数十分以内にその
EPRシグナル
が観察されなくなると報告されている附)今回
では体血圧を低下させるという報告からペ 20
mg/kgを選択した.
我々は Tempol投与による脳保護効果の検討と半
-182一
本研究での動物実験は,筑波大学動物実験倫理
ラット脳虚血再潅流モデルにおける Tempolの脳保護効果
定器を用い Bregmaから1.25mm前方,矢状縫
委員会の承認のもと施行した.
合から 2.6mm側方,頭蓋骨外板から 2.5mm腹
1
) 中大脳動脈塞栓モデル作成
塞栓糸による中大脳動脈閉塞は小泉らによって
側の線状体へプローベ用ガイドを設置した.手術
報告され,人間の脳塞栓症に近いモデルとして多
i
、イド設置術の侵襲に伴う脳
操作から回復させ ,i
くの基礎研究で用いられている 17.1副.塞栓糸の加
内伝達物質系への影響を最小限にするために 2
,
3
-
工法には 4
ー
0ナイロンの先端を熱により球状に変
DHBA測定実験の約 1週間前にガイドを設置し
-0ナイロン糸を用いるものなどの変
えるもの, 3
た.使用した微小透析用プローベは CMA/Mi
・
法の報告があるが,我々は 4
ー
0ナイロン糸の先端
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s社(スウェーデン)製 CMA12で 透
部にシリコンコーティングを施した塞栓糸を作成
析 膜 は 直 径 0.5mm,長さ 4.0mmで,実験前日
し使用した 19-2九仰臥位にて頚部正中切聞を行い
の約 2
4時間前に経ガイド的に挿入し,これに実
右総頚,外頚,内頚動脈を露出し,外頚動脈の分
.
5時間前から人工髄液を濯流させ,先述の
験約 2
枝である上甲状腺動脈,後頭動脈を凝固切開し,
一過性局所脳虚血モデルを用いて虚血・再潅流を
内頚動脈の分枝である翼突口蓋動脈を結紫の後,
n=1
0
)
. 全身麻酔下に実験を行い血圧
行った (
外頚動脈を可能な限り遠位にて凝固遮断切離し
測定・動脈血ガスをモニターした.ヒドロキシル
た.総頚動脈ならびに内頚動脈をクリップにて一
ラジカルを検出するためにサリチル酸 (5mM)
時遮断しつつ,外頚動脈の断端に小孔を作成しそ
を混入した潅流液で約1.0
μl
/
minの速度でプロー
0
こから内頚動脈に向けてナイロン栓糸を約 2
ベ内を潅流させ,虚血導入 1時間前から再謹流後
m mほど遠位へ進め固定した.解剖学的に約 2
0
m m挿入部が中大脳道動脈分岐を越え前大脳動脈
側カミらの血流遮断とともに内頚動脈から中大脳動
2時間 3
0分まで,検体を回収した.検体は 1
5分
5
μ
lを回収し 1検体とし, BAS社(日本)
間隔で 1
製 HPLC装 置 (BASPM6
0,CMA2
4
0
) を用い
電気化学的検出 (BAS検 出 器 LC4C) にて 2
,
3
-
脈への順行性血流が遮断され中大脳動脈の虚血を
0分後は再度
DHBAを定量した.再潅流 2時間 3
得ることができる. 1時間虚血の後この栓糸を引
ザイラジン,ケタラールの静注にて麻酔後,断頭
き抜くことで再濯流させた.本モデルでの虚血の
により脳組織を摘出し 2%塩化テトラゾリウム
へ栓糸が挿入された位置で前交通動脈を介した対
再現性は 4時間後の脳梗塞体積, TBARS検討で
(
2,3
,5t
r
i
p
h
e
n
y
l
t
e
t
r
a
z
o
l
i
u
mc
h
l
o
r
i
d
e:TTC) 染
は 5頭 (
17%) が術後の麻酔覚醒下で麻癖の所見
色を行い脳梗塞の有無を確認し,この際プローベ
,
3
・
DHBA測定で
が認められず除外した.また 2
先端の位置が脳梗塞の中心部 (
n=5
) ,辺縁部 (
n
は持続麻酔のため症状からの判定ではなく,測定
=5) に位置するかで 2群に分け, 2
,
3-DHBA量
終了後断頭により摘出した脳の TTC染色にて脳
の比較検討を試みた.
・
梗塞の認められなかったものが 4頭 (28%)あり,
3
) TBARS測定
全体で 3
4
/
4
3頭 (79%) に脳梗塞を認めた.
組織から遊離する TBA反応性物質と TBAの
2
)2
,3DHBA測定
反応で生じる赤色色素の定量により,脂質の過酸
ヒドロキシルラジカルはサリチル酸との反応に
化度を測定する方法であり,当初 TBARSは脂質
より安定な 2
,
3-DHBAと 2
,
5
・
DHBAを生じる. 2,
ヒドロベルオキシドから遊離するマロンジアルデ
5
・
DHBAは生体内でチトクローム系からも産生さ
れるので 2
,
3
・
DHBA治宝ヒドロキシルラジカルと
ヒドだけと考えられていたが,その後の研究によ
サリチル酸の反応に特異的と考えられている.サ
ヒド類,さらにはある種の脂質酸化生成物とタン
リチル酸トラップによるヒドロキシルラジカルの
パク質の酸化生成物も含まれることが判明した.
定量には過去の報告に従い,以下の部位,プロー
そのため TBARS測定は脂質過酸化物に非特異的
・
り脂質ヒドロベルオキシド, MDAを含むアルデ
ベ,解析機器を選択した盟国)前述のキシラジン,
ではあるが高感度,簡便であり,組織全体の酸化
ケタラールの混合静脈麻酔下に定位脳手術頭蓋固
度に対する指標として有用で、あり 24田},現在様々
-183
脳循環代謝第 1
4巻 第 3号
2,
3-DHBAI
{
直
800
700
600
一←虚血周辺部
一・一虚血中心部
200
1
0
0
。
再潅流
1
5
分/目盛り
図2
. 虚血中心と周辺部での 2
ふDHBA産生量
ふDHBAの上昇が認められる.再語主流後は早
虚血中心部ならびに周辺部で虚血中の 2
ふDHBAの産生が大きく充進し,虚血中心部との統計学的比較で
期に虚血周辺部で 2
<
O
.
0
5
)
.
有意差を認めたい p
な研究報告で広く用いられている制. TBARS測
積を算出した.
定法は比色法による組織中の過酸化脂質の定量法
脳浮腫の因子を取り除くための Swansonの補
に準じ施行した回.摘出脳切片が徴量であるた
韮流 4時間であり染色標本
正については今回,再i
め,摘出脳切片の患側半球全てを検体とし湿重量
の脳浮腫は強く認められなかったため本研究では
を測定し, 9倍量の1.15%KClを加え,テフロン
施行しなかった.
ホモジナイザーを用い組織のホモジネートの作成
5
) 統計
を行った.次いでホモジネートの 0.2mlに,脂
実験結果は,すべて平均値±標準偏差 (mean
u
t
y
l
a
t
e
d
h
y
d
r
o
x
y
t
o
l
u
e
n
e
質過酸化の防止のため B
土S
D)
1
0凶を添加した剖.ここに TBA試 薬 を 加 え た
two-wayANOVA (
A
n
a
l
y
s
i
so
fv
a
r
i
a
n
c
e
) を用い
後,加熱反応により発色させ吸光度を測定した.
て検討を行った.TBARS値,脳梗塞には one-way
で表示し, 2,
3
・
DHBA値の群間比較には
ホモジネートのかわりに 0.2mlの1.15%KClを
ANOVAを 用 い 検 定 し た . 群 聞 の 比 較 に は
e
t
r
a
m
e
t
h
o
x
y
p
r
o
用いたものを盲検,また 2mlt
ANOVAに加え Dunnettの多重比較検定での検
pane標準液を用いたものを標準試料として上記
討を加え,危険率 p<0.05を有意と判定した.
の同様の操作の後,盲検を対照に 535nmの吸光
結 果
度を測定した. TBARS量は,検体の吸光度/標
準試料の吸光度 x1
0
0(
nmo
l
/g湿重量)で算出
した.
1
) 2,3-DHBA値
4
) 脳梗塞体積の評価
2
,
3-DHBAの経時的測定では,虚血前の値を
再潅流 4時間後再度ザイラジン,ケタラールの
100%とした場合,虚血中に虚血中心部・周辺部
静注にて麻酔後,断頭により脳組織を摘出し,急
0
8.
1
:
t6
3.5%,3
4
2.
1
:
t1
50.5%までの
でそれぞれ 2
速冷凍後 2mm幅のスライスを作成し, TTC染
雇流後虚血中心,辺縁部とも 2
,
上昇を認めた.再i
色液で 3
6C で 30分の染色を行った 19-21) 脳梗塞
3
・
DHBA量は一旦は減少するが,再謹流後 30-45
巣は未染色で,正常脳組織は赤く染色されるため,
分と 75-90分 に 虚 血 周 辺 部 で そ れ ぞ れ 4
8
7
.
6土
デジタル画像に記録後,各スライスでの脳梗塞面
2
5
8
ふ 31
O.
7:
t2
23.4%の増加が認められた(図 2
)
.
0
積とスライス厚を用いて三次元画像解析ソフト
虚血中心部は 200%前後で経過中推移した.特に
ウェアー (NIHimage1
.
62f
) を用いて脳梗塞体
,
3
・
DHBA
虚血周辺部での再濯流後 30-45分の 2
-184一
ラット脳虚血再濯流モデルにおける
T
e
m
p
o
lの脳保護効果
7
0
0
m
e
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n土 SD
6
0
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b
.
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三
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G
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G
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図3
. 各群における平均 TBARS値
T
e
m
p
o
lの再潅流時投与群 (
G
r
o
u
plI)で TBARS値の有意な低下を認めたい p
<
0
.
0
5
)
.
3
5
0
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0
0
~ぷココ
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0
主
建
補
習
院
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5
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1
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5
0
。
G
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G
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pI
G
r
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u
pI
I
I
図4
. 各群における平均脳梗塞体積
T
e
m
p
o
lの再濯流時投与群 (
G
r
o
u
plI)で脳梗塞体積の有意な縮小を認めた(卒、<
0
.
0
1
).
値が虚血,再潅流の全経過中最大であり,統計学
3
) 脳梗塞体積
的には虚血中心部での 2
,
3
・
DHBA値と比較して
3
GroupI
Iの 脳 梗 塞 体 積 は 1
0
0
.
5:
t4
0
.
3m m
で
3
Group1の 2
2
2
.
2土 8
0
.
1m m と 比 べ 有 意 に 小 さ
有意に高値を示した (
p
<
0
.
0
5
)
.
2
) TBARS値
かった (
p
<
O
.O
l
).一方. GroupI
I
Iでは 2
3
0
.
5:
t
GroupI
Iの TBARS値は 3
3
9
.
0:
t1
4
7
.
3 (mean
104.2mm3 と GroupIとの聞に有意差は認められ
).
なかった(図 4
:
tS
D) nmo
l
/gで. Group1の 5
41
.
7:
t8
4
.
7nmo
l
/
gと比べ有意に低値を示した (
p
<
0
.
0
5
).一方,
各群間における虚血導入手術中の生理的パラ
GroupIII では TBARS~直は 430.4 :t 1
9
9
.
5nmo
l
/
g
で Group1と比べて減少傾向にあったが有意差は
認めなかった(図 3
)
.
メーターに関しては各群間で有意差は認めず(表
1
1
)
. Tempo120mg/kg静脈内投与による体血
圧の低下は認められなかった(表 1-2).
1
8
5
脳 循 環 代 謝 第 14巻 第 3号
一1.各群における虚血導入手術中の生理学的データ
表1
直腸温,平均動脈血圧,血液ガスデータは各群問で有意差は認めなかった.
G
r
o
u
p
s
I 生理食塩水投与群
I Tempol投与群(再潅流時)
m Tempol投与群(再潅流前 15分)
Pa02
C
C
)
直腸温
3
7
.
4:
t0
.
3
3
7
.
2:
t0
.
2
3
7
.
3:
t0
.
2
PaC02
(
t
o
r
r
)
1
51
.
1:
t1
5
.
2
1
4
8.
2:
t1
33
1
4
6
.
4:
t2
04
目
目
平均動脈血圧
(
t
o
r
r
)
(mmHg)
3
3
.
7:
t3
.
6
t2
.
8
3
6
.
2:
.
1
3
5
.
9土 2
1
2
2
.
5:
t8
.
4
1
1
7
.
4:
t4
.
7
.
1:
t6
.
3
1
1
5
表 1-2. 各群における虚血導入手術中の生理学的データ
直腸温,平均動脈血圧,血液ガスデータは各群聞で有意差は認めなかった.
G
r
o
u
p
s
薬剤投与前
平均動脈血圧 (mmHg)
薬剤投与後
平均動脈血圧 (mmHg)
1
21
.7:
t8
.
2
t4
.
3
1
1
8
.
3:
t7
.
9
1
2
2
.
6:
I 生理食塩水投与群
I Tempol投与群(再潅流時)
m Tempol投与群(再瀧流前 15分)
1
1
6
.
8:
t6
.
5
1
1
7
.
6:
t5
.
8
.
1:
t5
.
8
1
1
7
ダーゼ (PCOOH),コレステルエステルベルオ
考
察
キシダーゼ (CEOOH) などより特異的な指標で
の検討,ならびに細胞分画ごとの検討も行ってい
本研究で虚血・再濯流早期にヒドロキシルラジ
きたいと考えている.
カル量が増加することが示された.ヒドロキシ J
レ
本研究では 4時間の再謹流後に評価を行った
ラジカルの消去能を有する Tempolは,再潅流時
が,今後より長時間の観察での実験を追加し,
投与にて TBARS量を抑制し,脳梗塞体積を縮小
Tempolが脳梗塞の増大を一時的に抑制したの
した.今回の実験からは再濯流 1
5分前での Tem-
か,または最終的に脳梗塞体積を減らしたのか解
p
o
l投与では,未治療群と比べ TBARSの生成量
明する必要がある.また,微小透析法の実験から
及び、脳梗塞体積に有意差は認めなかった.
虚血周辺部で虚血・再i
墓流早期にヒドロキシルラ
Tempolの生体内での薬物効果は数十分である
との報告があるが14415},再謹流前投与では,薬理
ジカルの産生が克進することが確かめられたが,
Tempolの投与により 2
,
3-DHBA産生が抑制され
効果が時間経過により失効するため,再i
藍流後多
るかどうかも今後検討すべきと思われる.いくつ
量の活性酸素種が発生する時期にその効果が発揮
かの課題を残すが,本研究では再潅流早期のヒド
されなかったと考えた.今後は再謹流 30~45 分
ロキシルラジカル産生量の経時的追跡を行えた点
の時期に一致した薬剤投与による脳梗塞イ材責縮小
ならぴに Tempolの脳保護効果が投与時期によっ
効果を検討する必要があるが, Tempolの投与時
て変化するという点を見いだした点は特筆に値す
期としては虚血中の投与よりも再瀧流後のヒドロ
ると考えられた.
キシルラジカルが多く産生される時期にできるだ
臨床では,脳梗塞急性期にウロキナーゼや組織
け近い時期の投与が効果的であると推測できた.
プラスミノーゲンアクチベータ一等を用いた血栓
また,再 i
藍流後 2
,
3
・
DHBA測定を可能な限り延
溶解術によって,より短時間で虚血脳に血流再開
長して経時変化を追跡することを追加検討してい
させることが可能となった 28剖.しかし血流再開
きたい.
により生じる再濯流障害に対する予防策は未だ確
今回脂質過酸化の指標として TBARSを選択し
立されていない.本研究により,再擢流時にヒド
たが,今後はフォスファチジルコリンベルオキシ
ロキシルラジカルが多く産生されることが判明し
-186-
ラット脳虚血再潅流モデルにおける Tempolの脳保護効果
たが,脳血栓症の急性期治療として血栓洛解剤と
ヒドロキシルラジカル消去能を有する薬剤とを併
用することにより,血流再開とともに起こる再濯
流障害を軽減することが期待でき,脳梗塞治療に
対する新たな可能性が示唆された.
結 語
虚血周辺部では再i
草流後早期にヒドロキシルラ
ジカル量が増加することが示された.
Tempol投与により脳組織中での脂質過酸化を
抑制し,脳梗塞体積を減少させることが示され,
Tempolの投与時期として,再瀧流前よりも再潅
流時が効果的であった.
謝辞
本研究は三井生命福祉事業財団基金の研究助成
のもと施行した.また TBARS測定法に関して筑
波大学臨床医学系腎臓内科下津技官に御指導いた
だいた.
文 献
1
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